【夏季うつ】原因や夏バテとの違い、セルフケアの方法を詳しく解説

春先には暖かな日差しを浴びて、心も軽やかになり「今年の夏はどこに行こうか」と胸躍らせていた方も多いかもしれません。

しかし、実際に夏が近づくにつれ、なぜだか気分が沈んでしまう。夏が楽しみだったはずなのに、実際には強い日差しや蒸し暑さにうんざりし、外出するのも億劫になってしまう…。

冬の寒さによる落ち込みとは異なり、どことなく重苦しい疲労感や、何もする気が起きない無気力感。もしかしたら「夏季うつ」かもしれません。「夏季うつ」が重くならないうちに対策をして、年々暑くなる夏を乗り切りたいですよね。

この記事では、「夏季うつ」の原因や対処法、夏バテとの違いについて詳しく解説していきます。

「夏季うつ」とは

「夏季うつ」とは、5月頃から9月にかけて現れる季節性のうつ症状の一種で、正式には夏季型季節性感情障害と呼ばれています。

冬季うつとは対照的に、日照時間が長く、気温や湿度が高い時期に症状が悪化するのが特徴で、強い日差しや高温多湿といった夏の環境が自律神経やホルモンバランスを乱し、心身に影響を与えると考えられています。

夏季の体調不良には「夏バテ」がありますが、「夏季うつ」と「夏バテ」は、要因や症状が異なります。

長期化する夏

夏と言えば、7月、8月が中心だったのに対し、ここ数年は6月から10月頃まで高温多湿が続いています。

例えば2024年の7月から10月の東京都の最高気温推移を日ごとにみてみると、10月の半ばでも30.1度の真夏日を観測しています。

東京都(日ごとの値) 最高気温(℃)

気象庁 東京都(日ごとの値) 最高気温(℃)を参考に作成

このように、本来であれば、秋の涼しさによって心身がリセットされるはずが、その回復期間が短くなってしまうことで疲労やストレスが蓄積しやすくなってしまいます。

猛暑による心身の負担

最近では気温が35度を超える「猛暑日」や、さらに40度を超える「酷暑」に届きそうな日も増えています。

高温の環境下では体温調節のため多くのエネルギーが消費されるため、慢性的に疲労を感じやすくなります。さらに、脱水症状や食欲がなくなることで栄養バランスが崩れてしまいます。

また、夕方から朝にかけて25度以上ある「熱帯夜」の影響で睡眠の質が下がってしまうことも原因です。

冷房による自律神経の乱れ

熱中症などのリスクを考えると冷房の使用は欠かせませんが、冷房の効きすぎた部屋に長時間いることで、体調を崩してしまう場合もあります。

また、冷房の効いた室内から外に出た際の寒暖差が何度も繰り返されることで交感神経と副交感神経の切り替えが上手く機能しなくなり、自律神経が乱れ、その影響で食欲不振やイライラ、疲労感や集中力の低下などを引き起こす可能性があります。

夏季うつの症状

この章では、代表的な夏季うつの症状5つを紹介します。

気分の落ち込み

夏季うつの特徴的な症状のひとつとして、理由もなく気分が落ち込んでしまう状態が挙げられます。普段なら楽しめることにも興味を失い、何をしても気持ちが晴れない日が多くなります。

また、「夏は楽しい季節」という、夏特有の社会的や心理的プレッシャーにより、自分だけ楽しめていないという孤立感や、周囲から夏バテと軽視されつらさを理解してもらえないというストレスも症状を悪化させる原因と考えられています。

極度の疲労感

夏季うつでは、十分な休息を取っても回復せず、朝起きた時点で疲れ切っており、日中の活動にエネルギーが湧いてこない場合があります。

この疲労感は、暑さによる体力消耗とは異なり、単なる身体の疲れではなく、精神的なストレスを伴っているため、やる気や意欲の低下にもつながる可能性があります。

睡眠時間の減少

夏季うつでは、寝つきが悪い、睡眠が浅いなどの症状が出るケースがあります。十分な睡眠が取れないと疲労感が蓄積し、日中の倦怠感や集中力の低下にもつながるため、さらに気分が落ち込むこともあります。

食欲の減退

夏の暑さとともに食べ物への関心が薄れ、食事を取ることが億劫になる場合があります。普段好んで食べていた料理にも興味がなくなることがあります。

また、暑さからどうしても冷たいものを食べたくなりますが、冷たい飲み物や食べ物は胃腸の活動を低下させてしまい、結果的に食欲がなくなってしまう可能性があります。

集中力の低下

仕事や勉強に取り組もうとしても、思考がまとまらず、注意力が散漫になり、普段なら簡単にできる作業でも時間がかかるようになり、ミスが増えてしまう場合があります。

集中力の低下から、パフォーマンスが悪くなったと感じてしまい、さらにストレスや自信をなくしてしまうケースもあります。

【夏季うつ】原因や夏バテとの違い、セルフケアの方法を詳しく解説-

夏バテとの違い

夏季うつと夏バテは、どちらも夏の暑さが関係する体調不良として混同されることが多いですが、根本的な原因や症状の性質、回復パターンには大きな違いがあります。

夏バテは、暑さによる体力消耗、冷房による自律神経の乱れによる身体的な不調が主で、だるさや食欲不振、頭痛などが現れますが、症状は比較的軽く、水分補給やしっかりとした食事、十分な睡眠を取ることで、数日から一週間くらいで回復することが多いです。

症状こそ夏バテと似ていますが、夏季うつは心の不調が原因となっており、回復までに時間を要するのも特徴として挙げられます。

食欲不振、倦怠感、睡眠の質の低下などは、一般的な夏バテの症状と重なるため、「ただの夏バテだろう」「気合いが足りないだけだ」あるいは「少し休めばすぐ治る」といった認識をされてしまうことが少なくありません。

しかし、夏季うつは一時的な体調不良ではなく、気分障害の一種です。気分の落ち込みや意欲の低下が続き、日常生活に支障をきたすこともあります。周囲の理解が得られにくいことは、当事者にとってさらなる精神的な負担となる場合があります。

夏季うつになりやすい人

夏季うつは誰にでも起こりうる症状ですが、特に20代〜40代の働き盛りの世代は仕事やプライベートでもストレスが多く、そこに夏の暑さという追加的な負担がかかることで、心身に大きな影響を与える可能性があります。

気圧の変化に過敏な人や、普段から生活リズムが乱れている人、日光を浴びる習慣が少ない人などもホルモンバランスが乱れやすく、心身に不調をきたす場合があります。

生活習慣や体質などに当てはまる人は、暑い夏に備えて生活リズムから見直していくことも大切です。

夏季うつのセルフケア

夏の暑さが続くと、なんとなく気持ちが重くなったり、やる気がでなくなったりしますが、そんな時は「頑張らないと!」と追い込まず、まずは自分の心身の状態を受け入れるところから始めてみてください。

そして、自分にとって心地よいと思える方法を見つけてできることから少しずつ始めてみることで夏を心地よく過ごすヒントが見つかるかもしれません。

涼しい時間の活用

以前は、夏の暑さ対策として「午前中の涼しいうちに活動する」ことが推奨されてきました。しかし近年では気候変動の影響により、午前8時の段階で既に気温が30度を超えるような日が増えており、従来の対策だけでは不十分なケースが増えています。

熱中症などの健康リスクを避けるためにも、その日の天気予報を必ず確認し、気温や湿度を考慮した上で活動時間を調整しましょう。無理をせず、負担にならない程度の活動を心がけることが重要です。

規則正しい生活

長い日照時間によって、知らず知らずのうちに生活リズムを崩してしまうことがあります。意識的に生活パターンを整えることで心身の調子を保つことができます。

特に、起床と就寝の時間を一定に保つことを意識してみましょう。朝起きたらまずはカーテンを開け、日の光を浴びることで体内時計が整います。

就寝時は、冷房で身体が冷えすぎないように、扇風機やサーキュレーターなどをうまく活用することで快適に眠ることができます。

夏の食材で体調管理

夏に旬を迎える食材には、この季節を健やかに過ごすための栄養素が多く含まれています。トマトやきゅうり、ナスなどの夏野菜は水分やビタミンを多く含んでおり、暑さで疲れた身体を労ってくれます。

冷たいものばかりでは胃腸が疲れてしまうこともあります。時には温かいスープや煮物なども取り入れて、身体の内側から温めていくことも大切です。

【夏季うつ】原因や夏バテとの違い、セルフケアの方法を詳しく解説-

夏季うつかもと思ったら専門家に相談を

「もしかしたら夏季うつかもしれない」と感じたら、一人で悩まずに専門家に相談することをおすすめします。

つらい気持ちを誰かに聞いてもらうだけでも心は軽くなります。カウンセラーはあなたの気持ちに寄り添いながら、じっくりと話を聞いてくれます。

専門的な知識を持つカウンセラーからのアドバイスにより、新しい視点や対処法が見つかるかもしれません。

暑い日にオンラインカウンセリングがおすすめな理由

夏の厳しい暑さは、ただでさえ心身に負担をかけますよね。そんな時に相談するなら、オンラインカウンセリングがおすすめです。

一番のメリットは、自宅の涼しい環境でカウンセリングを受けられることです。外に出る準備をしたり、暑い中移動したりする必要がありません。冷房の効いた快適な部屋で、リラックスして話ができるので、外出の億劫さや体力的な負担を感じることなく、心と向き合えます。

オンラインカウンセリングは、スマホから簡単に予約ができ、同じカウンセラーに継続して話を聞いてもらえるのも大きな安心材料です。慣れた相手に話すことで、より深く、安心して自分の気持ちを打ち明けられるでしょう。

このように、オンラインカウンセリングは暑い季節でも心身に負担なく、質の高いサポートを受けられる便利な選択肢です。

まとめ

夏季うつは、高温多湿な環境や長時間の日照が自律神経やホルモンバランスを乱すことで起こる季節性の不調であり、誰にでも起こります。

夏バテと間違われてしまうことも多いですが、夏季うつはメンタル面の不調も伴うため回復には時間がかかる場合が多いです。

「夏は楽しむもの」という周りの雰囲気とのギャップに孤独を感じてしまうかもしれません。誰にも相談できない場合には、カウンセラーなどの専門家の助けを借りることも検討してみてください。

自分を大切にしながら、心地よい夏を過ごしましょう。

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