【エンジニアのストレス】もしかすると「メンタル不調」の一歩手前かも

【エンジニアのストレス】もしかすると「メンタル不調」の一歩手前かも
エンジニアは、デジタル社会を支える重要な技術基盤を構築し、私たちの生活に欠かせないシステムやアプリケーションの開発・運用を担っています。
しかし、長時間黙々と行うコーディング作業や、守らなければならない厳しい納期、突発的なシステム障害への対応など、エンジニア特有のストレスの要因になるものがあります。
完璧なシステムを作り上げるために日々集中して取り組む中で、ストレスをため込んでしまっている可能性があります。
この記事では、エンジニアが直面しやすいストレス要因を事例で解説し、メンタル不調になる前にできる対処法をいくつか紹介していきます。
【事例で見る】エンジニアに起こりうるメンタル不調のサイン
エンジニアの仕事では「バグを出してはいけない」「システムを止めてはいけない」という責任感の中で、自分の体調変化に気づかないまま働き続けてしまうケースが少なくありません。
ここでは、実際のエンジニアの現場で起こりうるメンタル不調のサインを事例で紹介します。
- ミスができないプレッシャー
- 24時間体制の重圧
- ワンオペ開発による孤独感
順番にみていきましょう。
事例1:SIerエンジニアAさんの「ミスができない」プレッシャー
20代後半、男性。SIerとして業務システム開発に携わるAさん。入社当初は新しい技術を学ぶことが楽しく、チームメンバーとの協力でプロジェクトを成功させることにやりがいを感じていました。お客様との打ち合わせや文章作成も「システムを作る重要な工程」として前向きに取り組んでいました。
デジタル疲労と「バグ」へのプレッシャー
大手製造業の基幹システム刷新プロジェクトのメンバーに選ばれたAさん。しかし、先方と協議を重ねる中で仕様変更が相次ぎ、当初の予定より大幅に開発工数が大幅に増加してしまいました。
1日10時間以上モニターに向かって設計書を作成し、構築フェーズに入ってからはコーディングとデバッグ作業で細かい画面を長時間見続ける生活が3か月ほど続きました。目の奥が痛むようになり、文字がぼやけて見えることも増えました。また、頭痛や肩こりに悩まされる日も多くなりました。
プレッシャーの中で作業を続けるうち、Aさんは「絶対にミスをしてはいけない」という思いが強くなり、レビューで指摘を受けることや、テストでバグが発見されるたびに「自分の能力が足りてない」と突きつけられているような気持ちになりました。
「完璧なコードを書かなければ」という強迫観念から、確認作業に時間をかけすぎ、気づけば作業効率が大幅に下がっていました。
Aさんに現れた変化
ここ1カ月月ほど、夜中にふと目が覚めると「明日の会議で質問に答えられるだろうか」「テストで重大なバグが見つかったらどうしよう」という不安で眠れなくなることが増えました。朝起きても疲れが取れず、通勤電車でも眠気に襲われることが日常的になっています。
また、以前は楽しかった技術の勉強も、今では「もっと勉強しなければ現場の要求に応えられない」という焦りに変わり、休日でも心から休むことができなくなりました。
Aさんの心境
「お客様の基幹システムを担当している以上、一つでもミスをしたらお客様の業務に大きな影響を与えてしまう。設計書やコードのレビューで指摘されるということは、まだまだ自分は実力不足ということだ。目も疲れていてしんどいがこれくらいで弱音を吐いてはいけない」
特定のストレスで発生する適応障害
Aさんの症状は、長時間労働、完璧主義へのプレッシャー、度重なる仕様変更などの特定のストレス要因に対する心理的・身体的な反応として現れています。これらのストレス要因から離れると症状が軽快することが多いため、適応障害の可能性も否定できないといってよいでしょう。

事例2:運用保守エンジニアBさんに「24時間待機」の重圧
30代前半、男性。金融系システムの運用保守を担当するBさん。安定稼働しているシステムを守ることに誇りを感じ、夜間や休日の障害対応も「お客様のシステムを守る重要な仕事」として責任を持って取り組んでいました。障害が発生した際の迅速な対応で、上司やお客様からも信頼を得ていました。
24時間体制の重圧と削られるプライベート時間
Bさんが担当する金融系システムは24時間365日の稼働が求められ、運用チームは交代で待機当番を担当していました。しかし、チームメンバーの退職が相次ぎ、Bさんの待機頻度が月の半分以上になってしまいました。
待機中は常に携帯電話を手放せず、深夜や休日でも障害アラートが鳴ると即座に対応しなければなりません。家族との食事中でもシステムのことが頭から離れず、趣味だった旅行も今は諦めています。
Bさんに現れた変化
ある日の深夜2時、重大なシステム障害が発生し、Bさんは6時間にわたって復旧作業に追われました。その日以来、Bさんは「また同じような障害が起きるのではないか」という不安に常に襲われるようになりました。
音に敏感になってしまい、スマホが鳴っていないのに鳴っているような気がしたり、就寝中も障害対応の電話が鳴った気がして何度も目覚めてしまうことが増えました。
Bさんの心境
「お客様のシステムを預かっている以上、24時間体制は当然のこと。でも、いつ障害が起きるか分からない不安で心が休まらない。夜間休日待機が精神的に辛いと思ってしまう自分は甘えているのかもしれない」
慢性的な不安による不安障害
Bさんのように24時間気が抜けない状態では、いつ電話が鳴るか分からないという慢性的な不安から、音に敏感になったり、不眠になったりするなどの不安障害の症状につながることがあります。
事例3:フリーランスエンジニアCさんの「ワンオペ開発」のよる孤独感
40代前半、男性。フリーランスとして中小企業向けのWebアプリケーション開発を手がけるCさん。自分のペースで仕事できることや、様々なプロジェクトに関われることに魅力を感じてフリーランスになりました。
一人で全てを背負うプレッシャー
最近受注したプロジェクトは、クライアントの予算の都合でCさんが一人で設計から開発運用までを行うことになりました。全ての工程を一人で担当することになり、技術的な判断も全て自分で行わなければならず、「この選択で本当に正しいのか」「間違った選択をしたら取り返しがつかない」という不安が常に付きまとうようになりました。
Cさんに現れた変化
ここ2か月ほど、夜中までコーディング作業が続き、頭が興奮状態で眠れない日々が続いています。また、一人での作業が長時間続くため、日中でも人と話す機会がほとんどなく、孤独感が強くなりました。以前は楽しみだった技術コミュニティへの参加も「自分のレベルが低いことがバレるのではないか」という不安で足が向かなくなりました。
Cさんの心境
「自由に働けることに憧れてフリーランスになったのに、今は一人で全てを判断しなければならないプレッシャーが自分には大きすぎる。技術的な判断にも自信が持てなくなってしまった」
複合的なメンタル不調
Cさんのように、慢性的なストレスが原因で、徐々に自己肯定感が失われていく状態が続くと、うつの症状や気分変調症につながるケースがあります。
上記の事例での症状は、あくまで可能性であり、正確な診断には専門医の診察が必要ですが、さまざまなストレス要因が、メンタルヘルスの不調を引き起こしていると言えます。

代表的なメンタル不調の症状
エンジニアの仕事では長時間のPC作業や、集中を必要とする作業が続くため、メンタル不調の症状も独特です。まずはメンタル不調によって身体に現れる症状について見ていきましょう。
身体に現れる症状
- 目の奥の痛みやかすみなどの慢性的な眼精疲労
- 長時間のデスクワークによる肩こり、首の痛み、頭痛
- 腱鞘炎などの手首や指の痛み
- 慢性的な疲労感、朝起きても疲れが取れない
- 胃の不快感、食欲不振
- 運動不足による体重増加や筋力の低下
- 夜中まで画面を見続けることによる睡眠障害
心や行動に現れる症状
- バグやシステム障害に対する過度な不安や恐怖
- 完璧なコードを書かなければというプレッシャー
- 新しい技術についていけないという焦りや劣等感
- イライラしやすくなる
- 人とのコミュニケーションが億劫になる
- 休日でも仕事のことが頭を離れない
- 「自分は能力が足りない」という自己否定感
- システム障害などのアラート音が1日中鳴っている気がする
心の不調は風邪などの体調不良と同じように、誰にでも起こることがあります。こういった症状が2週間以上続いているようであれば、専門家への相談を検討してみても良いかもしれません。
つらいときこそ専門家に相談を
エンジニアはシステムにおける問題解決のプロフェッショナルですが、技術的な問題と心の問題は異なります。どんなにセルフケアを心がけても、一人では乗り越えられないつらさを感じてしまう時があるかもしれません。
そんな時は、一人で抱え込まずメンタルヘルスの専門家であるカウンセラーに相談することも検討してみてください。
カウンセリングの有効性
エンジニア特有の責任感やプレッシャー、技術への不安などは、同じ業界で働いていない家族や友人には理解しにくい悩みかもしれません。しかし、専門家であるカウンセラーなら、あなたの状況を客観的に分析し、問題解決に向けた具体的なアプローチを一緒に考えてくれます。
また、「完璧主義の傾向がある」「プレッシャーへの不安が強い」などの思考パターンに気づき、より健康的な考え方を身につけるサポートも受けられます。
手軽に利用できるオンラインカウンセリング
「話を聞いてもらいたいけどプロジェクトが忙しくて時間がない」「リモートワークで外出する機会が少ない」と感じる人には、自宅や職場の休憩スペースなど、どこからでも気軽に専門家に相談できる「オンラインカウンセリング」がおすすめです。
PCやスマートフォンを通じて、対面と変わらない質の高いカウンセリングを受けることができます。移動時間や場所の制約がないため、忙しい毎日を送るエンジニアにとって、心理的なハードルが低く、よりスムーズに専門家のサポートにアクセスできるのが魅力です。
実際にオンラインカウンセリングを利用した方の声
納期が迫っていて、対面でカウンセリングに行く時間が取れませんでした。オンラインだと夜遅くでも予約できるし、自宅から利用できるので、仕事の合間や帰宅後でも無理なく続けられました。誰にも知られずに利用できるのも安心でした。
普段から在宅勤務が多く、なかなか人と直接話す機会がありませんでした。オンラインカウンセリングで話を聞いてもらうことで、自分の考えを整理でき、孤独感が和らぎました。誰かに話すだけでもこんなに楽になるんだと実感しました。
休日も気が休まらなかったのですが、カウンセラーの方に具体的な対処法を教えてもらい、少しずつ不安をコントロールできるようになりました。仕事の悩みだけでなく、プライベートのことも含めて話せるのがよかったです。
まとめ
この記事では、エンジニアが直面しやすいストレス要因を事例で紹介しながら、心の健康を保つための効果的なヒントも合わせて紹介してきました。
エンジニアの仕事は、社会のデジタル化を支える重要な役割を担っている一方で、長時間のPC作業や技術的プレッシャーなど、心身への負担が大きい環境でもあります。完璧なシステムを作り上げたいという責任感から、心身の不調に気づかないまま、限界まで働き続けてしまうことがあります。
日常的なデジタルデトックスや考え方の転換、コミュニティでの交流などで負担を和らげることができます。どうしてもつらいときには、一人で抱え込まず、専門家に相談することも検討してみてください。
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