仕事の悩み

仕事を抱え込みすぎるあなたへ キャパオーバーの原因と対処法を解説

キャパオーバーとは、 一般的に「キャパシティオーバー」の略で、個人や組織が対処できる限界を超えている状態を指します。

現代のビジネス社会では、多くの人が仕事を抱え込みすぎてしまうことが少なくありません。仕事の量が必要以上に増えると心身に負担がかかり、キャパオーバーを起こすことがあります。

この記事では、キャパオーバーの原因やキャパオーバーになりやすい人の特徴、そしてキャパオーバーになった際の対処法をご紹介します。

仕事でキャパオーバーを起こす原因

ビジネスパーソンがキャパオーバーに悩むことは、決して珍しいことではありません。原因はさまざまですが、ここでは、主な例をいくつか紹介します。

業務量が多すぎる

意欲的に仕事に取り組んでいても、業務量が多くなりすぎると限界を感じることがあります。タスクが多すぎる状態では、常にタスクが終わらない状態になり、心身に負担がかかるだけでなく、一つひとつの仕事に集中することが難しくなるため、効率が下がることがあります。

例えば、プロジェクトが多数重なっている時期や、短期間で成果を求められる場合、そして同僚の異動や退職などで過重労働を強いられる場合なども、キャパオーバーを起こしやすくなります。

人間関係の悩みを抱えている

職場の人間関係で常に悩みを抱えていることも、キャパオーバーの一因であるとよく言われます。上司からの期待、同僚との競争、部下への指導など、多くの場面で人間関係が絡むため、心理的負担が増すことがあります。

また、職場に限らず、プライベートでの交友関係や家庭でのトラブルなど、身近な人との関係で悩みを抱えていると、キャパシティが狭くなり、心に余裕がなくなる場合があります。

時間管理の問題

時間管理がうまくできないと、仕事がどんどん押してしまうことがあります。スケジュールが過密な状態で、新たなタスクが発生すると、それだけで大きなストレス要因となります。

時間に余裕がなくなると、一つ一つの作業のクオリティが下がりやすくなります。また、余裕がないことで、ダブルチェックなどが出来なくなり、ケアレスミスや事故が発生しやすくなります。

職場環境の影響

社内規範やノルマなどが厳しい職場では、過度のプレッシャーを感じてしまいます。このような環境では、キャパオーバーを起こしやすくなります。

また、転職や異動したばかりで職場環境に慣れていない場合も、心に余裕がなくなりキャパオーバーと感じることも少なくありません。

キャパオーバー起こしやすい人の特徴

原因の一つに、個人の性格や気質などもあります。ここではキャパオーバーになりやすい人の特徴を紹介します。

完璧主義者

完璧主義の傾向がある人は、何においても妥協せず、限界まで努力を重ねることで、目標を達成しようとします。仕事でも完璧を求めるあまり、持続的なプレッシャーに晒されることが多いと考えられています。

その結果、時間や心に余裕がなくなり、キャパオーバーを起こしてしまうことがあります。

責任感が強い人

責任感が強い人は、たとえ自分の限界を感じていても、周囲の期待に応えようとしてしまいます。このような人は、頼まれたことを断らないため、仕事の量が増え続ける傾向があります。

また、責任感が強い人の多くは、周囲に助けを求めるのが苦手で、一人で仕事を抱えてしまいがちです。ビジネスシーンでは、不測の事態や急な業務の発生などが起こる場合がありますが、余裕を持つことを意識することで、キャパオーバーの状態を回避できるかもしれません。

他者の評価が気になる人

ビジネスパーソンにとって、上司や顧客からの評価というのは仕事をする上で、大きな影響を持ってます。しかし、他者からの評価を意識しすぎるあまり、自分へのプレッシャーを自ら強めてしまうことがあります。

周囲の評価を気にしすぎると、限界を超えて無理なチャレンジを重ねることも増え、その結果、頑張りすぎてしまい、キャパオーバーに陥る場合があります。

自己管理が苦手

新たな業務を依頼された際に、自分が現在抱えている業務量やスケジュールなどをきちんと把握できていないと、能力以上の業務量を抱えることになり、キャパオーバーを起こしてしまうことがあります。

スケジュールや業務量、また現在の体調など、自己管理を行なうことは自身のキャパシティを守るだけでなく、チーム全体の生産性にも繋がります。

こんな時は要注意 キャパオーバーのサイン

キャパオーバーしそうな時には、いくつかのサインが表れます。しかし、目の前の業務に追われるあまり、気づかないことも多く、気付いた時にはメンタル不調を起こしていることも少なくありません。

この章では、キャパオーバーしそうな時に表れるいくつかのサインを紹介します。

疲労感が続く

充分に休息を取っていても、疲れが取れない状態が続く場合、キャパオーバーの可能性があります。通常の疲労とは異なり、慢性的に疲れている感覚が続くことが多いです。

また、仕事のことを考えてしまい、うまく寝付けなかったり、睡眠が浅くなってしまったりすることで疲労感が取れない場合もあります。

集中力の低下

簡単なタスクにも集中できなくなったり、考える時間が長くなってしまうのも、キャパオーバーの兆候と言えます。

例えば、仕事中に余計なことを考えてしまう時間が増えたり、ボーっとしてしまい、普段であればスムーズに対応できるはずの業務が滞るような時は注意が必要です。

仕事の効率低下

仕事上でミスが増えたり、本来であれば間に合うはずの締め切りに間に合わないことが増えたりする場合、キャパオーバーから来る精神的負担が可能性として考えられます。これが続くと、仕事全体の効率が下がり、負担がさらに増加する可能性があります。

イライラや情緒不安定

些細なことでイライラしてしまったり、理由もなく涙が出たりと、怒りや不安の感情に支配されやすくなることがあります。

また、普段は笑えるようなことが笑えなくなったり、笑顔の時間や回数が減っている場合も、気持ちに余裕がなくなりキャパオーバーになっている可能性があります。

体調不良 

頭痛や胃痛など、ストレスが原因の体調不良が頻発する場合も、キャパオーバーから来ている可能性があります。

特に、これまで悩むことがなかった体調不良が続く場合には、医療機関の受診などを検討する必要があります。

面倒になる

親しい人や友人との時間は、ストレス発散になることも多いです。しかし、時間や心に余裕がなくなると、友人と会うことすら面倒に感じてしまう場合があります。

また、キャパオーバーを起こすことで、仕事に行くことが急に億劫に感じるようになったり、業務への意欲が湧かなくなる場合があります。

キャパオーバーしている時の対処法7選

キャパオーバーかなと感じたら早めの対処が必要です。上記のサインを無視し無理を続けることで、メンタル不調に陥る場合があります。

ここでは、効果的な対処法を7つご紹介します。ご自身にあった対処法を試してみてください。

1.タスクの優先順位を見直す

業務の優先順位を整理することでキャパオーバーを防ぐことができます。例えば、現在抱えているタスクを

  1. 緊急かつ重要
  2. 緊急だが重要ではない
  3. 緊急ではないが重要
  4. 緊急でも重要でもない

に分類してみましょう。その上で、緊急度の高いものから処理していきます。

現在抱えているタスクを分類し可視化することで、効率的にタスクを処理することができ、キャパオーバーを防ぐことができます。緊急度と重要度を考慮して、一日のプランを立て直してみると良いでしょう。

2.周囲に業務を共有する

キャパオーバーを防ぐためにも、周囲とコミュニケーションを図り、必要に応じてサポートをお願いすることも解決の一つです。

定期的に自分の抱えている業務内容や業務量をメンバーに伝え、同時にメンバーの状況などをヒアリングし、どの程度リソースがあるか把握しておくことで、自分がキャパオーバーを起こした際に協力をお願いしやすくなります。

3.効率化を検討する

現在の業務内容や、自分の仕事のやり方に無駄がないか、今一度検討してみるのも良いでしょう。

チーム内で効率化について話し合ったり、効率化のためのツールを導入することで、キャパオーバーを防げるかもしれません。

また、デスク回りを整理するだけでも、余計な探し物などの時間が減ったり、モチベーション回復に繋がったりします。

4.ライフスタイルの改善

食事や運動習慣の見直しは、心の健康に大いに影響します。特に、バランスの取れた食事や適度な運動は、ストレス耐性を高める効果があります。ライフスタイルを見直すことで、キャパオーバーを防ぐための土台作りができます。

また、趣味やリラクゼーションの時間を増やすことで、心に余裕を持たせることが可能です。余暇の時間にリラックスすることは、仕事での集中力を高めるのに有効です。日常生活に楽しみを持たせることで、ストレス軽減も期待できます。

5.適切な休息を取る

キャパオーバーを感じたら、しっかり休むことが大切です。長時間の集中は逆に効率を下げることがあります。一定の間隔で休息を取ることで、心身をリフレッシュすることが大切です。

合わせて読みたい【仕事に集中できない時の対処法と集中力を高める方法を紹介】

6.上司や同僚に相談する

多くの業務を抱えている場合や、一人では処理が難しい業務がある場合、他の従業員に業務を分担できないかなどを、上司や同僚に相談してみるのも対処法としては有効です。

業務を引き継いでくれることになったら、作業量や現在の進捗状況、今後の作業手順など、引き継いでくれる相手が取り掛かりやすいようにしっかりと報告を行いましょう。

また、タスク管理が得意な同僚からアドバイスをもらうことで、今まで気付かなかった無駄を省くことができ、結果的に心や時間に余裕を持つことができる場合もあります。

7.専門家に相談する

仕事上でキャパオーバーになっていることを上司や同僚に相談しづらい場合もあるかと思います。そのような時には、カウンセラーなどの専門家に相談してみるのも有効な手段です。

キャパオーバーで心に余裕が無い時は、相談することで気持ちがスッキリしたり、専門家の視点やアドバイスを通じて、新たな気づきや解決策を見つけられる場合があります。

週に一回など、定期的にカウンセラーに相談をすることで心に余裕ができ、状況が改善されるケースもあります。

もし、カウンセリングを受けるのは手間がかかるのではないかと感じている場合は、簡単に利用ができるオンラインカウンセリングを検討してみるのもよいかもしれません。

オンラインカウンセリングのメリット

オンラインカウンセリングは、リラックスできる自宅などから、スマートフォンがあれば手軽に利用することができるため、時間などを気にする必要がありません。

オンラインカウンセリングの大きなメリットは、場所を選ばず利用できることです。リラックスできる自宅からアクセスできるため、ストレスを感じにくい環境で相談することができます。また、比較的予約が取りやすく、忙しい日々の中でも無理なく続けられる点も大きな特徴です。

まとめ

仕事におけるキャパオーバーの問題は、決して個人だけの問題ではなく、職場全体の問題とも言えます。理解し、受け入れ、適切な対策を講じることが重要です。

この記事で紹介した方法を通じて、自分自身と向き合う時間を作り、心に余裕を持たせながら、より充実した日々を過ごせるようにしていきましょう。

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メザニン登録カウンセラー
佐々木 隆嘉 Takayoshi SASAKI
臨床心理士、公認心理師

会計事務所での勤務など、様々な社会人経験を経たのち大学院に入学。修了後、医療・教育領域をメインに業務にあたっています。

【メッセージ】
話をしても何も解決しないかもしれない、話すこと自体がつらい、カウンセラーと合わないかもしれないなど、不安に感じることもあるかもしれませんが、一歩踏み出してご相談いただければと思っています。

あまり堅苦しくならず、ただ愚痴を話してまったりする時間にしていただいても大丈夫です。