40歳を越えたあたりから、仕事に対する意欲が急に低下する「仕事したくない病」にかかってしまうことがあります。
この症状には、年齢に伴う体力や気力の低下だけでなく、キャリアの行き詰まりや家庭の問題など、さまざまな要因が影響していると考えられています。
今回は、40代から50代のビジネスパーソンの「仕事したくない病」に向き合い、克服するための具体的なステップを紹介します。
「仕事したくない病」の特徴を知る
仕事したくない病とは、「仕事をしたくないという気持ちが強まり、こころや身体に不調をきたす状態」であり、実際に医師から診断が下されるものではなく、診断名のない症状を指します。
しかし、この仕事したくない病が悪化すると、仕事や生活の面で不具合を引き起こします。まずは「仕事したくない病」の人に見られる特徴を、シーン別に紹介します。心当たりのある方は、早めに対処をしていくことで改善が期待できます。
【シーン1】出勤前
朝起きた時から身体のだるさを感じたり、出勤前の準備がおろそかになり、身だしなみにも気を遣えなくなっていたら「仕事したくない病」かも知れません。そうなると、朝起きるのが辛く、遅刻や欠勤を繰り返すことになりかねません。
【シーン2】勤務中
以前までのような仕事への熱意がなく、働きたくないという気持ちが先行してしまうようになります。
仕事へのモチベーションも保てず、何に対してもやる気がなくなり、仕事に手を抜いてしまうようになります。
また、苦手な会議や業務の前には、腹痛や胃痛になる場合もあるため、仕事前に体調を崩すようになったら、仕事へのストレスから「仕事したくない病」にかかっている可能性があります。
【シーン3】休日の特徴
いくら休んでも疲れが取れないと感じるようであれば、「仕事したくない病」の可能性があります。
また、休日の午後あたりから翌日の仕事のことを考え憂うつになったり、テンションが下がり、楽しめなくなったりする場合もあります。さらに悪化すると、今まで楽しめていた趣味などに全く興味を持てなくなってしまいます。
「仕事したくない病」の5つの原因
次に、「仕事したくない病」になってしまう主な原因を5つ紹介します。原因を突き止めることで、対処がしやすくなるかもしれません。。
原因1.労働環境
長時間の残業や不規則な勤務形態、厳しいノルマが課せられているなど、肉体的や精神的に辛い労働環境が続き、疲れ切ってしまい「仕事したくない病」になってしまう場合があります。
また、出世したことで責任が重くなったり、決めなければいけないことが増え、常にプレッシャーの高い状況が続いたりと、過度なストレスがたまることで仕事したくない病になってしまう恐れがあります。
原因2.人間関係
職場での人間関係はストレスに大きな影響を与えます。特に、40代50代は部下の数も増え、圧倒的にコミュニケーションの量が増えていきます。
そのため、上司からのプレッシャーがきつくてストレスを感じることがあれば、部下とコミュニケーションが上手くとれず悩むこともあり、さらに相談できる同僚などがいなければ、不安や不満を抱えたまま仕事を続けなければならなくなり、ストレスから「仕事したくない病」になってしまいます。
原因3.出世や待遇
ある程度キャリアを重ねてきたにも関わらず、思うような評価をされなかったり、出世しないことで、モチベーションが下がったり、単調な業務でやりがいを感じられない状態が続いたりすると、「仕事したくない病」になってしまう場合があります。
また、収入面の不満も「仕事したくない病」を引き起こしやすいです。2022年10月に行なった内閣府の世論調査によりますと、所得や収入に対して不満と回答した人が40代では28.1%と一番高く、次いで50代が26.8%となっており、40代以降は明確に待遇面への不満が出やすい時期であることが分かります。
内閣府 世論調査 図3を参考に作成
年功序列などで、いくら成果を上げても所得や収入に反映されないなどの不満から、モチベーションを下げ、仕事したくないと思うようになってしまう可能性もあります。
原因4.身体の不調
30代後半を過ぎたあたりから、体調面に不調をきたす人が増えていきます。
長時間のデスクワークが続き、肩や腰に痛みが出てきたり、飲酒や不規則な生活で内臓に不調をきたしたりと、体調不良により、思うようなパフォーマンスができないことでストレスになり、仕事したくないと思うようになってしまいます。
また、40代から50代にかけては「ミッドライフクライシス」や「更年期」と呼ばれるような、精神的に不安定な症状を訴える人も増えており、何らかの心身の不調が影響し、仕事したくない病になってしまう場合もあります。
ミッドライフクライシス
ミッドライフクライシスとは、40代50代になって「自分の人生このままで良いのだろうか」と不安になることで、焦燥感から睡眠不足や食事が不規則になり、悪化すると、不安障害やうつ病に発展する、精神的不安定な状態のことです。
また、男女ともに現れる「更年期」は、例えば大量の汗をかくなどの、今まで経験したことのない症状も重なる事で、「仕事したくない病」になる傾向が強いとされています。
原因5.プライベートな問題
生活面での不安や不満が仕事したくない病の引き金になっている可能性があります。例えば、プライベートでの辛い出来事や、、生活面でのトラブルにより、仕事へのやる気がなくなってしまう場合があります。
また、同じく内閣府の世論調査の中で、日頃の生活の中で悩みや不安を「感じている」、「どちらかといえば感じている」と答えた人の数は約8割にのぼり、そのうち63.5%の人が「老後の生活設計について」悩みや不安を抱えていると解答している通り、老後の不安や悩みが仕事にも影響する可能性は大いにあります。
さらに、ライフステージによっては子育てや介護などの、家庭内のストレスが原因で、「仕事したくない病」になってしまう恐れがあります。
「仕事したくない病」を解消する5つのステップ
「仕事したくない病」にかかってしまう可能性は、誰しも持っています。仕事したくない病かなと感じたら、悪化する前に対処していくことが大切です。ここでは、仕事したくない病に効果的な5つの対処法を紹介します。
1.ご褒美をつくる
通勤中や、仕事終わりの「自分へのご褒美」を設定しておくことで、仕事をしたくないという気持ちを和らげることができます。
通勤中に読みたい本を買ったり、面白い動画や好きな映画をスマートフォンにダウンロードしておくことで、通勤のストレスを解消できます。
また、勤務後に食べに行きたいお店や遊びに行きたい場所を決めておいたり、一緒に行ってくれる人に声をかけておくことで、仕事後の楽しみができ、モチベーションが上がります。
2.趣味に没頭する
時間を忘れるほど趣味や好きなことに没頭することで、仕事のストレスを軽減させることができます。没頭できるような趣味がないという方は、まずは自分に合う趣味を見つけるところからはじめてみてください。
ゴルフなどのスポーツ系の趣味は、身体を動かすので体力の向上にもつながります。趣味に没頭できるようになるコツは、「失敗したらどうしよう」などと考えず、周囲の目を気にすることなく、自分が楽しむことに全力を注ぐことです。
また、趣味を通じて知り合った仲間に仕事のアドバイスをもらえたり、仕事との向き合い方などを聞くことで、自分の仕事に対して新しい視点を持てるようになります。
3.小さな目標を設定する
小さな目標で結構ですので、「〇日までに終わらせる」や「今日はここまで完了させる」などのタスクを設定し、ゲーム感覚で日々の目標をクリアすることで、仕事へのモチベーションを保つことができます。毎日のToDoリストを作成するところからはじめてみると良いかもしれません。
4.相談をする
上司や同僚に相談することで、モチベーションを保つことができます。もしかしたら、上司や同僚も「仕事したくない病」の経験者かもしれません。その場合、克服法やモチベーションの保ち方など、有益な情報を得られる可能性があります。
また、職場以外の友人や家族に相談するのも有効な手段と言えます。第三者から意見をもらうことで、仕事への向き合い方が変わり、やる気が湧いてくる可能性もあります。
5.体調を整える
体調を整えることで、やる気が戻ってくる場合もあります。例えば、胃腸の調子が悪いことでイライラしてしまい、仕事をしたくない状態になっている場合もあります。特に睡眠不足は気分に影響するだけでなく、集中力を低下させ生産性が悪くなる可能性もありますので、睡眠不足が続いているようであればまずはしっかりとした睡眠を取るところからはじめてみてください。
「仕事したくない病」が悪化してしまったら
「仕事したくない病」を抱えたまま働き続けることで、メンタル不調に発展してしまう恐れもあります。対処法を色々と試してみたけど症状が改善しないというような場合は、以下の対応を検討してみても良いかもしれません。
有給や休職制度を利用する
有給や会社の休職制度などを利用し、思い切って長期間休んでみるのも良いでしょう。しばらく仕事から距離を取ることで、自分と向き合う時間を持てたり、働き方について改めて考えたりする良い機会になると思います。その結果、仕事に対するやる気が戻ってくる可能性もあります。
異動願いを出す
仕事したくない病の原因が、業務内容や職場の人間関係にある場合には、直属の上司や人事課に相談し、部署異動を希望している旨を相談してみましょう。部署が変わることで、新たな気持ちで仕事に取り組むことができますし、人間関係の再構築もできますので、症状の改善に繋がるかもしれません。
転職を検討する
今の職場の待遇や社風が原因で仕事したくない病にかかっている場合や、配属転換や働き方を変えても気持ちが改善しない場合には、転職も視野に入れてみるのもよいでしょう。
転職する場合は、事前にしっかりとした自己分析をしておくことで、転職先で同じような状況に陥ることを回避することができるでしょう。
なぜ「仕事したくない病」になってしまったのかの原因をしっかり把握しておくことも重要です。
「仕事したくない病」の時にやってはいけないこと
「仕事したくない病」にかかってしまうと、何事にもやる気が起きずいい加減な気持ちになり、物事を適当に判断したことで後悔してしまう場合がありますので、以下のことに充分注意が必要です。
1.事前準備なく勢いで退職する
仕事したくないという気持ちが強まり、一度辞めたいと思い始めると、早く辞めなければと焦って行動に移したり、仕事のストレスから後先考えずに勢いで退職してしまう場合があります。
転職に際して自己分析や転職先の企業分析が不十分だと、同じ失敗を繰り返すばかりか、今よりも労働条件や職場環境が良くない職場で働くことにもなりかねません。転職先で後悔しないためにも、現状を冷静に把握し、じっくり検討する余裕を持つようにしてください。
2.ひとりで抱え込んでしまう
仕事したくない病は見た目には分からないので、状態を人に理解してもらうことは難しいといえます。そのため、誰にも相談できずに1人で抱え込んでしまう場合があります。しかし、1人で考えすぎると、正しい判断が出来なくなります。
もし、すでに仕事したくない病が悪化していて、体調やメンタル面に不調が出ている場合は、我慢し続けることは避けましょう。無理をすることで、メンタル不調が悪化する可能性があります。
体調やメンタル面に不調を感じたら、医療機関やカウンセラーなどの専門家に相談することをお勧めします。
誰にも相談できない時は専門家に相談を
専門のカウンセラーであれば、職場のことなどの話しづらい内容も気軽に相談することができますし、仕事したくない病に対し効果的なアドバイスをもらうことができます。
オンラインカウンセリングは予約も簡単
オンラインカウンセリングはインターネットにつながる環境であれば24時間、スマートフォンからでも簡単に予約が取れます。また、オンラインカウンセリングは自宅で相談できるのもメリットです。
相談をするために移動する時間を省くことはもちろん、なによりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットです。
まとめ
今回は、40代から50代のビジネスパーソンの「仕事したくない病」に向き合い、克服するための具体的なステップを紹介しました。できることなら、いつまでもパワフルにモチベーション高く業務に取り組みたいものです。
もし、仕事をしたくないという気持ちが出てきたら、根性論や精神論で簡単に片付けようとはせずに、原因にしっかりと向き合い、できるだけ速やかに対処をするようにしましょう。
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