近年、職場におけるメンタルヘルスに注目が集まっています。
職場では長時間労働、人間関係、仕事量などのストレス要因が存在しており、従業員のメンタルヘルス不調は企業にとっても大きな課題となっています。
そこで今回の記事では、メンタルヘルス対策について紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは「心の健康」を意味します。
メンタルヘルスの不調と聞くと、こころの病気というようなイメージを持つことが多いかもしれませんが、メンタルヘルス不調には、診断名がつかない気分が落ち込むなどの症状から、うつ病や適応障害まで幅広く含まれます。
特に、ビジネスパーソンのメンタルヘルス不調については、企業の適切なケアやサポートだけではなく、従業員自身も症状を理解して対処していく必要があります。
メンタルヘルスが良好な状態とは
厚生労働省はこころの健康について以下のように述べています。
自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、他人や社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を意味している。人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること(人間的健康)も大切な要素であり、こころの健康は「生活の質」に大きく影響するものである。
引用:厚生労働省 休養・こころの健康
つまり、メンタルヘルスが良好な状態とは、一般的に以下のような状態を指します。
自己肯定感と能力の認識 |
自分の能力や可能性を認識し、それらを活かすことができる。 |
ストレスへの適切な対処 |
日常生活の中で生じるストレスに対処でき、それをコントロールできる。 |
社会的な活動への意欲 |
仕事や勉強などの社会的な活動に積極的に取り組む意欲を持ち、それらに取り組むことができる。 |
良好な人間関係の構築と維持 |
他者との関係を円滑に築き、維持することができる。 |
人生に意味を見出すこと |
自分の価値観や目標に基づいて、人生に意味を見出すことができる。 |
メンタルヘルス不調による休業の割合
厚生労働省がまとめた労働安全衛生調査(実態調査)から、「過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所割合」を見てみると、2020年は9.2%、2021年は10.1%、そして2022年は13.3%と増加傾向にありました。
厚生労働省 労働安全衛生調査(実態調査)を参考に作成
また、2022年労働安全衛生調査(実態調査)から産業別に割合を見てみると、情報通信業が32.0%と最も高く、電気・ガス・熱供給・水道業が25.0%、金融業、保険業が19.9%と続いています。
厚生労働省 2022年労働安全衛生調査(実態調査)第1表を加工して作成
職場のメンタルヘルス対策の必要性
職場のメンタルヘルス対策は、以下のような理由から重要であるとされています。
従業員の健康と生活を守る
以前の日本におけるビジネスパーソンの働き方では、身体的な健康を重視する動きが一般的でした。しかし現在ではこころの健康も同様に重要視されるようになってきています。
従業員のこころの健康をサポートしていく
こころの健康に焦点を当てることは、従業員が健康で満足度の高い働き方ができる環境を提供するために必要不可欠です。
ストレスや精神的な負担が蓄積すると、うつ病や不安障害などの精神疾患につながる可能性があります。これは従業員の健康だけでなく、企業の生産性や組織全体の機能性にも影響を及ぼします。
職場のメンタルヘルス対策7つのポイント
この章では、職場のメンタルヘルス対策における7つのポイントを紹介していきます。
- ストレスチェックの実施
- 相談窓口の設置
- 研修の実施
- 働きやすい職場環境の整備
- コミュニケーションの活性化
- 健康経営の推進
- 専門家の活用
1つずつ順番にみていきましょう。
1. ストレスチェックの実施
2014年6月に労働安全衛生法が改正され、翌年の2015年12月からスチェック制度が義務化されました。
日本における労働安全衛生法の改正とストレスチェック制度の義務化は、従業員のこころの健康に対する認識の変化を示しています。
職場でのストレスチェックは、従業員のストレスレベルを定期的に評価し、問題を早期に発見するための重要な手段であるといえます。
また、ストレスチェックを実施することで従業員の健康状態を保護し、生産性を向上させることが期待できるだけでなく、従業員自身がメンタルヘルス不調について自覚するという意味においても、大きな役割を担っているといえるでしょう。
2. 相談窓口の設置
従業員がこころの健康に関する懸念や問題を気軽に相談できる環境を整えることは、職場のメンタルヘルス対策において必要不可欠であるといえます。
社内に相談窓口を設置することで、従業員は安心して自分の問題を打ち明けることができ、適切なサポートやアドバイスを受けることができるでしょう。
相談窓口の担当者は、社内の人事部や専門のカウンセラーなどが担当することが一般的です。これにより、従業員がストレスや心理的な負荷に対処するためのサポートが提供されます。
3. 研修の実施
研修プログラムを実施することは、従業員がストレスやプレッシャーに対処する能力を高めるのに役立ちます。
研修を通じて、従業員は自己管理やコミュニケーションの技術を磨き、ストレスに対する適切な対処法を学ぶことができます。
また、研修は従業員のスキルや自己理解を向上させるだけでなく、チームの協力や効果的なコミュニケーションを促進する役割も果たします。
4. 働きやすい職場環境の整備
職場環境が従業員にとってストレスの原因となることがあるため、働きやすい環境を整備することは非常に重要です。
職場環境の整備には長時間労働や、過度の労働負荷を減らすための施策が含まれます。
また、フレックスタイム制の導入やリモートワークの促進など、柔軟な労働条件を提供することも有効です。
働きやすい職場環境を整備することで、従業員のストレスや疲労の軽減につながるでしょう。
5. コミュニケーションの活性化
職場のコミュニケーションを活性化させることは、従業員間の信頼関係を築き、ストレスや緊張を軽減するのに役立ちます。
上司や部下、同僚や後輩とのコミュニケーションを促進するために、ミーティングやチームビルディング、1on1などを定期的に行っていくことも効果的であり、信頼関係の構築に役立つとされています。
6. 健康経営の推進
メンタルヘルス対策だけでなく、身体的な健康管理も重要です。
健康経営とは従業員の健康を戦略的に実践していく経営的な視点を指します。
運動や栄養管理などの健康プログラムを提供することで、従業員の健康を維持し、組織の持続可能な成長をサポートしていきます。
健康経営の推進は、従業員の健康意識を高め、疾病やストレスのリスクを軽減する効果があります。
組織全体が健康を重視する文化を醸成することで、従業員の生活の質を向上させることが期待されます。
7. 専門家の活用
最後は、専門家の活用です。メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーからのサポートを受けることは、効果的なメンタルヘルス対策を実施する上で非常に重要であるといえるでしょう。
仕事の悩みを社内では相談しにくい、でも誰かに相談したいと感じているビジネスパーソンも少なくありません。
社内のサポートだけではなく、社外の専門家からのサポートを取り入れることで、より効果的なメンタルヘルスプログラムを立ち上げることができるでしょう。
これらのポイントは、職場のメンタルヘルス対策において必要不可欠な要素です。
企業はこれらのポイントを適切に実践し、従業員のメンタルヘルスと満足度を向上させることで、生産性を促進することができるでしょう。
カウンセリングの有用性
職場でのメンタルヘルス対策では、組織が「従業員」としての「こころの健康」をサポートしていきます。
一方で社外のカウンセラーは、忙しく働くビジネスパーソンの「個人」としての不安や悩みをサポートしていきます。
特に、カウンセリングを受けるのは手間がかかるのではないかと感じている場合は、簡単に利用ができるオンラインカウンセリングを検討してみるのもよいかもしれません。
オンラインカウンセリングのメリット
オンラインカウンセリングは、リラックスできる自宅などから、スマートフォンがあれば手軽に利用することができるため、時間などを気にする必要がありません。
さらに、オンラインカウンセリングは多くの場合、柔軟な予約時間やカウンセリング時間を提供しているケースが多いため、忙しいビジネスパーソンでも自分のスケジュールに合わせてカウンセリングを受けることができます。
オンラインカウンセリングによる心理的なサポートを受けることで、メンタルヘルスの問題に対処しやすくなるでしょう。
まとめ
この記事では、職場のメンタルヘルス対策について紹介しました。
職場のメンタルヘルス対策は、従業員の心の健康を保護し、生産性を向上させるために不可欠です。
従業員のメンタルヘルスをサポートすることで、健康な労働環境を構築し、組織全体の生産性と満足度を向上させることができます。
また、メンタルヘルスのプロであるカウンセラーからのサポートや、オンラインカウンセリングの利用も効果的ですので、ぜひ利用してみましょう。
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