仕事の悩み

適応障害(適応反応症)になりやすい人の特徴とは?仕事に与える影響や4つの対処法を詳しく紹介

特定のストレスが原因で起こる「適応障害(適応反応症)」は、どのような人がなりやすいのでしょうか。

今回の記事では、仕事で適応障害(適応反応症)になりやすい人の特徴や、適応障害(適応反応症)になった場合の対処法を紹介していきます。

適応障害(適応反応症)とは

適応障害(適応反応症)とは、ある一定のストレスが原因で起こる、気分の落ち込みや体調不良などが現れる状態を指します。

例えば、部署異動による環境の変化や、職場の人間関係、業務量の増加など、ある特定のストレスによって症状が現れるというのも、適応障害(適応反応症)の特徴のひとつとして挙げられます。

仕事で適応障害(適応反応症)になりやすい人の特徴6つ

適応障害(適応反応症)は、ストレスの多い状況や環境に置かれれば、誰もが発症する可能性がある疾患です。

ストレスの感じ方には個人差がありますが、以下のような特徴を持った人は、一般的に適応障害(適応反応症)になりやすいと考えられています。

  1. 責任感が強く妥協できない
  2. 真面目で几帳面
  3. 完璧主義の傾向がある
  4. 他者を優先して行動してしまう
  5. 自己評価が低い
  6. 人に頼るのが苦手

順番にみていきましょう。

1.責任感が強い

例:妥協をせず、グループプロジェクト全体の責任を負う

責任感が強い人は、他者の意見やスケジュールも尊重した行動を取ります。特にビジネスシーンでは、目標達成に向けて誰よりも努力をする傾向がみられます。

しかし、役割や義務に責任感を持ち業務を続けることで、自分自身に対しての負担やプレッシャーを常に感じるようになります。

そのため、責任感の強さによって結果的にストレスが増大し、適応障害(適応反応症)になるケースも少なくありません。

2.真面目で几帳面

例:毎日のタスクを細かくリストアップし、完了するまでに時間をかける傾向がある

真面目な人は多くの場合、業務に課題に没頭し、最良の成果を出せるようにと努力を惜しみません。

しかし、このような姿勢で日々仕事に取り組んでいると、達成できない目標に焦りや不安を感じることがあります。

また、就業時間内で終わり切らない仕事を自宅に持ち帰り、プライベートの時間を割いて業務を続けてしまうこともあるため、適応障害(適応反応症)のリスクが高まるとされています。

3.完璧主義の傾向がある

例:レポートやプレゼンテーションを準備する際に、細かい箇所にも誤りがないよう、何度も修正や改善を重ねる

完璧主義の傾向がある場合は、自身に対して非常に高い基準を設けていることが多く、常に最高の成果を求めます。

達成すべき目標を明確に定め、その目標を達成することに全力を尽くしますが、達成できない目標に対するストレスが焦りにつながることがあります。

また、自身の不完全さや限界を認めることが難しく、ストレスや不安が蓄積しやすくなります。その結果、適応障害(適応反応症)のリスクが高まる可能性があります。

4.他者を優先して行動してしまう

例:同僚や友人が困っていると、時間やリソースを割いて助けようとする

優しい性格や繊細な感受性を持つ人は、他者の感情や状況に敏感です。そのため、周囲に手助けが必要な人が居ると、放っておけずにフォローすることがあります。

特に職場では、同僚や部下が困っている姿を見たり、フォローを頼まれると、心配や同情を抱き、積極的にサポートしようとします。

その一方で、自分自身の感情を抑える場面も増えるため、ストレスを抱え込むこともあります。このような状況下では、他者の問題に対処することで自分自身のストレスが増大し、適応障害(適応反応症)のリスクが高まる可能性があります。

5.自己評価が低い

例:自分の能力や価値を過小評価し、自己否定的な考えに陥りやすい

自己評価が低い人は、自らの能力や価値に自信を持てず、常に自己否定的な思考や感情に陥りやすい傾向があります。

また、予期せぬ変化や予定の変更、職場の人間関係で生じる摩擦などにより、不安や緊張、イライラといった感情が強くなるケースもみられます。

このような状況下ではストレスや不安を感じる傾向が高まり、適応障害(適応反応症)になりやすいと考えられています。

6.人に頼るのが苦手

例:問題や困難に直面したときに、他者に助けを求めることを避ける傾向がある

人に頼るのが苦手で、できる限り自分で問題を解決しようとする傾向は、適応障害(適応反応症)になりやすい人の大きな特徴のひとつに挙げられます。

「ひとりで何とかする」という気持ちは自らの負担を増やすことになり、結果的にストレスや孤独感が増大し、適応障害(適応反応症)につながると考えられています。

では適応障害(適応反応症)になると、どのような症状が現れるようになるのでしょうか。次の章で詳しくみていきましょう。

適応障害(適応反応症)の症状

適応障害(適応反応症)は、ストレスに対してうまく対処することができず、こころと身体にさまざまな症状が現れる状態です。

個人によって大きく異なりますが、こころと身体のバランスが崩れることで、以下のような症状がみられることがあります。

こころに出る適応障害(適応反応症)の症状

不安感がある
日常的に不安を感じ、緊張感が強く、不安定な気持ちになることがあります。
気分の落ち込み
興味や喜びを感じにくく、気分が沈んだり、憂うつな気持ちになることがあります。仕事のストレスが原因の場合は、休日明けに大きく気分が落ち込むことがあります。
落ち着かない
安定した状態を保つことが難しく、落ち着かない感情が続くことがあります。
イライラすることが増える
小さなことに対してもイライラしやすく、以前なら気にならなかったことに対しても、感情がコントロールできず怒りっぽくなることがあります。

身体に出る適応障害(適応反応症)の症状

眠れない
不安やストレスによって、眠りに入りにくくなり、不眠に悩まされることがあります。
食欲がない・または食べ過ぎる
ストレスや不安によって食欲が低下するか、逆に食欲が増すことがあります。
慢性的な肩こりや頭痛
ストレスによって筋肉が緊張し、慢性的な肩こりや頭痛に悩むケースがあります。
常にだるい・疲れが取れない
日常生活でのストレスが原因で、疲れが取れず体がだるく感じることがあります。
胃腸の不調
ストレスによって胃や腸の機能が乱れ、胃痛や消化不良などの症状が現れることがあります。

行動に出る適応障害(適応反応症)の症状

朝起きられない
疲労感や気持ちの沈み込みから、朝起きることが難しくなることがあります。
生活リズムが乱れる
日常のルーティンが崩れ、睡眠や食事のリズムが乱れることがあります。
飲酒や喫煙量の増加
ストレスや不安を和らげるために、飲酒や喫煙量が増えることがあります。

適応障害(適応反応症)が仕事に与える影響とは

適応障害(適応反応症)の症状は、仕事にも大きな影響を与えます。

パフォーマンスの低下

仕事中に不安やストレスが高まると、集中力や注意力、判断力、記憶力などの機能が低下し、業務の効率や品質が損なわれる可能性があります。

また、適応障害(適応反応症)による疲労などの身体的症状も、パフォーマンスに影響を与えることがあり、自分でも思うように業務ができないと感じることで、更に大きなストレスを抱えることも考えられます。

欠勤や遅刻の増加

不眠や生活リズムの崩れなどの症状により、仕事に行くことが困難になる、または欠勤や遅刻が増える可能性があります。

コミュニケーションの困難

適応障害(適応反応症)の症状である気分の落ち込みや、イライラなどでこころが不安定になるため、同僚や上司との円滑なコミュニケーションが難しくなるケースがあります。

ミスの増加

落ち着かないなどの適応障害(適応反応症)の症状によって、集中力や注意力が低下することがあります。また、業務に集中できずミスやエラーが増加する可能性が高まります。

特に、大きな責任を伴う業務においては、ミスやエラーが重大な影響を及ぼすことも考えられ、適応障害(適応反応症)の症状が悪化するケースもあります。

これらの影響は、個人の適応障害(適応反応症)の症状や仕事の性質や環境などによって異なりますが、適応障害(適応反応症)を理解し、適切なサポートや対策を受けることで、影響を最小限に抑えることが期待できます。

適応障害(適応反応症)かもと感じたら?4つの対処法

適応障害(適応反応症)かもと感じたら、多角的にストレス対策をしていくことが重要です。ここでは、4つの対処法を紹介します。

  1. 現在の環境や状況を把握する
  2. ストレスの原因から距離を置く
  3. 休職もしくは転職を検討する
  4. カウンセリングを受ける

1つずつみていきましょう。

1.現在の環境や状況を把握する

まず、自分がどのような状況にあるのかを把握していきましょう。ストレスやプレッシャーがどこから来ているのかを理解することが重要です。

2.ストレスの原因から距離を置く

可能であれば、適応障害(適応反応症)の原因となっている要素から一時的に離れることも考えてください。例えば、仕事や人間関係など、ストレスを引き起こす要素から遠ざかることで症状の改善が期待できます。

3.休職・転職を検討する

状況が深刻であれば休職や転職を検討してみましょう。休職を希望する場合は医療機関を受診し、症状に応じて適切な期間の休職をすることが重要です。

4.カウンセリングを受ける

心理カウンセリングは、適応障害(適応反応症)の原因であるストレスを軽減させるために効果的であるとされています。

また、適応障害(適応反応症)による不安な気持ちや、問題解決に向けてのサポートが期待できるため根本的な解決に結びつくとされています。

適応障害(適応反応症)におけるカウンセリングの効果とは

適応障害(適応反応症)の症状が辛い場合、メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーとのカウンセリングは非常に有用です。

カウンセリングは感情や思考を整理し、問題の根本的な原因を理解するのに役立ちます。

また、カウンセリングを受けることは、自身の「考え方のくせ」を知るきっかけになるかもしれません。

自宅から受けられるオンラインカウンセリング

現在では、臨床心理士や公認心理師、精神保健福祉士、EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)などの専門資格を有したカウンセラーとのカウンセリングが、オンラインで受けられるサービスも充実しています。

適応障害(適応反応症)の症状が出ていると、外出することが難しい場合がありますが、オンラインカウンセリングは自宅から受けられるため、交通や移動のストレスを避けることが可能です。

また、第三者に話を聞かれる心配もないためプライバシーは保護され、リラックスした状態で自宅からカウンセリングを受けることができるでしょう。

まとめ

今回の記事では、仕事で適応障害(適応反応症)になりやすい人の性格や特徴、そして適応障害(適応反応症)になった場合の対処法を紹介してました。

仕事のストレスで悩んでいる、適応障害(適応反応症)の症状が辛い、問題解決に向けて対処していきたいという場合は、オンラインカウンセリングサービスの利用を検討してみてもよいかもしれません。

適応障害(適応反応症)の悩みを相談できる
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メザニン登録カウンセラー
平井 綾乃 Ayano HIRAI
臨床心理士、公認心理師、キャリアコンサルタント

うつ病や適応障害(適応反応症)による休職・復職支援、EAPと連携した高ストレス該当者のフォローアップなどの経験が豊富です。

【メッセージ】
いまのあなたにとっての「無理しないでね」を一緒に考えます。
悩み事が出口の見えないトンネルとするならば、そのトンネルの出口までの道標としてお役に立ちたいと思っています。

普段は心療内科クリニックやスクールでカウンセリング業務を行っています。