心と体の健康の悩み

うつの人が仕事中に取る6つの行動と特徴を紹介

「幸せを感じない、思うように考えられない」

「同僚の様子が最近変わったような気がする」

「部下がいつもと違う行動を取るようになった」

ストレスが高まるとメンタルヘルス不調に陥り、うつ状態になるケースがあります。

そこでこの記事では、うつの人が仕事中に取る行動とその特徴を紹介していきます。

なんだか自分でも最近おかしいのではないかと感じるという方や、家族の様子が変わったと心配している方、職場で働く従業員の変化を感じている方もぜひ参考にしてください。

うつとは

嬉しい、楽しい、悲しい、辛いなど、私たちの気持ちは毎日の生活の中で常に動いていますが、以前なら楽しめていたことが楽しめない、常に悪い方向に物事を考えてしまうを「うつ状態」とし、これらの症状が2週間続くとうつ病の疑いがあるとされています。

厚生労働省では、うつ病を以下のように説明しています。

うつ病は、一言で説明するのはたいへん難しい病気ですが、脳のエネルギーが欠乏した状態です。それによって憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくありません。
つまり、エネルギーの欠乏により、脳というシステム全体のトラブルが生じてしまっている状態と考えることができます。

引用:厚生労働省班 | こころの耳 うつ病とは

うつ状態を車に例えると

脳のエネルギーが不足しているというのは、車で言えばガス欠の状態です。では、ガソリンを給油すればまた快適に走れるようになるのでしょうか。

ガス欠のまま走行を継続していた場合は、様々な場所に不具合が起こります。アクセルを踏んでもなかなか加速せず、普段は簡単にできることも困難に感じられてしまうのです。

集中力や判断力が低下するため、ステアリングも取り扱いが難しく感じます。また、ドライブをしていても道路上の景色が暗く感じられ、希望や楽しみが見えません。

このように、根本的な原因はガス欠によるものだとしても、車のあらゆる部分に不具合が起こってくるのです。

では、うつの人が取る行動を次の章から見ていきましょう。

うつの人が取る行動6つ

個人によって異なりますが、一般的にうつの人が取りやすい行動は以下の6つが挙げられます。

  1. 遅刻、午後出勤、早退、欠勤が増える
  2. 業務の結果が以前より出ていない
  3. 今までにはなかったミスが増える
  4. 意欲の低下
  5. 職場でのコミュニケーションの変化
  6. 身だしなみの変化

順番に見ていきましょう。

1.遅刻、午後出勤、早退、欠勤が増える

現在では勤怠管理システムを導入している企業も多く、従業員個人が管理をすることも多いのではないでしょうか。うつの場合、この勤怠管理が難しくなります。

いままで就業時間の15分前には出社していたが、最近よく遅刻をしてしまう。

午後出勤、午後休、早退などが続く。

欠勤をするようになり、体調不良による早退が増えた。

など、以前にはなかった遅刻や欠勤が頻発するのも、うつの人が取りやすい行動のひとつです。

遅刻や欠勤の原因となる睡眠障害

うつの症状の一つに睡眠障害があり、睡眠の質やリズムが乱れることがあります。

不眠症や過眠症が生じることで起床が困難になり、疲労感や眠気が強まることがあります。

十分な睡眠をとることが難しいため、朝起きることや早めに行動することが困難になり、遅刻の原因になることがあります。

2.業務の結果が以前より出ていない

毎日使用しているフォーマットに入力するだけなのに、普段の倍以上の時間がかかる。

職場でイレギュラーなことが起こると、理解ができないため対処が難しい。

いつもなら雑談しながら資料をコピーすることができていたのに、集中することができず話すこともコピーを取ることも、どちらもうまくいかない。

このように、うつになると理解や読解力が低下することがあります。

疲れていると文章に目を通しても頭に入ってこないため「目が滑る」という表現を使いますが、うつの場合は文字を読もうとすると視点をどこに向ければいいのか分からず、読んでいても全く頭に入ってこないなどの症状が出てきます。

「疲れているのかな」とは思われても

特に仕事ができる、頼りにされている、会社や従業員からの信頼を得ている場合、行動が結果に伴っていなくても「こんなにできる人なのだから、今月はきっと疲れているに違いない」など、まさかうつだとは思われないという側面もあります。

3.今までにはなかったミスが増える

業務の結果が以前より出ていないまま業務を続けると、やがて頻繁にミスをするようになってきます。しかし、ミスが増えるのは不注意ではなく、うつからきている症状なのです。

この、ミスが増えるという症状は客観的に見ても分かりやすく、「いつもと違うな」と感じるでしょう。

短い文章でも理解できない

現在ではPC上で業務をすることが増えていますが、文字を読まずに行える作業というのは案外少ないものです。

決して長い文章ではなくても、「読んでいるはずなのに読めない。理解できない」という状態になるため業務効率も低下し、ミスにつながります。

たとえば文面を理解している上で、誤字脱字が起こることは珍しくありません。むしろ、どんな資料や本の中にも必ず校正ミスがあるとも言われています。

しかし、うつの場合は文面を理解することに時間がかかるだけではなく、誤字のある文面を見ていても頭に入ってきません。

4.意欲の低下

うつの場合、意欲を持つことが難しくなります。

仕事では、意欲的に取り組んできたことや、重要な場面でのミスが増えることで、こんなこともできないなんて自分には価値がない、消えてしまいたいというネガティブな気持ちになります。

また、意欲が低下している状態では、楽しいと感じていたことにも楽しいと思えなくなります。

食欲や味覚にも変化が

ランチで美味しいものを食べるのがモチベーションだった人が、意欲低下によって食欲も減退し、何を食べても味がしないなどの症状が出ることもあります。

会社帰りに飲みに誘われても、楽しいと感じる気持ちや意欲が低下しているため、断る回数が増えていきます。

5.職場でのコミュニケーションの変化

社内のイベントなどに不参加なことが増えた。

会話をしていても自己否定の言動をすることが増えた。

職場の同僚や後輩とも気さくに話していた人が、一人でいることを好むようになった。

など、コミュニケーションの変化として分かりやすいのは、口数が少なくなる、または以前よりも私語が増えるなどでしょう。

その中でも自分はダメな奴だ、何の価値もない、死にたいなどのマイナス思考の言動が顕著になります。

表情が乏しい

表情が乏しい、または無表情な事が多くなった。会話はできるが、ボーっとすることが増えた。しかし、焦っているようにも見え、就業時間中はソワソワしていることが多いなど、周囲からみても、以前と何か違うなと感じることがあります。

6.身だしなみの変化

容姿についての発言は、ハラスメントに該当する場合や、多様性を認めようという動きも強まっていることから、身だしなみを直接注意されるという場面は少なくなっています。

アピアランスチェックが実施されているという企業も少なくありませんが、従業員個人に身だしなみの管理を任せている企業がほとんどではないでしょうか。

その中で、いままで清潔感のあった従業員のシャツにシワが目立つ、髪の毛がボサボサで寝ぐせを全く気にしていないなどの姿を目撃したらどうでしょうか。

うつで起こる主な身だしなみの変化には、

  • 身体の清潔さ
  • 衣服や外見の乱れ
  • 身だしなみへの無関心

などが挙げられます。順番に見ていきましょう。

身体の清潔さ

入浴やシャワーの頻度が減ることで自己ケアに対する関心が低下し、服装や髪型など、外見の手入れをすることが少なくなるケースがあります。

衣服や外見の乱れ

無気力や意欲の低下が生じることがあります。このため、衣服の選択や組み合わせに関心がなくなり、無頓着な外見でいることが多くなる傾向があります。

身だしなみへの無関心

自己評価や自己価値感が低下し、身だしなみに対する関心や気配りが減少することがあります。

では、女性と男性の、身だしなみの変化についても見ていきましょう。

女性の身だしなみ

うつ病の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、女性は男性よりも約2倍程度うつ病になりやすいと言われています。

社会人になると、身だしなみとして化粧をすることが当たり前とされている日本では、素顔のままで出勤をしただけで驚かれることも少なくありません。

また、うつの行動の変化として、化粧ががらりと変わるというものもあります。これはひたすら化粧をするという作業を行っているので、どこか違和感のある仕上がりになります。

また、重度のうつ病の場合は顔を洗うことも難しいと感じるため、唇にリップクリームを塗るのが精一杯ということもあります。

今までは定期的に美容室やネイルサロンに通っていた、毎日身だしなみには気を使っていたという女性も、うつの症状によって髪の毛や爪に無頓着になることがあります。

男性の身だしなみ

スーツやシャツのシワを気にしない、ヒゲが伸び放題、体臭が気になるなど。

男性の場合は特に、身だしなみに気を遣っている人こそ現れやすい変化と言えるでしょう。

また、髪が伸びてきたという自覚があっても、歯みがきや入浴が億劫だと感じている状態ですので、散髪にいくことも困難になります。

20年で約3倍 気分障害患者の推移

厚生労働省が調査した、こころの病気の患者数の推移によると、うつ病を含んだ気分障害などの患者数は1996年43.3万人だったのに対し、2017年には127.6万人と増加割合が顕著になっています。


参考)厚生労働省 | こころの病気の患者数の状況

日本の人口は約1億2600万人と推定されていますので、20年で約3倍に増加していることから、気分障害患者127.6万人という数字は決して少なくないと言えます。

ストレスのセルフチェック

従業員にストレスへの気づきを促し、うつ病などのメンタルヘルス不調になることを未然に防ぐために、ストレスチェックを導入している企業もありますが、セルフチェックをしてみたいと思う時はどうすればよいでしょうか。


厚生労働省 | チェックリストなどのツール(働く方へ/ご家族の方へ)

厚生労働省では、ストレスやうつ病などのセルフチェックツールを紹介していますので、活用するのも効果的です。

辛いと感じたらオンラインカウンセリングで相談を

自分はうつかもと不安を感じても、家族や友人にはなかなか言い出しにくい場合もあるでしょう。そんな時にスマートフォンがあればどこでも気軽に相談できる、オンラインカウンセリングはとても便利な手段です。

オンラインカウンセリングのメリット

オンラインカウンセリングは、自宅からでも気軽にカウンセリングを受けることが可能です。起き上がるのが辛ければ、ベッドの上など楽な姿勢で専門のカウンセラーに相談をすることができます。

予約をしても、当日に体調がどうなるかわからないから不安。という方でも、相談したいと思った日、思った時間にカウンセラーが居れば、当日予約当日カウンセリングができます。

もしも、ひとりで辛い気持ちを抱えているのなら、オンラインカウンセリングでの相談を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

この記事では、うつの人が取る行動について紹介しました。

うつと一言で言っても、発症する原因は様々であり、症状にも個人差があります。

今回は一般的に見られる6つの行動を紹介しましたが、この行動以外にも性別や年齢、置かれている環境によって行動や症状には差があります。

うつは適切なアプローチによって、回復への道を歩むことができます。

一つひとつの行動は小さなステップでも、自分のペースで進んでいくことが重要です。また、オンラインカウンセリングなどを活用して、カウンセラーと心の負担を分かち合うことも効果的です。

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メザニンコラムを発信している「mezzanine」では、オンラインカウンセリングを提供しています。

ご自宅から、専門性の高いカウンセラーからのカウンセリングを受けられます。

メザニン登録カウンセラー
冬木 更紗 Sarasa FUYUKI
臨床心理士、公認心理師

心理学学位および臨床心理学専攻修士取得。臨床心理士および公認心理師取得後、精神科・心療内科にてカウンセリングを行なっています。また、心理検査の実施経験が豊富です。

【メッセージ】
精神科・心療内科でうつ病、適応障害、パニック障害、発達障害など様々な診断を受けた方々とのカウンセリングを行ってきました。

これまでに得た専門知識を活かしながら、あなたの悩みについて考えるお手伝いをさせていただけると幸いです。