ハラスメントとは「いやがらせ」や「いじめ」を意味します。
どのような場合であっても、人間としての尊厳を傷つける行為はよくないことですよね。
この記事ではハラスメントの中でもジェンハラとセクハラを取り上げていきます。
ジェンハラやセクハラが起きやすい要因や、被害を受けた場合の対処法についても紹介していきますので、いま受けているのはハラスメントのような気がするけど、もしかしたらジェンハラかな? セクハラとはどう違うの?など、悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
また、まわりの方のことで悩んでいる方の参考になればと思います。
ジェンダーハラスメント ジェンハラとは?
ジェンダーハラスメント/gender harassment
性別によって社会的な役割が分かれているという固定概念に基づく「いやがらせ」や「差別」
ジェンハラは「男だから」「女だから」という固定的な概念によって起こるハラスメント行為です。
ジェンダーとは社会的または文化的に持つ男女としての役割という意味を持ちます。
数十年程前までは、小学生のランドセルは女が赤で男が黒という固定概念が存在していましたし、男子は「くん」、女子は「ちゃん」をつけて呼ばれることが当たり前とされていました。
しかし現在ではジェンダーレス化が進み、ランドセルは自分の好きな色を選ぶことができていますし、男子女子に関わらず「さん」づけで呼び合うようになっています。
これを職場に置き換えてみると、「男だから」「女だから」こうあるべき!という固定的な概念によって、男だから重いものを持つべき、女だからお茶くみをするべき、と強制をしたり、男性として女性としてすべきことをしていない、などの「いやがらせ」をする行為がジェンハラに該当します。
性のあり方についての「差別」は何ハラ?
LGBTなどの性的マイノリティや、性自認、性的指向による「差別」は、現在ではソジハラに分類されます。
本来、個人の性のありかたについては業務に無関係な要素であり、それによって業務上で不利益を受けることはあってはなりません。
しかし、性のあり方については非常にデリケートな問題であり、社会人としてのTPOなどに準じることも重要であるため、就業規則や社内のコンプライアンスについては十分に理解をしておく必要があります。
セクシャルハラスメント セクハラとは?
セクシュアルハラスメント/Sexual Harassment
職場において労働者の意に反する性的な言動や行動によって、労働者が不利益を受けること
参照)厚生労働省 | 2020年度職場にハラスメントの関する実態調査報告書
2007年に男女雇用機会均等法が改正され、 職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策の措置が義務化されました。しかし厚生労働省が2020年度に行った調査では、セクハラの相談件数が29.8%とパワハラに次いで高い割合となっています。
セクハラの種類
セクハラには「対価型」と「環境型」があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
対価型セクハラ
性的な言動や行動を強要し、拒否されると減給や降格または解雇という不当な扱いをする行為のことです。
昇格させるからと性的な関係を強要し、拒否されると解雇するぞと脅すことや、忘年会などで新入社員に裸踊りをさせるなども対価型セクハラに該当します。
環境型セクハラ
業務に支障が出るような性的な言動や行動による「いやがらせ」のことです。
恋人はいるのか、子どもはまだ産まないのかなどの業務に無関係な発言をしたり、肩や髪の毛などの身体を度々触ってくる行為は環境型セクハラに該当します。
また、対価型と違いセクハラをする側が無自覚なケースも多くみられます。
ジェンハラとセクハラの違いは?
ジェンハラは固定観念による差別の意識からくるハラスメントであるいっぽう、セクハラは性的な言動や行動による「いやがらせ」です。
例として、女性であるAさんの勤務時の服装についての上司の言動や行動から、ハラスメントの違いを見ていきましょう。
ジェンハラもセクハラも男性から女性、女性から男性だけではなく、同性間でも起こりえるハラスメントです。ではなぜ、このようなハラスメントが起こるのでしょうか。
世代の違いや男女比の偏りが要因に
ハラスメントの中でも、性別や身体的な男女の特徴に対して行われるのがセクハラとジェンハラですが、主に以下の原因が挙げられます。
1.世代による認識の違い
2.職場の男女比の偏り
1.世代による認識の違い
生きてきた時代や置かれていた環境の違いによって、個々にハラスメントに対する認識の違いがあると、特にセクハラやジェンハラが起きやすくなります。
自分が若い時はこうだった、自分がされていた時はこれが普通だったなどの固定概念のある世代、ハラスメントが世間的に認知されはじめた時代に社会人となった世代、多様性を認める世代など、様々な従業員が働いているため、ハラスメントを共通認識で見ることが難しいという側面もあります。
2.職場の男女比の偏り
職場の男女比率が偏り過ぎている、いわゆるジェンダーギャップの大きい職場では、無意識にセクハラやジェンハラが起こるケースが多いようです。下の表は世界146カ国と比較した日本のジェンダーギャップ指数です。
日本のジェンダーギャップ指数
出典)内閣府 | ジェンダーギャップ指数2022
日本は近年、ハラスメント対策に取り組んでいると言われています。しかし、諸外国に比べるとまだ不十分な部分があると言われており、ジェンダーギャップ指数も146カ国中116位と先進国の中でも非常に低い数値となっています。
また、男女比が平等ではない場合、ジェンハラが起きやすくなる可能性があります。
男性の多い職場では女性が来客用のお茶を用意する、女性の多い職場では、男性に対して「もっと男らしく」や「男なんだから我慢して」などの性差別発言などが起こる場合があります。
セクハラに関しても男性から女性だけではなく、女性から男性、または同性にも行われるハラスメントの為、女性が多い職場では男性がセクハラを受ける場合もあります。
「差別」や「いやがらせ」を受けたら相談をしよう
役割分担の域を越えている、業務には関係のない「差別」を受けている、性的な言動や「いやがらせ」を受けていると感じたら、我慢をせずに相談することが重要です。
特に、ジェンハラやパワハラはプライバシーなどが関わるデリケートな場合が多いので、社内の相談窓口や社外の相談窓口には相談しにくいと思ったら、オンラインカウンセリングも視野に入れてみましょう。
自宅で受けれるオンラインカウンセリング
相談の前には置かれている状況などを整理しておくとよいですが、詳細を整理するのが辛いようであれば、オンラインカウンセリングが有効です。
オンラインカウンセリングは、例えば帰りの電車の中などでもスマートフォンで簡単に予約ができます。
また深夜や早朝など相談窓口が開いていない時間帯でも、予約をすることができるのはありがたいですね。
予約をしたら、帰宅後の自宅で専門のカウンセラーに相談することができます。
オンラインカウンセリングは夜の遅い時間でも対応している事が多いので、自分の気持ちや、これってハラスメントだと思うという感情を一緒に整理していくことができます。
自宅であればプライバシーが守られていますので、あせらずひとつずつ解決できるのもメリットです。
辛い気持ちを我慢をし続けているとメンタル不調に陥る場合もあります。
ジェンハラやセクハラの被害は言い出しにくい部分があると思いますが、相談したいと思った時がタイミングだと思い、少しだけ勇気を出してみましょう。
カウンセラーと一緒に解決策を探っていくことで、悩み解消に繋がるかも知れません。
まとめ
この記事ではハラスメントの中でもジェンハラとセクハラを取り上げてきました。
ジェンハラやセクハラの違いにも触れましたが、どちらの場合においてもハラスメントはあってはならない行為です。
職場での「差別」や「いやがらせ」が辛いと感じたら、我慢をせずに相談をしていきましょう。まだ気持ちの整理ができていないという場合は、相談しながら専門のカウンセラーと一緒に心の整理ができる、オンラインカウンセリングを受けてみるとよいでしょう。
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