毎日どこかしら調子が悪い。現状維持するのが精一杯。
そう感じている50代のビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
また、自分の健康にも気を配らなければと思っていた矢先に、親の介護が始まったというケースも少なくありません。
そこで今回の記事では、仕事を辞めずに介護と両立していく上で、50代のビジネスパーソンがメンタル不調や「介護うつ」に陥らないための予防策を紹介していきます。
数字でみる介護が必要となった主な原因
内閣府が2021年にまとめた高齢化社会白書の中の「65歳以上の要介護者等の性別に見た介護が必要となった主な原因」をみると、最も高い割合を占めるのが女性は認知症が19.9%、男性は脳血管疾患(脳卒中)が24.5%となっています。
内閣府 2021年版高齢社会白書 図1-2-2-7 を加工して作成
認知症では身体的には動けても目を離せない状況が多くなり、脳血管疾患では言語や身体の麻痺が残るケースがあるため、生活の中での自立が難しくなることが一般的です。
「いつかは介護をする日が来る」とは思っていても、元気だった親が脳血管疾患で倒れるなど、突然やってくる介護に悩むビジネスパーソンも増加しています。
突然始まる介護
介護をされる側もする側にも、介護が突然やってくるケースは多いといえます。
心の準備や生活の調整などを行う時間がないまま、お互いにガラリと環境が変化していきます。
以下に、家族間での話し合いのポイントをいくつか挙げてみましょう。
主に介護を行うのは誰か
家族の中で誰が介護を主に担当するかを明確にしましょう。
家族それぞれが持つ仕事や生活状況、健康状態を考慮します。介護者の負担を最小限に抑えるためには家族全員が連携し、協力体制を築くことが重要です。
金銭面の確認
介護には様々な費用がかかります。医療費や介護サービス、介護用具の購入などに備え、予算を確認しておきましょう。
特に、認知症によって介護が始まると、財産管理や相続対策などで困るケースが非常に多いとされています。
本人の意思確認が行える段階で対策を行っておくことで、選択肢に幅を持たせることができます。
在宅介護か施設入居か
在宅介護を希望する場合は、居住環境の見直しやバリアフリー化、必要なサポートの導入などを検討します。
施設入居を希望する場合は施設の条件や設備、サービスについて調査し、施設の費用や入居条件も確認しておくとよいでしょう。
これらのポイントについて十分な情報収集と話し合いを行い、家族全体で納得したプランを策定することが重要です。将来的な介護に備えることで、円滑な移行が可能となります。
介護をする上で大切な自分自身の「健康」
仕事を続けながら介護をしていく上で、自分自身の体調面に気を配ることも大きなポイントとなってきます。
50代で「ガクッとくる」体調面
50代になると体調の優れない日が多くなり、日常生活や仕事で疲れを感じたり、不調が増えることがあります。
たとえば、起き上がるときに腰に痛みを感じたり、疲れていると身体全体がだるく感じることも珍しくありません。
以前は何とかしのいでいた痛みやだるさなどの不快感でも、介護が始まると体力を使う機会が増えるため、症状が悪化してしまう可能性があります。
自分自身の健康にも気を配ろう
身体のだるさや、軽度の痛みは目に見えないため、我慢してしまいがちですが、もしも辛さを感じているなら、真剣に向き合う必要があります。医療機関を受診するなど適切な対処をして、自分の身体に気を遣うことが大切です。
このような体調の変化は、単なる年齢の影響だけでなく、日常のストレスや介護の負担とも関連しているかもしれません。
身体だけでなく心の健康も重要ですので、自分を大切にし、必要であればメンタルケアにも配慮していくことが重要です。
男女ともに起こり得る更年期障害
男女ともに経験する可能性がある更年期障害は、冬でも寝汗をかく、暑くはないのに汗が大量に出る、そしてほてりや動悸などの症状が現れます。
更年期障害というと女性のイメージが強いですが、男性でも症状がでるケースがあります。
また若年層でも発症することがありますが、一般的には50代前後から症状が顕著になることが多いとされています。
介護と更年期障害のタイミングが重なることも
介護と更年期障害のタイミングが重なると、イライラや眠りの浅さなどの症状が同時に現れ、大きなストレスが生じることがあります。
親の介護と自身の健康管理を同時に行うことは、非常に負担のかかる状況です。そのため、自分のメンタルケアにも十分な配慮が必要です。
このような状況において、日常のケアだけでなく心のケアも欠かせません。冷静な気持ちで状況を受け入れつつ、家族や友人とのコミュニケーションを大切にしましょう。
自分の感情に正直に向き合い、必要であれば専門家の助けを借りることも重要です。状況に焦らず、適切なサポートを受けながら、心と体の健康を守りましょう。
介護うつの症状とは
介護うつは、長期間にわたって高いストレスや負担にさらされることで生じる、うつ症状の一つです。いくらがんばっても終わりがない追い詰められた状況になると、介護うつになる可能性もあります。
一般的にみる介護うつの主な症状は以下の通りです。
- やる気が出ない
- 不眠または過眠の症状が出る
- 集中力の低下と感情の変化
- 罪悪感や自己評価の低下
順番にみていきましょう。
1.やる気が出ない
仕事や介護において、責任や負担が増えると、疲労感が日常生活に影響します。
50代のビジネスパーソンは、部下のマネジメント業務や多岐にわたる介護タスクが求められ、終わりの見えない状態が続くことでモチベーション低下が生じます。
長期の負担により、身体的なエネルギーだけでなく精神的なリソースも枯渇し、「介護うつ」の兆候が現れる可能性があります。
2.睡眠の問題が生じる
夜間にも介護が必要な場合、睡眠に問題が生じるケースがあります。
不安や責任感によって睡眠が妨げられて眠れない、仕事中には我慢できないほどの眠気に襲われることもあります。
3.集中力の低下と感情の変化
仕事と介護における絶え間ないストレスや心配事にさらされると、一つのことに集中することが困難になります。
同時に、イライラ、がまんできないほどの怒りなど、感情の変化が起こりますが、自分ではコントロールできない感情の波がさらなるストレスになるという悪循環に陥ってしまいます。
4.罪悪感や自己評価の低下
仕事と介護、両方の面で過度な責任を感じることがあり、介護の質や量に対して罪悪感を抱くことがあります。
また、「どちらもうまくいかない」「もっとがんばらなくては」と自分自身を責めてしまうため、自己評価が著しく低下します。
では、介護うつにならないためには、どのような対策があるのでしょうか。
介護うつにならないための予防策とは?
この章では介護うつにならないための4つの予防策を紹介していきます。
- 定期的な休息とリフレッシュ
- 適切なサポート体制の構築
- 自分の限界を認識する
- 専門家の協力を得る
1つずつ順番にみていきましょう。
1.定期的な休息とリフレッシュ
自分を大切にするために、定期的にリフレッシュできる休息を取り入れてみましょう。
介護のストレスから離れ、趣味や興味を持つ活動に時間を充てることは、心身の健康を保つ上で極めて重要です。
また、仕事や介護以外のコミュニティに積極的に参加することもおすすめです。
新しい人間関係が築かれ、リフレッシュとなるだけでなく、新しい視点やサポートも得られるでしょう。自分の時間をしっかり確保し、バランスの取れた生活を心掛けましょう。
2.適切なサポート体制の構築
介護を始める際は、最初は大丈夫と感じることもありますが、状況は変わることがあります。一人で悩みやストレスを抱え込まず、適切なサポート体制を再構築していくとよいでしょう。
家族や友人、そして地域のサポート組織など、信頼できる人たちと連携を強化していきましょう。タスクの分担や感情の共有は、介護の負担を軽減し、協力体制を築く上で効果的です。
3.自分の限界を認識する
自分の限界を理解をしていくことは、仕事と介護を両立させる上で最大のポイントであるといえます。
がんばりすぎる傾向がある人は「弱音を吐かない」、「愚痴をこぼさない」、「責任感が強い」などの特徴がありますが、しんどさを感じたら他者からのサポートを受けましょう。
介護は短距離走ではなく持久走だと考え、現状ではいずれ限界が来るだろうと認識することで、仕事と介護の両方に対して適切なペースを見つけることができます。
無理をせず、自分の健康とメンタルケアを大切にしながら、両立を進めていくことが重要です。
4. 専門家の協力を得る
ストレスやうつの症状が出始めた場合は、専門家のサポートを受けることが重要です。
特に、メンタルヘルスのプロであるカウンセラーからのサポートは、精神的な負担を軽減する大切な手助けとなります。専門家の助言や洞察は、自身の状態を理解し、適切な対処法を見つけるのに役立ちます。
自分のメンタルヘルスを真剣に考え、必要であればプロのサポートを受けることで、健康な心の状態を取り戻す一歩となるでしょう。
仕事と介護の悩みを話せるオンラインカンセリング
仕事と介護の両立に悩む50代のビジネスパーソンは増加しており、そのストレスや悩みは日々蓄積されています。
介護の悩みを誰かに話したいけど話せない、仕事に対する辛い気持ちを聞いて欲しいけど、友人とはお互いに予定を合わせるのが難しいなどの場合は、話したい時にいつでも話せるオンラインカウンセリングを利用してみるのも選択肢の一つです。
予約もカウンセリングもスマホから行える
オンラインカウンセリングは場所や時間に縛られず、自宅から手軽にアクセスできるため、50代で仕事と介護を両立しているビジネスパーソンにとっては、非常に便利で相性が良いとされています。
オンラインカウンセリングでは、カウンセリングをするために出向く必要がないので移動の手間が省けるだけでなく、周囲に話を聞かれる心配がないため、個人的な悩みや感情を安心して打ち明けることができます。
また、スマートフォンから簡単にweb予約が行えるので、休憩時間に予約、仕事や介護のスキマ時間を利用してカウンセリングを受けるということも可能です。
継続してサポートを受けることができる
オンラインカウンセリングでは、仕事と介護の両方の側面に理解のあるカウンセラーを見つけることが可能なため、より適切なサポートが受けられるでしょう。
また、オンラインカウンセリングは継続した利用もしやすいため、現在の辛い気持ちやストレスの軽減だけでなく、将来的な問題に対する向き合い方にも役立つでしょう。
このように、オンラインカウンセリングは、50代で仕事と介護の両立に悩む多くのビジネスパーソンにとって効果的で利便性が高い手段といえます。
まとめ
この記事では、50代で仕事を辞めずに仕事と介護を両立していく上で、メンタル不調や「介護うつ」に陥らないための予防策を紹介してきました。
50代は自分自身の体調や気分の変化が現れやすい年代です。
もしも仕事と介護の両立で辛い気持ちがあれば、がまんをせずにオンラインカウンセリングなどを利用してみましょう。
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