仕事の悩み

リワークとは?意味や具体的なプログラム内容と効果について詳しく解説

仕事の負担や人間関係のストレスからメンタル不調を起こしたり、馴染めない労働環境でメンタル面に不安を抱えるビジネスパーソンは少なくありません。

メンタル不調で休職することになった場合、復職までは3~4か月程度かかると言われており、復職に不安を覚える方も多いと思います。しかし、リワークという復職支援プログラムを利用することで安心して復職することができます。

今回はリワークの意味や仕組み、具体的なプログラム内容などを詳しくご紹介します。

リワークとは

リワーク(Rework)とはreturn to workの略語で、うつ病などの精神的な健康問題やストレスでのメンタル不調などで休職した労働者が、職場復帰を目指すためのリハビリプログラムです。

リワークの目的

リワークは職場復帰だけでなく再発防止を目的としていますので、休職の原因となったストレスや症状自体にしっかりと向き合うことで、不安や悩みを解決し再度の休職やメンタル不調の再発を防ぎます。

また、数か月の休職期間で集団生活への復帰が難しくなる場合もありますので、集団に慣れるための訓練や、職場で役に立つ能力や技術向上のための訓練を行うことで、スムーズな職場復帰を目指します。

リワークには3つの種類がある

リワークは個人に対して行うもの、集団で実施するもの、講義形式のものとありますが、施設によって提供しているプログラムは異なり、実施機関は大きく分けて3つあります。

1.医療機関が実施するリワーク

精神科や心療内科が実施しているリワークプログラムで、主に症状の改善や悪化の防止、生活リズムの改善をし、職場復帰を目指します。このプログラムを受けるには、医療機関を受診していることが条件となります。

2.障がい者職業センターが実施するリワーク

各都道府県に設置されている障がい者職業センター、もしくは地域障がい者職業センターで、職場での業務を想定したプログラムを実施しています。

医療機関を受診している方は、主治医と連携しながら個人に合わせた支援プランを作成・実施してくれます。こちらの費用は原則無料です。

3.企業や委託会社が行う従業員支援プログラム

大手企業などでは、社内にリワークの部署を作っている企業もあったりしますが、まだまだ普及率は低いと言えます。

専門機関にリワークを委託している会社もありますので、まずは人事や産業医に相談してみると良いでしょう。

リワークの期間や費用について

リワークの利用期間は、休職期間がどのくらい認められているかによって異なりますが、基本的には3か月〜6か月となります。再就職を考える場合は、就職先を決める時間も必要になりますので、期間はさらに長くなる見込みです。

リワークの利用料金

各施設や条件によって価格は異なります。

1.医療機関
2,000~3,000円/日
2.障がい者職業センターなどの福祉機関
無料~2,400円/日

※本人の前年度の所得金額によって月の上限金額が異なります
3.企業や委託機関
無料~数千円/日

 

リワークのプログラムの主な内容

リワークは通常、プログラムを実施している施設に通いながら行われます。ここでは、障害者職業センターや医療機関などで行われているプログラムの一例を紹介します。

オフィス系リワークプログラム

オフィスワーク(作業課題)では、パソコンを使いながらの資料作成やプレゼンテーションの訓練などを個人またはグループで実施します。復職後に予定されている業務と近い状態の作業を行うことで、スムーズに復帰できるよう訓練します。

他にも、現場作業への復職を目指す方には軽作業から慣らしていくこともありますし、軽作業が難しい場合は、読書やぬり絵といった簡単な作業から慣らしていくケースもあります。

キャリア系リワークプログラム

休職中に自分のこれまでのキャリアを見直し、自分にはどんな能力や強みがあって、今後の職業生活にどう活かせるのかなどを、じっくりと見つめ直すキャリアデザインプログラムです。

キャリアデザインは、基本的にはスタッフと1対1で行い、自分の長所や短所をしっかりと把握し、今後どのような仕事をしていきたいのかなどの価値観の再確認ができます。

運動系リワークプログラム

ウォーキングやスポーツを通じて、日々の睡眠や食事や運動の振り返りを行うプログラムです。生活リズムを崩している方や体力に自信がない方に対し、日常生活や仕事をするために必要な体力をつけていきます。自分の体力に合ったペースでトレーニングを行います。

レクリエーションプログラムでは、集団でゲームやレクリエーションなどを行い、遊びを通じて体を動かしたり、コミュニケーション能力を高めたりしていきます。

心理系リワークプログラム

心理系のプログラムで多いのが「認知行動療法」を用いたストレス対処法です。これは、自分が抱える悩みや不安を具体的に書き出し分析することで、自分がどのような場面でストレスや精神的負担を感じていたかなどを客観的に理解し、どのように対処していくかを考えていきます。

他にも、上司役や部下役などの役割を振って疑似的に職場環境を再現し、自分が苦手だったりストレスを感じたことのある場面でのコミュニケーション訓練を行う「SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)」というプログラムもあります。

グループでのリワークプログラム

複数の休職者同士でテーマを決めて話し合いをするプログラムです。話し合いの中で互いの考えを尊重したり、自分の中にはなかった新たな考えや気づきをもらえたりできます。

また、同じ悩みや不安を抱える方と話し合うことで、自己肯定感を高めたり自分とは異なった考え方を知ることで自己理解が深まり、再発防止にもつながっていきます。

リワークの効果とは?

リワークは皆さんの健康状態や目的に合わせたトレーニングを行うことで、様々な効果が期待できます。

職場復帰がスムーズになる

長い休職期間にスキルが落ちてしまったり、復帰後の職場でのコミュニケーションへの不安を抱えたりしてしまいますが、リワークで職場環境と同じようなオフィスワークのトレーニングを行うことで、復職後に必要とされる能力の維持や向上が見込まれます。

また、グループプログラムなどでコミュニケーション能力を高めることにより、復職後のコミュニケーションがスムーズになります。

再発防止になる

復職後は、基本的に同じ職場で働くことが多いですが、休職の原因が職場にある場合、症状が再発し、再度休職してしまう可能性があります。

しかし、心理系のプログラムの自己分析や認知行動療法を行うことで、ストレスの原因を明確にし対処法を身につけることができますので、症状の再発や再度の休職を防止することができます。

生活リズムの改善

休職期間中はどうしても睡眠のリズムや食事のバランスが乱れがちです。運動系プログラムを通じて睡眠や食事などの見直しを行うことで、体力面の向上が見込まれます。

また、決まった日時にリワークに通うことで復職に向けた生活リズムを作っていくことができます。

リワークをはじめる前の準備

リワークは本人の目的や状態によって行うべきプログラムが異なります、そして実施機関によっても具体的なはじめ方や料金なども異なりますので、まずはどのような窓口があるのか?どこに相談すべきなのかなどを把握していきましょう。

実施機関によっては、プログラム開始までに時間を要する場合もあります。そうなると、休職期間を延長しなければならなくなったりする場合もありますので、休職が決まったら早めに相談するようにしましょう。

職場復帰のタイミング

リワークの期間は基本的に3〜6か月ですが、リワーク期間が終了したからといって、すぐに職場復帰できるとは限りません。自分の状態や会社側の意志、意志の見解などをすり合わせてから復職のタイミングを決めていきます。

自己判断でプログラムを中止し、復職を決めてしまうと再び体調を崩してしまう恐れもあります。プログラム終了のタイミングについても主治医や担当者と相談するようにしてください。

まずは相談してみましょう

メンタル不調を起こし休職すると、1人でいる時間が長くなることで孤独感が強まり、さらに体調を悪化させてしまいます。同じ症状や悩みを抱える仲間に出合うことは今後の生活において大きな支えとなり、復職後も支えあえる関係になるかも知れません。

まずは一人で抱え込まずに、主治医や担当者に相談してみましょう。

また、リワークプログラムに詳しいカウンセラーが在籍しているオンラインカウンセリングサービスもありますので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

オンラインカウンセリングなら、専門のカウンセラーに悩みを相談することができますので、相談をするまでの様々なストレスを軽減することができます。

オンラインカウンセリングは予約も簡単

オンラインカウンセリングはインターネットにつながる環境であれば24時間、スマートフォンからでも簡単に予約が取れます。

また、オンラインカウンセリングは自宅で相談できるのもメリットです。

相談をするために移動する時間を省くことはもちろん、なによりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットです。

まとめ

今回は「リワーク」という復職に向けた支援プログラムの内容について詳しくご紹介しました。

リワークプログラムは、精神的な健康問題で休職した労働者のスムーズな職場復帰を支援するための重要な取り組みであり、個々の状態や目的に合わせ多様な支援を提供することで、労働者の健康と職場の生産性を両立させることができます。

企業にとっても、リワークプログラムを導入することで、従業員の健康管理と生産性向上につながっていくことになるでしょう。

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メザニン登録カウンセラー
宮園 さとみ Satomi MIYAZONO
公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント

プログラマ等の社会人経験を経て、職場のメンタルヘルス問題のニーズを感じ、対人支援職に転向。就労支援、リワークなど、メンタルヘルスに関わるプログラムに携わっています。

【メッセージ】
今まで目を向けてこなかった自分の可能性や、これからの選択肢、自分への理解を深めるお手伝い等、人生という長距離を走るあなたに、寄り添い伴走しながら、応援する。そんなカウンセリングの時間を提供できればと思っています。