仕事のストレスやプレッシャーでうつの症状に悩まされることは少なくありません。それにより、仕事を辞めるかどうかは人生においても大きな決断です。
この記事では、うつの症状で仕事を辞めるか続けるかを悩んでいる時に押さえておきたい3つのポイントを解説していきます。少しでも不安や悩みを軽減できるよう、適切な準備と計画を立てていきましょう。
うつの症状などで仕事を辞める人が増えている
厚生労働省の2022年から過去3年間の「労働安全衛生調査」によりますと、うつなどのメンタル不調で退職する人の割合は年々増加傾向にあります。
長時間労働や職場環境、職場での人間関係や業績のプレッシャーが重なり、メンタル不調に陥り、うつの症状になってしまうビジネスパーソンも少なくありません。
厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」事業所調査1-(1)を参考に作成
辞める前に押さえておきたい3つのポイント
このような背景から、うつの症状で仕事を続けるのが難しくなる人が増えており、退職を選ぶ労働者も少なくありません。
しかし、辞める前に押さえておいた方が良いポイントが大きく分けて3つありますので順番に紹介していきます。これらのポイントをしっかりと考慮したうえで、退職の決断をすることをおすすめします。
ポイント1.相談
うつ状態などのメンタル不調を起こすと、極端な思考をしてしまうことが多く、仕事に対しても「辞めるべきだ」と結論づけてしまうことがあります。誰かに相談することで、冷静さを取り戻し、適切な判断が行えるようになるでしょう。
1-1.家族に相談する
家族に相談することは、精神的な支えになります。家族はあなたのことを一番理解している存在なので、正直な気持ちを打ち明けることで、具体的なサポートを受けることができます。
また、家族に話すことで、自分が置かれている状況や感情を再確認し、冷静に考えるきっかけにもなります。家族とのコミュニケーションを通じて、より良い解決策を見つけることができるでしょう。
1-2.医師に相談する
うつの症状がある場合、必ず医師に相談することが重要です。医師はあなたの症状を専門的に診断し、適切な治療法を提案してくれます。また、医師のアドバイスを受けることで、仕事を辞めるか続けるかの判断材料も増えます。
さらに、休職や労働環境の改善についての具体的な指導も受けられることがあります。それにより適切な決断ができるでしょう。
ポイント2.確認
仕事を辞める判断をする前に、いくつかの大切な確認事項があります。これらを確認することは、退職するかどうかの判断材料になり得ます。また、実際に退職した場合でも、退職後の生活の不安を軽減することにも役立ちます。
2-1.家計の状況を確認する
退職後の生活を安定させるためには、家計の状況をしっかりと把握しておくことが大切です。収入がなくなることを考慮し、貯蓄や失業保険などの収入源を確認しておくと良いでしょう。
また、退職後にどれだけの生活費が必要になるのかを計算し、無理のない範囲での支出計画を立てることが大切です。家計の状況を確認しておくことで、退職後の生活設計がスムーズになります。
2-2.社会保険などを確認しておく
退職後も健康保険や年金などの社会保険制度を利用できるように、事前に確認しておきましょう。現在の社会保険を任意継続するのか、国民健康保険に加入するのかなどいくつかの選択肢があります。
また、年金についても国民年金に切り替える手続きを忘れないようにしましょう。これらの制度を理解しておくことで、退職後も安心して生活を続けることができます。
さらに、失業保険を申請することで給付を受けられるようになる人もいます。雇用保険の申請には職場からの離職票が必要となりますので、事前に交付申請をしておく必要があります。
2-3.退職のメリットとデメリットを確認する
考えられるメリット
- 精神的な負担が軽減される
- 自分のペースで休養が取れる
- 新たなキャリアや自己成長の機会が得られる
職場の人間関係や労働環境が合わないことが理由の場合、精神的な負担が軽減されるメリットは大きいと考えられます。
また、休養期間を通じて、自分と向き合うことで新たな発見ができたり、新たな勉強や趣味に取り組むことで、キャリアアップにつながる可能性もあります。
考えられるデメリット
- 今の職場からの収入がなくなる
- 再就職が難しくなる可能性もある
- 社会的な孤立していると感じることがある
デメリットの大きなポイントの一つは、収入減がなくなってしまうことかもしれません。金銭的な不安から、症状の改善に時間がかかってしまう場合もあります。
また、うつの治療中は自己肯定感が下がってしまうことがあり、それにより再就職に踏み出せないことがあります。金銭的な問題や、社会復帰への怖さから、家にこもりがちになり、孤立していると感じる場合もあります。
退職の決断をする前に、メリットとデメリットをしっかりと確認することが重要です。メリットが多い場合もあれば、デメリットの方が多い可能性もあります。総合的に判断し、自分にとって最適な選択を見極めましょう。
ポイント3.検討
仕事を辞める前に、うつの症状の原因や退職以外の方法についても検討することが大切です。さまざまな選択肢がありますので、しっかりと検討することでより良い解決策が見つかるかもしれません。
3-1.うつの原因が本当に仕事なのかを検討する
うつの症状の原因が本当に仕事なのかを見極めることが重要です。仕事以外にも家庭の問題や人間関係など、さまざまな要因が影響しているかもしれません。
冷静に自分の状況を振り返り、どの部分が一番のストレス源になっているのかを見極めましょう。原因が仕事以外にある場合は、他の解決策を検討することで、仕事を辞めなくとも症状が改善されることもあります。
3-2.退職以外の方法を検討してみる
退職以外にも、働き方を変えたり、休職制度を利用することで、無理なく仕事を続けることができるかもしれません。退職を考える前に、これらの選択肢についても十分に検討してみましょう。
働き方を変える
働き方を変えることで、うつの症状が改善されることがあります。例えば、上司や人事に相談できるのであれば、時短勤務やリモートワーク、部署異動などが可能になる場合があります。
また、業務の内容や量を見直し、自分で調整したり、周囲に協力してもらったりすることで、自分に適した働き方を見つけることができます。それにより、症状が改善する場合もあります。
休職制度
うつの症状が重い場合は、休職制度を利用することも一つの手です。休職することで、十分な休養を取ることができ、心身の回復を図ることができます。
休職期間中に治療に専念し、体調が回復したら復職を目指すという選択肢もあります。休職制度を利用する際は、医師や会社とよく相談し、適切な手続きを踏むことが大切です。
辞める選択をした場合
医師や家族と「相談」し、経済状況やメリットなどを「確認」し、さまざまな方法を「検討」した結果、それでも辞めるという選択に至る場合もあるでしょう。
まずはしっかり休養する
仕事を辞める決断をしたなら、まずは自分の身体とこころをしっかり休ませることが最優先です。うつの症状は疲れやストレスが積み重なることで悪化しがちですから、休養は必要不可欠といえます。無理に何かをしようとせず、ゆっくりとしたペースで自分のペースを取り戻すことが大切です。
そして、睡眠や食事などの基本的な生活リズムを整えていくようにしましょう。焦って仕事に復帰してしまうと、症状を再発させる恐れもあります。まずはしっかり心と体を整えることが大切です。
再就職をする場合
再就職を考える際には、焦らず自分のペースで進めることが大切です。まず、自分が本当にやりたいことや得意なことを見つめ直しましょう。
これまでの経験やスキルを活かせる職種や業界をリサーチするのも良い方法です。ハローワークやオンラインの求人サイトを活用することで、幅広い求人情報を得ることができます。
また、自己分析を行い、自分の強みや弱みを整理しておくことは就職先の選定や面接にも有効です。状況によっては、職業訓練や資格取得など、スキルアップのための学びの場を活用することもおすすめです。
まとめ
今回は、うつの症状で仕事を辞める前に押さえておきたい3つのポイントについて解説しました。多角的に考えていくことで、冷静に判断できるようになります。
そして何よりも一人で抱え込まないことが大切です。もし、誰にも相談できない場合には、カウンセラーなどの専門家に相談してみるのも良いでしょう。
オンラインカウンセリングなどを利用すればスマートフォンから気軽に相談できます。冷静に判断し、適切な準備をして、より良い未来に向けて一歩を踏み出しましょう。
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メザニン登録カウンセラー
宮園 さとみ Satomi MIYAZONO
公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント
プログラマ等の社会人経験を経て、職場のメンタルヘルス問題のニーズを感じ、対人支援職に転向。就労支援、リワークなど、メンタルヘルスに関わるプログラムに携わっています。
【メッセージ】
今まで目を向けてこなかった自分の可能性や、これからの選択肢、自分への理解を深めるお手伝い等、人生という長距離を走るあなたに、寄り添い伴走しながら、応援する。そんなカウンセリングの時間を提供できればと思っています。