心と体の健康の悩み

【医師監修】HSPとは?辛いと感じたらカウンセリングを活用してみよう

  • 些細なことが気になってしまう
  • 近くで誰かが怒られていると、まるで自分が怒られているように感じる
  • 大きな音が聞こえるとゾワっとしてしまう

このように、日常生活の中で「生きづらいな」と感じたことがあれば、もしかするとあなたは「HSP」の気質を持っているのかもしれません。

今回の記事では、人一倍敏感で繊細な気質を持つ「HSP」について詳しく解説していきます。

また、生きづらさを感じているあなたが、生きやすくなるヒントも紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

監修医師


宮田 俊男 (Toshio MIYATA)

医師、博士(医学)、産業医
大阪大学医学部医学科卒業
早稲田大学理工学術院先端生命医科学センター(TWIns)教授
医療法人社団DEN みいクリニック代々木、みいクリニックみのお理事長

厚生労働省参与として国に助言するとともに、地域医療を推進するため、医療法人を経営し、企業の健康経営や多くの社員、役員のカウンセリング、社員の生活習慣病の重症化予防、病児保育、オンライン診療、医療DXにも取り組んでいる。出演番組の実績も多数。

HSPとは

HSPとは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、病名や診断名ではなく、その人が持つ「気質」を指す名称です。

HSPは外部の刺激により強く反応し、感情を深く捉える傾向があるため、日常生活や社会的環境において独特の課題や困難を抱える傾向があります。

HSP4つの気質「DOES(ダズ)」

HSPを提唱したアメリカの心理学者 エレイン・アーロン博士は「DOES(ダズ)」という4つの気質があるとしています。

  1. Depth of Processing(処理の深さ)
  2. Overstimulation(刺激に敏感で疲れやすい)
  3. Emotional Reactivity(感情反応性)
  4. Sensing the Subtle(微妙な変化の察知)

1つずつ順番にみていきましょう。

1.Depth of Processing(処理の深さ)

「Depth of Processing(処理の深さ)」はHSPが情報を深く処理する傾向を指します。例えば、些細な物事の一つひとつを深く考え、丁寧に理解しようしていきます。

他者よりも情報をより深く処理するため、新しい情報や刺激に対して敏感であり、より多くの情報を吸収し、意味付けすることができます。

2.Overstimulation(刺激に敏感で疲れやすい)

「Overstimulation(刺激に敏感で疲れやすい)」は、HSPが外部刺激に過敏に反応し、多くの刺激によって疲れやすい傾向を指します。

大きな音や光、強い香りなどの刺激に非常に敏感で、ストレスを感じることがあります。

苦手な刺激は個人によって異なりますが、例えば救急車の音、他者の大きな笑い声、柔軟剤の匂いなどに敏感な場合があります。

3.Emotional Reactivity(感情反応性)

「Emotional Reactivity(感情反応性)」は、他者の感情に非常に敏感なことを指します。

他者の感情や雰囲気をより強く感じるため、刺激によって強いストレス反応を示すことがあり、ドラマや映画などに感情移入してしまったり、悲しいニュースを見るとショックを受けて傷ついてしまうケースもあります。

4.Sensing the Subtle(微妙な変化の察知)

「Sensing the Subtle(微妙な変化の察知)」は、HSPが細かい変化やニュアンスを感知し、他者よりも微妙な情報に敏感に反応する傾向を指します。

通常であれば見逃すような微妙なサインや変化を捉えることができるため、より鋭い観察力を持っています。

HSPの気質とどう付き合っていくか

検索エンジンで『HSP チェック』や『HSP 診断』を探してみると様々なページが表示されますが、公式の診断というものはヒットしません。

ここでポイントとなるのが、前の章で紹介した「DOES」の気質とどう付き合っていくかということです。

環境や経験、年齢によって変化するのが「性格」だとすると、持って生まれた気質というものを変えることは難しいとされています。

しかし、自分自身の気質を理解し、その時々に応じて対処をしていけば、物事や他者と関わることへのストレスが軽減できるかもしれません。

HSPの気質と上手に付き合う4つのヒント

HSPは病名ではなく個人が持つ気質ですが、その繊細さゆえに日常生活や社会的関係において様々な課題に直面することがあります。

この章では、HSPの気質と上手に付き合う4つのヒントを紹介していきます。適切なアプローチや対処法を身につけることで、より充実した生活を送ることが期待できます。

  1. 他者と自分の違いを知る
  2. 辛いと感じたら距離を置く
  3. 自分の中で優先順位をつける
  4. 嫌だなと思う事があれば一度立ち止まる

1つずつみていきましょう。

1.他者と自分の違いを知る

自分自身のHSP気質を知ることは、ストレスの軽減や心の健康の促進につながります。

自分が敏感であることを認識することで、状況や環境によって引き起こされやすい問題を予測しやすくなるでしょう。

また、自分の気質を理解し配慮していくことは、ストレスの軽減や心の健康の促進につながります。

息抜きのタイミングを作ってみよう

週の真ん中である水曜日は折り返しということもあり、こころと身体に疲労が蓄積する時期です。

月曜と火曜はがんばったから、水曜はその半分くらいできれば『はなまる』というように、息抜きのタイミングを作っていくのも、HSPの気質と付き合っていく上では効果的です。

2.自分にも他者にも適度な距離と期待感

他者からの期待によって、「こうしなければならない」と自分自身に対するハードルが高くなっている場合は、適度な距離感を持つことが効果的です。

たとえば、他者の期待に応えようとがんばったが、思うような結果が得られなかったことで傷ついてしまう時は、捉え方を意識して変えてみましょう。

上手くいかなかった日は0点と評価するのではなく、加点方式を採用していきます。

結果的に期待に応えられなかったとしても、そこに至るまでのプロセスにおいて出来ていたことを振り返っていきましょう。細かく加点をしていくことで、できていることが明確になるため自信にもつながります。

他者との「線引き」を意識してみる

他者に対しても期待値は少し低いくらいに設定しておくのもポイントです。

自分と違う意見や、理解できない言動や行動などに遭遇しても「そういう個性もあるのだな」と適度な距離を取ることで、敏感な自分との他者との「線引き」が期待できます。

3.自分の中で優先順位をつける

HSPは人一倍敏感であることが気質として挙げられますが、特に何に対して敏感であるかは個人によって大きく異なります。しかし共通しているのは、一日中気を張っていて疲れてしまうということ。

HSPの気質があると、少しでも他者の役に立ちたい、頼まれた事はできる限り対応していきたいとがんばってしまう傾向があります。

そこで考えていきたいのが「自分軸で優先順位をつける」ということです。

上手な断り方3つのポイント

例えば、職場で自分のタスクで手がいっぱいな時に上司や先輩、同僚から新しい業務を振られたとしましょう。

怒られたらどうしよう、嫌な気分にさせてしまうかもという気持ちが先行して、断りにくいと感じているのではないでしょうか。

そのような場合は、「自分軸」で優先順位を考えてみると、上手に断ることができるかもしれません。

『今の気持ち』、『今の状況』、『代替案』の3つをシンプルに伝えてみましょう。
「引き受けたいのですが、自分のタスクが溢れています。明日以降あれば可能ですが、いかがでしょうか」

このように最後に代替案を提示することで、依頼をした側も業務の割り振りを再考するというプロセスが生じます。

「自分軸」で優先順位をつけていくことで、自分にも他者にも配慮することができるようになります。

4.嫌だなと思う事があれば一度立ち止まる

ひとつのことに集中しようとしても、外部刺激によって落ち着かない。

仕事中も思うように集中できず焦りを感じてしまうという場合は、一度立ち止まってみましょう。

例えば、どうしても仕事で集中しなければならない時は、上司や周囲に相談してみるのもよいですし、集中できる環境を整備できるかを考えるために、一旦作業に区切りを設けるのが効果的です。

自分一人の時間も大切に

仕事以外の時間で、誰にも邪魔されず一人で過ごす時間を確保するのも効果的です。

1時間ヘッドホンやイヤホンで好きな音楽を聴く、ゆっくりと湯舟に浸かってリラックスをするなど、他者が介入しない自分で決めた「集中タイム」を一日の中に取り入れていきましょう

以上4つが自分のHSP気質と上手に付き合うヒントですが、最初なかなか思うようにいかないかもしれません。

そのような場合は、HSP気質が辛いという気持ちを話すことができる、カウンセリングを検討してみるのもよいでしょう。

HSPが辛いと感じたときはカウンセリングが有用

HSPを理解してもらうことは、家族や友達という関係であっても簡単なことではありません。

HSPは病名や診断名ではなく気質であるという点では、メンタルヘルスのプロであるカウンセラーとのカウンセリングが非常に有用であるといえます。

カウンセラーはあなたの経験や感情に共感し、それらを肯定的に受け止めサポートしてくれるでしょう。

また、カウンセリングによって自分のHSP気質に関する理解を深めることができるかもしれません。

利用しやすいオンラインカウンセリング

  • 対面カウンセリングだと緊張してしまう
  • 外出するだけで疲れてしまう
  • 気が散らない環境でカウンセリングを受けたい

このような場合は、自宅などからでもリラックスしてカウンセリングを受けることができる、オンラインカウンセリングがおすすめです。

オンラインカウンセリングは予約からカウンセリングまで、スマートフォンひとつで完結します。

また、対応時間も早朝から比較的遅い時間まで対応していることが多いので、カウンセリングを受けたいときにすぐ利用できるという点も魅力のひとつです。

もしも辛い気持ちを誰かに話したい、HSP気質と上手く付き合えるようになりたいと悩んでいる場合は、一度気軽に利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

この記事では、人一倍敏感で繊細な気質を持つ「HSP」についての解説や、生きづらさを感じているあなたが、生きやすくなるヒントを紹介してきました。

また、HSP気質と上手く付き合っていきたいと思っている場合は、利用しやすいラインカウンセリングの検討も視野にいれてみるのもよいかもしれません。

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ご自宅から、専門性の高いカウンセラーからのカウンセリングを受けられます。

メザニン登録カウンセラー
幸村 奈未子 Namiko YUKIMURA
公認心理師

公認心理師として、メザニンのオンラインカウンセリング以外でも、心理学講座講師、対面カウンセリング、電話相談、SNS相談等に従事し、感受性が強く敏感な気質(HSP)の方へ向けて、心のケアのためのセミナーや、気持ちを分かち合う場を提供しています。

【メッセージ】
心は見えない分、ケアが後回しになりがちですが、もし心が痛むことに気づいたら、少し立ち止まり、いたわる時間をとってみませんか?お話がまとまっていなくても大丈夫です。ちょっとした心のひっかかりも聴かせてください。