仕事の悩み

「管理職になりたくない」と不安を感じる理由と昇進のメリット・デメリットを徹底解説

近年の人事制度や労働環境の変化により、管理職への昇進に対する従業員の意識や態度が大きく変わっています。

中でも「管理職になりたくない」と感じるビジネスパーソンは増加している傾向があり、管理職への昇進に、ネガティブなイメージを持つ傾向が強くなっています。

そこで今回の記事では、「管理職になりたくない」と感じているビジネスパーソンの本音と、昇進のメリット・デメリットについて徹底解説していきます。

なぜ管理職になりたくないのか

管理職になりたくない理由はさまざまですが、まずは一般的に挙げられる3つの理由をみていきましょう。

1.報酬と責任のバランス

最も多く挙げられる理由として、報酬と責任のバランスがあります。
昇進しても給料がそれほど上がらず、増えた責任に見合わないと感じるケースが増えており、特に管理職手当がそれほど高くない企業では、この理由が顕著であるといえます。

管理職手当が月額3万円の場合、年間36万円のアップにしかならない

 

報酬が責任の重さに見合わないと感じる

多くの従業員は、昇進に伴う責任増加に対して相応の報酬を期待しますが、自身の上司の待遇や企業体制を考えると、期待値を下回る待遇になるだろうと、予測できてしまうという側面もあるようです。

また、管理職になると残業代が支払われないケースも多いため、全体の年収は下がる場合もあります。

結果的に、報酬と責任のバランスが取れていないと感じる従業員は、モチベーションを保つことが難しくなり、昇進を望まなくなるため、「管理職になりたくない」という意識を持つようになります。

2.ストレスとプレッシャーの増加

次は、ストレスとプレッシャーの増加です。
管理者になることで部下の管理や目標達成のプレッシャー、上層部からの期待などが重くのしかかり、精神的な負担が増すことが予想されます。

上司から無理なノルマを課せられ、部下のフォローもするなど板ばさみになる

 

自身のメンタルヘルスへの不安

管理職は、チームメンバーのパフォーマンスを最大限に引き出すための戦略を考え、時には難しい決断を下す必要があります。

また、業績目標の達成や部下の育成、トラブルシューティングなど、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。

このような状況では、心身ともに大きな負担がかかり、メンタルヘルスの問題が発生するリスクが高まるため、「そこまでして管理職にはなりたくない」と感じてしまいます。

3.ワークライフバランスの崩れ

最後は、ワークライフバランスの崩れです。

管理職になると、業務量や責任が増加し、長時間労働が求められることが多くなるため、プライベートな時間が圧迫される懸念があります。

休暇を取っても、仕事のことを考えてしまう

 

休日でもイレギュラー対応をする場合も

管理職はチームのパフォーマンスや業務の進捗を把握し、問題が発生した際には迅速に対応する責任があり、勤務時間外でも仕事のことが頭から離れず、家庭や趣味に費やす時間が減少することが予想されます。

結果としてストレスや疲労が蓄積され、ワークライフバランスの維持が難しくなります。

自身のスキル不足から「管理職」を避ける傾向も

「管理職になりたくない」と感じる時、管理職に対するイメージはマイナスなものが多いかもしれません。

しかし中には、上司の仕事ぶりを目の当たりにして「自分にはとてもじゃないけどやれそうにない」など、自身のスキルに自信を持てないことで、管理職に適任でないと昇進を避ける傾向があります。

  • リーダーシップやマネジメントの経験がない
  • 部下とのコミュニケーションに苦手意識がある。
  • 難しい意思決定に自信がない

しかし、ビジネスパーソンであれば、上記のように感じることは自然であるともいえます。

管理職に必要なスキルは多岐にわたっており、すべてのスキルを身につけることは難しいと感じるケースがあります。

「管理職」という役職に対する本音

30代〜40代のビジネスパーソンは自身の評価や待遇により、昇進の機会を得ることがあると思います。

では、管理職への昇進を打診された場合はどうすればよいのでしょうか。

昇進を断る、もしくは条件次第で引き受けるというビジネスパーソンも多いかもしれません。

次の章では、昇進しない場合のデメリットについて解説していきます。

昇進しないデメリット

「管理者になりたくない」という理由があることで、昇進はしないことを選択した場合のデメリットは以下の4つです。

管理職にならないデメリット4つ

  1. 権限不足
  2. 年下が上司になる可能性がある
  3. 企業の人材育成機能の低下
  4. 転職の際にマイナスになる場合も

順番にみていきましょう。

1.権限不足

昇進をすることでさまざまな場面で権限が与えられますが、「管理者になりたくない」と昇進を断ることで、権限不足を感じるシーンが多くなるかもしれません。

意思決定への参加

管理職への昇進を断る場合は、重要な意思決定やプロセスから排除されることも視野に入れておきましょう。

例えば、戦略的な計画やビジョンの策定において、意見を述べる機会が制限されることがあります。

組織への影響力の制限

管理職にならない場合は、組織内での影響力が低くなる可能性があります。

また、特定のプロジェクトやチームにおいて、重要な役割を逃すことも考えられます。

2.年下が上司になる可能性がある

見落としがちなのが、後輩や年下の従業員が上司になるというケースです。

年下が上司になることのストレス

組織内での昇進や人事異動により、後輩や自身よりも年下の従業員が上司になることも予想されます。

管理職への昇進を辞退することによって、重い責任やプレッシャーを回避することが可能になりますが、別のストレスが増加することも考えられます。

また、自身よりも年下、もしくは勤続年数が短い従業員が上司になった場合、相手に対して指導者として信頼を置くことが困難なケースもあります。

快適に仕事をしたい、好きな業務に専念したいと感じていても、上司とのコミュニケーションに不和が起こると、仕事自体のパフォーマンスが低下することも考えられます。

3.企業の人材育成機能の低下

チームのパフォーマンスの低下

自身だけではなく、同等のキャリアを持つ従業員も「管理職になりたくない」と昇進を辞退することが続く場合は、企業としての人材育成機能が低下する可能性があります。

新人や中堅の従業員は、スキルや経験のある上司や先輩から、教育を受ける機会が失われるため、長期的にみるとチームのパフォーマンスの低下リスクが生じます。

4.転職の際にマイナスになる場合も

求人市場で不利になるケース

一部の企業では、管理経験が求められるポジションや、管理職経験が重視される場合があるため、管理職経験がないことが転職時に不利に働く可能性があります。

キャリアの制限

将来的にキャリアの制限を感じる場合があります。例えば、自身の理想とするキャリアビジョンに「人脈を広げる」という選択肢があった場合は、同じポジションで働き続けることで、人脈の広がりが制限されていると感じることがあるかもしれません。

昇進するメリット

「管理職になりたくない」と感じている場合は、マイナスイメージが先行してしまいますが、ここでは簡単に、管理職になるメリットについて紹介します。

管理職になるメリットとは

キャリアの向上

  • 経営に関する知識や経験を身につけることができる
  • 自身のスキルや能力を磨き、評価を高めることができる

リーダーシップの発揮

  • 部下の目標設定やモチベーションアップを図る
  • 部下の課題解決や成長を支援する
  • チームワークやコミュニケーションを促進する

影響力の拡大

  • 新規事業の立ち上げやプロジェクトの推進に携わる
  • 組織全体の改革や改善に貢献する
  • 社会に影響を与えるような仕事にも携わることができる

スキルの多様化

  • 人事評価制度の設計・運用
  • 予算管理・財務分析
  • 業務改善・効率化
  • コミュニケーション・プレゼンテーション
  • 問題解決・意思決定

これらのメリットを活かすことで、管理職になった場合は自己成長や組織の成果に貢献することができるでしょう。

とはいえやはり「管理職にはなりたくない」

昇進のメリット・デメリットを解説しましたが、それでもなお「管理職にはなりたくない」と感じているビジネスパーソンも少なくはないでしょう。

「管理職にはなりたくない」と感じるのは、決して悪いことではありません。むしろ、自身にとって本当に大切なものは何なのか、じっくりと考えるよい機会です。

もし、管理職になることへの不安や葛藤を抱えているなら、一人で抱え込まずに、カウンセリングを受けることをおすすめします。

悩んだ時に利用したい「カウンセリング」

カウンセラーは、「管理職になりたくない」という悩みについて、客観的な視点からサポートを提供します。

カウンセリングでは、以下のようなことが可能です。

  • 自分の価値観やキャリア目標を明確にする
  • 自分にとっての最適なキャリアビジョンの明確化

もし、「管理職にはなりたくない」という気持ちが強い場合は、無理に昇進を目指す必要はありません。 周りの意見や期待に流されることなく、自分の気持ちに正直でいることが何より大切です。

一人で悩まずに、カウンセリングを活用して、自分にとって最適な道を見つけていきましょう。

忙しいビジネスパーソンに最適な「オンラインカウンセリング」

最近では、オンラインカウンセリングサービスも充実していますので、忙しいビジネスパーソンでもカウンセリングを利用しやすくなっています。

オンラインカウンセリングには

  • 忙しい合間でも、スキマ時間に相談できる
  • 会社や周囲に知られたくない悩みも相談できる
  • 自宅など、リラックスできる環境で相談できる

というメリットがあります。

「管理職にはなりたくない」という悩みを抱えている方は、ぜひオンラインカウンセリングを活用してみましょう。

また、週に1回など、同じカウンセラーから定期的にカウンセリングを受けることで、メンタルが安定し、前向きに自分らしく仕事に取り組むことができるようになります。

まとめ

管理職には、長時間労働や業務負担の増加、権限不足といったデメリットが存在します。しかし、キャリアの向上やリーダーシップの発揮、影響力の拡大といったメリットもありますので、管理職になった場合の役割を捉え、工夫するかによってデメリットを最小限に抑えることが可能であるといえます。

労働環境や組織文化の改善、適切なサポート体制の構築が、管理職の持続可能な働き方を実現するために重要です。

あなたが管理職になることに対する不安や疑問を感じているなら、まずは自分にとっての「管理職のメリット」を再評価し、企業側のサポート体制や最新の動向を活用して、より充実したキャリアを築いてみてはいかがでしょうか。

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メザニン登録カウンセラー
佐々木 隆嘉 Takayoshi SASAKI
臨床心理士、公認心理師

会計事務所での勤務など、様々な社会人経験を経たのち大学院に入学。修了後、医療・教育領域をメインに業務にあたっています。

【メッセージ】
話をしても何も解決しないかもしれない、話すこと自体がつらい、カウンセラーと合わないかもしれないなど、不安に感じることもあるかもしれませんが、一歩踏み出してご相談いただければと思っています。

あまり堅苦しくならず、ただ愚痴を話してまったりする時間にしていただいても大丈夫です。