溜まっていくタスク、終わらない残業、プレッシャー。現代社会のビジネスパーソンは、常にストレスと隣り合わせです。心身のバランスを崩し、「心の悩みを抱えながらも、生活のために仕事を頑張らなければならない」という方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、仕事が手につかないほど心の悩みを抱えるビジネスパーソンに向けて、その原因と解決策を探っていきます。
心の悩みが原因で仕事が手につかない人は多い
実際、「仕事が手につかない」「集中できない」「やる気が出ない」といった悩みを抱え、メンタル不調に苦しむビジネスパーソンは増加傾向にあります。
厚生労働省が2023年度に発表した「過労死等の労災補償状況」調査によると、精神障害による労災認定件数は過去最多を更新しました。
厚生労働省令和5年度「過労死等の労災補償状況」表2-1を参考に作成
これは氷山の一角に過ぎず、潜在的に心の悩みを抱えるビジネスパーソンはさらに多いと考えられます。
しかし、このような状況下でも「誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまう」「メンタルクリニックを受診するほどではないと感じてしまう」という人も少なくありません。
心の悩みが仕事に与える影響
心の悩みは、私たちの仕事に様々な影を落とします。単なる「やる気が出ない」状態から、メンタル不調になるケースもあるため、その影響を正しく理解することが大切です。
1. 集中力・注意力の低下、ミスの増加
心の悩みは集中力や注意力を奪い、仕事の効率を低下させます。簡単なミスが増えたり、ケアレスミスが頻発したりするのも特徴です。
具体例
- 会議中に上の空で、重要な内容が頭に入らない
- いつもは正確にできるデータ入力で誤りが増える
- 顧客対応などで、適切な言葉が出てこなくなる
2. コミュニケーション不足による人間関係の悪化
心の悩みはコミュニケーションにも悪影響を及ぼします。周囲に気を遣う余裕がなくなり、誤解が生じやすくなる場合もあります。
具体例
- 同僚からの業務連絡に気づかず、トラブルになる
- 上司の指示を「嫌味」と捉え、反発してしまう
- チームワークが必要な場面で、協調性を欠いてしまう
3. 創造性・モチベーションの低下、キャリアへの影響
心の悩みを抱えている状態では、新しいアイデアが浮かびにくくなり、仕事へのモチベーションが低下することで、本来持っている能力を発揮できずにキャリアアップの機会を逃してしまう可能性もあります。
具体例
- 新規プロジェクトに携わる意欲が湧かず、参加を辞退してしまう
- 以前は積極的に行っていた業務改善提案が全くできなくなる
- スキルアップのための勉強に集中できず、成長が停滞する
4. 欠勤・遅刻の増加、休職に至るケースも
心の悩みが深刻化すると身体症状が現れ、出勤が困難になる場合があります。
- 朝起き上がれず、遅刻や欠勤が増える
- 会社に行くこと自体が辛くなり、出勤途中に体調を崩す
- 医師の診断により、休職を余儀なくされる
心の悩みは、放置すると仕事に大きな影響を及ぼすだけでなく、自分自身を追い詰めてしまう可能性もありますので、不調を感じたらすぐに対処していくことが大切です。
心のモヤモヤの具体的な解消法8選
心の悩みを抱えながら仕事を続けることは、容易ではありません。少しでも心のモヤモヤを解消できれば、今までのパフォーマンスを取り戻せる可能性があります。ここでは効果的な解消法をご紹介します。
1.休息をとる
十分な睡眠時間を確保し、心身を休ませることは非常に重要です。疲れていると感じたら、無理をせずに休暇を取ったり、早退したりすることも考えてみましょう。
2.リラックスする時間を作る
仕事のオンとオフのメリハリをつけることは、ストレスを軽減するために重要です。心の悩みを抱えている時は、仕事を持ち帰ったり、休日に仕事の連絡を確認するのはできるだけ控えることをおすすめします。
休日は、好きな音楽を聴いたり、映画を観たり、読書をしたり、自分なりのリラックス方法を見つけると良いでしょう。ヨガや瞑想なども効果的です。
3. 運動習慣をつける
軽い運動でも、ストレス発散や気分転換に効果があります。ウォーキングやジョギングなど、無理なく続けられる運動を見つけましょう。
十分な運動時間が取れない方も、例えば自宅の最寄駅より手前で下車して一駅分歩いてみるだけでも効果が期待できます。
4. アルコールやタバコを控える
一時的なストレス解消にはなっても、根本的な解決にはなりません。むしろ、心身の不調を悪化させる可能性もあります。
特に深酒は、睡眠の質を低下させ、更にパフォーマンスを低下させる可能性がありますので、自分の体調などに合わせてほどほどに嗜むのが良いでしょう。
5. 自分自身を責めすぎない
「もっとがんばらなければ」「自分はダメだ」と自分を責めすぎず、まずは「今の自分」を受け入れ、「できるところから少しずつ」取り組むようにしましょう。
6.日記を書く
その日起きた出来事やその時に感じたこと、今の自分のモヤモヤした気持ちなどを日記などに書くことで、心のモヤモヤを客観的に可視化することができ、気持ちを整理する際の大きな助けになります。
書く瞑想~ジャーナリング~
一定の時間内に頭に浮かんだことをありのままにノートに書き出すことで、自分と向き合うマインドフルネスの手法です。メンタルヘルスやストレス軽減、集中力向上などの効果が期待できます。
7.周囲の人に相談する
今抱えている心の悩みが業務上のことである場合、上司に相談することで、的確なアドバイスをもらえたり、業務量の軽減や部署異動などの提案をしてもらえる場合もあります。
家族や友人、同僚など、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。とにかく一人で抱え込まず、誰かに相談してみましょう。
8.カウンセリングを検討する
周囲に相談しにくい場合は、カウンセリングを検討してみましょう。
特にオンラインカウンセリングは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを通して行われるビデオ通話で、週に一回など、定期的にカウンセラーに相談をすることで心に余裕ができ、心の状況が改善されるケースもあります。
もし、カウンセリングを受けるのは手間がかかるのではないかと感じている場合は、簡単に利用ができるオンラインカウンセリングを検討してみるのもよいかもしれません。
オンラインカウンセリングのメリット
オンラインカウンセリングは、リラックスできる自宅などから、スマートフォンがあれば手軽に利用することができるため、時間などを気にする必要がありません。
オンラインカウンセリングの大きなメリットは、場所を選ばず利用できることです。リラックスできる自宅からアクセスできるため、ストレスを感じにくい環境で相談することができます。また、比較的予約が取りやすく、忙しい日々の中でも無理なく続けられる点も大きな特徴です。
まとめ
今回は、仕事が手につかないほど心の悩みを抱えるビジネスパーソンに向けて、その原因と解決策をご紹介しました。
心の悩みを抱えながら働くことは、想像以上に大変なことです。しかし、適切に対処していくことで少しずつ改善することが可能です。
一人で抱え込まず、周りの人に相談したり、専門機関の助けを借りたりしながら、自分らしく働き続けられる方法を見つけていきましょう。
また、週に一度など、定期的にカウンセラーに相談できる環境を整えてみるのも、とても良い方法です。
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