特定のストレスが原因で起こると言われている「適応反応症(適応障害)」は、どのような人がなりやすいのでしょうか。
今回の記事では、仕事で適応反応症(適応障害)になりやすい人の特徴や、適応反応症(適応障害)になった場合の対処法を紹介していきます。
適応反応症(適応障害)とは
適応反応症(適応障害)とは、ある一定のストレスが原因で起こる、気分の落ち込みや体調不良などが現れる状態を指します。
例えば、部署異動による環境の変化や、職場の人間関係、業務量の増加など、ある特定のストレスによって症状が現れるというのも、適応反応症(適応障害)の特徴のひとつとして挙げられます。
仕事で適応反応症(適応障害)になりやすい人の特徴6つ
適応反応症(適応障害)は、ストレスの多い状況や環境に置かれれば、誰もが発症する可能性があります。
ストレスの感じ方には個人差がありますが、以下のような特徴を持った人は、一般的に適応反応症(適応障害)になりやすい傾向があると考えられています。
- 責任感が強く妥協できない
- 真面目で几帳面
- 完璧主義の傾向がある
- 他者を優先して行動してしまう
- 自己評価が低い
- 人に頼るのが苦手
順番にみていきましょう。
1.責任感が強い
例:妥協をせず、グループプロジェクト全体の責任を負う
責任感が強い人は、他者の意見やスケジュールも尊重した行動を取ります。特にビジネスシーンでは、目標達成に向けて誰よりも努力をする傾向がみられます。
しかし、役割や義務に強い責任感を持ち業務を続けることで、自分自身に対しての負担やプレッシャーを常に感じるようになります。
そのため、責任感の強さに比例して結果的にストレスが増大し、適応反応症(適応障害)になるケースも少なくありません。
2.真面目で几帳面
例:毎日のタスクを細かくリストアップし、完了するまでに時間をかける傾向がある
真面目な人は多くの場合、業務や課題に没頭し、最良の成果を出せるようにと努力を惜しみません。
しかし、このような姿勢で日々仕事に取り組んでいると、達成できない目標に焦りや不安を感じることがあります。
また、就業時間内で終わり切らない仕事は常に自宅へ持ち帰り、プライベートの時間を必要以上に割いて業務を続けてしまうこともよくあるため、適応反応症(適応障害)のリスクが高まる傾向があるといわれています。
3.完璧主義の傾向がある
例:レポートやプレゼンテーションを準備する際に、細かい箇所にも誤りがないよう、何度も修正や改善を重ねる
完璧主義の傾向がある場合は、自身に対して非常に高い基準を設けていることが多く、常に最高の成果を求めます。
達成すべき目標を明確に定め、その目標を達成することに全力を尽くしますが、達成できない目標に対するストレスが焦りにつながることがあります。
また、自身の不完全さや限界を認めることが難しく、ストレスや不安が蓄積しやすくなります。その結果、適応反応症(適応障害)のリスクが高まる可能性があります。
4.他者を優先して行動してしまう
例:同僚や友人が困っていると、時間やリソースを割いて助けようとする
優しい性格や繊細な感受性を持つ人は、他者の感情や状況に敏感です。そのため、周囲に手助けが必要な人が居ると、放っておけずにフォローすることがあります。
特に職場では、同僚や部下が困っている姿を見たり、フォローを頼まれると、心配や同情を抱き、積極的にサポートしようとします。
その一方で、自分自身の感情を抑える場面も増えるため、ストレスを抱え込むこともあります。特に自分の仕事に不安がある状況の時に、他者の問題を優先して対処してしまう場合は、自分自身のストレスが増大し、適応反応症(適応障害)のリスクが高まる可能性があります。
5.自己評価が低い
例:自分の能力や価値を過小評価し、自己否定的な考えに陥りやすい
自己評価が低い人は、自らの能力や価値に自信を持てず、常に自己否定的な思考や感情に陥りやすい傾向があります。
また、予期せぬ変化や予定の変更、職場の人間関係で生じる摩擦などにより、不安や緊張、イライラといった感情が強くなるケースもみられます。
このような状況下ではストレスや不安を感じる傾向が高まり、適応反応症(適応障害)になりやすいと考えられています。
6.人に頼るのが苦手
例:問題や困難に直面したときに、他者に助けを求めることを避ける傾向がある
人に頼るのが苦手で、できる限り自分で問題を解決しようとする傾向は、適応反応症(適応障害)になりやすい人の大きな特徴のひとつに挙げられます。
「ひとりで何とかする」という気持ちは自らの負担を増やすことになり、結果的にストレスや孤独感が増大し、適応反応症(適応障害)につながると考えられています。
では適応反応症(適応障害)になると、どのような症状が現れるようになるのでしょうか。次の章で詳しくみていきましょう。
適応反応症(適応障害)の症状
適応反応症(適応障害)は、ストレスに対してうまく対処することができず、こころと身体にさまざまな症状が現れる状態です。
個人によって大きく異なりますが、こころと身体のバランスが崩れることで、以下のような症状がみられることがあります。
こころに出る適応反応症(適応障害)の症状
不安感がある |
日常的に不安を感じ、緊張感が強く、不安定な気持ちになることがあります。 |
気分の落ち込み |
興味や喜びを感じにくく、気分が沈んだり、憂うつな気持ちになることがあります。仕事のストレスが原因の場合は、休日明けに大きく気分が落ち込むことがあります。 |
落ち着かない |
安定した状態を保つことが難しく、落ち着かない感情が続くことがあります。 |
イライラすることが増える |
小さなことに対してもイライラしやすく、以前なら気にならなかったことに対しても、感情がコントロールできず怒りっぽくなることがあります。 |
身体に出る適応反応症(適応障害)の症状
眠れない |
不安やストレスによって、眠りに入りにくくなり、不眠に悩まされることがあります。 |
食欲がない・または食べ過ぎる |
ストレスや不安によって食欲が低下するか、逆に食欲が増すことがあります。 |
慢性的な肩こりや頭痛 |
ストレスによって筋肉が緊張し、慢性的な肩こりや頭痛に悩むケースがあります。 |
常にだるい・疲れが取れない |
日常生活でのストレスが原因で、疲れが取れず体がだるく感じることがあります。 |
胃腸の不調 |
ストレスによって胃や腸の機能が乱れ、胃痛や消化不良などの症状が現れることがあります。 |
行動に出る適応反応症(適応障害)の症状
朝起きられない |
疲労感や気持ちの沈み込みから、朝起きることが難しくなることがあります。 |
生活リズムが乱れる |
日常のルーティンが崩れ、睡眠や食事のリズムが乱れることがあります。 |
飲酒や喫煙量の増加 |
ストレスや不安を和らげるために、飲酒や喫煙量が増えることがあります。 |
適応反応症(適応障害)が仕事に与える影響とは
適応反応症(適応障害)の症状は、仕事にも大きな影響を与えます。
パフォーマンスの低下
仕事中に不安やストレスが高まると、集中力や注意力、判断力、記憶力などの機能が低下し、業務の効率や品質が損なわれる可能性があります。
また、適応反応症(適応障害)による疲労などの身体的症状も、パフォーマンスに影響を与えることがあり、自分でも思うように業務ができないと感じることで、更に大きなストレスを抱えることも考えられます。
欠勤や遅刻の増加
不眠や生活リズムの崩れなどの症状により、仕事に行くことが困難になる、または欠勤や遅刻が増える可能性があります。
コミュニケーションの困難
適応反応症(適応障害)の症状である気分の落ち込みや、イライラなどでこころが不安定になるため、同僚や上司との円滑なコミュニケーションが難しくなるケースがあります。
ミスの増加
落ち着かないなどの適応反応症(適応障害)の症状によって、集中力や注意力が低下することがあります。また、業務に集中できずミスやエラーが増加する可能性が高まります。
特に、大きな責任を伴う業務においては、ミスやエラーが重大な影響を及ぼすことも考えられ、適応反応症(適応障害)の症状が悪化するケースもあります。
これらの影響は、個人の適応反応症(適応障害)の症状や仕事の性質や環境などによって異なりますが、適応反応症(適応障害)を理解し、適切なサポートや対策を受けることで、影響を最小限に抑えることが期待できます。
適応障害にならないための特徴別の予防策
最初に「仕事で適応障害になりやすい人の6つの特徴」をあげましたが、そのような特徴を持つ人たちでも、普段の考え方や対応を少し変えるだけで気持ちが軽くなるかもしれません。
ここでは特徴別にそれぞれご紹介します。この考え方は、コミュニケーションの向上やストレス軽減にもつながりますので、参考にしてみてください。
特徴1.責任感が強すぎる人へ
責任感が強すぎる人は、業務を一人で抱え込んでしまうことがあります。しかし、時には他者の助けを借りることも重要です。
自分が引き受けるべき業務と他の人に任せられる業務を明確にし、周囲と協力していきましょう。誰が担当するかに関わらず、目指すのは仕事の完遂です。業務全体の目標を大局的に捉えることが大切です。
特徴2.真面目で几帳面な人へ
几帳面なあまり、仕事を時間内に終わらせることができず、持ち帰ってしまうような方は、気づけば仕事を持ち帰る前提で業務を進めている可能性があります。
まずは、作業を終わらせる「目標時間」を予め設定し、その時間までに終わらせるように心がけましょう。
また、仕事を持ち帰らない日を設定するのも効果的です。例えば「毎週水曜日と金曜日は持ち帰り禁止」と自分で決めることで、業務を終わらせるための意欲が変わり、集中して取り組むことができます。
特徴3.完璧主義傾向の人へ
完璧主義の傾向がある人は、理想の仕事の成果を100点とし、「減点方式」で考えてしまいます。そうすると足りない部分やできてないことなど、ネガティブな面にばかり目がいってしまいます。
そこで、考え方を「加点方式」に変えてみましょう。そうすると、ゼロの状態から点数を加算していくことになるので、良い部分を探すようになり、自分が頑張った部分などのポジティブな面を見つけられるようになります。
また、「結果にはこだわらない」ことも大切です。もちろん完璧な結果を目指して努力することは悪いことではありませんが、結果が伴わなかったことで落ち込み、いつまでも引きずることはよいことではありません。
頑張るだけ頑張ったら、そのあとの結果にはあまりこだわらず、切り替えて次の目標に向かうことが大切です。
特徴4.他者を優先してしまう人
困っている同僚や友人を積極的に助けてしまう人は、「こういう状況になったら助ける」「助けを求められた時だけ応じる」という風にある程度、自分で線引きをしてみると良いかもしれません。
また、助けや手伝いを求められたら断れないタイプの人は、「今は難しいですが、〇時なら大丈夫です」や「その業務は難しいですが、別の業務なら手伝うことは可能です」という風に相手に代案を提示することで、手伝う量やタイミングを自分でコントロールすることができます。
特徴5.自己評価が低い人
自分の能力や価値を過小評価してしまいがちな人は、積極的に「褒める」習慣を作ると良いでしょう。
他人の些細なことや小さなことでも褒めるようにすることで、悪い面ではなく良い面が目に留まるようになります。
1日の終わりには自分自身を褒めるようにしてください。「褒め日記」などを作って紙に書くとさらに効果的です。
そして、色々なことにチャレンジすることも大切です。自己評価が低いのは経験値が足りない可能性もあります。色々なことにチャレンジしていく中で、経験値が上がり、さらに得意なことが見つかれば、それが強みにつながりやがて自信にもつながっていくでしょう。
特徴6.人に頼るのが苦手な人
他者に助けを求めるのが苦手な人は、頼ることは相手の迷惑なのではと考えてしまう傾向にあります。
なので、まずは周囲の人をよく観察するところからはじめてみましょう。そうすると、相手がいつ何をお願いしたら快く引き受けてくれそうかなど、徐々に見えてくるでしょう。
そして、相手の状況が分かったら、まずは小さなお願いからはじめて、徐々にステップアップしていくと良いでしょう。
お願いするときは相手に敬意を払い、手伝ってもらった時には、しっかりと感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。そうすることで相手の印象も良くなり、信頼関係を築いていくことができるでしょう。
適応反応症(適応障害)かもと感じたら?4つの対処法
適応反応症(適応障害)かもと感じたら、多角的にストレス対策をしていくことが重要です。ここでは、4つの対処法を紹介します。
- 現在の環境や状況を把握する
- ストレスの原因から距離を置く
- 休職もしくは転職を検討する
- カウンセリングを受ける
1つずつみていきましょう。
1.現在の環境や状況を把握する
まず、自分がどのような状況にあるのかを把握していきましょう。ストレスやプレッシャーがどこから来ているのかを理解することが重要です。
また、自分の性格や仕事の取り組み方を冷静に分析することも有効です。もし、適応障害になりやすい特徴に当てはまるようでしたら、予防策から試してみるのも良いでしょう。
2.ストレスの原因から距離を置く
可能であれば、適応反応症(適応障害)の原因となっている要素から一時的に離れることも考えてください。例えば、仕事や人間関係など、ストレスを引き起こす要素から遠ざかることで症状の改善が期待できます。
3.休職・転職を検討する
状況が深刻であれば休職や転職を検討してみましょう。休職を希望する場合は医療機関を受診し、症状に応じて適切な期間の休職をすることが重要です。
4.カウンセリングを受ける
心理カウンセリングは、適応反応症(適応障害)の原因であるストレスを軽減させるために効果的であるとされています。
また、適応反応症(適応障害)による不安な気持ちや、問題解決に向けてのサポートが期待できるため根本的な解決に結びつくとされています。
適応反応症(適応障害)におけるカウンセリングの効果とは
適応反応症(適応障害)の症状が辛い場合、メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーとのカウンセリングは非常に有用です。
カウンセリングは感情や思考を整理し、問題の根本的な原因を理解するのに役立ちます。
また、カウンセリングを受けることは、自身の「考え方のくせ」を知るきっかけになるかもしれません。
自宅から受けられるオンラインカウンセリング
現在では、臨床心理士や公認心理師、精神保健福祉士、EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)などの専門資格を有したカウンセラーとのカウンセリングが、オンラインで受けられるサービスも充実しています。
適応反応症(適応障害)の症状が出ていると、外出することが難しい場合がありますが、オンラインカウンセリングは自宅から受けられるため、交通や移動のストレスを避けることが可能です。
また、第三者に話を聞かれる心配もないためプライバシーは保護され、リラックスした状態で自宅からカウンセリングを受けることができるでしょう。
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会員登録が済んだら、次は相談内容に合ったカウンセラーを選んでいきましょう。
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ステップ3.予約をする
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まとめ
今回の記事では、仕事で適応反応症(適応障害)になりやすい人の性格や特徴、そして適応反応症(適応障害)になった場合の対処法を紹介してました。
仕事のストレスで悩んでいる、適応反応症(適応障害)の症状が辛い、問題解決に向けて対処していきたいという場合は、オンラインカウンセリングサービスの利用を検討してみてもよいかもしれません。
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