何をしても続かないのはなぜ? 三日坊主を卒業して継続するコツ

新しいことを始める際に「今度こそは」と意気込むものの、いつも途中で挫折してしまう。そしてそのたびに「自分はなんてダメなんだろう」と自己嫌悪に陥っていませんか。
実は、物事が続かないのには、意志の力だけでは解決できない理由があります。この記事では「何をしても続かない」その原因を知り、自分を責めてしまう気持ちを軽くして、前向きな一歩を踏み出すための対処法を紹介します。
なぜ「何をしても続かない」のか 挫折に共通する2つのパターン
「何をしても続かない」という悩みは、多くの人が抱えています。この章では挫折を経験した2つのケースを見ていきましょう。彼らが直面した状況や心境に、共感できる部分があるかもしれません。
1.資格勉強が続かないケース
Aさん(30代・派遣社員)は、将来への漠然とした不安を抱えています。現在の職場では特に問題なく働けていますが、この先40代、50代になった時も今のままでいられるのか。職場を転々とする日々はもう辛い。そんな思いから、手に職をつけて、生活を安定させたいと資格取得を目指し、参考書と問題集を買い揃えました。
しかし仕事から疲れて帰宅すると、ついスマホを触ってしまい気づけば夜中。明日こそはと思うものの、次の日も同じことの繰り返し。週末も家でゆっくり休みたい気持ちが勝ってしまい、せっかく買った参考書は本棚の肥やしになっています。このままじゃいけないと焦る気持ちと、なかなか行動に移せない現実のギャップに、自己嫌悪を感じています。
2.スポーツジムへ通うのが続かないケース
Bさん(40代・会社員)は、ここ数年で体重が増加し、以前気に入って着ていた服が窮屈になってしまいました。また、毎日の通勤で以前よりも疲れを感じるようになり、体力の衰えを痛感しています。このままじゃまずい、身体を動かさなきゃと一念発起し、会社の近くのスポーツジムに入会。おしゃれなランニングウェアとシューズも購入しました。
入会したての頃は週に2回ほど通い、軽く身体を動かす充実感に満たされていました。しかし仕事が忙しくなると、今日は疲れているからとジムを休みがちに。一度行かなくなると足が遠のくのはあっという間でした。
月会費は引き落とされ続けているものの、最後にジムに行ったのはもう数ヶ月前。部屋の隅に置かれた真新しいランニングシューズを見るたびに、また自分を責めてしまいます。
このように、多くの人が新しいことを始めようと決意しながらも、継続することの難しさに直面していますが、上記2つのパターンには、いくつかの共通した要因が見られます。次に、その要因について詳しく見ていきましょう。
続かないのは意志が弱いわけじゃない
物事が継続できるかどうかは、目標設定の方法、心身の健康、そして個人の思考の癖など、さまざまな要因に左右されます。
2010年にロンドンの大学で行われた習慣形成に関する実験(※)では、96人の被験者が自身で選んだ行動を12週間にわたり毎日実行しました。その結果、95%の人が行動を習慣化することに成功しています。習慣化にかかる期間には18日から254日と個人差がありましたが、中央値は66日でした。
この実験結果から「習慣化には平均66日かかる」という考えが広まりましたが、これはあくまで目安です。習慣化に必要な日数は、行動の種類や個人の特性によって大きく異なります。
まずは「続かない自分」を責めるのではなく、なぜ継続できないのか、その根本的な原因を分析することから始めてみましょう。
※参考 How are habits formed: Modelling habit formation in the real world
続かない6つの要因
物事が続かない背景には、心理的な問題や環境的な原因、アプローチの仕方などの要因があります。ここでは、多くの人に共通する6つの要因をみていきましょう。
1.ハードルが高すぎる
「今度こそ完璧にやろう」という気持ちから、最初から高すぎる目標を設定してしまうケースです。例えば、運動不足を解消しようと「毎日1時間ジムに通う」と決めることはよくありますが、今まで運動をする習慣がなかった人が、毎日1時間の運動を続けるのは予想以上にハードルが高いものです。
特に完璧主義の傾向がある人ほど「やるからには徹底的に」と考えてしまうため、最初の数日は気合で乗り切れても、やがて疲れてしまい「もう無理」という諦めにつながることがあります。
2.ゴールがあいまい
「よし始めよう」という意欲は素晴らしいものですが、目標があいまいのままだと、継続が難しくなることがあります。例えば、「英語が話せるようになりたい」という漠然とした願望だけでは、具体的に何をどこまで学習すれば良いのかゴールがあいまいです。
また、ゴール設定をせずに何かを始めると、モチベーションの維持が困難になるのと同時に、どこまで進んでいるのか、自分は成長できているのかなどの進捗状況も実感しにくくなります。結果的に挫折してしまい「何をしても続かない」という自己嫌悪につながるケースがあります。
3.気持ちが追いついてない
「流行っているから」「みんなやっているから」など、自分はそんなに興味がないのに、周りの評価を気にして、外的な動機で始めてしまった場合、続けることが苦しくなる場合があります。
また、何かに迫られて「やるべき」という義務だけで始めたことも、楽しさを感じにくく、単なる作業になってしまうことが多いでしょう。また、気持ちが伴わない行動を続けることでストレスを感じてしまう場合もあります。
4.すぐに結果を求めてしまう
短期間で目に見える効果が出ないと「効果がない」と判断してしまうケースです。何かを始める前は、結果や効果が出た自分を想像することでやる気が出てくるものですが、すぐに結果が出ることは少ないかもしれません。
多くの物事は継続することで徐々に効果が現れるものです。すぐに結果を求めすぎることで、本来なら続けていれば得られたはずの成果を手放してしまうことになります。
5.新しいことに興味が移ってしまう
好奇心旺盛で次から次へと新しいことに興味が湧いてくるタイプの人もいます。興味を持つことはとても良いことですが、新しいことに目移りしてしまいどれも中途半端で終わってしまうケースもあります。
SNSやインターネットで常に新しい情報に触れられる現代では、このような状況は起こりやすくなっています。「隣の芝生は青く見える」という心理も働き、今やっていることより新しいことの方が魅力的に映ってしまうことがあります。
6.エネルギー切れ
仕事が忙しすぎて慢性的に疲れていたり、十分な睡眠が取れていなかったり、人間関係でストレスを抱えていたりすると、新しいことを始めるためのエネルギーが湧かなくなってしまいます。
「やりたい」という気持ちはあるのに、体が付いてこない、どうしてもやる気がでてこない場合は、意志の強さの問題ではなく、エネルギー切れを起こしているかもしれません。
視点を変えてみる
どうしても「続かない」ことはよくないことと考えてしまいますが、視点を変えてみると「続かない」ことの中に、自分の長所が見つかる場合もあります。
新しいことに次々と興味が移ってしまうのは、好奇心のアンテナが広いからともいえますし、向上心があるからこそ、高いハードルを掲げてしまうのかもしれません。
視点を変えることで、自分の特性が見えてくるかもしれません。自分の特性を理解したうえで、活かせる方法を見つけてみましょう。
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続けられる自分になるための5つの対処法
この章では、無理なく継続できる環境を作るための具体的な方法をご紹介します。ちょっとした工夫や考え方で心が軽くなることもあります。
1.まずは「お試し期間」を設定する
いきなり「毎日続ける」と決意するのではなく、「まずは3日間だけやってみよう」「1週間だけ試してみよう」という具合に「お試し期間」を設定してみましょう。
お試し期間を設けることで、続けることの心理的なプレッシャーが大幅に軽減され、気軽にスタートを切ることができます。
また、期間が決まっていることで、「この期間だけなら頑張れる」という気持ちで行動に移しやすくなります。
お試し期間を終えて、楽しかったと感じられたら続けていけば良いですし、「今の自分に合わない」と感じてやめてしまっても、それは挫折ではなくお試し期間を完走したと言い換えることもできます。
2.続けるのが辛い時は「1分だけ」やってみる
継続しやすくするために、まずは1日1分から始めてみるのもオススメです。忙しくても1分であれば確保することができるかもしれません。
読書や勉強なら1ページだけ、筋トレならスクワット10回だけといった感じで、本当に小さなところから始めることで、行動のハードルが格段に低くなります。
1分だけでも始めてみると気持ちが乗ってくるかもしれません。1分やってみて、もう少し続けたいと思えば続けるのもよいでしょう。今日も1分だけと続けていくことで習慣化が期待できます。
3.完璧主義を手放して「思い立ったらすぐ行動」
「やろう」と思った瞬間から実際に行動するまでの時間を、できるだけ短くすることも大切です。「明日からはじめよう」と先延ばしにしているとその間にモチベーションが下がってしまったり、別のことに気が向いてしまう場合があります。
また、「完璧な環境が整ったら始めよう」と思ってしまい、やるための環境整備に時間をかけすぎて、いつまでたっても始められないというケースもあります。
環境や準備が完全に整っていなくても、今ある環境で始めることが大切です。行動していく中で環境を整えていけばよいのです。思い立ったら、まずはゴールを設定して、行動してみるとよいでしょう。
4.複数を平行して楽しむ
飽きっぽい性格、さまざまなことに興味があるなど、一つのことに集中するのが難しい場合には、あえて複数のことを平行して「つまみ食い」してみるのも良いかもしれません。
「中途半端になってしまうのでは」と心配になるかもしれませんが、少しずつでも複数のことに触れ続ければ幅広い知識や経験を積むことができます。
また、一つのことを続けるプレッシャーが少なく、気分や体力に合わせて選択できるので、無理なく継続しやすくなります。
5.理由をもう一度探る
なぜそれをやりたいと思ったのか、改めて自分の心に問いかけてみることも大切です。例えば、「運動を始めたい」と思ったその奥には「疲れにくい身体になって、仕事もプライベートも充実した時間を過ごしたい」という願いがあるかもしれません。
この深い理由を知ることで、外からの期待や「やるべき」という義務感ではなく、自分の心から湧き上がる「やりたい」という気持ちに気づけるかもしれません。やりたいという気持ちが見つかれば、継続への動機が強まります。
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続けることだけが正解じゃない
どうしても「続ける」ことに注目してしまいますが、時には「やめる」という決断も必要です。お試しでやってみた結果「今の自分には合わない」と感じたなら、いったん中断してみることも重要です。
やめることに罪悪感を抱くこともあるかもしれませんが、「やめる」としっかり決断することで、自分の時間とエネルギーを本当に大切なことに注げるようになります。
また、完全にやめるのではなく、「今はお休み」という選択肢もあります。今は仕事が忙しくて余裕がないけれど、落ち着いたらまた始めるかもしれない。そんな風に考えることで、続けられないことへのネガティブな印象が和らぎます。
大切なのは、やめることで自分を責めるのではなく、「自分に合わないことが分かった」という学びとして受け取ることです。その経験が、次に何かを始める際の、自分に適したものを選ぶための貴重な情報となる可能性があります。
それでも「続かない自分」を責めてしまう時は
ここまでさまざまな視点から「何をしても続かない」ことについて考えてきましたが、それでもやはり「自分はダメな人間なんじゃないか」と自分を責めてしまう気持ちが消えない方もいるかもしれません。そのような時は一人で抱え込まず、メンタルヘルスの専門家に相談するという選択肢も考えてみてください。
メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーは、相談者の話を客観的かつ専門的な視点から聴き、新しい気づきを得られるようサポートを行います。「なぜ自分を責めてしまうのか」「その背景にはどのような経験があるのか」など一緒に探っていくことができるでしょう。
手軽に利用できるオンラインカウンセリング
特にオンラインカウンセリングは、自宅からリラックスした状態でカウンセラーに相談できるため、対面での相談に抵抗がある方でも始めやすく、仕事の合間や休日など、時間を選ばず自分のペースで利用できます。
一人で悩み続けると、視野が狭くなり解決策が見えなくなってしまうことがあります。カウンセラーとの話を通じて、新しい視点や自分に合った具体的な対処法を知ることで、「続かない自分」を責める気持ちから解放され、より自分らしい生き方を見つけることができるかもしれません。

まとめ
「何をしても続かない」という悩みを抱えている方は少なくありません。しかし、続かないことは意志の弱さや人格の問題ではなく、環境やアプローチの仕方を変えていくことで、続けられる可能性があります。
まずは、「何をしても続かない」自分を責めるのではなく「自分らしい継続の方法」を見つけていくことが大切です。
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