「部署異動した先の上司が年下だった。」
「後輩が上司のポジションに昇進した。」
このような職場の人間関係の変化では、気まずさを感じてしまうこともあるかもしれません。
そこでこの記事では、年下の後輩が上司になった場合の接し方や付き合い方、仕事をしていく上で持ちたい姿勢や考え方について詳しく紹介をしていきます。
30代後半から40代で変化する職場環境
今までの仕事を通じて、さまざまな経験や知識を得てきたビジネスパーソンが、30代後半から40代にかけてキャリアにおける大きな変化を経験するケースがあります。
終身雇用制度が一般的だった時代では、40代である程度の役職が付き、50代から定年までは安定したポジションで仕事をしていました。
しかし現在では、40代で早期退職を視野に入れるビジネスパーソンも存在し、働き方に対する考え方も変わりつつあります。
年功序列制度から成果主義を導入する企業が増加傾向であるという背景もあるため、45歳前後に職場での立ち位置に変化が起こる場合が多いとされています。
抜擢人事が生む「年下や後輩上司」
企業の活性化や組織の若返りを目的として、抜擢人事を導入する企業は増加傾向にありますが、従業員視点では人事評価基準が不透明であり、場合によっては抜擢された若手従業員が昇進後のポジションに適応できないケースもあります。
ミドル社員には気まずい人間関係
ある程度の仕事のスキルや経験を積んだミドル社員は、専門職の方を除けば何度かの「人事異動」を経験しているのではないでしょうか。
部署やチームの再編成に伴う新しい環境では、人間関係も再構築が必要です。ミドル社員は、組織内で一定の経験とスキルを持っていることを期待されていますので、人間関係を円滑にしながらも、連携をはかれるように尽力するでしょう。
そのため、職場の人間関係において悩む場面も増えていきます。
年下や後輩上司に感じる3つのストレス
年下や後輩が上司になった場合、ミドル社員が感じるであろうストレス要因はいくつかありますが、一般的に多いとされる3つに焦点を当てて紹介していきます。
リーダーシップに対する疑問
年齢や経験が少ない上司に対して、権威やリーダーシップ能力に対する疑問を感じる場合があるでしょう。たとえ年下や後輩の上司が高い能力を有していても、経験が不足しているのではないかと、信頼できないことがストレスにつながります。
また、経験が浅いことによって、適切な指導や意思決定を行えるのかという不安も生じるため、手放しで年下や後輩の昇進を喜べないという背景もあります。
自身のキャリアへの影響
上司の評価や指導によって、自身のキャリアの進展に影響を及ぼすことが懸念され、公平な評価への不安が、ストレスの要因となります。
また、抜擢された年下や後輩上司が優秀であったり、周囲に気配りができるようであれば、逆にそれが不安となって気分の落ち込みにつながることも考えられます。
これらのストレス要因は、年下や後輩が上司になった場合に現れる可能性が高い傾向にあるともいえるでしょう。
コミュニケーションへの課題
最後は、コミュニケーションの課題です。おそらく、気まずさの大きな理由としては、年下や後輩である上司にどう接すればよいか、どう付き合っていけばよいかわからない、というものではないでしょうか。
これは年下や後輩上司、年上や先輩部下だけではなく、職場の人間関係全般での課題ですが、コミュニケーションのスタイルや期待値の不一致が、チーム内の摩擦を引き起こすことも予想されます。
コミュニケーションにおいて重要とされる姿勢や考え方については、次の章で詳しくみていきます。
敬語問題をどう解決するか
年下や後輩が上司になったことで、敬語を使うかどうかで迷うビジネスパーソンも多く存在しますが、「社内で働く従業員と話す場合は共通した話言葉に統一する」というシンプルな答えで解決します。
現在では社会人に関わらず、小学校教育から敬語が推奨されています。どのような関係性においても、話す言葉を共通にすることで、多様性を認めるという背景があります。
企業や組織、部署やチーム内においても、敬語でコミュニケーションを取ることで、フラットな関係の構築が期待できるでしょう。
信頼関係を築くには「敬意」が必要不可欠
「敬意」は自分自身と他者の間に信頼関係を生み、同意をもたらします。
年齢や立場に関わらず、同じ職場で働く従業員とフラットに接することは理想ですが、そこには「配慮」が必要になってきます。
上司や部下という枠組みにとらわれない
社会人になっても、小中高という多感な時期に「先輩は凄い存在」という意識づけが行われていると、大学に進学し、就職をしてもなかなかその文化が抜けきれないことがあるでしょう。
上司、部下、先輩、後輩、年下、年上などのラベリングを行うと、どちらかが必ず前か後ろ、上か下かになりますが、並列した視点でそれぞれの役割を把握してみると、コミュニケーションを取る際の参考になるかもしれません。
謙虚な姿勢であるということ
謙虚な姿勢を持つことは、どの立場にあっても重要です。
将棋界でトップを走り続けて、現在でもプレイヤーとして活躍している日本将棋連盟の会長は、報道陣からの「27年前の会長と今の次世代棋士が対局したら?」という質問に対し、大きく笑いながら、「全然かなわないですけど、全くかなわないです」と答えています。会見では、終始会長の謙虚さや次世代棋士への「敬意」が表れており、大きな反響を呼びました。
このように、自分の経験やスキル、立ち位置に関わらず、謙虚な姿勢を持つことは、ビジネスシーンにおいても非常に重要であると言えるでしょう。
自分の役割を考える
会社の業務は従業員が分担をして行っています。
役職によって待遇や給与面に差が生じる場合でも、従業員は、自分が与えられた役割をこなすことで、給与を得るというのが一般的です。
自分の役割を考えた上で、このポジションでは評価されないだろうと感じていたり、待遇に納得できない部分があれば、異動の希望などを視野に入れるのもよいでしょう。
年齢が近すぎる後輩が上司になった場合
10歳以上の年齢差がある場合は、価値観の違いをお互いにすり合わせることで良好な関係を築ける可能性があります。
一方で年齢差が5歳前後の先輩と後輩では、共通した背景や価値観があることが一般的です。この場合、適切なコミュニケーションと協力を築く方法を模索することが重要です。
互いの強みや専門知識を認識し、お互いに学び合う姿勢を持つことで、円滑な協力関係を構築できます。また、相手の意見や視点を尊重し、適切なフィードバックを行うことで、信頼関係を深めることができます。
年齢差にかかわらず、相手を尊重し、適切なコミュニケーションを通じてお互いの強みを生かすことが、上司と後輩の関係を築く上で大切な要素となります。
重要なのは感情的にならないこと
職場の人間関係では特に、感情的にならないことが最も重要だといえるでしょう。冷静な判断を持つためには、まず自身の感情を認識し受け入れることが大切です。
感情的になりそうな場面では対象から距離を取り、他者の視点を理解し共感する姿勢を持ちましょう。感情が高まった場合でも問題解決に焦点を当て、信頼できる同僚などの従業員と話すことで、冷静な視点を取り戻すことができるかもしれません。
また、自分の意見を伝える際にも「言い換え」を意識してみることで、よりよい関係性につながっていくケースも増えてきています。
YOUメッセージをIメッセージに変えて伝える
効果的な「言い換え」には、YOUメッセージとIメッセージがあります。
YOUメッセージとは
「YOU=あなたは~」を主語にして自分の気持ちや考えを伝えるコミュニケーションの手法です。
Iメッセージとは
「I=私は~」を主語にして、相手に自分の意思や要望を伝える手法です。
状況に応じて、YOUメッセージとIメッセージを使い分けていくことで、人間関係を円滑にすることが期待できます。
では具体的にみていきましょう。
YOUメッセージとIメッセージの具体例
「年下の上司って気まずいけど、うまくやっていきたい」という気持ちをIメッセージとYOUメッセージで表現した場合は以下のようになります。
まずは、感情的になった場合に使用しがちなYOUメッセージの例からみていきます。
YOUメッセージの場合
あなたが若い上司だと、時には信じられないほど無知で困ることがあります。あなたはもっと成熟した態度で働いてください。
上記は極端な例ですが、YOUメッセージは攻撃的な印象を持たれるだけではなく、相手を傷つける可能性が考えられます。
Iメッセージの場合
私が年上の部下なので、時折気まずく感じられることも理解しています。お互いの尊重と協力を基に、私は円滑なチームワークを築いていけるよう努力したいと思っています。
IメッセージはYOUメッセージとは対照的に、自分の気持ちや意図を尊重し、協力的な姿勢を示しています。
相手との関係を円滑に保つために、共感と協力を促進するIメッセージを使用することが重要です。
成果主義がメンタルヘルスにあたえる影響
年下や後輩の上司が誕生する背景には、成果主義の導入が影響しています。
年功序列制度では、成果を挙げても年齢や勤続年数によって評価をされにくかったという課題がありました。
一方で、成果主義では、業績や出した結果が評価に直結しやすい半面、従業員に大きなストレスがかかることが問題点として挙げられています。
成果主義において年下や後輩が昇進することは、部下になる年上や先輩従業員のメンタルヘルスに、さまざまな影響を及ぼす可能性があります。
- 業務に対する集中力の低下
- 対人関係へのストレス
- 自尊心への影響
順番にみていきましょう。
1.業務に対する集中力の低下
心理的な不安やストレスが高まることで、業務への集中力が低下する可能性があります。これにより、業績や生産性に影響を及ぼすことが考えられます。
2.対人関係へのストレス
従来の関係から、上司と部下という関係性へと変化することで、ストレスを感じることがあります。特に、後輩が上司としての権限を行使する際に、関係が複雑化しやすいと考えられています。
3.自尊心への影響
自分の後輩が上司になることで、自尊心や自己評価に影響を与える可能性があります。これにより、自尊心の低下や不安感が生じ、自分の能力や価値を疑うことがあるかもしれません。
上司に相談ができない悩みには、オンラインカウンセリングが有効
仕事の悩みの中でも、上司との接し方で悩んでいる場合は、社内で相談することが難しいと感じるでしょう。
また、家族にも悩みを言い出せず、一人で抱え込んでしまっている状況であれば、外部へ相談することを検討してみるのも選択肢のひとつです。
仕事や人間関係の悩みを相談してみる
ストレスや不安、人間関係の悩みは、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことがありますので、心理カウンセリングの利用は非常に有用であるといえるでしょう。
特にオンラインカウンセリングは、場所を選ばず利用できますので、忙しい仕事の合間や自宅のリラックスした環境で、自分のペースでカウンセリングを受けることができます。
心の重荷を軽くする第一歩は、自分自身へのケアから始まります。メンタルヘルスのプロであるカウンセラーがあなたの話を丁寧に聞き、適切なサポートを提供します。
オンラインカウンセリンは予約も簡単
カウンセリングの予約はスマートフォンから簡単に行えますので、誰かに話したいと思ったその日にすぐに予約をすることが可能です。
あなたの心の中にある不安や疑問、悩みを抱え込まずに、オンラインカウンセリングを活用してみましょう。
まとめ
そこで今回は、年下の後輩が上司になった場合の接し方や付き合い方、相手との会話に取り入れたい伝え方などについても紹介してきました。
柔軟な考え方を取り入れても、心のモヤモヤや辛い気持ちを抱えたまま仕事を続けていると、メンタルヘルス不調につながる可能性があります。
誰にも話せず、ひとりで抱え込んでるようであれば、オンラインカウンセリングの利用を検討してみましょう。
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