仕事の悩み

職場でのメンタルヘルス対策と心の健康を守るセルフケアを解説

メンタルヘルスへの関心が高まる中で注目を集めているのが、職場でのメンタルヘルスケアです。

今回の記事では、職場におけるメンタルヘルスケアの「4つのケア」と、個人でできる「セルフケア」について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。

職場におけるメンタルヘルスケアとは

こころの健康を意味する「メンタルヘルス」は、日本でも広く浸透した言葉です。

職場におけるメンタルヘルスケアとは、労働者が仕事環境においてこころの健康を維持し、ストレスや精神的な負担に対処していく取り組みを指します。

職場でのメンタルヘルスケア推進の背景

労働者のメンタルヘルス不調が増加する中で、労働者が安心して働けるよう、身体の健康とともに、こころの健康にも気を配りサポートしていくことが重要だという観点から、メンタルヘルスケアの取り組みが推進されるようになりました。

柔軟な働き方でストレスも多様化している

近年、働く環境が改善されると同時に、労働者の働き方も柔軟になってきています。

その一方で、その柔軟性によって労働者が抱えるストレスが複雑化しているという問題もあります。

事業所は労働者のこころの健康をサポートすることが課題となり、メンタルヘルスケアを含む、メンタルヘルス対策に取り組んでいくようになったという背景があります。

事業所のメンタルヘルスケアへの取り組み

厚生労働省によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所割合は2012年は47.2%で、その後は60%前後の水準で推移しており、2022年には63.4%となっています。

なお、厚生労働省では2027年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合を80%以上とすることを目標としています。

厚生労働省 2023年版過労死等防止対策白書 4ページグラフを参考に作成

職場におけるメンタルヘルスケア「4つのケア」とは

職場におけるメンタルヘルスケアには、労働者のメンタルヘルス対策に向けた「4つのケア」があります。

4つのメンタルヘルスケアの推進

「4つのケア」の取り組みには、

  • セルフケア
  • ラインによるケア
  • 事業場内産業保健スタッフたちによるケア
  • 事業場外資源によるケア


厚生労働省 職場における心の健康づくり 7ページを参考に作成

1.セルフケア

職場におけるメンタルケアの考え方として、労働者が自身のストレスに気づき対処していく「セルフケア」があります。

まずは、ストレスに対処していくことの必要性を、労働者自身が認識していることが重要です。

事業所では労働者を対象としたストレスに関する研修などを行い、労働者自身がストレスに対処していくことをサポートしていきます。そのため、事業所は労働者に対して、ストレスチェックの機会を適切に提供することが推奨されています。

ストレスチェック制度

この制度は、働きやすい職場環境の整備と、従業員のメンタルヘルス不調の予防を目的としています。ここに、厚生労働省の作成したストレスチェックがありますので、是非試してみてください。5分程度で終了します。

厚生労働省「5分でできる職場のストレスセルフチェック」

2.ラインによるケア

職場内で労働者と接する機会が多い管理監督者が、労働環境の改善や対応を行っていくのが「ラインによるケア」です。

職場におけるメンタルヘルスケアの中でも、「ラインによるケア」は重要な役割を担っています。

管理監督者は、労働者のメンタルヘルスに関する事業所の方針を把握し、ケアを行う上での基礎知識を踏まえて、適切な対応をしていくことが推奨されています。

また、管理監督者には、強いストレスや不安などを抱える労働者に対して、早期に発見し対処していくマネジメントスキルが求められます。

3.事業場内産業保健スタッフたちによるケア

事業場内産業保健スタッフたちによるケアでは、「セルフケア」や「ラインによるケア」が十分に機能するようにサポートしていきます。

また、必要に応じて、事業所内の相談窓口の役割も担い、労働者または管理監督者からのメンタルヘルスの状態などを把握し、整理していきます。

事業場内産業保健スタッフには産業医や保健師、そして内部EAP(従業員支援プログラム)などが該当します。

4.事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアでは、「セルフケア」や「ラインによるケア」に加えて、事業所が抱える問題などに対して、外部のメンタルヘルスの専門家がサポートを行っていきます。

事業場外資源には、地域保健機関やクリニックや医療機関の他に、外部EAP(従業員支援プログラム)などが該当します。

メンタルヘルスケアの進め方

「4つのケア」では、相互に連携することで、継続的かつ積極的に取り組んでいくことが効果的であるとされています。

厚生労働省 職場における心の健康づくり 8ページを参考に作成

「セルフケア」の重要性

職場におけるメンタルヘルスである「4つのケア」のうち、労働者個人ができる「セルフケア」の重要性を解説します。

個人にとっての重要性

セルフケアを身につけることで、自分自身のメンタル不調にいち早く気づき、自分で対処することができるようになります。

また、セルフケアにより健康的なライフサイクルを保てるようになり、健康維持だけでなく、医療費などの負担が軽減される効果も期待できます。

企業にとっての重要性

従業員に対しセルフケアを促進させることは、企業にとってもいくつかのメリットが期待できます。

一つは生産性の向上です。従業員がセルフケアに取り組み健康を維持することで、生産性の向上が期待できます。

また、セルフケアにより、心身が健康であることで、仕事の効率や職場の雰囲気が活性される場合があります。

メンタル不調は離職や休職にも繋がりますので、セルフケアを促進することによって、離職のリスクを軽減できる可能性があります。

心身の不調が思わぬ事故やトラブルを引き起こす原因にもなりかねませんので、セルフケアを促進することが経営リスクを軽減させることにもつながります。

自分でできる「セルフケア」

この章では、労働者個人ができる「セルフケア」について詳しく解説していきます。

  1. こころと身体の健康を意識する
  2. リフレッシュとリラックス
  3. 自分の状態を知る

順番にみていきましょう。

1.こころと身体の健康を意識する

メンタルヘルスを保つためには、こころの健康と同時に身体の健康にも気を付けていくことが大事です。

体調を考慮してスケジュールを組む

業務内容や役職、労働環境、年齢などに違いがあっても、ビジネスパーソンとして働く中で注意したいのが、まずは自分の体調を意識することです。

たとえば、体調不良になって仕事を休むケースや、効率が落ちるケースも想定しておくなど、余裕を持って動くことを心がけるとよいでしょう。

2.リフレッシュとリラックス

リフレッシュとリラックスは、仕事や責任から離れて心身をリフレッシュさせることを意味します。

趣味やアクティビティを楽しむことで、ストレスを解消し、心身のバランスを取り戻すことができます。

リフレッシュにはオンオフを明確にする

休暇や休息を活用して疲れを取り、リフレッシュした状態で、再び仕事や日常生活に戻ることが重要です。リフレッシュとリラックスの時間を十分に確保することで、ストレスを軽減し、こころの健康を維持することが期待できます。

また、リフレッシュとリラックスでは、オンオフを明確に切り替えることがポイントです。休日はしっかりと休むことで、ストレスに対処しやすくなります。

試してみたい【コーピング】

コーピングとは、ストレス反応を和らげるために対処する行動のことで、人によって様々な方法が存在します。

  • 湯船につかる、十分な睡眠をとる
  • 人と話す、愚痴を聞いてもらう
  • 外に出て散歩や運動をする
  • ゲームや読書に没頭する

など、バリエーションが豊富で、複数のコーピングを持っておくのが良いとされています。自分自身のストレス対処法をできるだけ沢山、紙に書き出してみると良いでしょう。

3.自分の状態を知る

ストレスは仕事や日常生活でのプレッシャーや負担によって生じるものであり、適切に対処できない場合は、メンタルヘルス不調に陥る可能性があります。

自分自身のストレスを把握し管理していくためには、自分の状態を知ることが重要です。

客観的な視点も取り入れる

事業所から提供されるストレスチェックの他にも、問題解決のための具体的なアクションプランを立てていくことも効果的だといえます。

職場におけるメンタルヘルスケアと併せて、個人でカウンセリングなどを受けることで、自分の状態だけではなく、思考の癖などを知ることができるかもしれません。

試してみたい【ジャーナリング】

ジャーナリングとは、今感じていることや、思っていることをそのまま紙に書きだすセルフケア技法です。無心で手を動かすことにより自分自身を客観的に眺めることができたり、気持ちが落ち着く効果が期待できます。

ポイントは、今思っていることをそのまま、何も考えずひたすら書くことです。頭の中で整理したり、何を書こうかなど悩んだりせず、思いつくままに書いてみてください。

セルフケアに有用な「カウンセリング」

カウンセリングは、セルフケアの重要な要素として、自分自身が抱えるストレスを知る上で大きな役割を果たします。

自己理解の促進

まず第一に、カウンセリングを通じて自己理解の促進が期待できます。

カウンセラーとの対話を通じて、自分の感情や思考を見つめ直すことができるでしょう。これにより、自分自身が抱えるストレスに対しての深い理解が生じます。

コーピングスキルの向上

コーピングとはストレスへの対処法を指しますが、セルフケアにカウンセリングを取り入れることのメリットとして、コーピングスキルの向上が期待できます。

メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーとのカウンセリングを通じて、ストレスや不安の要因を明らかにし、それらに対処する方法を学ぶことができるでしょう。

新しい視点を得ることができる

カウンセリングは新しい視点を得ることにも役立ちます。

カウンセラーは客観的な立場から、ストレスの問題を捉えサポートを行っていきます。これにより、問題や課題に対する新たな考え方や解決策を見つけることができるため、より効果的なセルフケアの実践が図れるでしょう。

自分の気持ちを整理できる

カウンセリングは、自分が持つ感情の整理と処理にも非常に効果的です。

カウンセリングを通じて自分の感情を整理し、健康的な方法でストレスに対処することができるでしょう。

以上のように、カウンセリングはセルフケアの重要な要素として、自己理解、ストレス管理、新たな視点の獲得、感情の整理、に多大なメリットをもたらします。

ストレスを感じたらすぐに話せる「オンラインカウンセリング」

カウンセリングに興味がある、受けてみたいと思っても、予約をするまでに勇気が要るという場合もあります。

そのような中で、ストレスを感じた時や問題が生じた場合などに、すぐに話せるのがオンラインカウンセリングです。

オンラインカウンセリングは、臨床心理士、公認心理師、EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)、精神保健福祉士などの資格を有した、メンタルヘルスの専門家がカウンセリングを行うため安心です。

予約もカウンセリングもスマホから簡単に行える

誰かに話したい、気持ちを整理したいと感じたその日に、オンラインカウンセリングでは予約からカウンセリングまでをスマートフォンから行うことができるため、忙しい合間のスキマ時間に利用することも可能です。

ストレスを感じた時にすぐに相談できる「オンラインカウンセリング」は、多くのビジネスパーソンにとって、効果的なメンタルヘルスサポートの選択肢となっています。

まとめ

この記事では、職場におけるメンタルヘルスケアの「4つのケア」と、個人でできる「セルフケア」について詳しく解説しました。

ストレスを感じた際には、すぐに話せる環境を整えることが重要です。こころの健康を維持するために、労働者個人が「セルフケア」の一環としてカウンセリングを積極的に活用することが、メンタルヘルスケアとしても重要であるといえるでしょう。

 

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