仕事の悩み

【妊娠・出産】マタハラで悩むあなたへ

マタハラはパワハラやセクハラと同様、女性労働者に多く起こりやすいハラスメントです。

この記事では、マタハラを受けて悩んでいる方や、マタハラについて知りたい方に向けて、マタハラの原因、対処法、実態について紹介します。

マタハラとは?

マタハラは、「マタニティハラスメント」の略で、妊娠や出産をした女性労働者に対して、職場で上司または同僚からの「いやがらせ」や不当な扱いを指します。

「怒りや不満、不安などを感じた」65.6%

厚生労働省が2020年に行った「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、育児休業等ハラスメントを受けての心身への影響として「怒りや不満、不安などを感じた」が65.6%ともっとも高く 、次いで「仕事に対する意欲が 減退した」 53.4% となっています。

厚生労働省ではマタハラだけではなく、パタハラやケアハラも含めて「妊娠・出産・育児休業・介護休業を理由とするハラスメント」としていますので、パタハラとケアハラがどのようなハラスメントなのかについても少し紹介していきます。

パタハラ
パタハラはパタニティハラスメントの略です。パタニティは父性を意味する言葉で、男性が育休などの制度を利用する際に職場で「いやがらせ」を受けることを指します。

ケアハラ
ケアハラはケアハラスメントの略です。

ケアハラは、介護を理由とした職場で受ける「いやがらせ」を指します。介護休暇などを制度することを阻害したり、休暇取得によって不当な扱いを受けることが該当します。

マタハラ、パタハラ、ケアハラに共通していることは、各制度を利用したことにより職場で「いやがらせ」を受け、就業環境を害されるという点です。

特に妊娠中は予期せぬ体調不良などもあるため、マタハラによってメンタル不調になるケースも珍しくありません。

では次に、マタハラのタイプについて見ていきましょう。

マタハラのタイプは2つ

マタハラには制度を利用したことで起こる「いやがらせ」、つわりなどの体調不良に対して起こる「いやがらせ」の2つに分類されます。

1.制度を利用したことへの「いやがらせ」

1つめは、制度を利用したことへの「いやがらせ」です。

例:
「産休は取らせるが、復帰後は昇進させない」
「産休を取るなら会社を辞めろ」

 

産休の申請や取得の際に、上司からこのような発言があった場合はマタハラに該当します。

産休や育休などの制度を利用したことによって、就業環境が悪化したり、上司や同僚からの「いやがらせ」などにより、制度の利用を諦めざる得ない状況に陥っている場合、それはマタハラに該当します。

2.つわりなどの状態に対する「いやがらせ」

もう1つは、つわりなどの体調不良に対して起こる「いやがらせ」です。

例:
「妊娠は病気ではないので出産までは通常勤務をしてください」
「繁忙期に産休に入るなんて他の従業員に迷惑だ」
「つわりでいつ休むか分からないからこっちは困ってる」

このような発言を上司から受けた場合はマタハラに該当します。

例:
「前に産休を取ったAさんはつわりで休んだりしていなかったのに…」
「君はAさんと比べると急な休みが多いみたいだね」

妊娠中には、体調不良が起こりやすくなります。それは人によって様々で、つわりが強い人から、深刻な貧血や腰痛に苦しむ人まで幅広い症状があります。そのため、妊娠中の体調不良を比較することは誤りであると言ってよいでしょう。

あってはならない「マタハラ」

妊娠や出産を理由としたハラスメントはよくないものであり、マタハラという言葉が存在すること自体も、社会は重く受け止めなくてはなりません。

もしも妊娠や出産をしたことで、職場でなんらかの不利益や「いやがらせ」を受けた場合は我慢をせずに相談をしましょう。

男女雇用機会均等法では、以下のように定めています。

事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

引用 : <男女雇用機会均等法第11 条の2(抄)

男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法によって、事業主は職場でのハラスメントに対して防止処置を講じる事を義務としています。

また、妊娠・出産・育児休業などを理由として女性労働者に不利益を与えることは、原則として法違反となっているのです。

厚生労働省ではマタハラをうけているかどうかを判断するひとつとして、以下のような図1のチャート表も出ていますので、実際にやってみるのもよいでしょう。

(図1)

図1 参照)厚生労働省 | 妊娠出産等を理由として労働者への不利益扱いの禁止

ではなぜ、このように法で義務付けられているにも関わらず、マタハラの被害は起こっているのでしょうか。

なぜ起こる? マタハラの原因

結婚や出産に対する価値観の変化によって、ライフスタイルも多様化してきました。しかし、仕事と子育てが両立できる環境づくりは遅れをとっています。

1.個人の価値観や世代間ギャップ

以下の職場でのハラスメントに関する実態調査をみると、社内での理解や整備が整っていないことが、マタハラが起こる原因として考えられます。

妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの経験者と未経験者とで職場の特徴の回答を比較すると、「女性の育児休業取得に否定的な人が多い」、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「子育てをしている従業員がいない/少ない」などにおいて、経験者の方が未経験者より回答割合が高く、その差が大きかった。また、育児休業等ハラスメントの経験者と未経験者とで職場の特徴の回答を比較すると、「女性従業員は妊娠したら退職する傾向がある」、「男女問わず育児休業を取得後、復職せず退職する傾向がある」、「子育てをしている従業員がいない/少ない」、「男性の育児参画に否定的な人が多い」などにおいて、経験者の方が未経験者より回答割合が高く、その差が大きかった。

引用:厚生労働省 | 2020年「職場のハラスメントに関する実態調査」

このように、女性は結婚したら家に居るもの、という以前の価値観を持つ世代は少なくありません。

結婚語に妊娠をしたら仕事は辞めるものだという固定的な考えを持つ上司などの場合は、祝福はしてくれても、産休などの制度を申請すると手のひらを返したような態度を取る場合もあります。

また、法の整備もされておらず、産休や育休が取れなかったという世代の理解が進んでいないことや、一人が産休に入ることによって業務量が増える従業員からも不満がでてしまうこともあります。

2.配慮する側、される側の課題

女性が働きやすい環境を整備している企業には、産休や育休から職場復帰した女性を応援する働きかけがあります。

しかし、企業が過剰に妊娠中の女性労働者を気遣うことにより、当事者が同僚とのコミュニケーションをうまく取れなくなることもあります。

社内でこのような雰囲気が生まれると、無意識に「仲間は外れ」や「過少な業務を与える」などのハラスメント行為に繋がり、当事者は相談し辛い状況に追い込まれる可能性があります。

職場で悩んでいても動けない? 妊娠中の辛さ

厚生労働省が2020年に行った「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去5年間に妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けた方を対象に行った調査では、ハラスメントを受けた後の行動で「何もしなかった」と回答した割合が25.5%でした。

最も高かった理由として「何をしても解決にならないと思ったから」が53.7%でした。この数字からハラスメントを受けていても解決できないと感じている人が半数以上いることがわかります。

特に妊娠中は初期、中期、後期によっても体に起こる症状が異なっており、自身でも気づかない不調が隠れている場合があります。

マタハラを受けていても解決する見込みがないのなら、しんどい思いをしてまで動くことに必要性を感じない、というのが正直なところではないでしょうか。

どのような状況でもひとりで悩まないこと

ハラスメント全般に言えることですが、万一マタハラの被害を受けた場合はがまんをせずに相談することが重要です。

今まで仲のよかった同僚にも話しにくい、このしんどい気持ちを誰かにわかって欲しいと思ったら、外部のカウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

妊娠や出産は人生においても大きな出来事のひとつです。

「妊娠は病気じゃない」と言われたとしても、妊娠中や出産後しばらくは「今まで生きてきた中でも正常であるとはいえない状態」です。

まずは自分の身体を大事にすることを最優先に考え、話したいと思えるときに相談するのがよいでしょう。

特にオンラインカウンセリングは予約も簡単ですので、体調の良い時や今すぐ相談に乗って欲しいというときに便利です。また、自宅に居ながら専門のカウンセラーに相談できるのもメリットです。

 

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