多くの企業で行われている人事異動や昇進昇格。中でも、これまでプレイヤーとして成果を追い求めてきたビジネスパーソンが、チームやユニットを率いるリーダーへと昇格するケースも少なくないのではないでしょうか。
自身の成果に注力していればよかったこれまでの立場から一転、部下の成長やチームの成果にも責任を持ち、それが自身の評価にもつながるマネジメント層としての役割を担う中で、指導への戸惑いや、思うように部下が育たないことへのもどかしさを感じることもあるかもしれません。
そこで今回の記事では、20代~30代のリーダーに昇格したばかりのビジネスパーソンが直面しやすい「部下育成の難しさ」や「マネジメントの壁」に焦点を当て、悩みとどのように向き合い、乗り越えていけるのかについて考えていきます。
部下が「育たない」と感じる原因
新任のリーダーは、部下が指示に従わなかったり、思うような成果を出さないでいると、「部下が育っていない」と感じてしまうことがあります。そこには部下側の要因と若手リーダーの特有の状況が影響している場合があります。それぞれ見ていきましょう。
部下側の要因
1.受け身の学習姿勢
小学校から始まり、高校、専門学校や大学といった教育機関では、「与えられたことを学ぶ」という受け身の姿勢が中心になるのも無理のないことだといえるでしょう。しかし社会に出ると、自ら課題を見つけて「主体的に学ぶ」姿勢が求められるようになります。
上司や先輩からの指導を受ける中で、つい学生時代のように受け身になってしまい、自分で調べたり考えたりする主体性を持つことが難しく、なかなか成長を実感できないケースもあります。
2.コミュニケーションの壁
慣れない環境の中で、職場の人々とうまくコミュニケーションを取るのは、決して容易なことではありません。新入社員の中にはうまく立ち回ることで、なんとか良好な関係を築こうと努力している人も多く見られます。
こうした状況の中で、指導役の上司やリーダーから「理解できたかな?」と尋ねられた際、本当はまだ十分に理解できていなくても、失望されたり叱られたりするのではないかという不安から、つい「はい。大丈夫です」と答えてしまうケースもあります。
3.自己認識の甘さ
新入社員の中には、「自分は何でもできる」と自信に満ち溢れている人もいます。もちろん、自信を持つことも大切ですが、それが時に業務のクオリティの妨げになっている場合があります。
また、職場での自分の強みや弱みを客観視できずに、会社から適性に合わない業務を命じられていても、その認識がないことで、上司から「育たない」と受け止められてしまう場合があります。
若手リーダー特有の状況
部下が上手く「育たない」原因には、20代や30代の若いリーダー特有の心理的な要因が影響している場合もあります。この章では、若手リーダーが感じやすい悩みや不安を紹介します。
1.任せる難しさ
今までは、問題を発見したらすぐに自分で動いて解決していたことも、今後は、部下に任せて成長を促すことも必要になってきます。
「このエクセルの関数、説明するより自分でやれば5分で終わるのに…」とつい思ってしまったり、自分からは修正箇所が見えているのに、敢えて指摘しないで本人が気づくのを待つべきか悩むことも出てきます。
この「待つ」という行為は、それまで行ってきた「素早く問題を解決する」能力とは真逆で、そこにフラストレーションを抱えてしまう場合があります。
2.評価基準が変わる戸惑い
これまでは、自分の成長や成果など目に見えたり実感できる部分で評価されていたのが、これからは部下の成長やチーム全体の成果という、自分だけではコントロールできない要素によって評価されていくことに戸惑いを感じてしまう場合があります。
3.スキル不足の不安
部下を指導したりチームを率いる立場に抜擢されるには、それまでの仕事ぶりや能力が評価されてのことだと思います。
しかし、リーダーになるとコミュニケーションやマネジメントスキル、そして指導力などの、また別のスキルが必要になってきます。
これまで培ってきた能力だけでは乗り越えられない場面が出てきた時に、それまで感じていた「できる自分」から一転して「未熟な自分」と向き合うことにより、そこで不安を感じたり、自信が持てなくなってしまう場合があります。

若手リーダーだからできる育成スタイル
20代~30代の若手リーダーには、ベテラン管理職にはない独自の武器があります。この章では、新入社員と世代も近いからこそできる部下育成のヒントをみていきましょう。
経験不足を強みに変える
20代~30代の若手リーダーにとって「経験が足りない」という思いは大きな不安につながりますが、その経験不足こそが強みになる場合もあります。
例えば、ベテラン上司は何でも知っている前提で部下に接することが多く、そのことが部下とのコミュニケーションの壁になるときがあります。
若手リーダーは、「分からないことがある」ことを素直に認め、分からない部分を部下と協力して調べるなど、「一緒に学ぶ」という関係性を構築することで信頼関係が生まれてくるでしょう。
また、知見が少ないからこそ、部下の意見やアイデアを素直に受け入れ尊重しやすくなります。そして、時には部下の方が詳しい知識を持っていることもあるかも知れません。その場合は、素直に部下に教えてもらうことも大切です。部下も人に教えることで成長につながります。
言葉で直接伝えるだけでなく、リーダー自身が「学ぶ姿勢」や「部下の意見を尊重する姿勢」を見せることで、部下の成長を促し、結果としてチーム全体のパフォーマンスを上げることができるでしょう。
共感指導
多くの若手リーダーは、つい最近まで自分自身も同じような失敗や悩みを経験してきたからこそ、部下の気持ちに寄り添い、共感することができます。
また、自分はどのように同じような失敗を乗り越えたのか?不安を解消してきたのかなど、部下に近い目線での具体的なアドバイスをすることもできるでしょう。
「育たない」部下への具体的な解決策
1.指示の仕方を工夫する
業務の仕方を指導する場合、自分目線で指示をしてしまうことがあります。わかっているだろうと思い端折って説明した結果、あいまいな指示になっていたり、感覚的な表現が多くなり、部下は理解できない場合があります。
例えば資料の「見栄えを良くして」と指示したい場合、誰に見せるための資料なのかを明確にし、どの部分を変えればどういう効果があるのかなど、具体的に指示を出すのがポイントです。
また、業務の仕方だけでなく、行う目的や、目指すゴールを指示することで、部下はより考えながら業務を進めることができるでしょう。その「考える」という行為は、部下の成長につながります。
2.「注意の仕方」と「ほめ方」
注意や指摘を行う際は、感情的にならず、「なぜそれが問題なのか」という理由を明確に伝えることが重要です。本人の人間性を尊重したうえで、事実としてのミスやその結果に焦点を当てることで、部下も冷静に受け止めやすくなります。
また、注意だけで終わらせず、今後の改善策を一緒に考えるプロセスを共有することで、部下との信頼関係はさらに深まっていきます。
一方で、ほめる際には結果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫といったプロセスにも注目しましょう。成長の過程をしっかりと言葉にして伝えることで、部下自身が自身の成長を実感しやすくなり、モチベーションの向上にもつながります。
3.モチベーションアップを促す
どれだけリーダーが熱心に指導していても、部下が成長できるかどうかは、最終的には本人の意識ややる気に大きく左右されます。そのため、業務の進め方を教えるだけでなく、部下のモチベーションを高める関わり方もリーダーの重要な役割です。
たとえば部下に「自分の目標を言葉にして宣言させる」という方法は、内発的な動機づけを引き出すうえで効果的です。自分自身の言葉で目標を語ることは、行動の原動力になります。
さらに目標を立てるだけで終わらせず、達成に向けたサポートを継続することも欠かせません。長期的な目標だけでなく、一か月単位の短期目標を設定し、進捗を小さく可視化していくことで、部下は自分の成長を実感しやすくなり、モチベーションの維持や向上につながります。
若手リーダーのメンタルマネジメント
先にも述べたように、若手リーダーは、「自分にはチームを率いたり、人を指導することができるだろうか」という不安を抱える人も少なくありません。
それとは逆に、常に良き上司、完璧なリーダーであろうとするあまり、気を張りすぎて疲れ切ってしまう場合もあります。
また、部下の成長スピードに苛立ちや焦りを感じてしまい、つい感情的になってしまうかもしれません。
リーダーとしては、自分のメンタルを整え、感情的にならないこともチームを率いる上ではとても大切です。
完璧なリーダーや上司は、時に近寄りがたい存在になります。むしろ、上司が失敗する姿も部下には学びになる場合があります。あなたが失敗からどう立ち直り、どのような教訓を得たのかを共有することが大切です。
また、あなたが部下の教育で悩んだように、あなたの上司も同じように悩んだり不安を抱えていたはずです。もし、部下の指導法に悩むことがある場合には、上司や同僚に相談してみるのも良いでしょう。
カウンセリングというメンタルマネジメント
「育たない」と感じる部下に対し、感情的にならずに向き合っていくことは、なかなか簡単にできることではありません。
しかも、部下の指導だけでなく、あなた自身の業務や成果も求められることがあり、プレッシャーや不安とも向き合わなければいけません。
かと言って、部下への不満や自分の不安を押し殺したまま業務を続けることは、メンタル不調の原因にもなります。
効果的なメンタルマネジメントを行うためにも、カウンセラーなどの専門家に相談することも大変有効な手段と言えます。
とはいえ、「カウンセリングに興味はあるけれど、実際に通うのはハードルが高い」と感じている方も多いのではないでしょうか。そんな中、近年注目されているのが「オンラインカウンセリング」です。
メンタルマネジメントに効果的な「オンラインカウンセリング」
オンラインカウンセリングは自宅から気軽にアクセスできるため、時間や場所を気にせず、自分のペースで相談できるのが大きな魅力です。
特に、オンラインカウンセリングは比較的遅い時間まで対応していることも多く、仕事が終わって「今日はちょっとしんどいな」と感じたタイミングで、すぐに専門家に話を聞いてもらうことができます。
心の不調をため込まずに、日常の中にメンタルケアを取り入れることは、若手リーダーとしてのパフォーマンスを維持するためにも非常に効果的です。

まとめ
今回は、「育てる立場」になったばかりの20代~30代の若手リーダーに向けた、部下育成で直面する「育たない」と感じる原因と解決法を紹介してきました。
部下が「育たない」と感じる要因は、部下だけの問題ではなく、若手リーダー特有の状況も大きく影響していると言えます。
しかし、若手リーダーだからこそ寄り添える方法や伝えられる言葉があると思いますので、今の状況を強みと捉えることが大切です。
そして、あなた自身のメンタルマネジメントが何より重要であることを忘れないでください。困ったときには一人で抱え込まずに、専門家に相談してみるのも良いでしょう。
オンラインカウンセリング利用ステップの紹介
この章では、メザニンコラムを発信しているオンラインカウンセリングサービス「メザニン」を例に、利用ステップを紹介します。
ステップ1.会員登録を済ませる

まず事前準備として、会員登録を済ませましょう。メザニンでは1分で会員登録が完了し、登録後はカウンセリングに利用できる3,000ポイントを進呈しています。
ステップ2.予約をする

会員登録が済んだら、さっそく予約をしてみましょう。カレンダー表示から自分の予定に合った日時が選べます。会員登録時に進呈された3,000ポイントも利用できます。
ステップ3.カウンセリングを受ける

メザニンのカウンセリングは、アプリのインストール不要。スマホがあれば、自宅などリラックスできる場所からオンラインカウンセリングを受けられます。
もちろん、インターネット環境があればPCやタブレットでもご利用いただけます。