仕事に対して突然やる気が無くなってしまった、という経験をしたことがあるビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
やる気が回復し、業務を続けることができれば問題ありませんが、それがストレスによって引き起こされる症状だとしたら注意が必要です。
今回の記事では、バーンアウトとも呼ばれる燃え尽き症候群になりやすい人の特徴と、対処法について詳しく解説します。
燃え尽き症候群とは
燃え尽き症候群とは、長期間にわたる過度なストレスやプレッシャーにより、仕事に対する意欲が低下し、心身が消耗してしまう状態を指します。
もともとは医師や看護師、ケースワーカー、教師などの対人サービス従事者が、まるで燃え尽きたかのように意欲を失う状態を指すために使われていました。
現在ではオーバーワークやキャパシティーオーバーなど、様々な分野のビジネスパーソンに現れる、仕事のストレスに起因する症状として使用されるようになっています。
オーバーワークによる燃え尽き症候群
オーバーワークは、過剰な労働や業務量の増加によって引き起こされる状態です。
長時間労働や休息時間の不足が続くと、身体的、精神的な疲労が蓄積していくため、オーバーワークは燃え尽き症候群の一因になり得ると考えられています。
キャパシティオーバーによる燃え尽き症候群
キャパシティオーバーは、個人の能力やリソースを超える要求や期待がかけられる状態を指します。
自分の能力以上を求められる事で起こるストレスやプレッシャーが続くことで、燃え尽き症候群のリスクが高まると考えられています。
燃え尽き症候群の主な兆候
燃え尽き症候群の主な兆候は、一般的に以下が挙げられます。
慢性的な疲労感 |
休んでも取れない持続的な疲れ |
睡眠の問題 |
寝付けない、早く起きてしまう |
集中力の低下 |
簡単な作業にも集中できない |
イライラや不安感 |
常にイライラしていたり、理由もなく不安を感じる |
身体の不調 |
頭痛や肩こり、消化不良や筋肉のこわばりなど |
燃え尽き症候群の主な症状
燃え尽き症候群の症状は、以下の3つに分類されます。
- 極度の疲労感
- 人間関係への無関心
- やる気の低下
1つずつ詳しくみていきましょう。
1.極度の疲労感
メンタル面における極度の疲労感は、燃え尽き症候群の中でも特に強い症状として現れます。
どれだけ休んでも疲れが取れない
常に疲労感が残り、場合によっては就寝前より起床時、もしくは起床時よりも仕事中に極度の疲労を感じることがあります。
以前は楽しめていた事に興味がなくなる
以前は楽しめていた趣味や活動に対しても興味や関心がなくなり、何事にもやる気が起こらない場面が増えます。
また、日常の簡単なタスクを行うことでさえ、エネルギーを使い果たしてしまうと感じます。
2.人間関係への無関心
燃え尽き症候群の症状のひとつとして、人間関係への無関心が挙げられます。
対人関係において冷淡になる
職場や家庭での対人関係において、感情を持たずに機械的に対応する場面が増え、他者の感情やニーズに対して共感することが難しくなります。
他者に対する関心が薄れる
他者の気持ちに関心を持てなくなることで、自分自身の役割や仕事に対しても無関心になり、仕事に意味や価値を見出せなくなります。
3.やる気の低下
燃え尽き症候群の症状のひとつである、やる気の低下は、徐々にではなく突然起こることが大きな特徴として挙げられます。
やりがいを感じない
以前はやりがいを感じていた仕事やプロジェクトに対して、無気力な状態になります。特に、懸命に打ち込んでいた事に対して、努力しても成果が出ない、思い描いていた結果を
得られなかったなどの場合は、いわゆる「こころが折れた」状態になります。
自信の喪失
自分の能力が低下したと感じ、仕事に対して自信を持てなくなります。その結果、些細なミスや失敗が増え、自己評価が下がることでさらにストレスを感じる事が多くなります。
燃え尽き症候群になりやすい人の特徴3つ
燃え尽き症候群は誰にでも起こり得る症状ですが、この章では一般的に燃え尽き症候群になりやすいとされる人の特徴についてみていきましょう。
1.仕事熱心で責任感が強い人
仕事熱心な人は、プライベートよりも仕事を優先し、休日でもメールのチェックや残務処理に時間を費やしている場合は、燃え尽き症候群になりやすいといえるでしょう。
また、仕事に対して集中しすぎるため、他者に仕事を任せることができず、結果的に自分自身の限界以上にがんばりすぎる傾向があります。
2.不規則な勤務体制の人
医師や看護師、ケースワーカー、教師などの対人サービス従事者に燃え尽き症候群が多いとされる背景には、勤務体制の不規則さも影響しています。
固定曜日に休日がなく、日勤や夜勤などの交代制の変則シフトの職業の場合は、オンとオフを切り替えることが難しく、結果的に過剰な業務量や労働時間になるケースがあります。
3.完璧主義の傾向がある人
やるからには100%に近い結果を出したい、仕事には手を抜きたくないという、真面目で完璧主義の傾向がある人は、燃え尽き症候群になりやすいと考えられています。
途中で投げ出すことはせず、無理をしてでも業務に取り組んだ結果、ストレスによって突然やる気を失うケースがあります。
燃え尽き症候群への対処法
では、燃え尽き症候群の症状が現れた場合は、どのように対処していけばよいのでしょうか。
- タスク管理を行う
- オンオフの切り替えを意識する
- 上司と相談して業務量を調整する
- メンタルヘルスの専門家に相談する
順番にみていきます。
1.タスク管理を行う
業務を行う上でも、タスク管理は非常に重要であるといえます。
- タスクは期限内に終わらせることが可能か
- 余裕を持たせたスケジュールになっているか
- イレギュラー対応が発生した場合のフローは共有されているか
まずは上記のように、ざっくりですがタスクを把握しましょう。
その上で、今度は自分自身の、特に厳密な期限を設けない業務の整理をしていきます。この時ToDoリストなどを活用するのが効果的です。
タスク管理を行うことで優先順位がつけやすくなるため、リスク回避にもつながります。
2.オンオフの切り替えを意識する
燃え尽き症候群の対処法として、仕事とプライベートの時間を明確に分け、オンとオフの切り替えを意識することが挙げられます。
オンオフの切り替えが得意ではないビジネスパーソンの場合は、退社時間を意識することから始めるとよいでしょう。毎日切りのよいところまで仕事を続けてしまうという場合は、仕事が終わるまでではなく、時間で区切るイメージを持つとよいかもしれません。
3.業務量を調整する
タスク管理やオンオフの切り替えを意識しても、業務量の多さは個人では対処できない場合がほとんどであるといえます。
チーム内でサポートが期待できる場合は、ミーティングなどを通して業務内容の共有を行うことも効果的ですが、根本的な業務量の調整に関しては、上司に相談をすることで負担軽減が期待できます。
4.メンタルヘルスの専門家に相談する
専門家のアドバイスを取り入れることは、燃え尽き症候群に対処する際に非常に重要です。
特にメンタルヘルスの専門家である心理カウンセラーは、知識と経験に基づき状況やニーズに合わせたサポートを行いますので、カウンセリングは有用な手段であるといえるでしょう。
燃え尽き症候群の悩みをカウンセリングで相談する
燃え尽き症候群の悩みをカウンセリングで相談することは、症状の認識や問題解決のために役立ちます。
カウンセリングを通じて専門家のサポートを受けることで、燃え尽き症候群に対する理解が深まり、適切な対処法やプランが見つかるかもしれません。
また、カウンセラーからの客観的な視点により、いままでは気づかなかった自分自身の感情の「くせ」やパターンを知ることができるでしょう。
自宅から受けられる「オンラインカウンセリング」
オンラインカウンセリングは、忙しいビジネスパーソンにとって便利な選択肢です。
また、オンラインカウンセリングは、スケジュールの調整がしやすく、プライバシーが保たれるので、気軽に利用することができます。
燃え尽き症候群に苦しんでいる場合、カウンセリングを受けることでストレスの軽減や心の安定を図ることができます。
自分の感情や状況を客観的に見つめ直し、健康的なストレス管理の方法を学ぶことができるしょう。
まとめ
今回の記事では、長期間にわたる過度のストレスやプレッシャーにより、突然仕事に対する意欲が低下する、燃え尽き症候群になりやすい人の特徴や、対処法について解説しました。
燃え尽き症候群は誰にでも起こり得る症状です。限界までがんばってしまう傾向がある場合は、一度メンタルヘルスの専門家である、心理カウンセラーとのカウンセリングを受けてみることを検討してみましょう。
mezzanineのカウンセラー
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メザニン登録カウンセラー
佐々木 隆嘉 Takayoshi SASAKI
臨床心理士、公認心理師
会計事務所での勤務など、様々な社会人経験を経たのち大学院に入学。修了後、医療・教育領域をメインに業務にあたっています。
【メッセージ】
話をしても何も解決しないかもしれない、話すこと自体がつらい、カウンセラーと合わないかもしれないなど、不安に感じることもあるかもしれませんが、一歩踏み出してご相談いただければと思っています。
あまり堅苦しくならず、ただ愚痴を話してまったりする時間にしていただいても大丈夫です。