入社1か月が経過した5月は、新社会人として期待や希望がある一方で、なじめないことへの不安や現実とのギャップに悩む時期でもあると言えます。
この記事では「5月病」の症状が出ていてもどうすればよいのか分からない、抜け出し方や対処法を知りたいという新入社員に向けて、環境が変化したことで起こる「5月病」の症状や、「5月病」からの抜け出し方をケース別に徹底解説していきます。
「5月病」かなと思ったら下の動画をクリック
新入社員と5月病
「5月病」とは、大型連休が明けた後に発生する心身の疲れや不調を表す言葉です。
新入社員は新しい環境に適応するために、常に緊張感を持って仕事に取り組んでいますが、大型連休を挟むことでピークに達した疲れから解放されます。
そのため、リラックスをして過した連休明けに、再び緊張感や不安が伴う環境に戻ることに対して、強いストレスを感じることがあるのです。
新入社員がストレスを感じる理由
新入社員が環境の変化によってストレスを感じる理由は、主に以下の4つに分類されます。
- 新しい環境が不安
- 職場になじめない、周りについていけない
- 社風や部署などの雰囲気が合わない
- 理想と現実のギャップ
それでは、順番に見ていきましょう。
1.新しい環境が不安
新生活を迎えるにあたり、引っ越しなどで生活環境が大きく変化した新入社員も多いでしょう。
一般的には入社後1か月ごろから心身の疲れを感じやすいとされており、大型連休前後に症状が出ることから「5月病」と呼ばれるようになりました。
住み慣れた土地から離れて暮らすだけでも大変なことですから、加えて社会人として初めて働くというのは、大きなストレスを感じます。
なかなか新しい環境のリズムがつかめず体調不良になり、心細さからメンタル不調につながるケースもあります。
環境に慣れるまでは無理をしない
帰宅後、仕事の疲れから何もできず部屋が汚くなっても、料理をする気になれずでき合いの物を買って来ても、今はそれでよいと自分を許すことで楽になる事があります。
会社に着ていく服だけはちゃんとアイロンをかけよう、朝ごはんだけは毎日食べるようにしようなど、毎日ひとつだけでもできたことがあれば自分を褒めましょう。
環境に慣れるまでは無理をせず、できることがあればやる。今はできる状態ではないと思ったらやらなくても大丈夫、などのように生活に余裕を持たせることが大切です。
環境に慣れ始めてきた頃にはできる事が増えていきますので、焦らず環境に慣れていきましょう。
2.職場になじめない、周りについていけない
多くの企業は4月から5月にかけて、新入社員に向けての研修期間を設けています。
この期間は、先輩や上司、他の部署の従業員の顔や名前を覚えることや、会社独自のルールに慣れていく時期です。
しかし、まだ配属先が決まっていない段階で、同期入社のメンバーが社内の人間関係や研修に慣れ始めているのを目の当たりにすると、更に不安や緊張が増して「なじめない、ついていけない…」と悲観するケースも少なくありません。
毎日に小さな達成感を
新しい環境になじむには、おおよそ2ヶ月~半年ほどかかると言われています。
最初から全力で走っていては息切れを起こしてしまいますし、入社後すぐは仕事が「できる、できない」の判断をするのは早い時期です。
全てを完璧にこなそうとせず、目標を細かく分けて達成していく「スモールステップ」をこころがけるとよいでしょう。
今日の研修ではここがうまくいった。社内の人に顔を覚えてもらえたといったような、些細な出来事に加点をしていくことも効果的です。
3.社風や部署などの雰囲気が合わない
- 自由な社風だと思って入社をしたが、トップダウン的な会社だった
- 配属先の上司と価値観が合わない。この先が不安
会社説明会やインターンシップ、面接などで企業側の人間と「学生」として接していた時とは違い、入社してみないと分からないのが社風や部署などの雰囲気です。
会社は働く「人」で成り立っているひとつの文化とも言えますが、多様性や個性を大事にという価値観で育ってきた世代にとっては、型にはまった「社会人」という様式に少なからず疑問を持つでしょう。
同時に、希望の部署に配属されなかった場合は、やりがいをどこに見出したらよいのかと戸惑い、どう適応すればよいかと悩むことで「5月病」の症状が出るケースも少なくありません。
前向きに捉える
例えば、同じ営業職でも営業1課と2課では雰囲気だけではなく、仕事の進め方などにも違いが出る場合があります。
このような場合はまず、社風や部署内の雰囲気に順応できるかどうかを試してみましょう。
体育会系の雰囲気が苦手な場合は、大声で挨拶をするのは気持ちがいいかも、今まで経験をしてこなかった文化で新しい何かを学べるかも、というように前向きに捉えてみましょう。
なぜ自分は認めてもらえないのだろうと疑問に思ったら、まずは自分から職場の環境や上司、先輩、同僚を尊重するように動いてみることも効果的です。
4.理想と現実のギャップ
- 希望の会社に入社できたが研修が地味で正直がっかりしている
- ランチはどこも混雑していて結局コンビニのおにぎりで終わり
- なんだか思い描いていた理想とかけ離れている
- もしかしたら自分は会社選びを間違ったのではないだろうか
このように無事に入社をしても、置かれている状況や現実とのギャップに困惑するケースがあります。
入社はゴールではなく社会人としてのスタート地点なため、理想と現実にギャップを感じると、あんなにがんばって就職活動をしたのにという気持ちも大きくなってしまいます。
最初はこんなものかな、という気持ちが大事
手応えや実感が持てない時は不安が大きくなりますが、学生から社会人になってすぐに、理想とする働き方ができる人は少ないでしょう。
入社してすぐはこんなものかなという「ゆるさ」を持つことで、現実ギャップを緩和することが期待できます。
現実にギャップを感じていると「こんなはずじゃない」と思うこともありますが、自分自身を新しい環境へ徐々に慣らしていくことが最も有効な対処法と言えます。
会社に「行きたくない」と気分が沈むのはなぜ?
新しい環境が不安、職場になじめない、周りについていけない、社風や部署などの雰囲気が合わない、理想と現実へのギャップがあるというように、新入社員は様々な要因でストレスを抱えます。
そして、新入社員に起こりやすい代表的な「辛さ」は以下の通りです。
- 通勤が辛い
- 眠れなくて辛い
- 相談できる人がいなくて辛い
順番に対処法を見ていきましょう。
1.通勤が辛い
生活リズムを作っていく中で、通勤時間は重要であると言えます。
行動規制緩和によるインバウンドの復活や、テレワークを導入している企業でも新年度しばらくは出社を推奨するなどもあり、以前のような通勤ラッシュに戻りつつあります。
人が動けばそれだけ交通機関の混雑や渋滞が予想されますが、通学通勤時間帯である朝のラッシュは続くと言ってよいでしょう。
余裕をもって行動する
- あの混雑の中をがまんして通勤すると思うだけで気分が沈む
- 行きたくないと思えば思うほど家を出る時間が遅くなり、遅刻が増えてしまった
- 会社に着いてしまえばなんとか「がんばれる」のが分かっていても、通勤時間がたまらなく辛い
もし、通勤時間帯がラッシュに重なっており、会社に着くまでに気分が悪くなる、あの混雑に巻き込まれるのかと思うと会社に行きたくなくなると感じたら、ラッシュの時間帯を避けて通勤をすることも視野に入れてみましょう。
他の環境の変化に慣れるまでは少し早い時間帯に通勤をしておくことで、途中で具合が悪くなったらどうしよう、遅刻をしたらどうしようというストレスが緩和されます。
また、出勤前に自身の気分を整えたり、読書や好きな音楽を聴くなどのいわゆる「朝活」を取り入れてみるのも効果的です。
2.眠れなくて辛い
- 身体は疲れているのになかなか寝付けない
- 朝になったらきちんと起きて出勤できるだろうか
- 色々と考えているうちに目がさえてしまい、更に不安になり辛くなる
睡眠は生活の中でも非常に重要な役割を担っているため、眠れないことは大きなストレスとなります。
「眠らなくてはならない」と思わなくていい
新入社員として働く毎日では、頭をフル回転して過ごしているわけですから、帰宅後はゆっくりとこころも身体も休めましょう。
眠れないことで不安になることもありますが、横になっているだけでも身体の休息が期待できます。
なかなか寝つけない時はスマホをチェックしたり、なにかと目を使う動作をしてしまいがちですが、横になっている時は目をしっかりと閉じると脳を休めることができるため、より効果的です。
また、不眠が続いているようであれば、明日の仕事のために自分は疲れをとるべきで、何時間眠らなければならないというような「Must思考」はいったん手放して、今日くらい寝れなくてもなんとかなる、というような考えでいたほうがよい場合もあります。
3.相談できる人がいなくて辛い
新入社員にとって「相談できる相手がいない」というのも悩みのひとつではないでしょうか。
厚生労働省「2021年雇用動向調査結果の概況」20~24歳までの区分によれば、その他の個人的理由、出向などを含むその他の理由を除くと、労働時間、休日等の労働条件が悪かったが14.2%、次いで職場の人間関係が 好ましくなかったが12.8%と高い割合となっています。
参考)厚生労働省 | 2021年雇用動向調査結果の概況
職場の人間関係が好ましくない場合、新入社員の立場としては相談しにくい状況であると言えるでしょう。
また、入社後すぐに、上司にしっかりと自分の悩みを相談できる新入社員は少ないと予想されます。
辛い気持ちを誰かに話してみよう
「5月病から抜け出したい、抜け出し方を知りたい」と思っていても、相談できずに抱え込んでいませんか。
家族や友人に相談をしたくても、入社したばかりで心配をかけたくない、楽しくやっているだろうと思っている期待を裏切りたくないという気持ちがあると、なかなか身近な人へ相談をするのは気が引けるものです。
- 慣れない環境、慣れない人間関係、慣れない仕事、慣れない通勤
- 帰宅後や休日は外にでる気力もなく、布団の中で1日を過ごしてしまうこともある
- SNSをチェックすると、地元の友人や同期は充実しているように見えて辛い
- 自分だけが環境になじめず苦しんでいるのだろうか
そう思い悩んでいたら、オンラインカウンセリングを視野にいれてみませんか?
スマホで予約、自宅からでも相談できる「オンラインカウンセリング」
家族や友人に相談しづらいと感じていたら、専門のカウンセラーに相談できる「オンラインカウンセリング」を検討してみましょう。
オンラインカウンセリングはインターネットに繋がる環境であれば、全国どこからでも利用することが可能です。
休憩中や仕事帰りの電車などのスキマ時間を使って、予約は簡単にスマホから取ることができます。
5月病が辛い、仕事の事で悩んでいる、だれかに話を聞いて欲しいと思ったら、自宅から専門のカウンセラーとのカウンセリングをすることができます。
オンラインカウンセリングなら、疲れた身体で外出をする、緊張しながらカウンセリングの時間を待つということもなく、ゆっくりと起きた休日などにリラックスした状態で自宅から相談をすることができます。
また、比較的遅い時間帯でも対応しているため、仕事から帰宅した後などでも気軽に相談をすることができます。今日は特に辛くて誰かに話したいと思ったら相談をすることができるのが、オンラインカウンセリングのメリットです。
まとめ
この記事では、新入社員の「5月病」からの抜け出し方や対処法を解説しました。
「5月病」の症状が出るケースには個人差がありますが、心身ともに疲れている状態で心細さを感じることは共通しています。
なんとなくゆううつで気分が沈むと感じたら「5月病」の症状である場合も考えられますので、ひとりで辛い気持ちをがまんせず、悩みを相談してみませんか。
mezzanineのカウンセラー
メザニンコラムを発信している「mezzanine」では、オンラインカウンセリングを提供しています。
ご自宅から、専門性の高いカウンセラーからのカウンセリングを受けられます。
メザニン登録カウンセラー
平井 綾乃 Ayano HIRAI
臨床心理士、公認心理師、キャリアコンサルタント
うつ病や適応障害による休職・復職支援、EAPと連携した高ストレス該当者のフォローアップなどの経験が豊富です。
【メッセージ】
いまのあなたにとっての「無理しないでね」を一緒に考えます。
悩み事が出口の見えないトンネルとするならば、そのトンネルの出口までの道標としてお役に立ちたいと思っています。
普段は心療内科クリニックやスクールでカウンセリング業務を行っています。