仕事の悩み

あなたは大丈夫?増加する管理職の昇進うつを予防する3つの対処法

昇進昇格で管理職になり、職場環境や業務内容が変化したビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

今までの実績が評価され、役職が上がることはモチベーション向上につながると同時に、悩む機会も増えることが予想されます。

今回の記事では、管理職に昇進昇格したビジネスパーソンが陥りやすい「昇進うつ」の原因や、予防するための対処法を紹介します。

昇進うつとは

昇進うつとは、責任に対するプレッシャーへの対処が難しい場合にうつの症状が現れる状態です。

ただし、昇進うつは診断名ではなく、仕事全般の要因によって起こる「うつの症状」を指す言葉であることに留意しておきましょう。

昇進うつの症状

仕事以外の要因で起こるうつの症状と同様に、昇進うつの症状はこころと身体に様々な変化をおよぼします。

こころの症状

  • 気分の落ち込み
  • 焦燥感があり落ち着かない
  • ネガティブな考えを持つことが増える
  • 集中力の低下

身体の症状

  • 食欲不振や過食
  • 腹痛や頭痛、吐き気
  • 慢性的な疲労
  • なかなか眠れない

症状は個人によって異なりますが、上記の症状が二週間以上続いている場合は、医療機関の受診を検討してみましょう。

うつの初期症状については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。

管理職が昇進うつになりやすい季節とは?

新年度が始まる4月

日本では4月に新年度が始まるため、昇進昇格後の業務も春から開始することが一般的です。

新入社員の入社や組織の再編成が行われたりと、4月は何かと職場環境が変化しやすい時期ですが、昇進昇格によって管理職になった場合は、自分も環境に適応しながらも、部下の状況も把握していくことが求められます。

「疲れたなんて言っていられない」
「早く立場や環境に慣れなくてはいけない」
「部下をしっかりとマネジメントしなくては」
という責任感から、がんばりすぎてしまうケースも少なくありません。

決算期後の10月

9月に決算期を迎える企業もあることから、決算期後の10月に人事異動が行われることがあります。

また、昇進うつに関わらず、日照時間や気温の変化によってうつの症状が出やすいのが、10月とされています。

管理職としての悩み

昇進うつになる原因は状況によって異なりますが、多くの場合は昇進昇格前の職場環境や業務内容の変化や、部下をマネジメントする立場での悩みから生じることが一般的です。

厚生労働省が、産業能率大学「上場企業の課長に関する実態調査」をもとにまとめた「管理職が感じる職場の環境の変化や管理職としての悩みについて」によると、多くの管理職が挙げている項目では、「求められている成果が出せていない」22.5%、挙げられることが増えている項目では、「部下がなかなか育たない」39.9%と高い割合となっています。


厚生労働省 2018年版労働経済の分析 第2-(3)-26図を参考に作成

上記の割合を見ても、役割に慣れるまでに時間がかかり、その間に生じるストレスやプレッシャーが、管理職としての悩みに影響していることが分かります。

管理職が昇進うつになりやすいケース
この章では、管理職が昇進うつになりやすいケースをいくつか紹介します。

1.部下の育成と指導

部下の育成や指導は、管理職の重要な役割の一つであり、部下それぞれのニーズや能力を理解し、適切なサポートやフィードバックを提供することが求められます。

しかし、育成や指導をしていく中で、部下のマネジメントに関する困難や課題に直面することは珍しくなく、管理職という状況や立場にストレスを感じ、メンタル不調になるケースがあります。

2.業務量の増加

昇進昇格後の自分自身の業務に加えて、部下やチームのフォローなどを行うことで、思うように仕事が進まない状態にストレスを感じるケースもあります。

昇進うつでは、管理職としての責任から長時間労働を続けてしまうことで、メンタルヘルス不調になる傾向も多いとされています。

3.周囲からの期待や嫉妬などのプレッシャー

新しい業務に対処する際に自信を持てず、不安感や緊張感が高まることで、昇進うつの症状が現れるケースもあります。

また、昇進昇格を逃した同期や先輩からの嫉妬などが、大きなプレッシャーに感じる場合もあるでしょう。

いやがらせなどを受けていると感じたら、ハラスメントに該当するかどうかを確認してみましょう。

職場ハラスメントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

4.昇進昇格後の役割の不明確さ

昇進昇格後、新しい役割や責任が明確に定義されていない場合、業務の優先順位や期待される成果について混乱が生じる可能性があります。

特に、昇格昇進後の移動先が新規部署などの場合などは、役割が不明確である場合が多く、指針にするものが無い状態で管理職としての業務を行う必要があるため、強いストレスにより昇進うつの症状があらわれる可能性があります。

5.望まない昇進昇格

技術職や専門職のビジネスパーソンの中には、部下をマネジメントすることにストレスを感じるケースも多いとされています。

特定の知識を要する業務で大きな成果を挙げてきたが、昇進昇格を機に苦手なマネージャーとしての業務も行うことになるなどの場合も、昇進うつのリスクを高める要因となります。

これらの要因は、管理職としての新たな役割や、責任に適応する際に生じる一般的な課題ですが、昇進うつを予防するためにはどのような対処法があるのでしょうか。次の章でくわしく紹介していきます。

昇進うつを予防する3つの対処法

昇進や昇格は、職業上の成長やキャリアの進展にとって重要な一歩です。

管理職としての役割に昇格する際には、新しい責任や業務内容への適応が求められます。このような変化に伴うストレスや、うつ症状を予防するための3つのヒントをみていきましょう。

  1. 自分自身の状態や状況を把握する
  2. 上司に相談をする
  3. カウンセラーに不安な気持ちを話してみる

1つずつ紹介していきます。

1.自分自身の状態や状況を把握する

  • 昇進昇格によって不安なことや、ストレスを感じることはなにか
  • 体調面での変化はないか
  • メンタル面で不調を感じることはないか

まずは、自分自身の状態と状況を把握していきましょう。

たとえば、理由はわからないけれど眠れないという場合は、なにか不安に感じていることはないか、昇進昇格前と違うことはないかなど、自分で気づいたことを整理していくことが重要です。

2.上司に相談をする

管理職に昇進昇格をした場合でも、更に上の役職である上長に悩みを相談することが重要です。

上長は管理職を経験していることが一般的ですので、抱えている悩みや不安などに理解を示してくれるでしょう。

また、「1.自分自身の状態や状況を把握する」で整理した変化を報告することで、企業側も適切なメンタルヘルスケアを行うことができます。

職場のメンタルヘルスケアについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

3.カウンセラーに不安な気持ちを話してみる

メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーに、仕事に対する不安や昇進うつの症状を話すことは、自分自身のストレスを知る上でも重要であるといえます。

客観的な視点から、問題解決に向けてのサポートを行うのがカウンセラーの役割ですので、上司への相談と併せて、外部のカウンセラーとのカウンセリングを利用することが効果的であるといえるでしょう。

ビジネスパーソンが利用しやすいオンラインカウンセリング

オンラインカウンセリングは、忙しいスケジュールの中でもビジネスパーソンが利用しやすい便利な選択肢です。

オンラインカウンセリングサービスでは、多くの場合24時間いつでも予約が可能ですので、自分のスケジュールに合わせたカウンセリング予約ができます。

また、インターネット接続があれば世界中どこからでも利用できるため、カウンセリングを受ける場所の制約がありません。

仕事の悩みに特化したオンラインカウンセリング

オンラインカウンセリングの中には、仕事の悩みに特化したサービスもありますので、カウンセリングを受けてみたいと思ったら気軽に利用してみましょう。

また、臨床心理士、公認心理師、EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)、精神保健福祉士などの資格を有したカウンセラーが登録されているかどうかも、オンラインカウンセリングを選ぶ際のポイントです。

スマホから簡単予約

オンラインカウンセリングは、スマートフォンがあれば予約からカウンセリングまでを行うことが可能です。

もちろん、インターネット接続があれば、パソコンやタブレットからでも利用することが可能ですので、昇進昇格で管理職になってから辛い、昇進うつの症状があるなどの場合は、カウンセリングを受けることを検討してみましょう。

まとめ

今回の記事では、管理職に昇進したビジネスパーソンが陥りやすい「昇進うつ」の原因と、予防するための対処法についてを紹介しました。

管理職という新たな役割に対する適切な準備とサポートを受けることで、ストレスや不安を軽減し、成功に向けて自信を持って進むことができます。

また、心身の健康を維持するためのセルフケアを怠らないことも重要ですので、メンタルヘルスの専門家であるカウンセリングを受けてみることも効果的です。
 

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