心と体の健康の悩み

メンタルは強くなくてもいい 自分の中にあるモヤモヤとの向き合い方

皆さんは「メンタル」と聞いて何を連想するでしょうか?
最近では「メンタルを鍛える」や「鋼のメンタル」など、様々な場面でメンタルを強くしましょうという言葉を耳にします。

しかし、本当にメンタルは強くないといけないのでしょうか?

もちろん、常にネガティブ思考で落ち込んでしまったり、直ぐにイライラしてしまうよりは、何事も前向きにとらえ、おおらかな気持ちで過ごせるほうが良いでしょう。

しかし、自分を変えたいと思うあまり、つい他人と比較してしまったり「メンタルを強くするにはこうあるべきだ」と決めつけてしまい、かえってストレスに感じてしまうケースもあります。

メンタルにおいて大事なことは「強さ」より「しなやかさ」です。

誰かと同じような強さを求めるのではなく、自分自身のオリジナルと向き合い、社会や人間関係に柔軟に対応していく「しなやかさ」を持つことが大事と言えるでしょう。

今回は、しなやかなメンタル作りに欠かせない自分自身の心の向き合い方と、効果的なセルフワークについてご紹介します。

自分の思考のクセを知る

ちょっと想像をしてみて下さい。
取引先でも恋人でも結構です。あなたはメールを送りましたが相手から返事がきません。あなたはどのように考えますか?

「相手も忙しいのだろうから気長に待とう」と考えますか?

それとも「メールの文面が良くなかったから怒ってるのかな」と心配になりますか?

もしくは「何故かわからないけど嫌われてるのかな」と不安になってしまうタイプですか?

一つの物事でも、考え方やとらえ方は人それぞれで、その考え方を元に色々なことを判断していきます。

この段階で論理的に捉えることが難しくなり偏った考え方をしてしまうことを「認知のゆがみ」と言います。認知のゆがみが起きると、メンタルに悪影響を及ぼします。

先ずは認知のゆがみの元となる「考え方(思考)のクセ」にはどのようなものがあるのか見て行きましょう。

1.全か無かの思想(白黒思考)

これは、物事を極端な選択肢、例えば「0か100」のように考える傾向です。この考え方が強いと、人の好き嫌いが激しくなったり、敵味方をはっきり分けたり、成功と失敗をはっきりと区別してしまいます。

また、少しの失敗でもすぐに自分を責めたり、自己評価を極端に下げてしまう傾向があります。物事には白黒では測れないグレーな領域や複雑な判断があることを認識しましょう。

2.一般化のしすぎ(過度な一般化)

これは、たった一つミスしただけでも「自分は何をやっても上手くいかない」と過度に落ち込んだり「今日は最悪な一日だ」とこの先の状況も悪くなると決めつけてしまう状態のことです。

中でも恋愛などにおいて、この思考は現れやすく、失恋してしまったことで「自分には恋愛は向いてない」と決めつけてしまい、消極的になってしまいます。

3.心を読もうとする

人間関係において、相手が何を考えているかを想像することは大変重要です。しかし、相手の思考を読むことばかりに時間を費やすことは、精神的にも大きな負担となる可能性があります。

特に、自分の体調や心の状態が良くない時には、間違ったバイアスがかかりやすい傾向があります。例えば、普段挨拶してくれる人が挨拶してくれなかっただけで「自分のことが嫌いなのでは」と疑ってしまったり、落ち込んだりしてしまいます。

4.自己中心的な決めつけ

自分の体調が良くない時には間違ったバイアスがかかりやすくなると述べましたが、更に相手の思考を読むことが難しくなり、「自分と他人は違う」という根本的な部分を理解し辛くなり、自分もやってるのだから相手も出来るはずと決めつけ、その考えを押し付けてしまいます。

5.感情的な憶測

感情とは、あなたの心の中で起きることであって、それが事実というわけではありません。しかし、その感情に左右され、事実と決めつけてしまうことがあります。

やりたくない仕事や、めんどくさい作業などに手が付けられない、先延ばしにしてしまったりする場合、この感情的な憶測が働いていることが多いといえます。

6.問題の個人化

何かトラブルや問題が起こった時に全て自分のせいにしてしまう思考のことです。この思考のクセが出ると、他人の行為が原因で起こった問題であっても、自分のせいにしてしまい精神的に追い込まれてしまいます。

7.すべき、でなければならない思考

これは「すべき」や「でなければいけない」等、自分や相手に過剰に期待してしまう思考です。この思考状態では過度に自分にプレッシャーをかけ自分を追い込んでしまうだけでなく、他人にも価値観を押し付けてしまい、人間関係を悪化させてしまいます。

もし、相手が自分の思い通りに動いてくれないことで責めたくなってしまった時、この「すべき思考」が働いてないか注意してみましょう。

8.心のフィルター

物事のネガティブな面に注意が向いてしまうことで、客観的に物事をとらえることが出来ず、常にネガティブなフィルターを通してしまい、良いことがあったとしても悲観的に捉えてしまう思考のことです。

分かりやすい例で言うと、SNSなどで沢山の好意的なコメントをもらっているにも関わらず、たった一つのネガティブなコメントや批判的な意見に関心が向いてしまい、深く傷つき、自信を失ってしまいます。そんな時は、心にネガティブなフィルターがかかっているかもしれません。

心のモヤモヤと向き合う「フォーカシング」

上記の思考のクセから認知のゆがみが生じ、何かの物事が起きた時に、事実とは関係のない解釈や思考をしてしまいます。そして上手く説明できないこころがモヤモヤした状態になり、イライラしたり胸がざわざわしたりします。

この「心のモヤモヤ」が出てきた時点で、上手く対処していくことが出来れば思考のクセに振り回されることも少なくなり、ストレスを軽減できるようになります。

ここでは、心のモヤモヤに有効な「フォーカシング」をご紹介します。

フォーカシングとは

シカゴ大学の教授だったユージン・ジェンドリンが開発した心理療法で、この療法はクライアントの「言い淀み」に注目しました。

皆さんも誰かに悩みや心の内を相談した際に、上手く言葉に出来ず「うーん」と言い淀んでしまったり、喉元まで出かかっているのに言葉が出てこなかったりしたことはありませんか?

この漠然とした感覚を見つけ出し、相応しい表現が出来るようになると、新しい気づきが生まれたり、解放されるような気分が得られることがあります。

この体験を意識的に行う心理療法が「フォーカシング」です。ではフォーカシングは具体的にどのように行うのでしょうか?

フェルトセンスを探る

不安で胸が締め付けられるような感じがしたり、イライラして頭に血が上ったり、お腹に圧迫感を感じたり、原因はハッキリしないけど、漠然と感じる身体の感覚のことを「フェルトセンス」と呼びます。

このフェルトセンスを見つけ出すことが、フォーカシングでは重要になります。

先ずは心を落ち着け、ゆったりとした気持ちで体の内側に注意を向けます。フェルトセンスを身体のどこに感じるのか?どんな雰囲気でどんなイメージが浮かぶか?深く追求し過ぎないようにゆっくりと感じてみましょう。

もし頭で理屈や原因を探りはじめたら、すぐに身体がどう感じるかに意識を向けてください。

心や身体に起こることを、無視したり、捻じ曲げたりせず、どんなことも好奇心を持って受け止めるようにしてみて下さい。

ハンドルを見つける

フェルトセンスを感じることが出来たら、次は「ハンドル」を見つけます。ハンドルは、そのイメージに相応しい言葉や名前のことです。

あなたのその漠然とした感じ(フェルトセンス)には、どんな言葉やイメージが相応しいですか?色や形で具体的に表現してみます。もしくは「ツンツン」や「ジクジク」などの擬音でも構いません。しっくりくるものを探し出しましょう。

共鳴させてみる

見つけたハンドルがフェルトセンスに合うかどうか試してみます。いまいちピンとこないと感じたら、より相応しい表現を探してみます。言葉ではしっくりこない場合、ジェスチャーなどでも構いません。

身体の感覚は常に変化していますので、それに合わせてイメージが変化して構いません。流れにまかせながら相応しいハンドルを見つけましょう。

フェルトセンスと過ごす

ハンドルが見つかったら、そのフェルトセンスと友達のように一緒にいてみます。「こんにちは」とか「ずっとそこに居たんだね」など、優しく話しかけてみて下さい。そうしてゆっくりと一緒に過ごしてみます。

最後にフェルトセンスと対話して行きます。「あなたは何?」と聞いてみて下さい。よく分からなければ、好きに話をさせてあげて下さい。

フェルトセンスと対話することで、心のモヤモヤが明確になり、その存在を認めることで新しい気づきと、身体が解放されるような体験が得られるでしょう。

フォーカシングが上手くいかないときは?

フォーカシングが上手く行かない理由として、フェルトセンスが見つけにくい場合があります。特に見つけにくい人の特徴としては

  • バカバカしいと感じ、自分の内側と真剣に向き合うことをしないタイプ
  • 原因追及ばかり考えてしまい、集中して感じることが出来ないタイプ
  • 恥ずかしさを感じて自分の感情や感覚を表現できないタイプ

先ずは、静かで安心できるゆとりを持った環境を用意し、自分の心を否定せず包み込むように認めることが大切です。

カウンセラーに相談してみる

フォーカシングは、最初上手くできないかもしれませんが、慣れてくると自分の心のモヤモヤを明確にでき、苦しみを和らげることが期待できます。

どうしても感覚に集中できない場合は、プロのカウンセラーを頼ってみるのも一つの手です。

また、ハンドルを見つけることは出来たけど、対話していくのは難しいという場合も、カウンセラーの誘導によってフェルトセンスと対話しやすくなりますので、自分一人では上手く行かない場合など、カウンセリングを利用してみて下さい。

スマートフォンから手軽に利用できるオンラインカウンセリング

オンラインカウンセリングは、忙しい生活に合わせて柔軟に利用できます。 スマートフォンを使って手軽にweb予約ができ、仕事の合間や帰宅後にカウンセリングを受けることができます。

また、インターネットに接続できる環境さえあれば、PCやスマートフォン、タブレットから利用できるため、移動する手間も省けます。

まとめ

この記事では、しなやかなメンタル作りに欠かせない自分自身の心の向き合い方と、心のモヤモヤを和らげるフォーカシングについてご紹介しました。

メンタル不調は目に見えませんし、どうやってセルフケアを行ったら良いのか分からない人が多くそのまま放置してしまいがちです。

心のモヤモヤを見逃さず、時には自分の心の声に耳を傾けてみてみて下さい。一人で難しい場合やモヤモヤが辛い場合には、オンラインカウンセリングを利用してみるのもよいでしょう。

 

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