職場での人間関係に悩んでいて仕事に行くのが嫌だなと感じていたら、自分が受けている行為がパワハラに該当するのかどうかを確認してみましょう。
どの程度の「いやがらせ」からパワハラって呼ぶのだろう、このくらいの「いやがらせ」や「いじめ」はパワハラにはならないかも…と不安に思っている方に向けて、この記事ではパワハラの種類や対処法について紹介をしていきます。
パワハラとは?
パワハラには大きく分類して6つの種類があります。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
順番にみていきましょう。
1.身体的な攻撃
暴行・障害
後ろから体当たりをしたり蹴ったりする
業績が悪いからと頭を殴る
2.精神的な攻撃
強迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
お前がいると会社が暗くなると従業員全員の前で言う
仕事が遅いと必要以上に怒鳴る
3.人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
一人だけ違う部屋で業務をさせる
業務上で必要な会話を無視する
4.過大な要求
業務上明らかに不要なことや、遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
就業時間終了の5分前に、残業しても終わらないような量の業務を頼む
教えていない業務を与え、早く終わらせるように急かしたり脅したりをする
5.過小な要求
業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
営業職で入社した従業員に、1年間会社のシンク洗いだけを指示をする
部署異動してきた従業員にインターンと全く一緒の業務を与える
6.個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
兄弟が居ないからわがままだなどと言う
断れない状況でスマホのパスワードを教えろとなどと強要する
参考)厚生労働省 |職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案
パワハラの定義
厚生労働省はパワハラについてどのように定義しているのでしょうか。以下が厚生労働省が規定しているパワハラの定義です。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
引用 )厚生労働省|あかるい職場応援団
上記をわかりやすく説明すると
- 職場という環境の中で、同等ではない立場からの言動
- 業務の範囲を明らかに超えている
- 上記によって働く環境や業務に支障が出る
これら全ての要素を満たすものをパワハラと定義しています。
「同等ではない立場」というのは、一般的に上司と部下をイメージすると思いますが、異なるケースもあります。
職場は一日の中でも長く過ごす場所ですが、仕事というものを通して人間関係が形成されていきます。
上司や同僚は家族や友人との関係性とはまた違ってくるため、業務上で有効な能力を持っていれば、部下が上司に仕事を教える事もありますし、部下や後輩のほうが成績がよい場合も考えられます。こうした、ある一定のものに優れている状態においてもパワハラが起きやすいと言えるのです。
では、上記で紹介した6類型のうちで最も多いパワハラはどのようなものなのでしょうか。
パワハラで最も多いのは「精神的な攻撃」の74.5%
下のグラフは厚生労働省が調査した「職場のハラスメントに関する実態調査」です。
参照)厚生労働省 | 2020年職場のハラスメントに関する実態調査について
この調査によれば精神的な攻撃が74.5%とパワハラの中で最も高く、人間関係からの切り離し20.6%と比較しても3倍以上の割合となっています。
パワハラと指導は何が違う?
パワハラ問題でよく議論されるのが、指導との違いです。
「指導として行った行動がパワハラと見なされた。」ということも少なくありません。
では、パワハラと指導の違いはどこにあるのでしょうか。
- 業務において適正な指示をしているか
- 個人的な感情ではなく、会社や部署などにおいて必要な行動を取ったか
- 相手を思いやる気持ちをもって接していたか
線引きが難しい問題ですが、最も重要なのは業務上でその行為や行動が適正なのかという部分です。
パワハラをした側が軽い冗談のつもりで行動をしただけと思っていても、受けた側が業務を行う上で不利益に繋がっているようなら、パワハラ行為に該当する場合があります。
パワハラを受けた側は次も同じような事をされるのではないかと不安になり、通常業務が困難になる、またはメンタル不調に陥るというケースも考えられます。
一方指導は、相手の考えや状況を尊重したうえで、業務が円滑に行えるように従業員を導いていくことです。
ここまで読み進めてみて、自分が受けている「いやがらせ」は業務を行う上で適正ではないと感じたら、相談することを視野に入れていきましょう。
次の章では、相談する前の準備などを紹介していきます。
パワハラを受けた時の対処法
- 自分が声をあげたとしても、きちんと対応してもらえるか不安。
- 辛いと意思表示をして更にパワハラ行為が酷くなるのではという心配がある。
という気持ちから、パワハラ被害を相談することが出来ないことも多いでしょう。
職場で最も多いハラスメントであるパワーハラスメント(パワハラ)は、通称パワハラ防止法と呼ばれる労働施策総合推進法改正によって、対策や防止がいっそう強化されるようになりましたが、まだまだ企業の中で取り組みなどが整備されていない側面もあります。
まずは相談を
身体的な攻撃を受けた場合は、怪我をしていたらまずは病院へ行く事が大前提です。診断書を取り、可能であれば怪我をした部分を写真で撮影しておきましょう。
辛い状況や状態だとは思いますが、証拠を残しておくことがパワハラ被害の解決には有効です。証拠があることによって、相談をする際に解決がスムーズいくことが期待できます。
パワハラを受けていると感じても、証拠を取るのが難しいケースがあります。
そのような場合は、業務内容を書き出してみましょう。この業務をした際に〇〇と言われた。不当と思われる処分を受けた。など、自身が行った業務と照らし合わせてみることで、時系列の整理もでき、相談する場合も説明がしやすくなります。
我慢し続けることでメンタル不調に陥ることもあります。一人で書き出す作業が辛い場合は、相談窓口に相談をすることを検討しましょう。
プライバシーが絡むため、会社内の人に相談することが難しい場合は、外部の相談窓口に相談することも選択肢の一つです。
オンラインカウンセリングを活用してみよう
仕事をするのが精一杯で、受けているパワハラの事を整理する時間がない。社内に窓口があるけど、業務が終わったらできるだけ早く家に帰りたい。そう思うかも知れません。
そんな時は、専門のカウンセラーが相談に応じてくれるオンラインカウンセリングを受けてみるのもよいでしょう。
一息ついて誰かと話したくなったら、自宅からオンラインカウンセリングを受けることができます。
誰かに話したい、相談をしたいと思った時、オンラインカウンセリングは比較的遅い時間帯でも相談に応じています。予約もスマホから簡単にすることができます。
また、オンラインカウンセリングはプライバシーを守れるのも特徴のひとつです。
まとめ
パワハラを受けたことにより、メンタル不調に陥り休職をするケースもありますが、実際にパワハラ行為を受けている時は自分のメンタル面が正常なのかどうか、わからないという場合もめずらしくありません。
「メンタル不調という言葉はよく聞くけど、今のこの状態がそうなのかな」と思った時は、専門家であるカウンセラーに相談をしながら心の整理をしていくことで、自分に合った対処法を見つけることができるかも知れません。
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