仕事の悩み

仕事に行こうとすると吐き気がする 吐き気の原因と対処法を紹介

「月曜日か…」そう思うだけで胃がキリキリと痛み出したり、ひどい時には吐き気を催したり。こんな経験はありませんか?

仕事における責任やプレッシャーの多いビジネスパーソンにとって、仕事は少なからずストレスを感じるものです。そのストレスが原因で、 仕事に行く前に吐き気を覚える場合もあるでしょう。

今回は、仕事に行く前に感じる吐き気の原因を探りながら、その対処法を紹介していきます。

なぜ?仕事前に吐き気がする原因

仕事前に感じる吐き気は、仕事上の様々な要因で心身にストレスを感じることが多く、それが吐き気となって現れるケースが多いようです。

2022年に厚生労働省が発表した「2022年 労働安全衛生調査(実態調査)」によりますと、仕事や職業生活で強いストレスを感じている人は、年々減少傾向にはありますが、依然として5割近い人が、何らかの強いストレスを感じながら仕事をしていることが分かります。


厚生労働省「2022年労働安全衛生調査(実態調査)」第1-2-1図を参考に作成

吐き気の要因となる仕事のストレス

吐き気の原因の多くが仕事上のストレスであることが分かったら、次に、仕事におけるストレスの種類について見ていきます。

膨大な業務量

過剰な業務量や長時間労働は心身に大きな負担がかかります。がんばっても終わらない仕事に追われ続けると、常に緊張状態が続き、睡眠不足や疲労が蓄積していきます。

また、「仕事が終わらない」「ミスをしてしまうかもしれない」という不安や焦りから、自律神経が乱れ、吐き気などの身体症状が現れることがあります。

さらに、長時間労働による生活リズムの乱れも、心身のバランスを崩し、吐き気を悪化させる要因となります。

仕事でのミスやクレーム

仕事でミスを犯した時や顧客からクレームを受けた際、強い自己嫌悪や不安、焦燥感に襲われることがあります。

また、「上司や同僚に迷惑をかけてしまう」「責任を問われるのではないか」という恐怖心やプレッシャーを感じ、心身に大きな負担がかかります。

その結果、自律神経のバランスが乱れ、吐き気などの身体症状が現れることがあります。

難しい業務

高度な専門知識やスキルが求められる業務や、責任重大な仕事、厳しい納期や高すぎる目標設定などのプレッシャーがきつい場合、常に緊張感や不安感を抱かせる状態になります。

その結果、心身に過度な負担がかかり、自律神経のバランスが乱れてしまいます。この状態が続くと、朝起きるときや職場へ向かう際に吐き気を感じるなど、身体症状として現れることがあります。

職場の人間関係のストレス

人間関係が良好であれば仕事のモチベーションにつながりますが、反面、うまくいかない場合は大きなストレスとなり、心身に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、上司からのハラスメントや、同僚との競争や嫉妬、陰口や無視などの嫌な出来事は、強い不安感や恐怖心を抱かせ大きなストレスにつながります。

これらのストレスによって自律神経が乱れると、吐き気を引き起こすことがあり、場合によっては、吐き気以外にも、頭痛、めまい、下痢、便秘、動悸、息切れ、疲労感、食欲不振、不眠 などの症状が出ることもあります。

吐き気を我慢し続けるとどうなる?

「吐き気くらい…」と軽く考えてしまう方も多いですが、吐き気を我慢し続けることは、想像以上に身体への負担が大きく、様々なリスクを伴います。

まず、我慢することで、症状が悪化する可能性があります。初期段階では吐き気だけだったものが、度重なる嘔吐や激痛を伴う腹痛など、より深刻な症状へと発展してしまうことも少なくありません。

さらに、吐き気を我慢しようとすると、仕事への集中力が低下し、ストレスを感じやすくなるという悪循環に陥ります。本来のパフォーマンスを発揮できないばかりか、ストレスの増大により、さらに吐き気が悪化する可能性も考えられます。

また、吐き気は、胃腸炎や食中毒など、他の病気のサインである可能性も考えられます。安易にストレスと結論付けず、医療機関を受診することで、重大な病気の早期発見につながる可能性もあります。

休むことは甘えではない

私たちは皆、それぞれ異なるストレス耐性を持っています。仕事や人間関係で感じる重圧も、人によって受け止め方が違うのは当然のことです。

責任感が強く、真面目な人ほど、「仕事に行きたくない」という気持ちを持つ自分を責めてしまうことがあります。「休むのは甘えではないか」「みんながんばっているのに」と、周囲の目を気にして、限界を超えても無理をしてしまうケースも少なくありません。

しかし、心身に不調が現れている場合は、身体が「もう限界です」と訴えているサインかもしれません。吐き気などの身体症状は、無理を続けることで悪化する可能性もあります。

「がんばりすぎるあなた」こそ、「休む勇気」を持つことが大切です。自分を労わり、休息を取ることは決して「甘え」ではありません。心身を休ませることで、自分を取り戻すといってよいでしょう。

今すぐできる辛い吐き気の対処法5選

つらい吐き気を和らげるために、すぐにできる対処法をいくつか紹介します。

1. 深呼吸をする

吐き気がしたら、落ち着いて深呼吸をするのが効果的です。今回は心を落ち着かせ、ストレスを和らげるのに効果的な「ボックス呼吸法」を紹介します。
まず、姿勢を整え静かな場所で背筋を伸ばして座るか立って、リラックスした状態を保ちます。

  • 次に鼻から4秒かけてゆっくりと息を吸い込みます。このとき、お腹を膨らませることを意識してください
  • 空気を吸い込んだら、4秒間その状態で息を止めます
  • 口から4秒かけてゆっくりと息を吐き出します。お腹がへこむのを感じながら行いましょう
  • 息を吐き切った後、さらに4秒間何もせずに息を止めます

呼吸に合わせて、頭の中で正方形を描くようにイメージすると、より集中しやすくなります。4秒間が難しいと感じる場合は、2秒間や3秒間など、無理のない範囲で設定しましょう。

2. 休息を取る

可能であれば、10〜15分程度、静かな場所で横になって休みましょう。
目を閉じ、リラックスできる音楽を聴いたりするのも効果的です。

3. 空気を入れ替える

窓を開けて空気を入れ替えることは、吐き気を和らげるのに有効です。部屋の中のこもった空気や不快なにおいを新鮮な外気と入れ替えることで呼吸を快適にし、気分をリフレッシュさせる効果があります。

また、酸素濃度を高めることで、身体や脳に新鮮な酸素を供給し、全身のリラックスを促進します。これにより、ストレスや不安感が軽減され、吐き気の症状が和らぐことがあります。

4. 無理に食事をしない

気持ちが悪いときに無理して食べようとすると、消化不良を引き起こし、症状が悪化する可能性があります。

まずは、身体が食事を受け付ける状態かどうかを見極めるのが大切です。必要であれば、一時的に食事を控えるか、消化が良いものを選び、水分補給も心がけてみましょう。

5. 締め付けの強い服装を避ける

タイトな服装は、胃や腹部を圧迫し、消化器官の働きに影響を与えることがあります。特に、腹部に密着したベルトやウエスト周りのきつい服は、胃の圧迫を強めるため、吐き気を感じやすくなる原因となります。

ゆったりとした服を選ぶことで、胃や腸にかかる負担を減らし、消化がスムーズに進むようにサポートします。リラックスした状態を保つためにも、身体に負担をかけない服装を心がけることが大切です。

上記の方法を試しても吐き気が改善しない場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
特に、以下のような症状がある場合は、早めに受診することをおすすめします。

  • 吐き気が続く、または悪化する
  • 吐血する
  • 意識がもうろうとする
  • 発熱や下痢を伴う
  • 体重が急激に減少する

ストレスを解消するために

吐き気を引き起こす根本原因であるストレスを解消することが大切です。この章では、ストレスのための対処法をいくつか紹介します。

自分と向き合う時間を作る

自分と向き合うとは、自分自身の声に耳を傾けること。日々時間に追われていると、自分の好きなもの、心地良いと感じるもの、逆に嫌だと感じるもの、本当の気持ちに蓋をしてしまいがちです。

趣味に没頭する、好きな音楽を聴きながらゆったりと過ごす、自然の中で深呼吸をする、日記を書いてみるなど、方法は様々です。大切なのは、頭の中をクリアにし、心を解放できる時間を持つことです。

また、どんな時にストレスを強く感じるのか、また、調子が良い日と悪い日の違いなど、体調を分析をすることで、ストレス要因を把握し、適切な対処法が明確になっていきます。

睡眠時間を確保する

十分な睡眠は、脳の疲労回復を促し、思考をクリアにし、ストレスに柔軟に対応できる力を養います。

また、質の高い睡眠をとることで、セロトニンやメラトニンといったホルモン分泌を促し、心の安定やリラックス効果をもたらします。

十分な睡眠時間の確保が難しい人は、枕やアロマなどの安眠グッズを活用して、質のいい睡眠を心がけるようにすると良いでしょう。

休暇や休職を検討する

休暇や休職によって、日々の業務や人間関係から離れ、心身を休ませることで、ストレスの根本原因に対処する時間を生み出すことができます。

休暇中は、旅行や趣味など、自分が心から楽しめることに没頭することで、ストレスから意識を離し、心身をリフレッシュできます。

ストレスが大きい場合や、体調に不安がある場合には、休職も検討してみましょう。休職はは、より長期間にわたり、心身の回復に専念できる機会となります。

もちろん、休暇や休職によって、仕事への復帰への不安や経済的な負担が生じる可能性も否定できません。

しかし、ストレスを放置し続けると、心身に深刻な影響を及ぼし、結果的により長期的な休養を余儀なくされる可能性もあるのです。

休暇や休職は、決して後ろ向きな選択ではなく、自分自身と向き合い、より健康的に生きていくための積極的な手段として捉えましょう。

相談できる相手を見つける

職場やプライベートでのストレスの多くは、コミュニケーション不足や誤解が原因となっていることがあります。

信頼できる人に相談することで、状況を客観的に見直すきっかけを得たり、アドバイスを受けることで具体的な解決策が見つかる場合もあります。

また、信頼できる同僚や友人に相談することで、感情面でのサポートを得ることもでき、ストレスの軽減につながります。

相談することは一人で抱え込まないための重要な一歩であり、信頼関係の構築にもつながります。その結果として、職場の人間関係が改善され、ストレスを生む要因を減少させる可能性もあります。

専門家をやカウンセリングサービスを活用する

職場でのストレスの問題は上司や同僚に相談しづらい場合もあります、そんな時は、カウンセラーのような専門家への相談も有効です。

カウンセラーは、仕事に関する悩みや個人的な問題など、どんな内容でも気軽に相談することができます。また、効果的なストレス解消法のアドバイスを適切なアドバイスをもらうことができます。

オンラインカウンセリングは予約も手軽

週に一度、継続的にカウンセリングを受けることで、自分の感情や考えを整理し、日常生活での悩みを軽減しやすくなります。

中でもオンラインカウンセリングは、インターネットにつながる環境であれば、24時間スマートフォンからでも手軽に予約が取れます。相談したいと感じた時に予約ができるのがメリットです。
相談をするために移動する時間を省くことはもちろん、なによりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットであるといえます。

もしも仕事のストレスを感じていて、周囲に相談しにくいと感じていたら、オンラインカウンセリングの利用を検討してみましょう。週に1回など、定期的に相談することは、ストレスの緩和につながります。

まとめ

仕事に行く前に感じる吐き気は、体が発するSOSサインです。我慢せずに、自分の心と身体と向き合い、適切な対処をするようにしましょう。

「つらい」「苦しい」と感じたら、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも検討してください。適切な対処法を知り、ストレスとうまく付き合うことで、健康的な毎日を過ごしましょう。

仕事の不安を相談できる
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メザニン登録カウンセラー
佐々木 隆嘉 Takayoshi SASAKI
臨床心理士、公認心理師

会計事務所での勤務など、様々な社会人経験を経たのち大学院に入学。修了後、医療・教育領域をメインに業務にあたっています。

【メッセージ】
話をしても何も解決しないかもしれない、話すこと自体がつらい、カウンセラーと合わないかもしれないなど、不安に感じることもあるかもしれませんが、一歩踏み出してご相談いただければと思っています。

あまり堅苦しくならず、ただ愚痴を話してまったりする時間にしていただいても大丈夫です。