仕事の悩み

退職や休職につながることも 職場の人間関係の悩みから「うつ」状態に

職場環境において、人間関係は非常に重要な要素です。

本記事では、職場の人間関係に関する悩みがメンタル不調につながる可能性を考え、「退職」や「休職」の様々な例を基にした3つのストーリーから、「うつ」の症状が現れるまでの過程を紹介します。

気分が沈みがちで、物事に集中できない状況にあり、職場の人間関係に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

退職代行利用まで追い詰められたKさん

広告代理店に勤務するKさんは4年目の中堅社員です。

2年前から同じ部署で働く先輩社員のDさんとは、プライベートで遊ぶほど良好な関係を築いていましたが、Kさんが昇進することになり、事実上KさんがDさんよりも立場が上になったことで関係が少しずつ変化し始めます。

人間関係からの切り離し

KさんとDさんを含む仲の良い部署内のグループは、一緒にランチを食べるという暗黙のルールがありましたが、Kさんの業務が終わるのを待たずにグループがランチに向かうことが増えてきました。

そのうちKさん抜きでプライベートで遊んでいることも判明し、Kさんは職場で仲間外れになっていることに気がつきます。

上司に相談

Kさんは1on1ミーティングでマネージャーに、Dさんとの仕事のやりにくさを再三申し出ていましたが、業務に支障が出ていないことから、あまり改善は見られませんでした。

業務に支障が出るように

Kさんは昇進をしたことで仕事にやりがいを感じていましたが、職場の居心地が悪く頭痛や腹痛が頻繁に起きるようになっていきました。

業務と人間関係は割り切ればよいと思っていましたが、Kさんが指示を出したにも関わらずDさんが故意に業務をしなかったことで、スケジュールに重大な遅延が生じることがありました。これをきっかけに、Kさんは人間関係の悪化と仕事のプレッシャーを同時に抱えることになり、メンタル不調が悪化していきます。

ある日、電車に乗れなくなった

Kさんはある日、通勤時に吐き気やめまいを覚え、冷や汗が止まらず、駅のホームででうずくまり動けなくなってしまいました。なんとかベンチまでたどり着いたKさんは、次の電車には乗らなければと電光掲示板を確認しますが、文字が読めないことに気づきます。しっかりと読もうとしても全く頭に入ってこないのです。その日は無断欠勤をしましたが、明日仕事に行くと思うと涙が溢れて止まりませんでした。

そして退職代行利用へ

上司に相談しても改善されず、部署で仲の良かったグループには助けてもらえないという状況で、追い詰められたKさんは退職代行を利用する結果となりました。明日会社に行かなくてよい方法として、退職代行以外考えられなかったのです。

退職代行依頼の翌日から、Kさんはもう会社に行かなくてもよいと安心しましたが、同時に何もかも放り出した自分は最低の人間だ、価値がないと思うようになり、誰とも連絡と取らず引きこもるようになりました。

その後、うつ病と診断

連絡が取れないことを心配した両親がKさんの元を訪ね、表情に違和感を覚えるなどがあったためクリニックに同伴したところ、Kさんはうつ病と診断されました。1年の治療を経て、Kさんは社会復帰に向けて週に数日のボランティアに参加しています。

自信喪失から「うつ」状態になったNさん

Nさんは新卒入社2年目で初めての部署異動を経験しました。前部署の上司や先輩、同期からの評判はよく、彼自身も新しい部署で期待に応えようとしていました。

同期との差に悩み始める

Nさんは、新しい環境や業務に慣れるために最初の数か月はとにかく必死でした。

ようやく落ち着いてきた頃に、同じ部署に配属されていた同期が大きなプロジェクトのメンバーに選出されたのです。Nさんは同期の抜擢を嬉しいと感じる半面、入社と異動を同時期に経験したにも関わらず、自分はまだまだだと差を気にするようになっていきます。

「自分も結果を残さなくては」と焦るように

実際はNさん自身の個人成績も悪いわけではありませんでしたが、本来のまじめさから自分も結果を出さなくてはという気持ちで焦るようになり、Nさんの身体やこころに変化が現れ始めます。

使い方がわからないことで自信喪失

ある日Nさんは、上司からFAXを送って欲しいという依頼を受けました。前の部署ではFAXの操作がなかったため、マニュアルがあれば確認して送りますと返答しましたが、同期が「私がFAXを送っておきます」と申し出たのです。

このエピソードは些細なことのように思えますが、NさんにとってはFAXを送れない自分自身は価値がない存在なのだと感じさせるものでした。

この他にも、「人ができていることが自分にはできない」という場面が気になるようになり、徐々に業務にも消極的になっていきます。

眠れない、集中できない

Nさんは不眠と集中力の低下に悩むようになります。本を読むことが日課でしたが、虚脱感や無気力感が深まり、読書への興味や集中力が完全に奪われてしまいました。

以前のように読書ができなくなった自分に対して「本すら読めない…」と悲観的になっていきます。

優等生だった自分

Nさんは学生時代の成績もトップで、就職も第一希望の企業へ決まりました。人生の中で挫折を経験することが少なかったNさんは、社会人2年目で初めて、自分は劣っているのではないかという気持ちを持ったのです。

そして、もしかしたら自分は今までずっと、誰よりも劣っていたのではないかと感じるようになり、消えてしまいたい、ここから居なくなりたいと思うようになっていきます。

なにをするにも億劫に

眠れなくなってから一か月ほど経過すると、Nさんは仕事に行かなくてはと思っていても、玄関を出るまでにかなりの時間を要することが多くなりました。スラックスのベルトが緩くなったので買い替えなくてはいけないと思ってはいても、実行に移す気力と体力がありませんでした。

そのうち食事や入浴などが億劫になり、度々欠勤をするようになります。

心配した先輩の後押しでクリニックへ

日中ぼんやりしていることが多い、痩せたように見える、資料やレポートなどに誤字脱字が多いなど、Nさんの変化は客観的にみても分かるようになっていきます。

見かねた先輩社員から、「最近変わったことや辛いことはないか」と聞かれましたが、Nさんには変わったことの意味が分からず、うなずくのが精一杯でした。

うつ病と診断され休職へ

Nさんは先輩から心療内科に行ってみてはどうかと提案を受けましたが、その間にも症状は悪化しており、Nさんはクリニックでうつ病と診断され休職することになりました。

EAPリワークプログラムの利用

Nさんは半年の休職後、EAPリワークプログラムを経て職場復帰を果たしました。その後も、メンタルヘルスの重要さを知ったことで、少しでもおかしいなと感じたら、適切なサポートを受けるために社内の相談窓口や社外カウンセリングなどを利用しています。

上司との関係悪化から「うつ」になったBさん

Bさんは中途入社5年目で、いままで順調にキャリアを積んできましたが、部長代理との関係に悩んでいました。

飲食業を経て不動産を扱う現在の会社に入社したBさんは、社交的で人当たりもよく、学生時代は大学まで剣道をしていたスポーツマンです。体力には自信があり、残業が続いても誰よりも元気であることが自分の強みだと思っていました。

上司の入院

Bさんの上司である部長が手術のため約3か月間の休職に入ることになり、別部署の部長が「部長代理」として兼任することになりました。

部長代理と合わない

部長代理は基本的に別フロアに常駐している事が多く、実際は部署内で勤続年数の長いBさんに業務を振られる事が多くなっていきました。

部長代理は「どうせ俺は3か月しか君たちを見ないから」が口癖で、Bさんを含めた従業員は、困ったことがあっても頼るに頼れない状況が続いていました。

みんなのフォローをしているうちに

社内での業務は原則19時までと決まっているため、残業はほとんどありませんでしたが、Bさんは業務を自宅に持ち帰ることが増えていきました。

部下や同僚のフォローもこなし、休日も仕事をするのが当たり前になると、家族から最近急に忙しくなったのではないかと心配されます。

この時期のBさんは、眠くてもよく眠れない、リラックスできず絶えずソワソワしている状態が続いていました。

在宅勤務廃止の命令が

会社では新型コロナウイルス蔓延の時期にテレワークを導入しました。Bさんは自宅から会社まで片道1時間半ほどかかるため、週に1回在宅勤務をしています。

1か月で12時間の通勤時間が減ることで、忙しくてもなんとか乗り切れていた部分が多かったBさんでしたが、部長代理から在宅勤務を廃止すると告げられました。

理由としては、行動規制も緩和されフル出社でも問題がないことが挙げられましたが、実際は社内でイレギュラーなことが起こった際に、Bさんが在宅だと不都合がある場合があるためだと思われました。

何を食べても味がしない

部長代理と仕事をするようになってからは時間が作れず、自席で簡単な食事を済ませることが続きました。

ある日、カップ麺を食べていたら味がわからないことに気がつきました。スープを入れ忘れたかなとも思いましたがそうでもなく、コーヒーやお茶もまるで水を飲んでいるように感じました。運動の他にも元々食べるのが大好きだったBさんは、味がわからないのはストレスが原因ではないかとクリニックに行くことを決意します。

まさか自分が「うつ」状態とは考えもしなかった

味覚異常以外では、少し疲れやすいかなと思っていたBさんでしたが、クリニックでは軽度のうつ病と診断されます。Bさんは三か月の休職からの復帰後は、自宅から近い支店に転勤となり、リラックスする時間が増えました。

まとめ

今回の記事では、職場の人間関係によるストレスによって「うつ」状態となった3つのストーリーから、退職や休職までの経過を紹介しました。

「うつ」になる原因は個人によって異なりますが、重要なことはがまんをせず誰かに相談をするということです。周囲に相談できない、誰かに相談したくても時間がないという方は、メンタルヘルスのプロであるカウンセラーに相談できる、オンラインカウンセリングを利用してみてはいかがでしょうか。

 

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