現在ではスマートフォンや、持ち運びができるゲーム機が普及したことにより、いつでもどこでもゲームが楽しめるようになりました。また、eスポーツに注目が集まる中、「ゲーム依存症」や「ゲーム障害」にも関心が高まっています。
この記事では、社会問題となりつつある「ゲーム依存症」と「ゲーム障害」について徹底解説していきます。
なぜゲームはやめられなくなってしまうのか、ゲーム依存症になり得る要因と、その予防法も紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
「ゲーム依存症」「ゲーム障害」とは
「ゲーム依存症」は、ゲームをやめたくてもやめられない、コントロールできなくなっている状態を指し、2019年5月にWHO(世界保健機構)が「ゲーム障害」として国際疾病に認定しました。
世界規模でもゲーム人口は増加している
アメリカの調査会社DFC Intelligenceは、世界におけるビデオゲームの消費者数が2020年半ばには31億人を突破したと発表しています。
eスポーツに力を入れる韓国や、IP資産を強化するために380億ドル(約5兆円)の投資を計画するサウジアラビアなど、ゲームが及ぼす市場価値に注目が集まる一方で、「ゲーム依存症」は世界規模で問題視されるようになっています。
「ゲーム依存症」の症状
「ゲーム依存症」に陥ると、以下のような症状があらわれます。
「ゲーム依存症」チェック
質問 | はい | いいえ |
---|---|---|
ゲームのことがいつも頭にある。 | ||
ゲームを始めると、なかなかやめられない。 | ||
以前よりもゲーム時間を増やさないと満足できない。 | ||
ゲームができない状況になると、イライラする、ソワソワする、気力がなくなる。 | ||
ゲームを中心に生活が回っている。 | ||
ゲームで明らかな問題が生じているが、ゲームを続ける、またはエスカレートさせる。 | ||
ゲームを止め続けても、また、始めればすぐに元の状態に戻る。 |
合計: 0
合計得点が高い場合は、ゲーム依存症の可能性があります。
参考)厚生労働省 | ネット依存・ゲーム障害の治療の実態と課題 依存に特有の症状から抜粋
ゲーム内では、成果や称号、獲得したアイテムなどにより報酬系が刺激されます。そのうちより刺激を求めるようになるため、ゲーム依存症に繋がると考えられています。
「ゲーム依存症」による影響
「ゲーム依存症」に陥ると、こころと身体にさまざまな影響が出てきます。
まず、ゲームをする時間をコントロールできなくなることで、睡眠時間が減少します。満足な睡眠時間が確保できず、日中に耐えがたい眠気を感じるようになりますが、それでもゲームをやめることができません。
そのうち睡眠時間だけではなく、あらゆる時間を削りながらゲームをするようになり、社会生活に影響を及ぼします。
ゲームはオフラインからオンラインへ
皆さんはゲームと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。カードゲーム、ボードゲームなど様々なタイプのものがあります。
中でもテレビゲームは、以前はオフラインで楽しめるが主流でしたが、現在ではオンラインゲームのプレイ人口が増加しているという背景があります。
また、オンラインという画面の向こう側に「誰かが居る」という状況が、よりゲームに没頭できる環境を作り上げているのです。
ゲームの使用デバイスの変化
現在では、デバイスに縛られずゲームに触れることが可能になっています。
2021年に行われた、ゲーム依存症対策関係者連絡会議で使用された資料の中の、「ゲーム障害患者におけるデバイスの使用状況」では、スマートフォンが65.6%ともっとも高く、ゲーム機の25パーセントと比較すると2.5倍以上となっています。
参考)厚生労働省 | ネット依存・ゲーム障害の治療の実態と課題 10ページのグラフを加工して作成
移動や休憩時間など、スキマ時間でゲームを楽しむ程度であれば問題ありませんが、生活の軸が「ゲーム」になっている場合は注意が必要です。
大人がゲーム依存症になり得る要因と対処法
大人がゲーム依存症になり得る要因には、以下の3つが考えられます。
- ストレス発散
- オンライン要素
- 課金要素
- ゲーム内の「人間関係」
順番に見ていきましょう
1.ストレス発散
仕事でミスをしてしまった。職場の人間関係で悩んでいる。そんな時に手元にあるスマホでゲームをして気分転換をする。
ストレス発散としてゲームをすることは、息抜きとして有効です。しかし、仕事のストレスを解消するためにゲームをしていたはずが、そのうちゲームをしていてもストレスを感じるようになっていたら注意が必要です。
ゲームをすることで更にストレスが
休憩中にゲームをプレイしたところ、ゲームの中でも失敗をしてしまった。ストレス解消どころか、更にストレスが溜まって悪循環だと感じたら、ゲームジャンルの見直しをしてみましょう。
例えば、FPSゲームで負け続けるのがストレスだと感じてサンドボックス型のゲームに変えてみたら、今まで選ばなかったようなジャンルのゲームシステムのほうが、自分に合っていたというケースもあります。
2.オンライン要素
チェスや将棋、オセロなどの対面で行うボードゲームは、勝負がついたらそこで一旦ゲームは終了し、「区切り」が生じます。
オフラインゲームも同じ仕組みで、没頭してもいずれ終わりがやってくるため、慢性的な依存には結びつかなかったと考えられています。
しかし、オンラインゲームである場合、勝ち負けが存在し区切りがあっても「終わり」がありません。ゲームがアップデートされる限りは「続く」状態であるといえます。
ゲームをする場所と時間を決める
終わりのないオンラインゲームから離れるには、どうすればよいのでしょうか。
例えば、1時間やったら続きは明日というように決めたとしても、ゲームを始めてしまうと1時間ではやめられないものです。
日々責任を背負い、ルールを守って生きる社会人にとって、息抜きとして楽しむゲームくらいは時間を気にせず、伸び伸びとしたいという気持ちもあるでしょう。
特にスマホを使ってゲームをする場合は、場所を選ばずどこでもゲームをすることが可能です。入浴しながらゲームをしていたらいつの間にか2時間経過していた、というケースもあります。
予防法としては、常に手元に置くことが可能なスマホの場合、時間制限に加えて、家でのみ、通勤時間にのみなど、ゲームをする場所の取り決めをしておくとよいでしょう。
3.課金要素
オンラインゲームやスマホゲームの特徴的な要素として、課金システムがあります。
通常であれば一週間かかる作業を、課金すれば瞬時に「作業が終了」。それによりレベルアップが可能になったり、無料では手に入らない衣装や武器が手に入ります。
また、課金をすれば周囲から注目される機会も増えるため、承認欲求が満たされるという背景もあります。課金はしっかりと管理ができれば、忙しい社会人にとっては非常に心強いシステムともいえるでしょう。
しかし、ひとつひとつは僅かな額でも、いつの間にか決めていた金額よりも課金していた。課金するための資金を調達するために、家族に嘘をついてまで捻出するようになった。などの症状があれば、注意が必要です。
キャッシュレスの手軽さ
オンライン決済の場合、最初に登録をするとデバイスに情報が保存され、2回目以降は決済の手間が省けます。スムーズで便利ですが、わずかなステップで決済ができてしまうため、いつの間にか大きな金額を課金していたという場合も少なくありません。
課金をしすぎると自覚がある場合は、決済方法に「不便さ」を取り入れてみましょう。決済情報を登録せず、課金する時にその都度入力することで、本当に課金をしてよいかと考える時間が発生します。
4.ゲーム内の「人間関係」
最後は、ゲーム内の人間関係です。
大人がゲーム依存症になり得る最大の原因といってもよいのが、世界中の人達とつながれることではないでしょうか。
ネットを通じて同じゲームをリアルタイムでプレイするというのは、オフラインやAI相手では味わえない楽しさやワクワクが味わえます。
しかし、そのうちゲームやネットの仲間を優先に行動するようになったら、ゲーム依存症に陥る可能性があります。
悩んだら離れる
最近あの人ログインしていないな。今まで一緒にプレイしていたのに、いつの間にか強いクランに移っているなど、居心地がよいと感じていたゲームの世界でも、人間関係に悩まされるようになるケースもあります。
職場、家族、友人、人間関係の悩みは尽きません。その中で、ゲーム内での人間関係
でも悩むようになったら、そのゲームを継続するかを見直す時期なのかもしれません。
上記の4つは、あくまでゲーム依存症になり得る要因ですが、全てがゲーム依存症に結びつくわけではありません。しかし、まずはゲーム依存症について知り、現代では誰もがゲーム依存症になり得るという意識を持つことが重要であるといえます。
「ゲーム依存症」に有効な「カウンセリング」
依存症の中でも、ゲーム依存症にはカウンセリングが有効とされています。
ゲームの世界は楽しさや刺激、成果をもたらすことがありますが、続けていく中でストレスを感じながらも、やめられないケースがあります。
また、長時間のゲームをプレイを続けていると、社会生活のバランスを失うことがあり、現実世界の問題から逃れるために再度ゲームにのめり込んでしまうという悪循環が起こる可能性があります。
もしもゲームがやめられなくて辛いと感じているのであれば、がまんせずに相談してみましょう。対面での相談に不安がある場合は、オンラインカウンセリングがおすすめです。
プロのカウンセラーに相談できる「オンラインカウンセリング」
オンラインカウンセリングでは、ゲーム依存症による悩みをプロのカウンセラーに相談することができます。
カウンセラーは知識や経験をもとに、悩みにあったサポートを提供します。
また、オンラインカウンセリングなら、場所や時間を気にせず、リラックスできる自宅から相談することができますので、忙しい日常にも柔軟に対応し、無理なく続けられるのが魅力です。
まとめ
この記事では、社会問題となりつつある「ゲーム依存症」になり得る背景や要因について解説しました。
ゲームがやめたくてもやめられないと悩んでいる方は、一人で抱え込まず、プロのカウンセラーに相談をしてみましょう。
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