家族として共に過ごすペットは、かけがえのない存在であるといえます。そのため何らかの事情によってペットを失う「ペットロス」から、メンタルヘルス不調に陥るビジネスパーソンも増加傾向にあります。
今回の記事では、ビジネスパーソンに向けたペットロスの乗り越え方や、仕事が手につかない時の対処法を5つに分けて紹介しています。
悲しくて辛い、ペットロスの乗り越える対処法を知りたいという方の参考になれば幸いです。
ペットロスとは
ペットロスとは、ペットを失ったことによる深い悲しみや喪失感のことを指し、死別だけではなく行方不明や不慮の事故など、ペットとの別れを経験する精神的な負担によって引き起こされるといわれています。
ペットを失うという経験は深い悲しみを伴うため、日常生活や仕事に支障が出る程の症状に悩むケースが増加しています。
主なペットロスの症状
ペットロスの症状は、ペットを失った直後から現れることもあれば、数週間から半年ほど経過してからというケースもあるなど、個人によって大きく異なりますが、この章では一般的に多いとされる6つの症状を紹介していきます。
1.深い悲しみ
ペットとの別れに対する深い悲しみにより、涙が止まらなくなるなどの症状や、日常の何気ないシーンで、ペットとの思い出や日常の出来事を思い出すことで、悲しみが増すケースがあります。
2.喪失感
ペットがいないことで感じる大きな空虚や孤独感。日常生活にぽっかりと穴が空いたような、一部が欠けたような感じが続いて、何をしても満たされない気持ちになることがあります。
3.罪悪感
ペットの死に対して、自分が何かできたのではないか、あるいは何か過ちを犯したのではないかと感じることがあります。特に、ペットが病気や事故で亡くなった場合は、あの時こうしていれば結果は違ったのではないかという気持ちから、罪悪感が強くなる傾向があります。
4.怒り
例えば、医療ミスや不慮の事故などでペットを失った場合、なぜうちのペットだけがこんな目に遭わなければならないのか、という不当感や無力感が強まり、その結果として怒りが生じることがあります。
5.うつの症状
ペットの死をきっかけに、食欲不振や睡眠障害、無気力感などのうつ症状が現れることがあります。ペットロスはうつの症状と類似する点も多く、気分の落ち込みが続く場合があります。
6.社会的引きこもり
ペットと一緒に過ごした場所や状況、環境に身を置くことが辛いと感じることがあります。
また、ペットを失った悲しみから、他者とのコミュニケーションや外出を避ける傾向もみられます。
ここでは、6つの症状について触れましたが、状況や個人によっては他の症状が強くでるケースもみられますので、必要に応じてメンタルヘルス専門家などからのサポートを求めることも重要です。
もっと何かできたのではないかという気持ち
ペットは惜しみなく愛情表現をします。言葉がない分、そのまっすぐさに救われる日もあったかもしれません。
また、ペットという大切な存在を失ったことで、あの時ああしていればよかった、こうすればよかったという後悔が、次々に押し寄せてくることもあるでしょう。
では、日常の生活もしんどい、仕事が手につかないという場合の対処法を次の章からみていきましょう。
ペットロスが辛くて仕事が手につかない時の対処法5選
この章では、ペットロスが辛くて仕事が手につかない時の対処法を5つ紹介します。悲しみを和らげ、再び日常生活に戻る助けとなるかもしれません。
1.葬儀を行い気持ちの整理をする
葬儀を行うことは、ペットとの関係を深めた時間を称える大切な行為です。ペットを送り出すことで、感謝の気持ちを伝え、共に過ごした時間に敬意を表します。葬儀を行うとで悲しみと向き合い、感情を整理するのと同時に、ペットの喪失を受け入れる手助けとなるでしょう。
2.時間をかけて感情を受け入れる
自分の感情を無理に抑え込まず、悲しみや喪失感を素直に受け入れることが大切です。
ペットロスによって悲しみや喪失感が起こることは自然であり、泣きたい時には泣くなど、感情を解放することでこころの負担が軽くなることがあります。
また、気持ちを抑え込み、大丈夫と無理をするのではなく「しっかりと悲しむ」期間を設けることも重要です。
3.食事や睡眠を意識する
食事や睡眠の意識を深めることは、ペットロスを乗り越えるためにも重要です。
まず、バランスの取れた食事を心がけましょう。ペットロスにより、食欲不振の期間を経験する場合もありますが、バランスを意識した食事を心がけることで体力が保たれます。
そして、睡眠のリズムを意識していきましょう。ストレスや悲しみは睡眠を妨げる要因になりますが、毎日同じ時間に就寝、起床することで体内時計が整い、質の高い睡眠を得やすくなります。深い眠りは新たなエネルギーを与えてくれるでしょう。
4.新しいことを始めてみる
新しい趣味やペットと関連する活動に時間を費やすことで、辛い気持ちが和らぐかもしれません。例えば、仕事が終わった後にボランティアに参加するのもよいですし、新しい趣味を始めてみるのも効果的です。
しかし、どんなことをしていても悲しい気持ちが続いて、仕事もプライベートも何もやる気が起きないという時期は無理をせず、自分のペースで悲しみを受け入れていきましょう。
5.専門家の助けを借りる
最後に紹介する対処法は、「専門家の助けを借りる」です。
特に、メンタルヘルスの専門家であるカウンセラーからカウンセリングを受けることで、専門家の視点から適切なサポートを得ることができます。ペットロスによる長期間の悲しみやうつの症状が続く場合は、専門家の助けを検討してください。
カウンセリングではどんな相談ができるのか
私たちは、自分自身の辛い状態やこころの悩みを理解してもらいたい時、親しい友人や家族に相談することがあります。
しかし、その結果として腫れ物に触るような対応をされてしまうことも多く、その反応を苛立たしく思うことや、申し訳ないと感じてしまうケースもあるでしょう。
また、相談した相手も深い悲しみを抱えてる可能性がある場合は、互いに理解し合うことは難しいとされています。
目には見えない「こころ」について相談することができる
こころの状態は目に見えないものであり、具体的に「ここが痛い」と示したり、直接的に修復することはできません。
辛い状態は「こころの傷」と表現されることもありますが、それは個人によって大きく異なりますが、カウンセリングでは目には見えない「こころ」について相談することができます。
メンタルヘルスのプロであるカウンセラーと話すことで、自分の気持ちを整理し、新たな視点を得ることができるかもしれません。こころのケアを大切にし、自分自身を大事にするための一歩として、カウンセリングを視野に入れてみるのもよいでしょう。
ペットロスには週に一度のカウンセリングが有効
自分に一番近い存在が自分であるからこそ、何をしていても悲しみを感じ、ふとした瞬間に気持ちがあふれてしまうこともあるかもしれません。
カウンセラーはメンタルヘルスのプロですので、ペットロスの辛い気持ちを話す際は気を遣う必要も遠慮もいりません。
また、週に一度のカウンセリングを継続していくことで、カウンセラーから客観的な視点からのサポートを受けながら、こころの中にある問題の解決に向けて進むことができるでしょう。
まとめ
この記事では、ペットロスの乗り越え方と対処法について紹介しました。
ビジネスパーソンにとって、ペットロスで仕事が手につかないほどの辛さを感じることも少なくありません。この記事で紹介した対処法を試すことで、少しでもこころの負担を軽減し、再び日常生活に戻る助けとなれば幸いです。
mezzanineのカウンセラー
メザニン登録カウンセラー
芹野 まり Mari SERINO
EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)、キャリアコンサルタント
医療機関に従事後、現在は企業向け産業保健業務の営業コンサルに従事。健康経営、産業衛生、メンタルヘルスなどを学びました。現在は企業の外部相談窓口(EAP)の相談も担当しています。
【メッセージ】
結婚、不妊治療、離婚、ペットロス、親の介護など哀しいことも楽しいことも悔しい思いもたくさん経験してきたことが、今となっては財産になっています。同じ経験をしていても一人ひとり思いや感情は違うものです。
安心してご相談いただける場所を提供できるよう、丁寧に寄り添っていきたいと思います。