心と体の健康の悩み

【アディクション】依存症とは?代表的な種類となぜやめられないのかメカニズムを解説

現代において社会問題となっている依存症(アディクション)。

この記事では、依存の分類と代表的な依存症について詳しく解説します。

また、依存症がどのように発生するのか、そのメカニズムについても探っていきますので、現在何かに依存していて辛いという方、周囲の人の依存症に対して悩みを抱えている方はぜひ参考にしてください。

依存症とは

依存症とは、特定の物質や行動などを、やめたくてもやめられない状態を指します。

熱中していると楽しいという感情を持ちますが、これが依存になると、苦痛を伴っていてもやめられない、辛いのに止まらないというネガティブな感情になることが多いとされています。

「依存」と「熱中」は何が違う?

こころと身体の健康があればこそ、好奇心や情熱を持って何かに打ち込んだり、目標に向かって進んでいくことができます。

やめたいと思っているのにやめられない、という状態によって本人や周囲が辛い思いをしているならば、正しく理解し対処していく必要があります。

依存と熱中に明確な差があるとすれば、特定の物や人、行動に対して自己制御ができるかの違いにあると言えるでしょう。

「依存」は大きく分けて3種類

依存は物質依存と行動依存、そして関係依存の3つに分類することができます。

  1. 物質依存
  2. 行動依存
  3. 関係依存

1ずつ見ていきましょう。

1.物質依存

物質依存は、薬物やアルコールなどの物質への過剰な依存や中毒的な状態を指し、物質に対する強い渇望や行動パターンが形成され、社会的な機能の低下や人間関係の悪化など、幅広く影響を及ぼすことがあります。

代表的な物質依存にはアルコール依存、ニコチン依存、薬物依存があります。とくに薬物依存では近年、若年層の市販薬乱用や誤用が社会的な問題となっています。

2.行動依存

行動依存は、特定の活動や行動に対する過度の依存や中毒的な状態を指し、脳内の快楽中枢に影響を与えます。

行動依存にはギャンブル、買い物、インターネット、ゲーム、仕事などがあり、近年では動画配信サイトに課金する「投げ銭」が深刻な問題として取り上げられています。

物質依存と行動依存は、個人の心理的な健康や身体的な健康、関係性、仕事などに大きな影響を与えることがあるため、治療や適切なサポートが必要とされています。

3.関係依存

主に人間関係への過度な執着をするのが関係依存です。

人とのつながりや関係に対して強い執着心を抱き、他者からの承認によって自分に価値があると感じる傾向にあります。

一般的な関係依存には、夫婦や親子、恋人間などの関係で見られる共依存、特定の人物に執着し、付きまといや嫌がらせをするストーカー、パートナーや家族に対して身体的、性的、精神的な暴力を振るうDVなどがあります。

関係依存は、健全な人間関係の形成や個人の成長に支障をきたすこともあり、他者へ執着することで自己を犠牲にするケースもあります。

代表的な6つの依存症

ここでは物質依存と行動依存から、代表的な6つの依存症を紹介します。

  1. アルコール依存症
  2. ニコチン依存症
  3. 買い物依存症
  4. インターネット依存症
  5. ゲーム依存症
  6. ギャンブル依存症

順番に見ていきましょう。

アルコール依存症

依存症と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがアルコール依存症ではないでしょうか。

「二日酔いで具合が悪いが、迎え酒をすれば治る」
「仕事をしていて夕方になると酒が飲みたくて仕方がないが、実際仕事中は飲んでいないのだからアルコールに依存はしていない」

このように、アルコール依存症に陥っている場合、人より少し飲む量が多いかも知れないが、自分は病気ではないという認知のゆがみが生じることで、自身が依存症であることを認めない傾向があります。

アルコール依存症は特に、自ら治療を求めない依存症と言われており、本人に自覚をさせるのが最も困難とされています。

ニコチン依存症

公共の施設でも煙草が吸えた時代を経て、現在では喫煙できる施設やエリアが少なくなってきています。

「次にたばこの値段が上がったら禁煙しよう」
「この1本を吸ったらもう二度と吸わない」
そう誓っても、結局はまた1箱、ひどい時は1カートンを買い込んで吸ってしまう。やめたいと思っているのにやめれない状態こそ、ニコチン依存症と言えます。

ニコチンは、科学物質としては毒物に指定されているアルカロイドの一種で、神経に強く作用します。

一般的に、体内からニコチンの成分がなくなるのは24時間から72時間と言われていますが、血中から成分が半減する2時間程度で、たばこが吸いたいとイライラするようになります。

買い物依存症

誰しも、あの服やバッグが欲しい。あの服かわいいな、この靴かっこいいな、欲しいなと思うことがあるでしょう。今月は財布を新しくしたので欲しい服はまた来月にしよう、靴を買うために節約しようなど、欲しいものがあってもコントロールができる状態であれば、それは正常と言えます。

しかし、欲しいものを我慢できずに買ってしまう。そのうち欲しい欲しくないの基準ではなく、お金を使うことが目的となり、やがてコントロールができなくなってくると、買い物依存症の可能性があります。

クレジットカードが限度額を超えても買い物をすることがやめられず、支払いの恐怖を感じると逃げ出したくなります。しかし、一瞬でも不安から抜け出したいと思って取る行動までも「買い物」という悪循環に陥る恐ろしい依存症です。

インターネット依存症

総務省が2020年に行った情報通信白書によると、インターネット利用端末の種類はスマートフォンが68.3%と、パソコンの50.4%を抜いて非常に高い数値となっています。

総務省|2020年情報通信白書 図表1-1-1-2を加工して作成

1990年代では、インターネットに接続する端末はパソコンが主流でしたが、2010年頃からのスマートフォンの急速な普及により、インターネットの利用はより身近な存在になったと言えます。

動画配信サービスやソーシャルメディアを中心に、適正をはるかに上回る長時間の利用が大きく取りざたされています。

インターネット依存症はスマホが手放せず、見るのをやめようと思っていても、コントロールができない、睡眠不足やパフォーマンスの低下を自覚していてもスマホを見続けてしまうなどの状態に陥ります。

ゲーム依存症

パソコン黎明期にゲーム依存症と言えば、多人数同時参加型のオンラインゲームに没頭する「ゲーム廃人」が代表的でした。

しかし現在では、スマホで利用できるソーシャルゲームから、eスポーツ競技になるゲームタイトルまで、ゲームプレイヤー人口は増加の一途を辿っています。

依存症の中でもゲーム依存症は、2019年5月にWHO国際疾病分類に加えた「ゲーム障害」とも呼ばれており、ゲームプレイ時間だけではなく、課金制ゲームへのいわゆる廃課金といわれる、過剰な課金も問題となっています。

ギャンブル依存症

最後にギャンブル依存症を見ていきます。

娯楽として楽しむギャンブルは、日常に刺激を与えます。しかし、やりたくないのにやってしまう、辛いと思いながらもやめられず生活費にまで手をだしてしまったなど、メンタルヘルスや生活に大きな影響が出ているならば、深刻な状態と言えるでしょう。

ギャンブル依存症はアルコール依存症と同様「否認の病」と言われています。否認の病とは、自分が依存症だと思わない、思いたくないと、依存症であることを否認している状態を指します。

厚生労働省がまとめた、「ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点」を見てみると、世界に占める台数の割合1%以上の国のカジノのゲーム機、パチンコ台など台数の国際比較では
、日本の数値が飛びぬけていることが分かります。アメリカ合衆国の900,704台から見ても、日本は4,195,930台と約4.5倍以上の台数となっています。

厚生労働省|ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点のグラフを加工して作成

なぜやめられない? 依存症のメカニズム

依存症の脳のメカニズムは複雑で、さまざまな要素が関与しています。

依存症とドーパミンの関係

依存の症状は、脳の中で報酬を求める回路が異常に活発化し、中枢神経系が変化することによって発生します。これは、快楽物質であるドーパミンの分泌と深く関係しています。

通常、脳内で快楽物質が分泌されると中枢神経系が興奮し、喜びや快感を感じることができます。この快感を脳が報酬として認識すると、報酬を得るための回路が形成され、その報酬を求める行動が強化されます。

しかし、依存対象物質を摂取し続けると、脳の快楽回路が異常に活性化し、ドーパミンの分泌が増加します。この結果、通常の生活では得られない強力な快楽や喜びを感じることができるようになるのです。

時間の経過とともに中枢神経の機能が低下し、快感を感じにくくなると、より多くの依存物質を必要とするようになります。これにより摂取量や頻度が増え、依存症が悪化していきます。

依存症は自分でコントロールができない状態

依存症の状態になると、脳が依存物質を求める回路によって支配されているため、依存物質をやめたいと思ってもそれを実行することが困難になります。

依存チェック

下記は依存症の一般的な症状です。当てはまる項目がないか、チェックをしてみましょう。

1.とらわれ
2.コントロールできない
3.耐性がつく
4.禁断症状
5.優先順位
6.自覚があってもやめない

1から6の項目にチェックが多い場合は依存症の可能性がありますので、専門家への相談を視野に入れてみましょう。

オンラインカウンセリングで相談してみよう

依存症の悩みを誰かに話したい、専門家に相談したいと思っても、一人でカウンセリングを受けるのが不安な場もあります。

現在では、付き添い者が同伴することが可能なカウンセリングサービスもあります。また、オンラインカウンセリングであれば、時間やスケジュールに柔軟に対応できるメリットがあるため、都合に合わせて予約を取ることが可能です。

付き添い者が同席することで得られる安心感

依存症の悩みでカウンセリングに参加する際は、付き添い者が同席することで安心感を得られるでしょう。

またサポートや情報共有が促進され、依存症に対する取り組みがより効果的になることが期待できます。

まとめ

この記事では依存症3つの分類と、代表的な6つの依存症、そして依存症に陥るメカニズムについて解説しました。

依存症は個人の意志の弱さや性格の問題ではなく、脳の中での変化によって生じる生物学的な問題です。条件さえ揃えば、誰でも依存症になる可能性があるものですので、不安に思っている方、悩んでいる方は相談をしてみましょう。

 

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