【アディクション】『やめたいのにやめられない』6つの依存症

現代社会で深刻化している「依存症(アディクション)」。本記事では、「やめたいのにやめられない」状態に悩む方やそのご家族に向けて、依存症の正しい知識と対処法を解説します。

依存症は意思の強さではなく、脳の回路変化によって誰にでも起こり得る問題です。アルコール・スマホ・ギャンブルなどを含む、代表的な6つの依存症の特徴や原因となるメカニズムを解説しますので、一人で抱え込まずに一歩踏み出すための参考にしてください。

この記事でわかること
  • 物質・行動・関係に分類される依存症の基礎知識と「熱中」との違い
  • スマホやギャンブルなど、現代人に多い代表的な6つの依存症の特徴
  • 「ショート動画依存」の背景や、脳のメカニズム(ドーパミン)と相談先

依存症とは

依存症とは、アルコールなどの物質や、ゲーム・ギャンブルなどの特定の行動に対して「やめたくても自分の意思でやめられない状態」を指します。

「熱中」している段階では楽しさや達成感といったポジティブな感情が得られますが、これが「依存」へと進行すると、「辛いのにやめられない」「苦痛を感じているのに止まらない」というネガティブな感情や状態に変化していくのが大きな特徴です。

「依存」と「熱中」は何が違う?

こころと身体の健康があればこそ、好奇心や情熱を持って何かに打ち込んだり、目標に向かって進んでいくことができます。

やめたいと思っているのにやめられない、という状態によって本人や周囲が辛い思いをしているならば、正しく理解し対処していく必要があります。

依存と熱中に明確な差があるとすれば、特定の物や人、行動に対して自己制御ができるかの違いにあると言えるでしょう。

「依存」は大きく分けて3種類

依存は物質依存と行動依存、そして関係依存の3つに分類することができます。

  1. 物質依存
  2. 行動依存
  3. 関係依存

1ずつ見ていきましょう。

1.物質依存

物質依存は、薬物やアルコールなどの物質への過剰な依存や中毒的な状態を指し、物質に対する強い渇望や行動パターンが形成され、社会的な機能の低下や人間関係の悪化など、幅広く影響を及ぼすことがあります。

代表的な物質依存にはアルコール依存、ニコチン依存、薬物依存があります。とくに薬物依存では近年、若年層の市販薬乱用や誤用が社会的な問題となっています。

2.行動依存

行動依存は、特定の活動や行動に対する過度の依存や中毒的な状態を指し、脳内の快楽中枢に影響を与えます。

行動依存にはギャンブル、買い物、インターネット、ゲーム、仕事などがあり、近年では動画配信サイトに課金する「投げ銭」が深刻な問題として取り上げられています。

物質依存と行動依存は、個人の心理的な健康や身体的な健康、関係性、仕事などに大きな影響を与えることがあるため、治療や適切なサポートが必要とされています。

3.関係依存

主に人間関係への過度な執着をするのが関係依存です。

人とのつながりや関係に対して強い執着心を抱き、他者からの承認によって自分に価値があると感じる傾向にあります。

一般的な関係依存には、夫婦や親子、恋人間などの関係で見られる共依存、特定の人物に執着し、付きまといや嫌がらせをするストーカー、パートナーや家族に対して身体的、性的、精神的な暴力を振るうDVなどがあります。

関係依存は、健全な人間関係の形成や個人の成長に支障をきたすこともあり、他者へ執着することで自己を犠牲にするケースもあります。

代表的な6つの依存症

ここでは物質依存と行動依存から、代表的な6つの依存症を紹介します。

  1. アルコール依存症
  2. ニコチン依存症
  3. 買い物依存症
  4. インターネット依存症
  5. ゲーム依存症
  6. ギャンブル依存症

順番に見ていきましょう。

1.アルコール依存症

依存症と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがアルコール依存症ではないでしょうか。

「二日酔いで具合が悪いが、迎え酒をすれば治る」
「仕事をしていて夕方になると酒が飲みたくて仕方がないが、実際仕事中は飲んでいないのだからアルコールに依存はしていない」

このように、アルコール依存症に陥っている場合、人より少し飲む量が多いかも知れないが、自分は病気ではないという認知のゆがみが生じることで、自身が依存症であることを認めない傾向があります。

アルコール依存症は特に、自ら治療を求めない依存症と言われており、本人に自覚をさせるのが最も困難とされています。

2.ニコチン依存症

公共の施設でも煙草が吸えた時代を経て、現在では喫煙できる施設やエリアが少なくなってきています。

「次にたばこの値段が上がったら禁煙しよう」
「この1本を吸ったらもう二度と吸わない」
そう誓っても、結局はまた1箱、ひどい時は1カートンを買い込んで吸ってしまう。やめたいと思っているのにやめれない状態こそ、ニコチン依存症と言えます。

ニコチンは、科学物質としては毒物に指定されているアルカロイドの一種で、神経に強く作用します。

一般的に、体内からニコチンの成分がなくなるのは24時間から72時間と言われていますが、血中から成分が半減する2時間程度で、たばこが吸いたいとイライラするようになります。

3.買い物依存症

誰しも、あの服やバッグが欲しい。あの服かわいいな、この靴かっこいいな、欲しいなと思うことがあるでしょう。今月は財布を新しくしたので欲しい服はまた来月にしよう、靴を買うために節約しようなど、欲しいものがあってもコントロールができる状態であれば、それは正常と言えます。

しかし、欲しいものを我慢できずに買ってしまう。そのうち欲しい欲しくないの基準ではなく、お金を使うことが目的となり、やがてコントロールができなくなってくると、買い物依存症の可能性があります。

クレジットカードが限度額を超えても買い物をすることがやめられず、支払いの恐怖を感じると逃げ出したくなります。しかし、一瞬でも不安から抜け出したいと思って取る行動までも「買い物」という悪循環に陥る恐ろしい依存症です。

4.インターネット(スマホ)依存症

総務省が発表した「2025年版 情報通信白書」によると、2024年の個人におけるインターネット利用端末の種類は以下の通りです。

  • スマートフォン:74.4%
  • パソコン:46.8%
  • テレビ:30.8%
  • タブレット型端末:25.5%
  • 家庭用ゲーム機:19.5%
インターネット利用端末の種類(個人)2024年


総務省|2025年版情報通信白書 D3-8-4を参考に作成

1990年代のインターネット黎明期においては、接続端末といえばパソコンが主流でした。しかし、2010年代からのスマートフォンの急速な普及により、インターネットはわざわざパソコンを開いて使うものから、「いつでも手元にある身近な存在へと変化しました。

スマートフォンの普及に伴う「利用時間の肥大化」と依存のリスク

端末の進化と通信環境の整備に伴い、動画配信サービスやSNS、ソーシャルゲームなどを中心に、日常の適正範囲をはるかに上回る長時間の利用が深刻な社会問題となっています。

パソコンと異なり、スマートフォンには以下のような依存に繋がりやすい特徴があります。

  • 常時携帯性: ベッドの中や移動中など、隙間時間に絶え間なく脳へ刺激を与え続けてしまう
  • 通知機能(トリガー): SNSの反応やアプリ通知によって脳の報酬系が刺激され、無意識に画面を開く習慣がつく

「スマホ依存」の具体的な症状

インターネット依存症に陥ると、単に「利用時間が長い」だけでなく、以下のように自分の意思で利用をコントロールできない状態に陥ります。

  • 手放せない・やめられない: 見るのをやめようと心で思っていても、スマホから手が離せない
  • 日常機能の低下: 睡眠不足や日中のパフォーマンス低下を自覚していながらも、夜遅くまで見続けてしまう
  • 強い不安感(離脱症状): 手元にスマホがないと、イライラしたり強い不安を感じたりする

このような症状が見られる場合、本人の意思の弱さではなく、脳の回路変化による「依存症」が始まっている可能性があります。

近年急増する「ショート動画依存」とその背景

特に近年、15秒〜60秒程度の短尺動画(YouTube Shorts、TikTok、Instagram Reelsなど)を無限にスクロールして見続けてしまう「ショート動画依存」が深刻な問題となっています。

  • 「即時報酬」によるドーパミンの過剰分泌
    短い時間で次々と刺激的なコンテンツが供給されるため、脳内でドーパミンが手軽かつ大量に分泌されます。
  • 「次は何が出るか分からない」というギャンブル効果(変動強化スケジュール)
    画面をスワイプするたびに「面白い動画」「つまらない動画」がランダムに現れます。この「次は当たりが出るかも」という予測不能な報酬が、ギャンブル依存症と同じように脳を強く刺激するため、スワイプが止められなくなるのです。
  • 終わりがない画面設計(無限スクロール)
    動画が終わると自動で次の動画が再生されるため、脳が「ここでやめよう」と判断する切り替えのタイミングを奪ってしまいます。

このように、ショート動画は人間の脳の脆弱性を突いた仕組みになっているため、個人の意思の力だけでやめることが非常に難しくなっています。

あわせて読みたい:スマホ依存に陥りやすい人の特徴とやめたいときに試したい5つの対処法

5.ゲーム依存症

パソコン黎明期にゲーム依存症と言えば、多人数同時参加型のオンラインゲームに没頭する「ゲーム廃人」が代表的でした。

しかし現在では、スマホで利用できるソーシャルゲームから、eスポーツ競技になるゲームタイトルまで、ゲームプレイヤー人口は増加の一途を辿っています。

依存症の中でもゲーム依存症は、2019年5月にWHO(世界保健機関)が国際疾病分類に加えた「ゲーム障害」とも呼ばれており、ゲームプレイ時間だけではなく、課金制ゲームへのいわゆる廃課金といわれる、過剰な課金も問題となっています。

あわせて読みたい:大人の「ゲーム依存」「ゲーム障害」増加する背景と予防策を徹解説

6.ギャンブル依存症

最後にギャンブル依存症を見ていきます。

娯楽として楽しむギャンブルは、日常に刺激を与えます。しかし、やりたくないのにやってしまう、辛いと思いながらもやめられず生活費にまで手をだしてしまったなど、メンタルヘルスや生活に大きな影響が出ているならば、深刻な状態と言えるでしょう。

ギャンブル依存症はアルコール依存症と同様「否認の病」と言われています。否認の病とは、自分が依存症だと思わない、思いたくないと、依存症であることを否認している状態を指します。

厚生労働省の「ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点」から「問題となっているギャンブルの種類(当事者への調査)」を見てみると、日本における依存症の背景がより具体的に見えてきます。

当事者が「問題になっている」と回答した種類の上位は以下の通りです。

  • パチスロ:35.8%
  • パチンコ:33.3%
  • 競馬:28.9%
  • 競艇:20.1%
  • 競輪:19.5%

(※集計対象:自身の問題を「ギャンブルの問題」と回答し、過去1年で経験のあった者 n=159)

問題となっているギャンブルの種類

データから分かる通り、パチスロ35.8%パチンコ33.3%が上位を占めており、店舗型の遊技が依然としてギャンブル依存症の大きな割合を占めていることが窺えます。続いて、競馬や競艇などの公営競技が上位に並びます。

また近年では、従来型のギャンブルだけでなくオンラインカジノ7.5%や、証券・投資・FX5.0%といった、インターネットを通じて手軽にアクセスできる取引やサービスも問題として挙げられるようになってきています。

厚生労働省 2023年「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」図表9を参考に作成

あわせて読みたい:ひとりで悩まず相談を「ギャンブル依存症」を徹底解説

なぜやめられない? 依存症のメカニズム

依存症の脳のメカニズムは複雑で、さまざまな要素が関与しています。

依存症とドーパミンの関係

依存の症状は、脳の中で報酬を求める回路が異常に活発化し、中枢神経系が変化することによって発生します。これは、快楽物質であるドーパミンの分泌と深く関係しています。

通常、脳内で快楽物質が分泌されると中枢神経系が興奮し、喜びや快感を感じることができます。この快感を脳が報酬として認識すると、報酬を得るための回路が形成され、その報酬を求める行動が強化されます。

しかし、依存対象物質を摂取し続けると、脳の快楽回路が異常に活性化し、ドーパミンの分泌が増加します。この結果、通常の生活では得られない強力な快楽や喜びを感じることができるようになるのです。

時間の経過とともに中枢神経の機能が低下し、快感を感じにくくなると、より多くの依存物質を必要とするようになります。これにより摂取量や頻度が増え、依存症が悪化していきます。

依存症は自分でコントロールができない状態

依存症の状態になると、脳が依存物質を求める回路によって支配されているため、依存物質をやめたいと思ってもそれを実行することが困難になります。

このように「やめたくてもやめられない」状態が続いている場合は依存症の可能性がありますので、専門家への相談を視野に入れてみましょう。

オンラインカウンセリングで相談してみよう

依存症の悩みを誰かに話したい、専門家に相談したいと思っても、「対面だと緊張する」「一人でクリニックに行くのは勇気がいる」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そのような方には、自宅からリラックスして利用できるオンラインカウンセリングがおすすめです。

プライベートな空間から相談できる安心感

オンラインカウンセリングであれば、慣れ親しんだ自宅から相談できるため、一人でも心理的なハードルを感じにくく、安心して話すことができます。

また、移動時間や対面での緊張を軽減できるだけでなく、自分のスケジュールに合わせて柔軟に予約を取れる点も大きなメリットです。一人で抱え込まず、まずは話しやすい環境から専門的なサポートを受けてみましょう。

まとめ

この記事では依存症3つの分類と、代表的な6つの依存症、そして依存症に陥るメカニズムについて解説しました。

依存症は個人の意志の弱さや性格の問題ではなく、脳の中での変化によって生じる生物学的な問題です。条件さえ揃えば、誰でも依存症になる可能性があるものですので、不安に思っている方、悩んでいる方は相談をしてみましょう。

 

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