心と体の健康の悩み

心と身体のバランスを保つための知識「ヒートショック」の予防と対策を考える

寒さが厳しくなる冬、特に暖房の効いた室内から冷えた脱衣所や浴室に移動する際、身体に大きな負担がかかりやすくなります。このような寒暖差による血圧の急激な変動が引き起こす健康リスクが「ヒートショック」です。

本記事では、「ヒートショック」になりやすい人の特徴や、予防や対策方法について詳しく紹介します。

「ヒートショック」とは

「ヒートショック」とは、寒暖差による血圧の急激な変動が引き起こす健康リスクです。

暖かい部屋から脱衣所などの急に冷たい場所に移動すると、身体が寒さに反応して血管が縮み、血圧が上がります。その後、熱いお湯に浸かると血圧がさらに高くなり、温まることで血管が広がって今度は急激に血圧が下がります。

イラストでみていきましょう。

このように、血圧が急に変わることで脳梗塞や心筋梗塞が起こることがあり、浴槽から立ち上がる時にふらついての転倒でおぼれるケースもあります。

「ヒートショック」に注意が必要な人の特徴

「ヒートショック」は寒暖差による血圧の変動が主な要因ですが、この章では「ヒートショック」になりやすい、注意が必要な人の特徴についてみていきましょう。

65歳以上の高齢者

高齢になると、体温調節機能や血圧のコントロール力が低下し、「ヒートショック」のリスクが高まります。特に入浴中の事故は、統計的にも高齢者に集中しています。

厚生労働省がまとめた「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺⽔ 」の割合を見てみても、65歳~79歳までは2,387人、80歳以上は3,920人と全体の9割を占めています。

厚生労働省 2022年 人口動態統計 第5.31表を参考に作成

高血圧や糖尿病、動脈硬化などの持病がある

持病がある場合、特に高血圧や糖尿病、動脈硬化などの疾患を抱えていると、急激な血圧の変動や血管の硬化により、ヒートショックのリスクが高まることがあります。

特に高血圧の方は、血圧がすでに高い状態であるため、温度差による血管収縮がさらに血圧を上昇させ、健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。このため、寒い時期や温度差が大きい状況では、特に注意が必要です。

肥満傾向である

体脂肪が多い人は、血管の圧迫が起こりやすく、血圧の調整が難しくなります。具体的に言うと、肥満が血管の柔軟性を低下させ、血流のスムーズな流れを妨げることがあります。そのため急激な温度変化に対する血管の反応が遅れ、血圧が急激に変動しやすくなります。

浴室や脱衣所に暖房設備がない

浴室や脱衣所が寒いままだと、浴室に入る前に体が急激に冷えてしまいます。この状態から急に温かいお湯に浸かると、温度差が大きすぎて血管が急激に収縮します。

この血管収縮が「ヒートショック」を引き起こす原因となります。

食事後、飲酒後、または薬の服用後に入浴することがある

食事後や飲酒後、薬の服用後は血圧が不安定になりやすく、温度差に適応しにくくなります。

食後は消化のために血液が胃腸に集中するため、体の他の部分、特に手足の血流が減少し、急激な温度差に対する反応が鈍くなることがあります。

飲酒後もアルコールの影響で血管が拡張し、血圧が下がる可能性が高くなります。そのため、食後や飲酒後、薬を服用した後は、入浴のタイミングに特に注意が必要です。

帰宅してすぐに入浴することが多い

外出から帰宅したばかりの体は、外気にさらされて冷え切っている場合が多いため、身体が冷えた状態での入浴は、急激な温度変化が血圧の急変動を引き起こしやすくなります。

30分以上湯船に浸かる習慣がある

長時間の入浴は、血圧の変動を招きやすく、心臓や血管に負担をかけることがあります。寒い日は長風呂をしたい気分になりますが、自身の体調面を考慮した入浴時間にしましょう。

冬場における「ヒートショック」の予防と対策

「ヒートショック」を防ぐには、身体だけでなく生活環境や心理面からもリスクを減らす工夫が必要です。寒い季節には以下の予防策を取り入れて、心身の健康を守りましょう。

  1. 自宅の温度差を軽減する
  2. 湯船の温度は「ぬるめ」で設定する
  3. 飲酒など生活習慣の見直し
  4. 心理的ストレスの軽減
  5. 家族や周囲のサポートを得る

1つずつ順番にみていきましょう

1.生活環境の整備

「ヒートショック」のリスクを減らすためには、自宅の寒暖差を可能な限り軽減することが重要です。特にトイレや脱衣所、浴室は温度差を感じやすい場所のため、対策を講じましょう。

小型ヒーターの設置

トイレや脱衣所には小型の暖房機器が適しています。浴室の近くで使う場合、防水仕様の製品を選ぶと安心です。

浴室では、湿気の多い場所でも安全に使用できる製品も増えていますので、用途にあった物を選んでみましょう。

自宅全体の温度差を減らす工夫

暖房効率を高めるためにドアを閉め切ることが多くなりますが、空気の循環が悪くなると乾燥や結露の原因になります。時間を決めて定期的に換気を行い、適度な湿度を保つことがおすすめです。

快適な温度環境を維持することは、「ヒートショック」のリスクを下げるだけでなく、家族全員が安全に過ごせる冬の暮らしにつながるでしょう。

2.湯船の温度は「ぬるめ」で設定する

浴槽の温度は40度を目安とし、熱すぎるお湯は避けて「ぬるめ」のお湯に設定します。

また湯船に浸かる時間は10〜15分を目安として、長風呂にならないようにをしないよう注意しましょう。どうしても疲れが取れない時などは、入浴剤を使用するなど工夫をしてみるのもよいですね。

入浴中はいきなり立ち上がるなどはせず、「ゆっくり」を心がけることも効果的です。

3.飲酒など生活習慣の見直し

飲酒後、血中アルコール濃度が高い状態で入浴することは、身体に大きな負担をかけます。アルコールは血管を拡張させ、一時的に血圧を下げますが、その後急激な温度変化による血圧の変動が加わると、心血管系に大きなリスクをもたらします。

特に高齢者や持病を抱えている方は、飲酒と入浴の組み合わせで「ヒートショック」の危険性が高まります。そのため、飲酒時や飲酒直後の入浴は控えることが推奨されています。飲酒をする場合は、入浴を済ませてから飲むなど時間を工夫しましょう。

4.心理的ストレスの軽減

心理的ストレスは、交感神経を活性化させることで血圧を上昇させる要因となります。

また、ストレスを抱える状態では、体温調節機能が乱れやすくなり、寒暖差に対する耐性が低下することも指摘されています。

特に慢性的なストレスは、心身にさまざまな影響を与え、「ヒートショック」のリスクを高める一因になる可能性があるため、入浴前後に十分な水分補給が推奨されています。

5.家族や周囲のサポート

家族や同居者がいる場合、入浴時の声掛けを習慣化することは、「ヒートショック」への早期対応に大いに役立ちます。「これからお風呂に入る」「お風呂から出た」などのシンプルな報告をお互いに行うことで、意識を高め、緊急時にも迅速に対応できる環境が整います。

特に高齢者や持病を抱える方がいる家庭では、声掛けが安全確認の重要な一環となります。家族の協力で安心感が増し、ストレス軽減にもつながるでしょう。

一人暮らしの場合、「ヒートショック」対策をより意識的に行う必要がありますが、事前に緊急時の連絡先を設定し、連絡が取れない場合の対処方法を準備しておきます。家族や友人に、もし連絡がない時は確認の連絡を入れてもらうなどの対応策を考えておくと安心です。

冬の「落ち込み」には心のケアも重要

冬は寒さによる身体的な不調に加え、精神的なストレスも増加しやすい時期です。心の健康が損なわれると、身体の免疫力や体温調節機能にも影響を与えることがあります。

特に、不安が強いと感じている方には、カウンセリングを受けることで心のケアを行うことが有効です。

カウンセリングで心と身体のバランスを整える

カウンセリングを受けることで、ストレスの軽減や不安の解消につながり、心身のバランスが整います。特に、長期的なストレスに悩んでいる方や過去にメンタルヘルスに問題を抱えたことがある方は、カウンセリングによって心のケアをすることを検討してみましょう。

特に冬は、寒い日でも暖かい自宅から利用できるオンラインカウンセリングがおすすめです。

たとえばストレスや悩みなどをカウンセラーに話すことで、その後にリラックスした状態でバスタイムを楽しむこともできますので、「ヒートショック」予防にも役立つでしょう。

まとめ

「ヒートショック」を防ぐには、生活環境、日常習慣、そして心のケアをバランスよく整えることが大切です。冬場の入浴や温度管理を意識することは、寒暖差による健康リスクを最小限に抑えることにつながります。

家族やオンラインカウンセリングなどのサポートを活用しながら、安全で快適な冬を過ごしましょう。

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