多くのビジネスパーソンが経験する5月病では、季節的な疲れやストレスにより「適応障害」と診断される症状が表れます。
この記事では、キャリア採用で転職をしたあなたに向けて、5月病が起こりやすい原因や対処法を紹介していきます。また、30代40代の世代別5月病対策にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
転職先で起こりやすい5月病の症状とは
5月病とは、環境に適応できずにストレス反応が起こる状態を指します。5月病は正式な病名ではないため、「適応障害」と診断されるケースが多く、以下のような症状が表れるとされています。
【身体の症状】
- 頭痛やめまい
- 疲労感やだるさが
- 胃腸の不調
【こころの症状】
- 不安
- 気分の落ち込み
- 焦燥感やイライラ
- 気分の浮き沈み
【行動の症状】
- 睡眠障害
- 過剰な飲酒や喫煙
- 過食または食欲不振
適応障害についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
転職先で5月病になりやすい3つの理由
この章では、キャリア採用で入社した転職先で、5月病になりやすい3つの理由を紹介していきます。
- 即戦力を期待されるプレッシャー
- 転職先と前職との比較
- 新しい環境や人間関係
順番にみていきましょう。
1.即戦力を期待されるプレッシャー
企業側はキャリア採用で入社したあなたに対して、即戦力を期待しています。
あなたは転職先の期待に応えるため、短期間で業務を人一倍こなしたり、業績を上げることに貢献する必要があると考えるようになるでしょう。
このようなプレッシャーは、新しい環境への適応を困難にします。
2.転職先と前職との比較
キャリア採用での転職に伴い、多くの場合は前職との違いを比較する傾向にあります。
特に、新しい職場の文化や業務スタイルが以前のものと異なる場合、あなたは馴染みのないスタイルに適応することが求められるため、ストレスを感じる要因になるでしょう。
また、転職後しばらくは、カルチャーショックを受けることがあるかもしれません。さらに、思い描いていた転職後の自分の在り方とのギャップが、ストレスを引き起こす要因になるケースもあります。
3.新しい環境や人間関係
キャリア採用で入社をした転職先では、職場の既存のチームや組織の中に新しく加わることになります。
新しい環境での人間関係の構築は、時間と労力を必要としますが、特に、既存のメンバーとの関係性やコミュニケーションスタイルが異なる場合、あなたは孤立感を抱くかもしれません。
新しい環境での役割やポジションを確立し、信頼関係を築くことにはいくつかのステップを踏むことも重要とされています。
しかしこの過程でのストレスは、あなたが5月病になりやすい要因のひとつであると考えてよいでしょう。
転職先での5月病対策4選
転職先でできる5月病対策は以下の4つです
- 意見のすり合わせ
- その日の出来事を記録する
- 自分の状態を把握する
- サポートを受ける
順番にみていきましょう。
1.意見のすり合わせ
転職後しばらくは、可能な範囲でミーティングを設定してもらいましょう。
業務の振り返りなども含め、上司や同じチームの従業員と話すことで、チームの文化やコミュニケーションスタイルについても理解を深めることが期待できます。
質問は積極的に投げかける
意見のすり合わせを行う中でも、質問を積極的に投げかけ、自分がどのように貢献できるかを明確にしていくこともポイントです。
業務のプロセスを把握することで、自分の役割をより効果的に果たすことができるでしょう。
2.その日の出来事を記録する
メモや日記などにその日の出来事を記録しておくことも効果的です。また、余裕があれば業務進捗も記録しておくとよいでしょう。
例えば、「今日は初めて使用するアプリケーションでの業務だったが、先輩のアドバイスもあり比較的スムーズに作業ができた」のような、簡単な内容を残しておきましょう。
学びや改善に役立つ記録
日々の業務や経験に関する短いメモを残すことは、将来の学びや改善に役立ちます。
自分の成長の軌跡を振り返ることができますし、同じような状況に遭遇した際に役立つ情報として活用することができます。
3.自分の状態を把握する
自分の状態を把握することは、新しい環境での適応において非常に重要です。以下のポイントを参考に、自分の状態を把握してみましょう。
感情のチェック
自分の感情や心理的な状態を定期的にチェックしましょう。
転職にはストレスや不安、興奮など、さまざまな感情の変化が伴うため、自分の感情を正しく認識することが大切です。
身体的な状態のチェック
身体的な疲れや不調も心理的な状態に影響を与えることがありますので、転職してからの身体の状態を把握しておくことも大切です。
特に不眠や頭痛、肩こりや胃の不快感などをチェックしておくことは、健康管理の面でも重要であるとされています。
ストレス要因は何かを考える
転職後のストレスの要因を考えてみましょう。新しい環境や業務、人間関係などのさまざまな要因が、ストレスにつながっている可能性があります。
4.サポートを受ける
会社からも上司からも期待される、キャリア採用で入社したあなただからこそ、すべてを全力でこなしたいと思うでしょう。
しかし、抱えきれない状況になったら、我慢せずに早めに上司や同僚、あるいは人事部門などに相談しましょう。自分一人で解決しようとせずに、適切なサポートを受けることが大切です。
カウンセリングが心強いサポートに
転職後の職場環境に慣れていない段階で、社内に相談することのハードルが高いと感じている場合は、カウンセリングを受けることも視野に入れてみましょう。
カウンセリングを受けることは、ストレスや心理的な負担を抱えている場合に非常に有益な手段です。
全てを完璧にこなそうとすると、日々ストレスが蓄積されていくため、気づけば会社に行くのが困難な状況になっていたというケースも考えられますので、がまんをしないことが最も重要な対策であるといえるでしょう。
30代40代のビジネスパーソンが抱える悩み
2019年に厚生労働省がまとめた 国民生活基礎調査の概況によれば、30歳から59歳までの悩みやストレスがある者の割合は非常に高くなっています。
特に女性では30歳から49歳までが60%を越えており、男性も他の年代と比べると高い割合となっています。
厚生労働省 | 2019年 国民生活基礎調査の概況 図21を参考に作成
それでは、5月病を30代、40代の年代別に見ていきましょう。
疲れを感じやすくなる30代後半の5月病
徹夜や暴飲暴食をしても、少し眠れば回復していた20代。どこかしら不調な気もするけれど、休日にしっかりと休めばまだなんとかなっていた30代前半。
そして若手時代や転職前と同じ生活リズムで仕事をすることに、やや疲れを感じやすくなるのが30代後半でしょう。
しっかり寝たはずなのに、起きた時点ですでに疲れていると感じる事も多いのではないでしょうか。
また、新たなキャリアへの第一歩として、転職を機に生活環境が変化したケースもあるかもしれません。
長年の習慣を見直してみる
キャリア採用で転職した場合は、長年続けていた悪習慣などをリセットするのによい機会であると考えることもできます。
自身で「よくない習慣だな」と思いながらも続けてしまっていることがあれば、見直してみるのもよいでしょう。
スマホを見すぎているならば、寝る1時間前には触らないようにしよう、早食いならば最低20回は噛むようにしようなどです。
ポイントは、いきなり大きな悪習慣を改善するのではなく、小さなことから手をつけていくことです。
5月病の症状が出始めた時も同様で、会社が辛いと感じたら細かい要因から探っていくとよいでしょう。
常に疲れている40代の5月病
40代に入ると、新しいキャリアでの挑戦が続く中で、以前は楽しんでいた趣味や休息の時間が減少するかもしれません。
新たな挑戦に伴う自然な変化だと理解していても、例えば読書や長い映画に集中することが難しくなったと実感するのが40代ではないでしょうか。
大型連休前後のスケジュールの調整をしておく
結局、何をしていても疲れるという経験をするのが40代です。
ちょっと無理をして楽しんだ休日後の出勤ほど辛いものはありません。5月病の症状も、限界に近い状態で仕事をする際に表れることが少なくないのです。
特に、転職などで4月から環境が変わり、はじめての長期休暇を迎えるにあたっては、スケジュールを調整をしておくとよいでしょう。
5月病の自覚症状があるなら相談を
キャリア採用で転職した際に起こる5月病の症状は、日常的に受けているストレスを自覚するきっかけになるかもしれません。
長期間け続けたストレスによって、社会人はこういうものだろう、このくらいの疲労や気分の落ち込みは当たり前だと思っていませんか。
転職したばかりで社内の相談窓口には相談しづらいし、家族にも弱音をはくのは気が引けると、悩みをひとりで抱えているのであれば、オンラインカウンセリングを視野に入れてみるのはいかがでしょうか。
リラックスして相談できる「オンラインカウンセリング」
オンラインカウンセリングはスマートフォンから簡単に予約を取ることができ、インターネットがつながる環境があれば、リラックスした状態で自宅からでも相談が可能です。
いつでも話せるオンラインカウンセリング
オンラインカウンセリングは夜の遅い時間帯でも対応している事が多いので、誰かに話を聞いて欲しいと感じたら、休憩中や移動中、仕事帰りの電車のスキマ時間で予約をして、帰宅後にカウンセラーに相談するという使い方もできます。
この辛さを誰かに話したいという気持ちがあるなら、予約をしてみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、キャリア採用で転職をしたあなたに向けて、5月病が起こりやすい原因や対処法、そして30代40代の世代別の5月病対策も併せて紹介してきました。
5月病は誰にでも起こり得る症状です。もし辛いと感じていたら、がまんをせずに相談をしてみましょう。
オンラインカウンセリングなら365日、いつでも予約が可能です。誰かに話したい、相談したいと思ったら利用を視野に入れてみましょう。
mezzanineのカウンセラー
メザニンコラムを発信している「mezzanine」では、オンラインカウンセリングを提供しています。
ご自宅から、専門性の高いカウンセラーからのカウンセリングを受けられます。
メザニン登録カウンセラー
平井 綾乃 Ayano HIRAI
臨床心理士、公認心理師、キャリアコンサルタント
うつ病や適応障害による休職・復職支援、EAPと連携した高ストレス該当者のフォローアップなどの経験が豊富です。
【メッセージ】
いまのあなたにとっての「無理しないでね」を一緒に考えます。
悩み事が出口の見えないトンネルとするならば、そのトンネルの出口までの道標としてお役に立ちたいと思っています。
普段は心療内科クリニックやスクールでカウンセリング業務を行っています。