【ホテル業界で働く】おもてなしの裏で溜まるストレスへの対処法

「最近、心から笑えているだろうか…」
そんな風に感じることがあるなら、お客様へ向けたサービスの裏で、自分自身の心の声を聞き逃しているサインかもしれません。
この記事では、ホテル業界で働く方が直面しやすいストレスの要因を、具体的な事例で紹介します。さらに、ホテル業界特有のストレスに有効な対処法として、オンラインカウンセリングの活用についても触れていきます。
ホテル業界で起こりうるメンタル不調事例
「お客様が最優先」という気持ちで日々業務に向き合ううちに、自分自身では気づきにくい心身の変化が現れることがあります。
この章では、実際の現場で見られる心の変化とそのサインを事例で紹介します。
事例1:フロントスタッフAさん「夜勤ひとり業務」と「予約対応」の両立
Aさんは30代男性。駅からもアクセスしやすいホテルのフロントスタッフとして働いています。「おもてなしのプロ」として、お客様一人ひとりに合わせたサービスを提供したいという意識を持っていました。
しかしAさんの勤務するホテルでは、フロントスタッフが予約対応も行うため、電話やメールでの海外顧客からの問い合わせや、複雑な予約システムの操作が夜間にも加わります。
そのため、夜勤で一人きりになると、すべてを自分でこなさなければならないプレッシャーに直面します。
Aさんに現れた変化
夜勤の孤独な業務と予約対応というマルチタスク業務に追われ、Aさんは徐々に心のバランスを崩していきました。
出勤時の強い不安や緊張
「今日もまた何か問題が起きるのではないか」「予想外のトラブルが起きたらどうしよう」という不安から、通勤中に動悸や吐き気が起こるようになります。
笑顔がうまく作れない
お客様と接する際、意識して笑顔を作ろうとしても顔がこわばってしまい、自然な笑顔を作るのが難しくなりました。仕事中はなんとか取り繕うものの、帰宅すると誰とも話す気になれず、一度横になると起き上がれなくなることも増えていきました。
コミュニケーションの回避
同僚や上司に相談しても、自分の悩みが理解されないのではないか、弱音を吐いていると思われたくないという気持ちから、複数のスタッフで業務を行う日でも、コミュニケーションを取ることを避けるようになりました。
Aさんの心境
「誰にも頼れない。自分がなんとかしなきゃ」「完璧なサービスをしないと、自分のせいでホテルの評価が下がる」
このような責任感とプロ意識の高さから、Aさんは一人で問題を抱え込んでしまったのです。
仕事に関するストレスからくる心の不調、「適応反応症(適応障害)」の可能性
Aさんのように、職場でのストレスが原因で通勤時に動悸や吐き気などの身体症状が出る場合は、「環境に適応しきれていない」という状態のため、「適応反応症(適応障害)」の可能性があります。
事例2:客室清掃スタッフBさん「パフォーマンスと時間のプレッシャー」
Bさんは30代女性。中規模ホテルの客室清掃スタッフとして働いています。客室清掃は限られた時間内で、完璧な状態に仕上げなければならないため、プレッシャーが常にのしかかりますが、近年ではインバウンドの影響で、マニュアル通りにはいかない状況が頻繁に発生しています。
例えば、宗教上の理由から特定の物品の配置に厳格なルールがあったり、日本ではあまり見られない客室の使い方をされたりすることがあります。マニュアルにはない、予期せぬ対応に追われることで、時間内に終わらない焦りから、常に気持ちが張り詰めた状態になってしまうのです。
Bさんに現れた変化
過度な手洗い
少しでも汚れや菌が残っていると不安になり、何度も手を洗うようになりました。手が荒れてもやめられず、ますます不安が強くなりました。
体力の低下
朝起きるのがつらくなり、仕事でもミスをすることが増えていきます。また退勤後には、駅のベンチやカフェなどで小休憩を挟まないと、自宅まで帰ることが困難なほどの疲労感を感じるようになりました。
職場での孤立
職場の人間関係は良好でしたが、それが却ってBさんの「みんなが私のミスをフォローしてくれている」という申し訳なさが劣等感を強めました。
Bさんの心境
「どのような部屋でも時間内に終わらせなければ」「時間が足りないのは自分の能力が低いせいだ」「誰にもこの辛さは理解してもらえない」
このような自己肯定感の低下や孤独感が、Bさんをさらに追い詰めていきました。
責任感の強さがから「強迫性障害」の症状へ
Bさんの事例は、強迫性障害の症状が見られます。特に過度な手洗いは強迫行為の一環として現れることがあり、時間へのプレッシャーなどが背景にあると考えられます。

事例3:料理人Cさん「アレルギー対応」への緊張」
Cさんは20代女性。専門学校卒業後から、料理に定評のあるホテルで料理人として働いています。お客様の食の安全を守ることは、料理人にとって何より重要という強い使命感を抱いています。
近年では、海外からのお客様が増え、多種多様な食文化やアレルギーに対応しなければならない機会が増えました。
食材へのアレルギーから、宗教上の理由で食べられないものなど、個別のリクエストに柔軟に対応しなければなりません。一つでもミスがあればお客様の命に関わるため、常に極度の緊張感を強いられます。その結果、「見落としがあったらどうしよう」という不安や恐怖が心に重くのしかかり、勤務中は常に緊張しているという状態が続きました。
こうした重圧の下で、Cさんに次のような変化が現れました。
Cさんに現れた変化
過度な確認行為
お客様の注文が入るたびに、何度もアレルギー表や食材リストを確認するようになりました。他の業務が手につかなくなるほど、確認行為に時間を費やすようになりました。
感情のコントロールが難しくなる
些細なことでイライラし、同僚や部下にきつく当たってしまうことが増えました。仕事が終わっても、そのイライラが収まらず、プライベートでも自分自身の感情をコントロールすることが難しいと感じるようになりました。
トイレにこもる、食事がとれない… 限界のサイン
一度持ち場を離れると、戻るまでに時間がかかることが増えました。時にはトイレにこもって泣いてしまうことも。また、休憩時間は食欲がないためまともに食事をとれないことから、体力面にも影響が出始めました。
Cさんの心境
「もしもアレルギーを見落としたら、お客様の命に関わる」「絶対に失敗は許されない」
プロとしての責任感が、Cさんを過度な緊張状態に追い込み、精神的に追い詰めていきました。
プロ意識の強さが招く「過緊張」
アレルギー対応への過度緊張というCさんの事例は、過緊張の症状と重なる部分があります。また、食欲不振や感情の起伏の激しさは、自律神経の乱れも要因のひとつとして考えられます。

よく見られるメンタル不調の症状
ホテル業界では、お客様対応を最優先に考えるうちに、自分自身の体調変化に気づきにくい環境でもあります。ここでは、現れやすい症状を身体面と心理面に分けて紹介します。
身体的に現れる症状
- 夜勤明けや早朝シフト後に、疲れているのに眠れない
- 朝起きても疲れが全く取れていない
- お客様対応中の動悸や息切れ、手の震え
- 原因不明の頭痛や肩こり、胃の不快感
- 食欲がわかない、または過食になる
- 慢性的な疲労感で身体が重く感じる
心や行動に表れる症状
- お客様からのクレームや要望に過度に不安になる
- お客様との交流を億劫に感じるようになる
- 些細なことでイライラしやすくなる、感情のコントロールが難しくなる
- スムーズに行えていた予約確認や清掃業務などでミスが増える
- 「自分の対応はダメだ」と自己否定的な思考が強くなる
- 休日でも外出や趣味への関心が無くなる
メンタル不調のサインに気づいたら
事例を読んで心に浮かぶことがあったなら、それは心が発している大切なサインです。一人で抱え込まず、できることから始めてみましょう。
ストレスを客観的に見つめる
ストレスの具体的な要因を書き出すことは、自分の心の状態を確認するのに役立ちます。何が一番辛いのか、何がストレスになっているのかを理解することで、心の中の整理がしやすくなるでしょう。
物理的なストレスを減らす
心身が疲弊している時は、まず身体を休めることが大切です。睡眠時間を確保したり、軽い運動で気分転換を図ったりするのも有効です。
つらい気持ちを誰かに話す
これまでに挙げたセルフケアも大切ですが、心が晴れない時は一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうことが解決への第一歩になります。
「身近な人には話しにくい」「誰に相談すればいいかわからない」そんな時に、あなたの悩みを専門的にサポートしてくれるのがカウンセリングです。
手軽に利用できるオンラインカウンセリング
「話を聞いてもらいたいけど、シフト勤務で時間が不規則」「夜勤明けで外出するのがつらい」と感じる人には、自宅や外出先、休憩スペースなど、どこからでも気軽に専門家であるカウンセラーに相談することができる「オンラインカウンセリング」がおすすめです。
PCやスマートフォンのビデオ通話を通じて、対面と変わらない質の高いカウンセリングを受けることができます。
移動時間や場所の制約がないため、忙しい毎日を送るホテル業界で働く方にとって、よりスムーズに専門家のサポートにアクセスできるのが魅力です。
支配人という立場上、誰にも弱音を吐くことができませんでした。オンラインカウンセリングは自宅から利用できるので安心して心の内を話せました。自分の気持ちを整理する時間をもてたことで気持ちに余裕が生まれ、従業員にもこれまで以上に寄り添えるようになりました。
こお客様からの無理なリクエストやクレームが続き、自分の不甲斐なさに落ち込んでいました。カウンセラーに話を聞いてもらう中で、『自分だけが悪いわけじゃない』と気づくことができ、気持ちが楽になりました。客観的な視点をもらうことで、仕事への向き合い方も変化したように感じます。
勤務時間が不規則で、夜勤明けは心身ともに疲れ切っていました。対面でのカウンセリングに通うのはハードルが高く感じていましたが、オンラインなら好きな時間に利用できるのが本当に助かりました。誰にも話せなかった悩みをカウンセラーが受け止めてくれて、心の重荷が軽くなりました。
まとめ
ホテル業界で働く方は、「お客様第一」の気持ちが強いからこそ、自分のことが後回しになってしまうケースがあります。
お客様を大切にするその優しい心を、ぜひ自分自身にも向けてみてください。もし一人では乗り越えられないと感じた時は、迷わず専門家の力を借りることも大切です。
お客様に心のこもったサービスを提供し続けるために、まずはあなた自身の心身の健康を大切にすることを優先しましょう。
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