「気分の浮き沈みが激しい」と感じたら?感情の波をコントロールするヒント集

 多忙な業務の中で、周囲の些細な言動に動揺したり、普段なら受け流せる状況で感情的な苛立ちを感じたりすることはありませんか。また「最近気分の浮き沈みが激しいな」と感じてインターネットで検索してみると、「双極性障害」や「うつ病」といった病名が並び、困惑した経験があるかもしれません。

しかし、現代社会において高いパフォーマンスを維持し続けるビジネスパーソンにとって、こうした感情の波はごく自然な生理的反応と捉えることができます。

そこで今回の記事では、気分の浮き沈みが激しいと感じた際に、心穏やかに過ごせるようになるための具体的なヒントを、症状や状況別に紹介します。

気分の浮き沈みは、なぜ起こるのか? 感情が揺れる「身近な要因」

私たちの感情は、生活環境や人間関係、季節の変化、ホルモンバランスなど、さまざまな要因の影響を受けています。この章では、気分の変化が起こる身近な要因を見ていきましょう。

1.ストレスの蓄積

仕事や人間関係、家族とのやりとり。こうした小さなストレスが少しずつ蓄積されていくと、感情の起伏が激しいと感じることがあります。

職場では「感情を表に出さない」ことが求められる場面も多くありますが、気分の波が仕事中に押し寄せてくることも、決して珍しいことではありません。

特に「がんばり屋」タイプの方ほど、ストレスを感じていても走り続けてしまい、限界を超えてから心のサインに気づく傾向があります。

2.食生活の乱れ

日々の忙しさの中で、ついつい食事がおろそかになっていませんか。朝はコーヒーだけ、昼は手軽な菓子パンやおにぎり1個、夜はカップ麺やスナック菓子で済ませてしまう。心当たりのある方もいるかもしれません。

このような食生活が続くと、身体は必要な栄養素を十分に補給できず、慢性的なエネルギー不足に陥ります。すると、身体だけでなく心のバランスを保つのが難しくなってしまうのです。

特に注意したいのが、血糖値の急激な変化です。精製された炭水化物や糖分の多い食品を摂ると、血糖値が急上昇し、その後に急降下するというジェットコースターのような状態が繰り返されます。この血糖値の乱高下は、脳に大きな影響を与えます。脳はエネルギー源としてブドウ糖を必要としますが、血糖値が急降下すると、脳はブドウ糖不足に陥り、「不安」や「怒り」といったネガティブな感情に敏感になりやすくなるのです。

3.寝不足・疲労・生活リズムの乱れ

夜更かしや浅い眠りの日が続くと、脳の「感情を整える機能」がうまく働かなくなります。イライラしやすい、落ち込みやすい、ネガティブな思考が止まらないといった状態は、実は「心の問題」ではなく、「脳の疲れ」が原因である場合もあります。

仕事を自宅に持ち帰って夜遅くまで作業する、食事の時間が不規則、平日の疲れで休日は昼まで寝てしまう、といった生活が続くと、体内時計がずれることで、自律神経に負担がかかります。その結果、「朝起きても身体が重い」「昼間は頭がぼーっとして何も進まない」「夜になると妙に元気になってしまう」といったリズムの逆転に陥りやすくなるのです。

4.季節・気圧・天候の変化

梅雨や台風の多い時期には、気圧や気温の急な変化が起こり、自律神経のバランスが崩れやすくなります。中には、「雨が降る前に頭痛がする」「天気が悪い日は気分が落ち込みやすい」など、天候に左右される不調から、自分でも気分の波が大きいと感じている方もいるかもしれません。

近年ではこうした気象の変化が体調やメンタルに影響を及ぼす「気象病」にも注目が集まっています。気象病は、耳の奥にある「内耳」が気圧の変化を感知し、その刺激が自律神経に伝わることで、頭痛やめまい、だるさ、情緒不安定などの症状を引き起こすと考えられています。

また、冬になると日照時間が減り、感情の安定に関わる脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌が減少することが影響し、「季節性情動障害(SAD)」と呼ばれるうつ症状が現れることもあります。

5.ホルモンバランスの変化

ホルモンバランスの変化と聞くと女性特有の症状だと思われがちですが、実は性別や年代を問わず、気分や感情に影響を及ぼします。

20代から30代といった比較的若い層でも「若年性更年期」として現れるケースもあるため、どの年代でもホルモンバランスの変化による気分の変化は起こり得るのです。

ライフステージの変化にともなう身体の移り変わりは、自分でも気づかないうちに、感情の波やモチベーションの低下を招くことがあります。しかし、こうした変化は外から見えにくいため、「自分だけがおかしいのでは」と感じてしまうこともあるでしょう。

もしも最近、「気分のムラが気になる」「前より疲れやすくなった」と感じたら、ホルモンバランスの影響かもという視点を持ってみるのもよいかもしれません。

「気分の浮き沈みが激しい」と感じたら?感情の波をコントロールするヒント集

気分の波に振り回されないために。心を守る3つのヒント

感情の波が常に穏やかであることは稀で、大なり小なり、誰もがその影響を受けています。大切なのは、「今、自分にはどのような波が来ているか」を理解し、付き合っていくことです。

この章では、激しい気分の変化を和らげ、日々の生活をより穏やかに、そして自分らしく過ごすための具体的なヒントを紹介します。

1.自分の「心の天候」を知る

私たちは、天気予報を見て傘を持って出かけたり、気温に合わせて服装を選んだりしますよね。心の状態も同じように、事前にその傾向を知ることで、心の準備や対策が立てやすくなります。

感情の記録をつけてみよう

スマートフォンのメモアプリや手帳などを利用して、「朝:やや沈む」「昼:イライラ」「夕方:落ち着く」といった簡単な記録をつけてみましょう。気分を言葉にするのが難しい時は、〇△×や、絵文字を使ってもかまいません。

大切なのは「書くこと」そのものよりも、自分の感情のパターンや傾向に「気づく」ことです。

自分なりの「兆候」を見つける

「この発言を聞くと気分が落ち込みやすい」「締め切り前は決まって焦りが強くなる」「特定の曜日や時間に気分が下がりやすい」などがあれば、今日のひとこと的に記入しておくと、感情が揺れるトリガーや、気分が変化するタイミングなど、自分なりのパターンが見えてきます。

毎日続けなければならないとは思わず、気が向いた時にサッとメモするくらいのラフさでかまいません。気楽に試してみましょう。記録を続けることで、漠然とした「気分の変化」を言語化でき、対策が立てやすくなります。

2.気分が荒れている時は決断しない

気分の浮き沈みが激しい時に大きな決断をして、後々後悔することになったという経験があるかもしれません。そんな時は、自分を守るためにマイルールを決めておくのが効果的です。

大きな決断は「一旦保留」に

気分がひどく落ち込んでいる、もしくは高揚しすぎている時は、人生を左右するような大きな決断は一旦保留にし、気持ちが落ち着いてから改めて考える時間を取りましょう。

気分の浮き沈みが激しい時は、冷静な判断が難しいケースがあるため、「あの時、なんであんなことを決めてしまったんだろう」と後悔しないためにも、心の波が穏やかになるまで、少し時間を置くのが効果的です。

たとえば、こんなマイルール

これが欲しい!と思っても、その日は買わない。数日経っても「本当に必要だ」と感じた時だけ購入するようにする。というように、「感情の波」と付き合うためのマイルールを決めておくと、自分を冷静に保つ手助けになります。

3.「誰かに話す」ことをためらわない。声に出して心を整理する

気分の波が押し寄せ、頭の中で考えが堂々巡りしてしまう時は、信頼できる相手に話してみるのがおすすめです。

声に出して気持ちをアウトプットする時間を持つことは、自分の感情を客観的に見つめるきっかけにもなります。

カウンセリングを視野に入れて、選択肢を広げよう

感情面での悩みは、「身近な人には話しにくい」「もっと専門的な視点からのアドバイスが欲しい」と感じるなら、心理カウンセラーなどの専門家を頼るのが最も有効です。カウンセラーはあなたの話を丁寧に聞き、適切なサポートや具体的な対処法を一緒に考えてくれます。

カウンセリングをもっと気軽に、もっと身近に

「カウンセリング」と聞くと、まだまだ「自分には関係ない」「重たい悩みがある人が受けるもの」と思う方も少なくありません。けれど実際には、「最近なんとなく気分が不安定」「話を整理したい」「誰かに聞いてもらいたい」そんな理由で利用する人も多くなっています。

気軽に利用しやすいオンラインカウンセリング

最近では、スマートフォンやパソコンから気軽に相談できるオンラインカウンセリングの利用も広がっています。

「仕事が忙しくて時間がとれない」「外出する元気がない」「家でリラックスした状態で話したい」そんな時でも、場所を選ばず静かな環境で、自分のペースで相談できます。

気持ちのメンテナンスとして、美容室に行くような感覚でカウンセリングを利用してみるのもよいかもしれません。

カウンセリングは継続することでより効果的に

一度のカウンセリングで全てを解決しようとする必要はありません。心の状態は日々変化するため、定期的に専門家と対話を重ねることで、自分自身の感情のパターンや変化への対応力を、段階的に高めていくことができます。

それは、体力作りのためのトレーニングや、語学習得のための学習のように、時間をかけて着実に、そして根本的に心の状態を整えていくプロセスです。継続的なカウンセリングは、単に悩みを解決するだけでなく、ストレス耐性を高め、自分らしい心のバランスを見つけるための強力なサポートとなるでしょう。

「気分の浮き沈みが激しい」と感じたら?感情の波をコントロールするヒント集

まとめ

気分の浮き沈みが激しい日々に、戸惑ったり、自分を責めたりしてしまうこともあるかもしれません。しかし感情の波は、心と身体が「ちょっと休ませて」と伝えているサインだと捉え、自分の内側の声に耳を傾けてあげましょう。

ちょっとした生活習慣の見直しや、マイルールの導入、誰かに話すこと。どれも立派なセルフケアです。そして、もし「一人では難しいな」と感じたら、カウンセリングというサポートもあります。あなたが自分を大切にできる方法を、取り入れていきましょう。もあります。あなたが自分を大切にできる方法を、取り入れていきましょう。

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Q&A

気分の浮き沈みが激しいく、心配です。
「気分の浮き沈みが激しい」は、ストレス、食生活、睡眠不足、季節、ホルモンバランスなどの身近な要因があります。まずはセルフケアを試してみましょう。もし対策を試しても心の波が穏やかにならない、日常生活に支障を感じる場合は、一人で抱え込まずに心理カウンセリングなど専門家への相談を検討するのが良い方法です。カウンセリングで、あなたに合った具体的な対処法を見つけられますよ。
忙しい日々の中で、気分の波をコントロールするために手軽にできることはありますか?
多忙な中でも、手軽にできることはあります。まず、感情のパターンやトリガーに気づく習慣をつけてみましょう。また、疲労や食生活の乱れが原因のこともあるので、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけることも大切です。さらに、気分が荒れている時には大きな決断を一旦保留にするなど、自分なりのマイルールを決めておくのも有効です。もし一人で実践が難しいと感じたら、カウンセリングを通じて専門家と一緒に具体的な対処法を探すのも効果的です。
カウンセリングはどのような方が利用すると良いのでしょうか?
カウンセリングは、仕事や人間関係のストレス、将来への不安など、日常生活の様々な感情の波に対し、客観的な視点からのサポートを求めて活用されることも増えています。オンラインカウンセリングも普及し、場所や時間を選ばずに専門家と話せるため、忙しい方にもおすすめです。心のメンテナンスとして、3回、6回、12回など、悩みに応じた回数で継続的に利用することで、ストレス耐性を高め、自分らしい心のバランスを見つける手助けとなるでしょう。