じっとしていても汗がにじみ、数分間の外出をしただけでも体力を消耗する暑さが続く夏。
「暑くてもう無理だ」
「このままでは溶けてしまいそう」
「暑さで身体が重い」
などの独り言が思わず出てしまいますよね。
日本の夏が猛暑や酷暑と呼ばれるようになって久しいですが、最近では災害級の暑さといわれるほどの気温を連日記録しています。
そこで今回の記事では、暑さがメンタルヘルスに与える影響についてや、予防策について解説していきます。
また、自律神経の重要性についても紹介していきますので、夏バテでつらいと感じている方はぜひ参考にしてください。
暑さからくる「夏バテ」の症状とは
日本の夏は高温多湿であり、実際の気温よりも体感温度は高くなります。そのため、この季節になると、なんとなく体調が悪いと感じることが多いのではないでしょうか。
「夏バテ」の身体とこころの主な症状
夏バテは、身体とこころの両方に様々な影響を与えます。
身体の症状
- 身体がだるい
- 食欲が出ない
- 眠れない
- 熱っぽいまたは頭痛が続く
こころの症状
- イライラする
- やる気が出ない
- ゆううつで人に会いたくない
人によって暑がり、寒がり、汗っかき、冷え性などの個人差があり、適温も異なりますが、適応できる気温や寒暖差の範囲を超えてしまうと「夏バテ」を起こし、体内のバランスが崩れ始めます。
環境によるメンタル不調を防ぐには
夏のメンタルの不調には環境が大きく影響しています。屋外と屋内での予防策を見ていきましょう。
暑い夏の屋外での予防策
直射日光を避けていても高温多湿な環境の中で作業を続けると、通常よりも体力を消耗します。屋外での作業には熱中症のリスクもありますので、しっかりとした対策が必要です。
ちょっとそこまでの外出でも、予定があって数時間外出する場合でも、しっかりと予防をしていくことが重要です。
適切な休憩
屋外作業中は小まめに身体を休めることで、疲労を軽減することができます。
日本のような 高温多湿の環境では水分を失いやすく、脱水症状が起こる可能性が高まりますので、喉が乾いていなくても、定期的に水分補給をしましょう。
適切な服装やアイテムの活用
夏は風通しのよい素材の服を選ぶことも重要です。
また、帽子や日焼け止め、片手で持てるミニ扇風機、日傘の利用も効果的です。日傘は女性の利用が多いイメージがありますが、現在では男性利用者も増えていますので、今まであまり使っていなかった方は、暑さ対策として導入してみるのもよいでしょう。炎天下では非常に強い味方になります。
作業時間の調整
日中の時間帯を避けて、早朝や夕方に作業を行うなど、作業時間を工夫することで熱中症のリスクを減らすことができます。
メンタルヘルス不調は、身体の疲れや不調をきっかけとして起こるケースもありますので、十分な対策が必要です。
暑い夏の「おうち時間」を快適に過ごすには
猛暑日が続く夏には日中の外出を極力避け、自宅でリラックスをして過ごすことも大切です。では、「おうち時間」を快適に過ごすコツはあるのでしょうか。
自宅でも要注意「熱中症」の危険性
エアコンをつけっぱなしにしていると、電気代が高くなるのではないかと心配する方もいるかもしれません。
節約のためのエアコンをつけず、自宅で熱中症になるケースが急増していますが、たとえば、エアコンの消費電力を500Wとすると、1時間あたりの電気料金は約15.5円。24時間つけっぱなしにしたとしても、冬よりは電力消費は抑えられているのです。
熱中症になった場合、病院を受診したり様々な処置を受けることになりますので、たとえ暑いと感じていなくても、熱中症予防の観点からもエアコンを使用することが推奨されています。
寝苦しい夜は「ドライ」で湿度管理
高温多湿の日本では、自宅などの屋内に湿気が溜まりがちです。
快適な温度に設定しているはずなのに、なんだか寝苦しいと感じたら、エアコンを冷房ではなくドライにしてみるのも有効です。
また、エアコンと扇風機やサーキュレーターを併用すると、いわゆる「温度のムラ」を解消することができます。
寒すぎるオフィスでの予防策
では、自宅とは異なり、寒すぎる職場での過ごし方や対策についてもみていきましょう。
暑い外気との温度差は体調不良の原因となります。職場の設定温度が低く、冷えて手足が冷たくなるような環境で長時間過ごすことは、身体に負担をかけている可能性があります。
寒すぎる屋内では、以下のような対策が有効とされています。
調整可能な服装
外気と室内の温度差に対応できるよう、薄手のカーディガンや羽織りを持参することで、寒すぎる職場での体温の調節に役立ち過ごしやすくなります。
身体を温める食べ物や飲み物
温かい飲み物を取ることで、体を温めることができます。保温効果のある水筒を活用して、温かい飲み物を持参したり、昼食も温かい食べ物を選ぶようにすると効果的です。
また、身体を温める効果のある生姜などの食材を、意識して取り入れることも大切です。屋外が暑くても、職場で寒すぎると感じたら、カイロを使用するのもよいでしょう。
身体を動かす
定期的に身体を動かすことで、血液の循環が良くなり、体が冷えにくくなります。特にオフィスワークの場合は、長時間同じ体勢で座っている時間が長くなりますので、適度に休憩を挟むことが推奨されています。
暑い外気と冷たい室内の温度差による体調不良を防ぐためには、退社後や自宅などでは適切な温度の中で過ごすよう心掛けることが重要です。
エアコンの温度を調整したり、しっかりと体を温めるための食事をとるなどが有効といえるでしょう。
過去20年の最高気温の推移
2003年から2022年の8月1日と9月1日、そして10月1日の最高気温推移をみていきましょう。
8月は平均して気温が高い傾向にあります。9月1日は真夏日となった年が多く、2010年には35.9度、2013年には35.7度を記録してます。そして10月1日では2018年に32.3度、2019年に30.1度の真夏日を記録しています。
また、過去20年の最高気温の推移を見ると、20年前には既に9月にも真夏日を観測しており、夏が長くなっていることが分かります。
参考)気象庁 2003年から2022年のデータを元に作成
夏は体内のバランスに大きく影響する「自律神経」が乱れやすい
体内のバランスには「自律神経」が大きく関係しており、自律神経が乱れると様々な不調に繋ります。また、暑さからくる「夏バテ」の症状は、自律神経の乱れによるものが多いとされています。
では、「自律神経」はどのような働きをしているのかをみていきましょう。
24時間働き続ける「自律神経」
自律神経の乱れ、自律神経に効くツボ、自律神経を整えるなど、「自律神経」という言葉を耳にする機会も増えました。
「自律神経」は、心拍数、血圧、消化、呼吸などの身体機能を調節しています。「自律」という言葉の通り、私たちの意思とは関係なく、身体が自ら働きを律しています。
「交感神経」は「交感神経」と「副交感神経」によってバランスを取っています。
ストレスを感じた時に活発になる「交感神経」
「交感神経」は、私たちの身体を緊張させる役割を担っており、ストレスや危険を感じた場合などに活発になります。
副交感神経には、具体的には以下のような効果があります。
- 心拍数の増加・血圧上昇
- 血液が筋肉に集中する
- 血糖値が上昇する
- 呼吸が浅く速くなる
交感神経は、緊張状態により、ノルアドレナリンやアドレナリンといったストレスホルモンを放出します。
リラックスさせる役割を果たす「副交感神経」
「副交感神経」は、私たちの身体を「リラックス」させる役割を果たし、休息やリラックスしている状態の時に優位になります。
「副交感神経」には以下のような効果があります。
- 心拍数の減少・血圧の低下
- 血液が消化器官に集中する
- 血糖値の正常化
- 呼吸がゆっくりと深くなる
「副交感神経」は、アセチルコリンという神経伝達物質を放出することで、リラックス状態を維持します。
ストレスフルな状況では交感神経が活発になり、リラックスした状態では副交感神経が優位になります。両方が適切に動作することで、身体の機能が適切に維持されるのです。
しかし、身体が適応範囲外の暑さにさらされた場合、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れる場合があり、これが一般的な「自律神経の乱れ」という状態につながります。
夏のメンタル不調への対処法
夏のメンタル不調を軽減するためには、体調や環境に敏感になり、適切な対策を取っていくことが重要です。
では、個人ができる対処法をみていきましょう。
- 自分のペースを守る
- リラックスできる環境を作る
- 趣味や興味のあることに没頭する
順番に紹介していきます。
1.自分のペースを守る
メンタル不調を軽減するためには、無理なスケジュールを避けて自分のペースを守ることが大切です。体調不良に陥ると、物事をスムーズに進めることが困難になるため、焦りを感じたりイライラすることにつながります。
また、十分な睡眠を確保し、規則正しい生活リズムを心がけることも重要です。疲れを感じたら無理をせず、休息を取ることを心がけ、スケジュールに無理が生じていると感じた場合は見直しをしてみましょう。
2.リラックスできる環境を作る
暑い季節には気分も落ち着かなくなることがあります。
リラックスできる環境を整えることは、心身のリフレッシュに役立ちます。部屋の中を快適な温度にしておくことで、疲れたこころや身体の回復が期待できます。
また、暑い時期はシャワーで済ませることが多くなりがちですが、できるだけ入浴することを心がけてしましょう。入浴は自律神経のバランスを整えることにつながります。
3.趣味や興味のあることを楽しむ
趣味や興味のあることを楽しむ時間を設けることは、ストレス軽減に役立ちます。
例えば気温が高い日中は、読書、料理、ガーデニング、絵を描くなど、屋内でできる趣味を楽しみ、日が落ちて比較的気温が落ち着いた時間帯に、散歩などで体を動かすというめりはりをつけるとよいでしょう。
以上の対処法を組み合わせて自己の体調と向き合い、適切なケアを行うことで、心身ともに快適な夏を過ごすことができるでしょう。
こころのモヤモヤを誰かに話すことも大切
ストレスや不安を感じたり、気分が沈んでいる場合には、自分だけで解決するのではなく、誰かと話すこともおすすめです。支え合うことで気持ちが軽くなることがあります。
自宅から相談できる「オンラインカウンセリング」
暑さが厳しい時期は、外出をするだけで疲労やストレスを感じる場合があります。
こころが沈む、やる気が出ない、誰かに話を聞いて欲しいと思ったら、「オンラインカウンセリング」を視野に入れてみましょう。
「オンラインカウンセリング」は、快適な温度で過ごせる自宅から、メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーに相談することができます。
また、夏季休暇や仕事の都合に合わせて予約することができるため、予定が立てやすいというメリットもあります。
まとめ
この記事では、暑さがメンタルヘルスに与える影響について解説しました。
現在の日本では、はっきりとした四季を感じにくく、快適な気温の時期は減少傾向にあります。暑さによる身体とこころの変化やサインを見逃さず、しっかりと対策をしていきましょう。また、心身の不調を感じたら、一人で抱え込まずに誰かに相談することも大切です。
mezzanineのカウンセラー
メザニン登録カウンセラー
芹野 まり Mari SERINO
EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)、キャリアコンサルタント
医療機関に従事後、現在は企業向け産業保健業務の営業コンサルに従事。健康経営、産業衛生、メンタルヘルスなどを学びました。現在は企業の外部相談窓口(EAP)の相談も担当しています。
【メッセージ】
結婚、不妊治療、離婚、ペットロス、親の介護など哀しいことも楽しいことも悔しい思いもたくさん経験してきたことが、今となっては財産になっています。同じ経験をしていても一人ひとり思いや感情は違うものです。
安心してご相談いただける場所を提供できるよう、丁寧に寄り添っていきたいと思います。