仕事の悩み

復職支援プログラムを利用して職場復帰を目指す

メンタルヘルスの不調で休職後、職場復帰を目指す際に利用されているのが「復職プログラム」です。

「復職支援プログラム」を利用することで、休職前の感覚を取り戻し、スムーズに復職することが期待できます。

今回の記事では、「復職支援プログラム」を利用して職場復帰をするまでの流れを解説していきます。

労働者の6割がストレスを感じている

現在、職業生活の中で強い不安やストレスを感じる労働者の割合は約6割にも上っており、その中でもメンタル不調により連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は10.6%と年々増加傾向にあります。

また、メンタル不調での労働者の休業は社会的にも大きな問題であるため、休業者への対応は事業所の大きな課題の一つです。

2022年厚生労働省「労働安全衛生調査」1-(1)-第1表を参考に作成  
厚生労働省はこの課題に対し、メンタル不調で休業した労働者の職場復帰を促進する目的として「復職支援(リワーク)プログラム」を作成しました。

復職支援プログラムとは

復職支援プログラムとは、公的機関やNPO法人、民間の企業などがおこなっている主にメンタル不調で休職した従業員が、職場復帰できるように支援する取り組みです。

復職支援プログラムを利用したい場合、一般的には主治医に相談しますが、中には会社側からすすめられるケースもありますので、状況に応じて相談をしてみましょう。

復職支援プログラムの役割について

復職支援プログラムの役割は、休職している従業員が円滑に職場復帰ができるよう、復職前の「準備段階」をサポートしていくことにあるといえます。

たとえば、メンタルヘルスの不調から回復段階にあっても、いきなり職場復帰をしたことによって症状が再発してしまうリスクがあります。

復職支援プログラムは、いわば職場復帰という衝撃を緩和する「緩衝材」のような役割を担っていると考えると、わかりやすいかもしれません。

職場復帰までの5ステップ

職場復帰までの流れは、一般的に以下の5ステップになります。

  1. 病状把握と復帰のための準備
  2. 復職支援プランの作成
  3. トライアル出勤(試し出勤)
  4. 本格的な職場復帰
  5. 職場復帰後のフォローアップ

ステップ1 ~病状把握と復帰のための準備~

主治医による診断書(病気休業診断書)を会社に提出し、休業を開始します。

休業がはじまると職場の担当者より、必要な事務手続きや職場復帰のための支援を受けます。

また、併せて下記の情報提供を受けることが可能です。

  • 傷病手当金などの経済的な保障
  • 不安や悩みを相談できる機関
  • 公的または民間の復職支援サービス
  • 休業や保障期間の延長

定期的な面談を行うことによって、職場復帰に向けた意欲や不安を相談することができますので、状況に応じて相談をしていきましょう。

ステップ2 ~復職支援プランの作成~


復職までの流れは5段階に分けることができ、急性期から治療期までは、しっかりと休むことが大切です。

復職支援プログラムを希望する場合は、復職準備の期間に利用をすることになります。

職場復帰プログラムを利用するメリット

復職支援プログラムを利用することのメリットとして、職場復帰の見通しが立ち、職場復帰への不安も和らぐというものがあります。

メンタルヘルスの不調は再発をする可能性がありますので、しっかりと復職準備をしていくことで、再発防止につながると考えられています。

復職支援プログラムは「リワークプログラム」とも呼ばれています。こちらの記事ではリワークプログラムの内容について詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

その他の復職準備期の流れ職場復帰の期日が近づいてきたら、主治医に復帰の意志の有無を伝えていきます。

職場復帰の意思がある場合は、職場に対し復帰可能かどうかの診断書を提出してもらいます。その後、医師や専門家と人事担当者が協力して、復職支援プランを作成します。

また、職場復帰には早いと感じている場合は、その旨を主治医に伝えましょう。

復職支援プラン

事業所が復職支援プランの中で決めていく内容は、主に以下の内容です。

  • 職場復帰日
  • 業務内容や業務量の配慮、治療上必要な配慮
  • 配置転換や異動の必要性、勤務制度の変更の必要性
  • 医師による医学的見地からの安全配慮義務などの助言
  • フォローアップの方法や就業制限を見直すタイミング、就業上の配慮が不要になる時期の見通しについて
  • 労働者が自ら責任をもって行うべき事項、外部支援機関などの利用

この段階で従業員の健康状態に応じた業務内容や勤務時間などの調整をしていきます。

ステップ3 ~トライアル出勤(試し出勤)~

正式な職場復帰の前に、社内制度として【トライアル出勤制度】を設けている事業所もありますので、その場合はぜひ利用してみると良いでしょう。

トライアル出勤制度を利用することで、労働に対する不安を和らげつつ、職場の状況を確認しながら復帰準備を行うことができます。

トライアル出勤制度の種類

①模擬出勤…勤務時間と同様の出勤時間帯にデイケアで模擬的な作業を行なったり、図書館などで時間を過ごすことで、徐々に慣らしていく。

②通勤訓練…自宅から職場近くまで通勤経路で移動し、職場付近で一定時間過ごした後帰宅する。

③試し出勤…本来の職場に試験的に勤務する。時短勤務やフレックスタイムでの勤務、また軽作業など。

トライアル出勤の期間中に担当者に対して、問題点や不安などがあれば伝えます。それを踏まえ、事業所は復職支援プランの見直しや修正を行います。

職場復帰が可能かどうかの判断は主治医、本人、会社とで行うことがポイントとなります。

主治医が職場復帰ができると判断をしても、本人がまだ職場復帰に大きな不安があるなどの場合は、会社も交えて復帰するタイミングを調整していきます。

ステップ4 ~本格的な職場復帰~

復職支援プランに基づき、段階的に職場復帰を進めていきます。事業者は復職者が安定して勤務を行なえるように以下の支援を行います。

トライアル勤務を利用していた場合、時短勤務から通常勤務に向けて徐々に勤務時間を増やし、最終的には通常勤務体制を目指します。

復職者の健康状態に応じて業務内容や負担を調整していきます。

担当者や上司との定期的な面談を通じて、現在の心身の状況を確認し、必要に応じてサポートを受けることができます。

ステップ5 ~職場復帰後のフォローアップ~

職場復帰後は、担当者による観察と支援のほか、保険スタッフや医療機関によるフォローアップを実施し、職場復帰プランの見直しを適宜行います。特に、再発防止のためにも以下の点は重要となります。

定期的な健康チェック

復職してからも定期的に健康状態を確認し、必要に応じて医療機関を利用しましょう。通常勤務体制に戻ってからも、定期的に健康状態をチェックすることが大切です。

職場環境の見直し

事業所は必要に応じて職場環境や労働環境の見直しを行う必要がありますが、復職者自身も再発防止のために職場に対し改善が必要な場合は伝えていくようにしましょう。

メンタルヘルスサポートの重要性

少しでも不安がある場合は、カウンセリングなどを利用することでメンタル不調の再発を未然に防ぐことができます。オンラインカウンセリングを利用すれば、職場で言いづらいことや相談しづらい内容も専門のカウンセラーに相談することができますので、職場での様々なストレスや不安を軽減することができます。

オンラインカウンセリングなら予約も簡単

オンラインカウンセリングはインターネットにつながる環境であれば24時間、スマートフォンからでも簡単に予約が取れます。
また、オンラインカウンセリングは自宅で相談できるのもメリットです。
相談をするために移動をする時間を省くことはもちろん、なによりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットです。

まとめ

今回は、メンタル不調で休職中の方がスムーズに職場復帰できるためのシステムである「復職支援(リワーク)プログラム」についてご紹介しました。
厚生労働省が作成した「心の問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」には、企業が復職希望者に対し積極的に取り組むべき内容が細かく記載されています。
労働者にとっても企業にとってもメンタルによる休職者を減らすことは最も重要な課題の一つです。従業員が安心して復職できるようになるためにも、支援プログラムの内容は確認しておくと良いかもしれません。

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メザニン登録カウンセラー
宮園 さとみ Satomi MIYAZONO
公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント

プログラマ等の社会人経験を経て、職場のメンタルヘルス問題のニーズを感じ、対人支援職に転向。就労支援、リワークなど、メンタルヘルスに関わるプログラムに携わっています。

【メッセージ】
今まで目を向けてこなかった自分の可能性や、これからの選択肢、自分への理解を深めるお手伝い等、人生という長距離を走るあなたに、寄り添い伴走しながら、応援する。そんなカウンセリングの時間を提供できればと思っています。