ビジネスパーソンにおける「モチベーション」とは、会社やチームの目標を達成したり、成長したりするために必要となる内的なエネルギーを持続するための原動力や動機を意味します。
今回は、部下のモチベーションが上がらなくなってしまう原因と、上司が取るべき対処法について紹介します。
新入社員の離職率は高い
厚生労働省が2024年にまとめた「新規学卒就職者の離職状況」の中から、新規大学卒業者の事業所規模別就職後3年以内の離職率をみてみると、5人未満の事業所で54.1%、1000人以上の事業所でも26.1%と高い割合となっています。
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(2020年3月卒業者)を参考に作成
高い離職率の原因の一つに、仕事へのモチベーションの低下が考えられます。
モチベーションが上がらない7つの原因
新入社員や転職したばかりの人などは、本来であれば内的エネルギーに溢れ、常にモチベーションが高い状態であるのが理想的です。
しかし、様々な要因によって、早い人だと1か月も経たないうちにモチベーションが下がってしまい、そのままメンタル不調を起こし、休職や退職に至ってしまうケースもあります。
では、なぜモチベーションが下がってしまうのでしょう?主な原因を7つ紹介します。
1.仕事が合わない
業務内容が入社前にイメージしていたものと違い、自分のやりたいことではなかった場合、モチベーションは低下しやすくなります。
特に新入社員の頃は、できる業務も少なく、また会社のルールやチームのやり方に慣れてもらうために、まずは雑務や単純作業を任されることが多い傾向があります。
一方で、単調な業務により、モチベーションが上がらなくなってしまうことは少なくないようです。
2.厳しい目標設定
新入社員といえど、チームの一員ですから、会社の利益のためにも早々に結果を求められることも多いかと思います。
営業職の場合など、厳しい売り上げ目標が課される場合もあり、結果が出せないことからモチベーションが上がらなくなってしまう場合もあります。
逆に、最初こそ上手くいったとしても、常に結果を出し続けなければいけないプレッシャーから、数字や結果に追われるがあまり、思うように働くことができない状態が続き、モチベーションが下がってしまうこともあります。
3.評価してもらえない
本人は成果を上げているつもりでも、会社や上司から正当に評価されていないと感じてしまい、モチベーションを下げてしまうケースもあります。
特に新入社員の頃は、上司から褒められる機会も少ない場合もあるため、自分の仕事が評価されていないように感じる場合があります。
また、勤続年数が長くなると、昇進や昇給などが期待していたよりも低かったことで、モチベーションが上がらなくなる場合もあります。
その中でも、給与は目に見える評価の一つであり「あんなに頑張ったのに、これだけしかもらえない」と感じてしまうとモチベーションが下がってしまうことも考えられます。
4.人間関係のストレス
人間関係が上手くいかないことも、モチベーション低下の大きな原因になり得ます。
また、職場内でのハラスメント行為があったり、厳しいノルマなどで職場の空気が常にピリピリしていたりすると、コミュニケーションが取りづらくなります。
上司や同僚とうまくコミュニケーションが取れないことが原因で、報連相がしにくくなり、その結果、適切なサポートが得られず、あいまいに作業を行ってしまったことで、ミスやトラブルを起こしてしまうことがあります。
その結果、精神的に大きな負担が生じ、モチベーションを下げてしまう場合があります。
入社後の起こりやすい「リアリティショック」とは
「リアリティショック」とは、入社前にイメージしていた、職務内容や人間関係に大きな開きがあり、それにより衝撃を受け、モチベーションの低下や、将来への不安を引き起こしてしまう状態のことです。
1~5の業務内容や人間関係などのギャップはリアリティショックを引き起こす原因になりやすく、モチベーションの低下につながりやすいと言えるでしょう。
5.ミスしたことで自信を失う
上司と報連相が上手く行えていたとしても、ミスやトラブルは起こってしまうものです。
ミスが続いてしまうと、それがたとえ些細な事案であったとしても「自分はダメな人間だ」と自らを追い込んでしまい、「自分にはこの仕事は向いていない」と業務への自信を失ってしまい、モチベーションを下げてしまうケースがあります。
6.同期が活躍していることへの焦り
同じ時期に入社した同僚が自分より評価されていたり、成果を上げていたりすると、つい比較してしまい焦ってしまうものです。
焦ることで、本来のパフォーマンスが発揮できなかったり、思わぬミスをしてしまったりする場合があります。
そうなると余計に相手と自分を比較してしまい、劣等感などからモチベーションが上がらなくなってしまうこともあります。
7.プライベートの問題
例えば、恋人と別れたり、借金の返済に困っていたり、自分や身近な人の体調不良など、職場以外の問題が原因で、仕事へのモチベーションを下げてしまう場合があります。
プライベートな問題は、職場では相談しにくい場合も多く、部下が抱えている悩みや問題が分からないために、対応に困ることも多いと言えます。
部下のモチベーションを回復させる方法
モチベーション自体は内的なエネルギーであり、本人から湧き上がってくる以外にないのですが、モチベーションを上げるための「動機づけ」を行ってあげることは可能です。
ここでは、上司が行えるモチベーションアップの動機づけの方法をいくつか紹介します。
声かけ
適度に声かけを行うことで部下が「自分のことを気にかけてくれている」という安心感を持ちます。
信頼関係が築けるようになると、部下から上司へ不安や悩みを相談しやすくなります。部下の不安や悩みが解消されれば、それだけでモチベーションの回復にもつながります。
また、適度にコミュニケーションを取ることで、部下が報連相を行いやすくなり、業務のミスを減らすことにもつながり、モチベーションの低下を防げる可能性があります。
部下と良好な信頼関係を築いていくことは、モチベーションアップに有効な手段の一つといえるでしょう。
適切な評価
自分の仕事が評価されれば、それだけでモチベーションは上がります。
営業職などの成果が可視化しやすい仕事であれば結果や過程を評価しやすいですが、そうではない職種の場合、業務の仕方や作業効率が良くなったなど、些細なことでも良いので、褒めるようにしてみましょう。
また、思い切って大きな仕事を任せてみることも、モチベーションアップに効果的です。その場合は、部下が安心して取り組めるしっかりとしたバックアップ体制を整えることも重要です。
フォローアップ
定期的に仕事の仕方や作業の進め方を確認してあげながら、適切に評価したり、改善案を示してあげたりすることで、モチベーション低下を防ぐことができます。
また、単純作業などで業務がマンネリ化しているようでしたら、新しい業務を与えてあげたり、目標設定を細かくしてあげたりすることで、達成感を感じやすくなり、モチベーションアップにつながりやすくなります。
過度な介入に気を付ける
適度なコミュニケーションや、適切なサポート、仕事ぶりを細かく評価してあげることは、部下のモチベーションアップに大変有効な手段と言えるでしょう。
しかし、過度に介入しすぎると、本来持つべきはずの「顧客のため」「よりよい暮らしのため」といった社会的意義ではなく、目の前の上司に褒められることが優先的になってしまいます。
そうなると、自分でモチベーションのコントロールを行なうのが難しくなる場合もあります。
モチベーションとは本来、自分自身でコントロールしていくものです。内的なエネルギーを高めるには、自分自身が「働く理由」が何なのかを考える必要があります。
適度な距離感で、部下自身がモチベーションを上げられるようにサポートしていくことが大切です。
オンラインカウンセリングで相談してみる
部下のモチベーションにも気を使いながら、自身の成果を上げていくことは容易なことではありません。
ストレスを抱えながら業務をこなすことは、自分自身のモチベーション低下だけでなく、メンタル不調にもなりかねません。
そうなる前に誰かに相談できれば良いのですが、職場での不安や悩みというのは、気軽に相談できないことも多いです。
オンラインカウンセリングなら、専門のカウンセラーに悩みを相談することができますので、相談をするまでの様々なストレスを軽減することができます。
オンラインカウンセリングは予約も簡単
オンラインカウンセリングはインターネットにつながる環境であれば24時間、スマートフォンからでも簡単に予約が取れます。
また、オンラインカウンセリングは自宅で相談できるのもメリットです。
相談をするために移動する時間を省くことはもちろん、なによりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットです。
まとめ
今回は、部下のモチベーションが上がらなくなってしまう原因と、上司が取るべき対処法について紹介しました。
企業としても、部下のモチベーションアップに取り組むことは、人材の流出を防ぐうえでも重要な課題といえるでしょう。
しかし、上司であるあなた自身のモチベーションが低下していては、部下をサポートすることはできませんので、ご自身のモチベーション維持やメンタルヘルスのためにも、是非オンラインカウンセリングなどをうまく活用しながら、部下のモチベーションアップにつとめていってください。
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