発達障害の特性を持つ上司に疲弊する理由と対策、心のケアまで
会議での長話や突然の計画変更、曖昧な指示出しなど、上司の言動に日々疲れ切ってしまい、コミュニケーションにストレスを感じることはありませんか?
実はこういった上司の行動の背景には、発達障害の特性により、職場での様々な摩擦を生み出している場合があるのです。
発達障害は医学的診断がなければ断定できませんが、その特性を知ることで、なぜ上司の言動に振り回され、心身ともに疲れ果ててしまうことがあるのかを理解することができ、適切な対処法を見つける助けになります。
この記事では、発達障害の特性を持つ上司との関わりで感じる疲労の原因と具体的な対策、そしてあなた自身の心を守るケア方法まで、具体的なアドバイスをお届けします。
発達障害とは
発達障害とは、言語、認知、社会的なスキルなどの分野で特定の特性が見られる状態を指します。
また、これらの特性は通常、生涯を通じて持続するとされています。代表的な発達障害には、ASD(自閉スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)などがあります。
しかし発達障害の特性は必ずしも明確に分けられるものではなく、個人ごとに複数の特性が重なる場合があります。
なぜつらい? 発達障害の特性を持つ上司とのコミュニケーションで疲弊する原因
発達障害の特性を持つ上司とのコミュニケーションは、疲弊感をもたらすケースがあります。この章では、具体的な事例を交えながら、疲弊してしまう主な原因を8つの視点から考えてみます。
1.細部への過度なこだわり
細かすぎる指示や微調整を求められることで、業務効率が下がり、心身の疲れが少しずつ溜まっていく可能性があります。
例えば、社内会議用の資料のフォントサイズやグラフの色使いなど、細部にこだわり、「このフォントは〇〇が良いかもしれない」と何度も修正を依頼されることで、「また何か言われるかもしれない」という心配を抱えながら仕事をすることで疲れ切ってしまいます。
2.現状に固執し、変化への抵抗がある
発達障害の特性を持つ上司の中には、変化に対して抵抗を示す人もいます。顧客からの急な要望で仕様変更が必要になった場合も、「そんなことは聞いていない」「今まで通りで進めたい」といった反応をしてしまうことも多く、部下は顧客と上司との間で難しい立場に置かれることになり、負担を感じて疲れてしまう場合があります。
3.曖昧な指示と頻繁な変更
「とりあえず〇〇プロジェクトを進めておいて」という指示だけで、具体的な目標や成果物、スケジュールなどが示されないと、部下は進むべき方向に迷いを感じることが考えられます。
また時間と労力を使ってしまった後に、頻繁に方向性が変わるケースもあり、不安を感じてしまう場合があります。
こういった状況が長く続くことで、自信が持ちにくくなったり、仕事への意欲が徐々に下がったりする可能性もあります。
4.優先順位の混乱
重要度の低いタスクに多くの時間をかけてしまうことで、本当に重要なタスクが後回しになり、締め切りに間に合わなくなることでストレスを感じてしまうケースがあります。
例えば、重要度の低い社内資料作成に日数をかける一方で、急ぎの顧客対応が遅れることで、部下は難しい状況に置かれ、焦りや不安を感じる場合があります。
5.心理的な距離感
発達障害の特性により、部下の感情やニーズを理解するのが難しい上司のもとでは、体調不良や気持ちの落ち込みに気づいてもらえないといったケースがあります。
このような状況では、不満や不安を抱えたまま仕事を進めることになり、「自分の状況を理解してもらえていない」という距離感から心理的な疲れを感じる可能性があります。
6.感情表現の強さ
ストレスや理解の難しさから感情が高ぶりやすい上司のもとでは、部下は常に上司の様子を気にして、緊張感を抱きやすくなります。
些細なミスに対して声を大きくして反応されると、次第に自信が持ちにくくなり、職場に行くことに気が重くなることも考えられます。
7.一方的なコミュニケーション
自分の考えを中心に話が進み、部下の意見を取り入れることが少ない上司のもとでは、「意見を言っても聞いてもらえないかもしれない」という気持ちが生まれやすいでしょう。
会議で発言しようとしても話が途中で切られる経験が続くと、徐々にやる気が下がり、新しいアイデアも出しづらくなる傾向があります。
8.時間管理の難しさ
会議の開始時間が守られない、予定時間を超過する、話題が変わりやすいなど、時間管理が苦手な上司のもとでは部下の予定が変わりやすく、時間に追われる状況が生まれることも少なくありません。
その結果、必要な業務時間の確保が難しくなり、残業や持ち帰り仕事が増えて、仕事と生活のバランスが取りづらくなる場合もあるでしょう。

もう限界… と感じる前に試してほしい5つの対策
「今日も上司の矛盾した指示で振り回された…」毎日このような思いを抱えながら出社することは、想像以上の精神的負担となっているかもしれません。
しかし大切なのは、相手を変えようとするのではなく、自分自身の対応や心の持ち方を工夫すること。そして何より、無理をせず自分の心身の健康を守ることです。
ここでは、発達障害の特性を持つ上司との関わりで「もう限界…」と感じる前に、少しでも心を楽にするための5つの対策をご紹介します。
1.特性を理解して接する
まず、上司がどのような発達障害の特性を持っているのかを理解することで、言動の背景が見えてきます。
ADHDなら注意散漫になりやすく優先順位をつけるのが難しい、ASDならコミュニケーションに困難を抱えやすいなど、特性によって対応方法も変わってきます。「なぜそのような行動をとるのか」という理解が深まれば、心理的な負担が軽減されるでしょう。
2.明確なコミュニケーションを心がける
上司からの指示が曖昧な場合は、遠慮せずに質問し、具体的に確認しましょう。例えば、「〇〇プロジェクト、いい感じに進めておいて」という指示を受けた場合は、「具体的にどのような成果物を、いつまでに、どのようなレベルで求められていますか?」と確認します。
また、口頭での指示だけでなく、メールやチャットなど書面で残してもらったり、図や表を使った視覚的な資料を活用したりすることも効果的です。発達障害の特性を持つ方は特に視覚的な情報を好む傾向があります。
3.すり合わせの場を定期的に設ける
可能であれば1on1ミーティングなどで、定期的に上司と話し合う時間を設けましょう。
業務の進捗状況を共有し、お互いの期待を確認することで、信頼関係を築きやすくなります。このとき、目的を明確にし、何を話し合いたいのかを事前に伝えておくとスムーズです。
4.率直に自分の感情を伝える
上司が無意識に失礼なことを言ったり、感情的になったりした場合は、冷静に自分の気持ちを伝えることも大切です。
「そのような言い方をされると、傷ついてしまいます」など、率直にフィードバックすることで、相手が自分の行動を見直すきっかけになることもあります。
5.優先順位を明確にする手助けをする
発達障害の特性を持つ上司は、業務の優先順位をつけるのが難しい場合があります。「この案件は納期が近いので先に対応した方がよいと思います」など、具体的な理由とともに提案することで、業務の混乱を未然に防ぐことができるでしょう。
6.自分の心を守る境界線を引く
最後に、何よりも大切なのは自分自身の心を守ることです。常に上司に合わせる必要はなく、適度な距離感を保ち、自分の時間や空間を確保しましょう。必要に応じて部署異動や転職など、環境を変えることも選択肢の一つです。
また、信頼できる同僚や友人に話を聞いてもらったり、趣味やリラックスできる時間を作ったりして、自分自身をケアすることを忘れないでください。一人で抱え込まず、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることがあります。

それでもつらい時は専門家のサポートを
様々な方法を試しても状況が改善しない場合は、一人で悩まず、専門家のサポートを検討しましょう。
社内外の相談窓口やカウンセリングサービスなどを利用することで、現状の困っている状況に対し、具体的なアドバイスや心のケアを受けることができます。
オンラインカウンセリングは予約も簡単
オンラインカウンセリングは、インターネットにつながる環境であれば、24時間スマートフォンからでも簡単に予約が取れます。また、オンラインカウンセリングは自宅で相談できるのもメリットです。
相談をするために移動する時間を省くことはもちろん、何よりリラックスできる状態で自宅などから専門のカウンセラーに相談することができるのが、オンラインカウンセリング最大のメリットです。
週に1回など、信頼できるカウンセラーに話を聴いてもらうことで、こころが安定し、状況が改善が変化していくことも期待できます。
まとめ
この記事では、発達障害の特性を持つ上司との関わりから生じる疲労の原因と対策、そして心のケア方法について解説してきました。
発達障害の特性を持つ上司との関係改善は、一朝一夕には実現しないかもしれません。しかし、本記事で紹介した対策を地道に実践していくことで、少しずつ状況が改善する可能性があります。
それでも難しい場合は、専門家のサポートを受けることも検討してください。職場での人間関係の悩みは誰にでもあるものです。一人で抱え込まず、できることから少しずつ試してみてください。
相談することでこころが軽くなり、気持ちも前向きになることで、自分らしさを取り戻すことができます。
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