仕事で大失敗をしてしまうとショックで立ち直れず、自分には能力がないと思い込んでしまうことでメンタル不調となるケースがあります。
大切なことは、失敗から少しでも早く立ち直り、経験を活かして次につなげるということです。今回は、失敗してしまう原因や放置するリスク、そして失敗から立ち直る方法や予防策を紹介していきます。
仕事での大失敗は何が原因?
ここでは、仕事で大失敗が起こりやすい代表的な要因をいくつか紹介します。
準備や勉強が不十分
プロジェクトや業務に対する事前の準備が充分ではなかったために、業務に支障をきたしたり、想定できた事態やトラブルを上手く回避することができずに、大きなミスにつながってしまうケースはよくあります。
また、事前の勉強不足で、取引先の情報や業務に関する知識不足により取引先との交渉がスムーズにいかない場合や、チーム全体に迷惑をかけてしまうといった事態にもつながります。
コミュニケーション不足
例えば、プロジェクトチーム内で役割分担や進捗状況の共有が十分に行われずに、誰がどのタスクを担当しているのかが曖昧な状態が続いたことでタスクが重複してしまったり、抜け漏れなどが発生した結果、最終的にプロジェクトの納期が遅れる場合があります。
他にも、工場や建設現場などで、作業手順や安全対策に関する情報が作業員に適切に伝わらなかったために、安全上の重大なミスが発生することで事故や怪我が増える可能性もあります。
自分勝手な行動
社内のガイドラインや、チーム内のルールを守らずに、自分の勝手な判断や行動でチーム全体に迷惑をかけてしまう場合があります。
例えば、重要な情報や進捗状況を他のチームメンバーに共有せず、自分一人で抱え込んでしまったために、チーム全体の意思決定が遅れたり、重要なタスクが漏れたりして、プロジェクトの失敗や重大なミスが発生するケースもあります。
他には、セキュリティポリシーを無視して外部のデバイスを使ったことにより、セキュリティの脆弱性が生じ、データ漏洩やシステムトラブルが発生し、会社全体に多大な被害をもたらすことも考えられます。
判断ミス
私たちは日常生活においても様々な判断をしながら生きていますが、それが仕事の局面となると、責任やプレッシャーも重くなってきます。その重圧や緊張感によって判断を誤ってしまい、大きなミスにつながってしまう場合もあります。
また、普段は間違えないような判断も、体調不良や集中力が低下していたりすると判断を間違えてしまう場合があります。
不測の事態
準備も万全で、チームの連携もしっかり取れていても、不測の事態でミスが起こってしまう場合もあります。
例えば、システムの不具合やサイバー攻撃などの障害によるトラブルや、交通事故や天災により物流がストップしてしまうなどの事態は、避けようのないミスといえるでしょう。
大失敗をしやすい「○○ない人」7タイプ
大失敗をしやすい人は「○○ない人」が多い傾向にあります。ここでは8つのタイプを紹介します。
1.メモを取らない人
メモをあまり取らない人は大失敗をしやすい傾向にあります。どれだけ記憶力に自信があっても、煩雑な手順を一度聞いただけで、覚えておくことはとても難しいといえるでしょう。
クライアントからの細かい要求や、会議での重要な変更点などをメモしてなかったことで記憶があいまいになり、しっかりと修正が行なわれず契約を取り消されてしまうような事態にもつながりかねません。
2.しっかり確認をしない人
でき上がった資料の確認をしっかりと行なわない人や、現場での安全確認などを適当に済ませてしまうタイプの人は、重大な失敗を起こす可能性があります。
スケジュールの確認ミスで納期を間違えてしまったり、メールを送信前に再度確認しなかったことで、守秘義務のある取引先データなどを別の会社に送ってしまうなどの重大なトラブルも考えられます。
3.報連相ができない人
報連相は仕事の進捗や問題点をチームや上司と共有する重要な手段です。これができない人は、問題を早期に発見できず、対策を講じる機会を逃すことが多い傾向にあります。
また、チームの連携が取れず、個人のミスが全体に影響を及ぼすリスクも高まります。結果として、小さなミスが大きな失敗につながりやすくなりますので、報連相を怠ったり、適当な報告をしてしまう人も大失敗を起こしやすいと言えるでしょう。
4.責任感が足りない人
責任感が足りない人は、自分の仕事やミスに対する意識が低く、問題が起きても「誰かがなんとかしてくれるだろう」と思いがちです。そのため、対応が遅れて問題が大きくなるケースも考えられます。
また、チームの中でも信頼されにくく、みんなの足を引っ張ることになります。結果的に、小さなミスが大きなトラブルに発展しやすく、自分の評価やキャリアにも悪影響を及ぼします。
5.反省をしない人
ミスや失敗は誰にでもあるものです。しかし、失敗した際にしっかりと反省し原因究明を行わないで放置してしまうようなタイプの人は、同じ失敗を繰り返しやすいと言えるでしょう。
また、反省し「二度と同じミスをしない」と改める姿勢が見えないと、チームや上司からの信頼感が低下し、プロジェクトメンバーから外されたり、新しい挑戦をさせてもらえない可能性も出てきます。
6.スピードしか考えていない人
何よりも仕事を早く終わらせたい、いわゆる「スピードしか考えていない」人は、仕事の質よりもスピードを優先しがちです。
そのため、細かい部分を見逃したり、確認を怠ったりすることが多く、ミスや不備が多くなります。その結果やり直しが増え、かえって時間がかかってしまうこともあります。また、周りからは「いい加減な人」と見られてしまい、信頼を失うことになりかねません。
7.仕事に慣れていない人
新しい仕事や慣れていない業務に取り組む人は、手順や重要なポイントを把握しきれずにミスが多くなりがちです。経験が浅いため、どこに注意すべきか分からず、基本的なミスをしやすいです。
また、不安や緊張から焦ってしまい、さらにミスを重ねてしまうこともあります。このような状況が続くと、業務全体の進行にも支障をきたす可能性があります。
大失敗が続くとどうなる?
大失敗が続くと、自分自身だけでなく職場全体にも大きな影響を及ぼします。ミスが積み重なることで、さまざまな問題が発生し、仕事の質や効率が低下するだけでなく、長期的なキャリアにも悪影響を与える可能性があります。この章では具体的なリスクを3つ紹介します。
周囲からの信頼を失う
仕事において信頼関係はとても重要で、上司や同僚からの信頼があるからこそ、円滑に仕事が進みます。しかし、ミスが続くと「あの人に任せて大丈夫かな?」と疑念を持たれるようになります。結果として、重要な仕事を任されなくなったり、チームからのサポートが期待できない状況になる場合があります。
また、クライアントや取引先からの信頼も失われ、会社全体の評価にも悪影響が出ることも考えられます。
出世や転職に影響する
出世や昇進には、過去の成果や信頼性が重要な要素の一つとなりますが、ミスが続くとその評価が低下し、昇進の機会を逃す可能性が高まります。
また、転職活動においても、実績や信頼は重要な評価基準です。ミスが多いと、過去の成果をアピールできないだけでなく、過去のミスが流布され、求人市場での評価が落ちる場合があります。
結果として、キャリアのステップアップや新たな挑戦のチャンスが限られてしまうことになりかねません。大失敗がキャリアの成長や転職の障害になるのは避けたいところです。
自信を無くす
失敗が重なると自信が揺らいでしまいます。自分の能力や判断力に対する疑念が生まれ、自信喪失の悪循環に陥ることがあります。
さらに、失敗の責任を感じるストレスや焦りから、業務に対する前向きな姿勢が低下することで新しい挑戦への意欲や積極性も低下し、結果としてキャリアの成長を妨げてしまう可能性もあります。
自信がなくなると、プロジェクトやチームでのリーダーシップも発揮しにくくなり、消極的な判断や行動が新たな失敗を招く恐れがあります。
大失敗した時は「○○する」4つの対処法
大きな失敗があった場合、適切な対応をすることが再発防止につながっていきます。そのためにも、失敗を素早く認識し、重要性を理解することが第一歩と言えます。
ここでは、問題を再発させないための対処法として4つの「○○する」を紹介していきます。是非参考にしてみてください。
1.正直に報告する
正直に報告することは大変勇気のいることです。しかし、自分のミスを正直に報告することで、信頼関係を損なわずに済む可能性があり、さらにチーム全体での透明性を確保することにつながります。
また、早い段階で問題が認識できると、迅速に対処できるため、被害の拡大を防ぐことが可能です。
自らの過ちを率直に認める姿勢が、誠実さや責任感を示すことにつながり、信頼を築くチャンスにもなり得るでしょう。
2.非を認め謝罪する
自分の非を認め謝ることも大変勇気のいる行動です。しかし、素早く自らの過ちを認め、関係者や影響を受けた人々に真摯に謝罪することは、信頼関係を修復する第一歩となります。
素直な謝罪は、誠実さと責任感を示す機会でもあり、チーム内外での評価を高める大きな要素となる場合もあります。
しっかりと謝罪する姿は、周囲にも同様に自らの過ちを認める勇気を持つ助けになり、職場にポジティブな雰囲気を生み出します。
また、過ちを認めることは、自らの成長と学びにもつながり、同様のミスを未然に防ぐための機会ともなるでしょう。
3.周知する
失敗が発生したら、ただちに関係者にその内容を率直に伝えることで、他のメンバーや関係部署が同様の問題に備えることができます。
また、失敗の周知が組織の透明性を確保することにもつながり、組織全体の信頼性を高めてくれる効果も期待できます。
さらに、失敗の周知を行なうことで、責任の所在が明確になり今後の対策やチーム全体での学びを促進し、同じ失敗を繰り返さないための教訓を共有することにつながります。
ただし、周知する際には事実を正確に伝え、過度な責任転嫁や非難を避けるようにしましょう。
ヒヤリハット
ヒヤリハットとは、事故防止や安全対策関連の用語であり「大きな事故や被害は免れたものの、重大な事故になっていてもおかしくないエラーやミスのこと」を指します。危険な思いをした際に「ヒヤリ」としたり「ハッと」することからヒヤリハットと呼ばれています。
ヒヤリハット活動は厚生労働省を中心に推進されていますので、ぜひ一度取り組んでみてください。
厚生労働省「ヒヤリハット活動でリスクアセスメント」
4.問題解決に尽力する
失敗や問題が起きた際に、その解決に尽力することで、チームや組織全体が同様の問題に対し迅速かつ効果的に対応できるようになります。
また、他のメンバーや関係者と協力して解決策を見つけることで、チームワークと信頼関係を築く機会にもつながりますし、問題解決の過程で新たなアイデアや視点が生まれる場合もあります。
ただし、解決策を見つける過程での試行錯誤や失敗の可能性もありますが、それらを成長の機会と捉え、積極的に取り組むことで問題解決能力の向上が期待できます。
大失敗から立ち直る方法
大失敗してしまったときに大切なことは、失敗をしっかりと反省し経験から学ぶと同時に、いかに早く立ち直るかということです。ここでは、大失敗から立ち直る方法をいくつか紹介します。
失敗の分析をする
失敗した理由を冷静に掘り下げ、何がうまくいかなかったのかを明確にしましょう。それにより、自分の行動や判断を客観的に振り返り、どこでミスをしたのかを見極められるようになります。
合わせて、他人の視点や意見も取り入れると、より広い視野から問題を捉え直すことができます。失敗の分析を通じて得られた洞察や仮定は、次のチャレンジに向けた貴重な教訓となり得るでしょう。
気持ちを切り替える
大失敗や大きな挫折を経験した直後はひどく落ち込んだり、自分はダメだと自己肯定感を下げてしまう人も少なくありません。ここで大切なのは【事実】と【意見(感想)】を分けて考えることです。
失敗したことは【事実】ですが、「また失敗するかも」や「自分はダメな人間だ」というのは【意見(感想)】でしかありません。今回失敗したから次も必ず失敗するとは限らないですし、あなた自身の人間性とは別の問題と言えます。
ですので、事実を認識し反省したら、直ぐに気持ちを切り替えることが大切です。例えば、身近なところでは、深呼吸をしてみたり散歩をしたりすることで、ネガティブな気持ちを軽減できますし、時間のある方は、趣味に没頭することで気持ちを切り替えやすくなります。
ネガティブな感情や考え方をコントロールできれば、新たなチャレンジに向けて前向きな気持ちをもつこともできます。
しっかり休む
休養は立ち直るための一番大切な要素と言えます。仕事から一旦離れ、しっかりと休むことで、気持ちを切り替えることができます。
また、睡眠不足は集中力の低下を招き、さらなるミスを誘発する可能性もありますので、しっかりと睡眠をとることで翌日から高いパフォーマンスを発揮できるようにもなります。
大失敗しないための予防策5選
大失敗は事前の準備で予防できる可能性が高まります。この章では、大失敗を避けるために効果的な予防策を5つ紹介します。
1.自分のトリセツを作る
人は意外と自分自身のことをしっかり把握できていなかったりするものです。例えば「自分はどういう時にミスをしやすいのか」や「どんな時に集中力が下がるのか」など、過去の失敗の傾向を洗い出し、どう備えておくべきかなどの取扱説明書を作成していきます。
自分の傾向を可視化することで、対策を取りやすくなりますし、周囲にサポートをお願いする際の指示が明確になります。
また、自分のトリセツは自己管理ツールとしても大変有効で、自己評価や振り返りのための指標としても活用することができ、定期的な改善や成長の手助けにもつながるでしょう。
2.こまめな報連相
定期的な情報共有や進捗報告は、チーム全体の協力関係を強化し、誤解やミスの可能性を減らすことにつながります。
また、業務内容や予定などが変わったら、すぐに関係者に連絡することで、思わぬ誤解や混乱を防ぐことができます。特に重要な情報や予定の変更は、早急に共有することで重大な失敗を防げる場合があります。
そして、自分だけで解決しようとせず、分からないことや難しいことは上司や同僚に相談することで、より良い解決策が見つかる可能性があります。
特に新しいプロジェクトや複雑な課題に取り組む際には、知識や経験を共有し合うことで、チーム全体の力を最大限に活用することができます。こまめな報連相を行なうことで、思わぬ失敗を未然に防ぐだけでなく、自己成長の機会を得ることも期待できるでしょう。
3.視点を変える
自分の行動や思考パターンはどうしても決まってきてしまいます。それを柔軟に変えてみることで、新たなアイデアや解決策が見つかることがあります。
具体的には、上司や同僚などの視点や意見を聞き入れることで、自分の考えを補完したり、より広い視野で物事を捉えることにつながります。
また、問題の本質を見極めるためにも物事を別の角度から見つめ直すことは有効です。新しい視点や考え方を取り入れることで、普段見逃していた可能性やチャンスに気付くことができる場合があります。
4.常に疑う
タスクを完了するたびに「作成した書類にミスがあるかもしれない」や「この判断は間違っていないか」など、疑いながらもう一度チェックを行なうことで、今まで気づかなかったミスやタスクの抜け漏れなどを発見できる場合があります。常に疑問を持つことで、新しい発見や改善点を見つけるきっかけにつながります。
5.余裕を持つ(無理をしない)
時間に余裕を持つことで、予期せぬ問題や遅延に柔軟に対応できます。また、時間的な余裕があれば、計画的かつストレスなく業務を進めることが可能になります。
時間の余裕がない状況では、焦りやミスが生じ、大きな失敗の引き金となる可能性がありますので、タイムマネジメントを意識しながら、余裕を持ったスケジュール作成が業務の効率化につながります。
また、プロジェクトや業務の人員や物資を確保する立場にある場合には、十分なリソースを確保することで、スムーズな業務進行が期待できる上に、予期しないトラブルにも対応できる可能性が高まります。
それでも失敗してしまうときは…
どれだけ準備をしていても、失敗してしまう時はあります。そんな時は、色んな人に相談することで改善の糸口が見つかるかもしれません。
周囲に相談する
上司や職場の同僚などに相談してみるのも良いでしょう。実は過去に同じような経験をしていて、その際の対処法などを聞き出せる場合もあります。
業務内容が自分の適性に合わないためにミスをしてしまう場合には、上司に相談することで業務内容の変更や部署異動などの根本的な対処をしてもらえるかもしれません。
自分の抱えている悩みや不安を周囲に聞いてもらうことで、安心して業務を行なえるようになったり、周囲が失敗を事前に予知してフォローしてくれる場合もあります。
専門家に相談する
気軽に相談できる環境にあれば良いのですが、職場での不安や悩みは会社の人や家族にも相談しづらい場合も多いです。
また、職場で業務への不安を周囲に伝えることで、自分の能力を低く見られてしまうのではないかなどの不安もあるかと思います。
そういう場合には、カウンセラーなどの専門家に相談してみるのも大変有効な手段です。カウンセラーは、仕事で失敗した際のメンタルダウンだけでなく、仕事で失敗するかもしれないなどの不安や悩みまで気軽に相談できます。
オンラインカウンセリングは予約も簡単
オンラインカウンセリングはインターネットにつながる環境であれば24時間、スマートフォンからでも簡単に予約が取れます。また、オンラインカウンセリングは自宅で相談できるのもメリットです。
相談をするために移動する時間を省くことはもちろん、なによりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットです。
まとめ
今回は、仕事で大失敗してしまう原因や放置するリスク、失敗からの立ち直り方や予防策などを紹介してきました。
失敗は誰にでもあります。大切なことは、失敗と向き合い反省し、その経験からしっかり学ぶことで、同じ失敗を繰り返さないようにすることです。
そのためにも、しっかり気持ちを切り替えることが大切です。また、困った時には一人で抱え込まず、職場の仲間や身近な人、専門家などの力をかりることも大切です。
mezzanineのカウンセラー
メザニンコラムを発信している「mezzanine」では、オンラインカウンセリングを提供しています。
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メザニン登録カウンセラー
宮園 さとみ Satomi MIYAZONO
公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント
プログラマ等の社会人経験を経て、職場のメンタルヘルス問題のニーズを感じ、対人支援職に転向。就労支援、リワークなど、メンタルヘルスに関わるプログラムに携わっています。
【メッセージ】
今まで目を向けてこなかった自分の可能性や、これからの選択肢、自分への理解を深めるお手伝い等、人生という長距離を走るあなたに、寄り添い伴走しながら、応援する。そんなカウンセリングの時間を提供できればと思っています。